
江戸川乱歩『黒蜥蜴』の新しい物語が幕を開ける!『Burlesque KUROTOKAGE -after die- ~new museum party~』を、出演者の雷太、島田惇平、中尾暢樹が語り合う

島田惇平、雷太 撮影:田口真佐美
江戸川乱歩『黒蜥蜴』の新しい物語が幕を開ける!『Burlesque KUROTOKAGE -after die- ~new museum party~』を、出演者の雷太、島田惇平、中尾暢樹が語り合う
江戸川乱歩の名作『黒蜥蜴』を“バーレスク=ショーアップ”して、キャスト全員が男性で美しく華麗に描いて話題となった舞台『黒蜥蜴~Burlesque KUROTOKAGE』から約1年半の時を経て、新作『Burlesque KUROTOKAGE -after die- ~new museum party~』が誕生。
再演ではなく、全く新しい続編となる今回は、前回の舞台の脚本を担ったエムスラルダがオリジナル脚本を執筆。演出も前回と同じく丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)が担当するが、キャストは前回からの雷太と島田惇平に、新たに中尾暢樹が加わった三人芝居となる。
前回の豪華な衣装、照明、舞台装置などから一変して、密室性の高い三人芝居は、挑戦的な“二面舞台=中央にあるステージを挟んで、向かい合う2つの方向に客席が配置された舞台形式”も相まって、演者の息遣いが聞こえるほど、演劇本来の魅力に満ちている。
『黒蜥蜴』という名作を踏襲した上で、演じる、歌う、遊ぶ、魅せる
舞台『Burlesque KUROTOKAGE -after die- ~new museum party~』のミザンス(立ち稽古)3日目。雷太が明智小五郎、島田惇平が黒蜥蜴、中尾暢樹が今回新たに登場する謎の人物“X”を演じ、演出の丸尾氏もそこに加わって、四人芝居のような様相で稽古が進んでいく。
――前作も“交互配役=同じ役を複数の俳優が分担し、公演ごとに交代で演じる配役”で、雷太さんと島田さんはまさに燃え尽きるほどの熱演でしたが、この新作もお二人は黒蜥蜴・明智・Xの3役を、中尾さんは明智とXを演じます。
雷太 明智小五郎、黒蜥蜴、そしてXという存在を通して、江戸川乱歩『黒蜥蜴』の魅力をあらためて感じました。戦前に発表された作品でありながら、今なお形を変えて上演され続けていること自体が、この物語の強さであり、日本の探偵小説文化の豊かさだと思います。
稽古ではこの狭い空間に怪物が3匹いて……アートでありながらエンタテイメントでもある芝居ができていくのが本当に刺激的ですね。自分が丸尾さんと出会ってから、“役を楽しむ”ことを引き出してもらったし、役の奥深さや気持ちの表現、さらにフィジカル的にお客さまをどう楽しませるかも学んで、今回もすごくハードですが、舞台に上がるのが今から楽しみです。
島田 多分、開演して3日目ぐらいでノドが枯れるんじゃないかというぐらい、一つの役のカロリー消費がすごい(笑)。冒頭からラストまでノンストップで爆発的なエネルギーでみんなも進んでいくので、最終日には「干物になるんじゃないか?」と思いながらも、役者冥利に尽きるというか、燃やせるものは全部燃やして、それをお客さまに観てもらえるというのはすごくうれしいなと思って稽古をしています。
中尾 この座組で、「3人で芝居を回していく」と聞いたときは、自分はその経験がないので、最初に脚本を読んだときに正直混乱しました。自分は島田さんと丸尾さんとは初顔合わせで、雷太さんと島田さんからは稽古初日からものすごいエネルギーを感じて、自分もカロリーを使うなぁと(笑)。眼の前で島田さんの黒蜥蜴を見た衝撃がすごいし、本読みでもお二人の役柄の情景が浮かんできますが、「自分だったらこう演じるな」というのもあるので、負けないように頑張ります。

中尾暢樹 撮影:田口真佐美
3人のパッションやエネルギーが凝縮されたような芝居を作る
――前回の『黒蜥蜴』は、映画やドラマにもなっていて、ストーリーやエピソードも有名ですが、今作は完全オリジナル脚本です。再演ではなく、続編と聞いたときはどう感じましたか?
雷太 前回の『黒蜥蜴』は、バーレスクというショーアップした舞台で、原作が元になっているので、役作りもイメージを膨らませることができましたが、今回はエスムラルダさんのオリジナルです。『黒蜥蜴』をベースにしながら、「もし黒蜥蜴や明智がこうだったら……」という想像がすごく盛り込まれていて、本当に言いそうな言葉や展開に、脚本の力を感じました。
島田 前回があれだけキレイに爆発して終わって、続編として“-after die- ~new museum party~”という情報が出たときは、お客さまと同じまっさらな状態でした。「ほほう」と思いながら脚本を読んだら本当にオリジナルで、これは全部、妄想なのか夢なのか、すごい挑戦になるなと思いました。
自分は前回、黒蜥蜴だけを演じたので、その魂としての形はありますが、今回、初めて明智として登場するので、自分の頭の中で前回のストーリーを明智で上演しているんですよ。前回、明智を演じた雷太でもなく、平野(良)さんや神尾(晋一郎)さんでもなく、「自分が明智だったら、前回どう演じているのかな?」と、今回の明智と重ねて想像してみたり。
雷太 前回のあの壮大な物語を経て、新しい物語が描かれるので、すごく楽しみな面もありつつ、1年半の時間が経っているので、いかに新たな表現ができるかを稽古でチャレンジしているところです。
島田 エスムラルダさんの脚本が、いい意味で役者魂を燃えさせてくれる役Xを創り出してくれて、(中尾)暢樹がとても楽しそうに演じているのを見ていると、遊び甲斐のある役どころを自分も演じられるのが楽しみです。
中尾 稽古では、丸尾さんが分かりやすい言葉でパッと言ってくれて、自分にないものを教えてくれます。三人芝居という、役者の人数が少ないのに、すごく濃い時間と空間で、雷太さんが言う通り、怪物が集まっている感じですね。

雷太 撮影:田口真佐美
「黒蜥蜴や明智がその後どうなったのか」をオリジナル脚本が解き明かす
――前作を演じている雷太さんと島田さんから、新作の“見どころ”を教えてください。
雷太 新作では、黒蜥蜴も明智小五郎も、それぞれ“何かを失った”状態で登場します。今回の明智は、前回とはまた違う、より傷や孤独を抱えた人物として描かれていて、僕自身もそこにとても惹かれています。ビジュアル面でも新しい明智像をお見せできると思いますし、三人芝居ならではの密度と熱量で、新しい物語を立ち上げていきたいです。
島田 江戸川乱歩ファンや、前作を観ていただいた方には分かっていただけると思いますが、黒蜥蜴って純粋なんです。人間には感情がたくさんあって、喜怒哀楽が言葉一つで変わって出てきますが、自分の中の黒蜥蜴はすごく純粋な人間で、「純粋であるが故にこう言ってしまう」ところが愛らしい。だから今回の黒蜥蜴は、演じる自分が感情を整理できなくてもいいし、セリフや状況に翻弄されているのが舞台上でそのまま活きてもいい。感情を整理できていない状態で演じられたらいいなと思っています。
雷太 怪盗とか大泥棒って、どこか「自分が認められたい、自分を追いかけてほしい」という感情を抱えているのかもしれません。「己の行動をもって存在を証明したい」という切実な願いは、ある種のピュアな衝動から生まれているようにも思います。
ここにいる3人は、それぞれが傷や執着を抱える、普通の枠には収まりきらない人たちだと思っています。ただ、その奥にはすごくピュアなものがある。だからこそ危うくて、怖くて、魅力的なんだと思います。自分自身はどちらかというと理性で考えてしまうタイプなので、そういう剥き出しの感情を舞台上で扱えることに、演劇の面白さを感じています。
中尾 自分はまだ今作の全貌が見えていませんが、ピュアに乗り越えて(笑)いきたいと思います。
黒蜥蜴、明智小五郎、Xからお客さまへメッセージ!
島田 僕はこの先、何十年、何百年経っても、演劇は絶対残ると思っています。いろんな情報が交錯する世の中でも、生身の人間が演じる演劇は、最終的に絶対そこにみんな戻ってくると信じているし、自分はその世界にいますが、今回の舞台を観てもらえば、この思いは絶対に分かってもらえると思います。
雷太 AIや便利な技術がどんどん進化していく時代だからこそ、生身の人間がそこに立って、セリフを覚え、歌い、身体や声、想像力を使って観客に届ける表現には、より強い価値があると信じています。
最近ニューヨークへ初めて行って、たくさんのショーや演劇を観たことで、エンタテインメントの力が人の人生に触れたり、何かを変えたりする瞬間を深く感じました。今回の三人芝居や二面舞台、交互配役など、いろんな視点から演劇体験を楽しんでいただきたいです。
中尾 今回、雷太さんと島田さんとご一緒して、これまで演劇を観たことがない方たちにもぜひ観ていただきたいなと思いました。こんなにカッコいい二人をこんなに近くで観られる体験はなかなかないし、舞台上にいる自分もそこに引き込まれるというか。
カッコいい先輩二人が、稽古から、汗、涙、鼻水を垂らしながら、ビシャビシャになりながら、命燃やしているところを近くで見ていると、今回の劇場で観られるお客さまを羨ましくも思います。
島田 新作は、『黒蜥蜴』本来のストーリーを知らない人も、前作を観ていない人も物語を追えるような作りになっています。この“こじらせピュア”な役者3人を劇場に観に来ていただけたらうれしいです。

Burlesque KUROTOKAGE -after die- ~ new museum party~
本作は7月1日(水)より東京・六本木トリコロールシアターで、7月11日(土)・12日(日)に大阪・クリエイティブセンター大阪で上演される。
詳細は公式サイト(https://www.cccreation.co.jp/stage/kurotokage-afterdie/)まで。
(撮影:田口真佐美 文:梶井誠)
Burlesque KUROTOKAGE -after die- ~ new museum party~
【原作】江戸川乱歩
【脚本】エスムラルダ
【演出】丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
【出演】
雷太(黒蜥蜴・明智小五郎・X)
島田惇平(黒蜥蜴・明智小五郎・X)
中尾暢樹(明智小五郎・X)
※交互配役により、全4バージョンを上演。
【会場・日程】
東京公演
2026年7月1日(水)〜7月7日(火)
六本木トリコロールシアター
大阪公演
2026年7月11日(土)〜7月12日(日)
クリエイティブセンター大阪 BLACK CHAMBER
【公式サイト】
https://www.cccreation.co.jp/stage/kurotokage-afterdie/
【公式SNS】
X(旧Twitter):https://x.com/CCC201911
Instagram:https://www.instagram.com/cccreation2019/

