変わらない物語と、変わり続ける感情――愛され続けるミュージカル『アニー』観劇レビュー


Annie2026©NTV

丸美屋食品ミュージカル「アニー」2026年公演が4月25日に東京・新国立劇場 中劇場で開幕しました。

『アニー』は、「ザ・リトル・オーファン・アニー(小さな孤児アニー)」という漫画として、新聞「ニューヨーク・デイリー・ニューズ」に連載されたのが始まりです。

日本では1978年に初めて上演され、1986年4月に日本テレビ主催による公演が⻘山劇場でスタート。今年は、41年目となり、初日の昼公演で日本テレビが上演を始めて以来の累計来場者数が200万人を超えるメモリアルな公演となっています。

開幕に先立ち、取材会及びゲネプロに参加してきましたので、レポートおよびレビューをお届けします。

キャスト挨拶

下山夏永(チーム・バケツ アニー役)
いよいよ明日から初日ですが、ぜんぜん緊張していなくて、とっても楽しみです!

牧田花(チーム・モップ アニー役)
明日から初日を迎えるので、1日1日を大切に一生懸命演じたいと思います!

岡田浩暉(ウォーバックス役)
2人のアニーと共に、私自身も初めて挑む『アニー』がいよいよ明日、初日を迎えます。千秋楽まで全員で元気に駆け抜けたいです。

須藤理彩(ハニガン役)
劇場に入ったら、子供たちがどんどん伸び伸びしてきて、幕が開く瞬間袖で見ていますが、頼もしいんです。
大人たちも頑張らねばと思っています。

愛原実花(グレース役)
2人のアニーが本当に魅力的で、舞台上で泣いてしまいそうになったり、素で笑いそうになってしまうほどです。この魅力を早くお客様に見ていただきたいと、今からとても楽しみにしています。

赤名竜乃介(ルースター役)
昨年から2回目の出演になりますが、去年、友達の親とか友達の従妹とか、今まで観に来てくれたことのない層の方も観に来てくれたりして、本当にたくさんの方々に愛されている作品だなと改めて実感しました。今年もまたそんな素敵な作品に携われることを本当に嬉しく思います。

浜崎香帆(リリー役)
今年もこの大好きなアニーの世界に参加させていただけること、本当に光栄です。今年はさらにパワーアップし、ハニガン家にスパイスを加えていきたいと思っています。千秋楽までみんなと一緒に精一杯頑張りたいです。


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一緒に稽古をしてきた中でお互いにここが素敵だなと感じていらっしゃることを教えてください

下山夏永:
「おはな」って呼んでるんですけど、おはなはすごく演技がパワフルで、「こ、こうしてくるか!」みたいな演技を持ってきたりするので、そういう想像力がいいなと思います。好きです。

牧田花:
私は「かか」って呼んでるんですけど、かかは頭から爪先まですっごくアニーで、もう本当にアニーがいるみたいに感じるから、私も頑張らなきゃなってすごく思います。

長年多くの方に愛されてきた『アニー』に初めてご参加されて、ウォーバックスという役を演じるにあたってどう向き合っていらっしゃいますでしょうか?

岡田浩暉:
できることなら全ての方のウォーバックスを拝見してみたいなと思ったんですけども、なかなかそうはいきません。このアニーに出会ってウォーバックスが変わっていく様を伝えるのがウォーバックスの役目だと思っているので、諸先輩方のいろいろアドバイスを聞きながら、演出の山田さんの意見をお伺いしながら演じられたらなと思っています。


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今回の公演で累計来場者数が200万人を突破しますが、長年愛されてきた本作の魅力、演じている立場から皆様どう感じていらっしゃいますか。

岡田浩暉:
これほどまでに「懐の深い」作品だからこそ多くの方々に愛され続けてきたのだと改めて実感しています。応援してくださる皆様の期待に応えられるよう、誠心誠意取り組んでまいります。頑張ります。よろしくお願いいたします。

須藤理彩:
もちろんそのストーリーの魅力という、みんなが観終わってすごく気持ちがすっきりするサクセスストーリーというか、子供たちが夢を掴むシンデレラストーリーというのも魅力だし、音楽の魅力もあります。40年前と言うと自分が子供ぐらいの時くらいになります。今母親になって子供と一緒に見に来たり、当時お母さんだった人が孫と一緒に…という世代ごとにアニーの魅力や感じ方があって、長く続いているとこんな素敵なことがあるんだなと思います。ひとつひとつ公演を重ねて、来年にバトンタッチできるようにしたいですね。

愛原実花:
私は小学生の時から毎年のように『アニー』を観に行っていて、帰り道や家で「アニーごっこ」をして『トゥモロー』を歌っていました。それが舞台を好きになったきっかけと言えるくらい、私に影響を与えてくれた作品です。大人になってまた巡り会えて、大人になってからと子供の時とでは感じ方も違いますが、最後には誰もが「愛たっぷりの気持ち」で帰っていただける、愛に溢れた作品だなと改めて感じています。

赤名竜乃介:
皆さんの返事をすごく真面目に聞いてたら質問忘れてしまって・・・(笑)

一同:爆笑

色んな作品があると思いますが、アニーは誰の人生においても大切なことを気づかせてくれる作品だと心から思います。年代問わず、国籍問わず、世界中で愛されている作品で、ここでしか聞けない生のオーケストラの音も素晴らしいです。
いろんなものが科学反応を起こして、その場にしか生まれない素敵な魅力があるからこそ、 アニーは長年愛されてきたのだと思います。

館内放送:こんにちは。アニーです。・・・
キャスト:そんな時間です(笑)。そんなこともありますよね。すぐです!
(とちょっとしたアクシデントも・・・)

浜崎香帆:
この『アニー』は、”物語の温かさ”がとても魅力です。私は去年から参加させていただいて、去年も本当に素晴らしい作品でしたが、今年は今年で、ストーリーは同じはずなのに、こんなにも作品の色が変わるところに面白さを感じていています。そこが長く愛される理由の一つでもあるのではないかと思っています。また今年も、新しいアニーをたくさんの方にお届けできたら嬉しいです。


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夏には各地に公演に行かれると思うんですけど、楽しみなこととか、「ここに行ってみたいな」と思うようなことがあれば教えてください。

下山夏永:
大阪ではUSJに行ってみたいので、すごく楽しみです!喉を壊さないように気をつけながら、グッズだけでも買いに行きたいな。私は食いしん坊なので、他の地方でもおいしいものをいっぱい食べて帰りたいです!

牧田花:
特に食べ物が楽しみです。中でも楽しみなのは名古屋で、味噌カツとひつまぶしを食べることです。私はうなぎがとっても大好きなので、食べられるだけ食べて帰ります!

須藤理彩:高くつきますね~(笑)

チーム・バケツは、明日の昼の公演で200万人。300万人に向けて最初のアニーになるチーム・モップ、200万人を超えたことについての感想を教えてください。

下山夏永:
今まで長く続いてきたアニーが200万人突破してすごく嬉しいです。その200万人を突破する公演に出演できてとても嬉しいので、とても気合を入れて頑張りたいと思います。

牧田花:
累計来場者数200万人というのは、想像がつかなくて…。とても愛されているミュージカルなので、私も長くたくさんの人に愛されているアニーの一員になれるのはとっても嬉しいので、これからも頑張っていきたいです!

司会:ちなみに200万人は長野県の人口とおよそ同じということです。

キャスト:すごい!

上演を心待ちにしている皆様へメッセージ

アニー2人:丸美屋食品ミュージカル『アニー』!
全員:ぜひ見に来てください!!

会見中、大人たちが話をしている間、後ろを振り返ってじっと一人一人を見つめているアニーの2人がとても可愛くて印象的でした。


 


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変わらない物語と、変わり続ける“出会い”の魅力

長年愛され続けているミュージカル『アニー』。
その強さを、今回あらためて実感する観劇となりました。

インタビューの際、出演者が登場した瞬間に思わず「あ!アニーだ!」と感じた自分がいました。
それはきっと、作品としてのイメージが、知らず知らずのうちに記憶に深く刻まれているから。
“長く愛される作品の力”を、冒頭から感じさせられました。

2年ぶりの再会で感じた「同じなのに違う」という魅力

今回の観劇は2回目。
前回は2024年4月――気づけばあれから2年が経っていました。

率直な感想は、「同じ物語なのに、こんなにも印象が変わるのか」という驚きです。
開幕前インタビューでも語られていた通り、キャストが変わることで作品の空気は大きく変化します。

2年前と同様にハニガン役の須藤さんは出演されていましたが、それでも全体の印象はまったく別物。
特に岡田さん演じるウォーバックスは、非常にパワフルでエネルギーに満ちた存在として強く印象に残りました。

サンディの存在感ーリアルだからこその驚き

個人的に外せない注目ポイントが、アニーの相棒・サンディです。

初観劇時に最も驚いたのは、「本物の犬が出演している」ということ。
しかも驚くほど賢く、思わず「え、こんなにできるの?」と目を疑うほどでした。
さらに「思ったより小さい(笑)」という印象も、当時の記憶として残っています。

そして今回。
「あ、スマート…!」と、また違った意味での驚きがありました。

サンディは3匹の犬が交代で出演しているとのこと。
ちなみに、私が観劇した時の相棒は「まつり」でした。(写真とは異なります)
子どもたちの活躍はもちろんですが、この“ワンちゃんたちの演技力”も見どころのひとつです。
改めて、その完成度の高さに感心させられました。


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「トゥモロー」に宿る、子どもだからこその説得力

『アニー』といえばやはり「トゥモロー」。

この楽曲は、子どもの声だからこその魅力がある、そう感じるほど、今回の歌声は印象的でした。
透明感と力強さを兼ね備えた歌唱は、作品のテーマそのものを体現しているようで、終始引き込まれました。

アニーとウォーバックスの関係性に感じた感覚

今回、少し印象的だったのが、アニーとウォーバックスの関係性です。

事前の記者会見で見た二人の仲の良さの影響もあるのか、劇中でも比較的早い段階から“親しさ”を感じました。
そのため、前回の観劇時に感じた「心を閉ざした大人が少しずつ変わる」という流れとは、やや異なる印象も受けました。

むしろ今回は、
アニーがウォーバックスの心を開いたというより、
彼の“疲れ”を癒し、心に余白を生み出した存在のように感じられました。

この感覚はあくまでも今回の観劇時の私の個人的な印象ですが・・・。
そしてキャストの組み合わせによって、それぞれの関係性の見え方が変わるのも『アニー』の面白さのひとつだと思います。


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「強さ」と「孤独」を併せ持つウォーバックス像

岡田さんのウォーバックスは力強さが際立つ一方で、ふとした瞬間に見せる“寂しさ”が非常に印象的でした。

強い人が見せる弱さ・・・
その繊細な表現が、キャラクターに深みを与えています。

さらに驚かされたのが、その歌声。
柔らかく、包み込むような響きは、舞台上で一層の存在感を放っていました。

かつて音楽ユニット「To Be Continued」のボーカルとして活動されていたことを思い出し、「なるほど」と納得。
映像作品での俳優としての印象が強かっただけに、舞台で歌声を聴いたときは嬉しい驚きでもありました。

子どもたちの“リアルな成長”が作品に重なる

『アニー』を観ていると、主人公を応援する気持ちと同時に、
「演じている子どもたち自身を応援したい」という感情が自然と湧いてきます。

学校生活と並行しながらのレッスン、そして夏休みには地方公演。
大人でも大変なスケジュールの中で舞台に立つ子どもたち。

その努力や成長の過程が、作品の中のアニーと重なり、
物語にリアリティと説得力を与えているようにも感じました。


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長く続く作品だからこその楽しみと奥深さ

『アニー』が長年愛され続けている理由は、
単なるストーリーの魅力だけではありません。

キャストの違いによる化学変化、
Wキャストによる表現の違い、
そして時代に合わせた演出の変化。

さらに、観る側の年齢や経験によっても受け取り方は変わります。

同じ作品でありながら、毎回“新しい出会い”がある。
それこそが、長く続く舞台の楽しさであり、同時に奥深さでもあると感じました。

さらに印象的だったのが、ハニガン役です。
前回の観劇時と同様に、須藤理彩さんが演じていました。

同じ役を、同じ役者さんが演じているにもかかわらず、受ける印象はやはり異なって感じられました。
このことからも、演劇というものは共演者との関係性や、その時々の環境によって変化していくものなのだと改めて実感しました。

また、ハニガンという人物が「本当に悪い人なのか」という点も、おそらく観る人によって意見が分かれるところではないでしょうか。
コミカルに描かれながらも、どこか人間らしさや弱さを感じさせる存在でもあり、その見え方もまたキャストや全体の空気感によって変わってくるように思います。

だからこそ、同じ作品であっても何度でも観たくなる。
そして、やはり舞台は生で体験するからこそ意味がある――そんな思いを強く感じた観劇となりました。


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手話対応が広げる『アニー』の世界

東京公演の舞台手話通訳対象の回で実施されていた手話対応も、非常に印象的でした。

歌を含めた全編を手話で表現されていました。
複数の登場人物の会話や、音楽のニュアンスを一人で伝えるのは簡単なことではありません。

それでも、手話は舞台の世界観にしっかりと溶け込み、
『アニー』という作品の魅力をより多くの人に届ける素晴らしい取り組みだと感じました。
また、一部の手話表現は『アニー』のために作られたとのことです。

変わらない物語と、変わり続ける表現。
その両方が共存しているからこそ、『アニー』は何度でも観たくなる作品なのだと思います。

次に観るとき、またどんな“アニー”に出会えるのか――
その楽しみが、すでに生まれています。

(文:松坂柚希

公演情報

丸美屋食品ミュージカル アニー

◻︎出演
チーム・バケツ:下山 夏永(Wキャスト)
チーム・モップ:牧田 花(Wキャスト)
岡田浩暉、愛原 実花、赤名 竜乃介、浜崎 香帆、須藤 理彩 他

家康、おこげ、まつり

◻︎東京公演 主催/製作
日本テレビ放送網

□協賛
丸美屋食品工業

◻︎公演日程
【東京公演】
公演日程:2026年4月25日(土)~5月11日(月)
会場:新国立劇場 中劇場

【愛媛公演】
公演日程:2026年8月2日(日)
会場:愛媛県県民文化会館 メインホール

【大阪公演】
公演日程:2026年8月6日(木)〜11日(火・祝)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

【仙台公演】
公演日程:2026年8月22日(土)~23日(日)
会場:東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)

【名古屋公演】
公演日程:2026年8月28日(金)~30日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

□公式サイト
https://www.ntv.co.jp/annie/

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