
実話から生まれた大ヒット映画、ついに舞台へ― 浦井健治×川平慈英W主演『最強のふたり』世界初ミュージカル化―
笑いと涙で世界中を包み込んだ、実話を基にした名作映画『最強のふたり』。
記録的な観客動員数を誇るこの物語が、日本でオリジナルミュージカルとして、2026年5月に東京・大阪・名古屋で上演されます。
本作では、事故により首から下が麻痺した大富豪フィリップ役を浦井健治さん、自由奔放な言動で周囲を驚かせるドリス役を川平慈英さんが務め、お二人がW主演として出演します。
お二人は 2019年のミュージカル『ビッグ・フィッシュ』で親子を演じて以来、6年ぶりの共演となり、新たな物語を紡ぎます。
今回、浦井健治さんに作品の魅力や誕生秘話、稽古場の様子などを詳しく伺いました。
撮影:あかね渉
―今回、私(ライター)自身大好きな映画で、ミュージカル化されると聞き、とても楽しみにしております。世界初のミュージカル化とのことですが、原作を舞台化するにあたり、どのような魅力を感じていらっしゃいますか?―
浦井:贅沢な企画だと思います。まず川平慈英さんと浦井で何かやろうという企画が立ち上がったところから始まり、慈英さんが好きな映画作品の中から提案してくれた『最強のふたり』をやりましょうっていう話に着地して動き出しました。そして、桑原あいさんが楽曲を手がけることになりました。
オリジナルミュージカルってたくさんのハードルがあるんですけれど、それが醍醐味でもある。世界的に大ヒットしている映画を、 “日本初”のミュージカルとしてやらせていただけるのは、本国の制作会社の寛大さや、やっていいですよという御心があってのことだと思います。
しかも演出の板垣さんが川平慈英さんと浦井健治という役者の特性を生かしてくださっています。普通だったらドリスとフィリップをそのままやるのに、年齢設定も変えて、逆にしているんです!お互いを知って、リスペクトがあるからこそですね。
(原作ではドリスが青年、フィリップが中年男性の設定)
―私も(何故、年齢設定が違うのかと)思っていました―
浦井:誰もが絶対に思うところを超えて、いざ自分が、車椅子に乗りながら稽古をさせていただいていると、その意味がわかります。
―そうなんですね!―
浦井:慈英さんがドリスを彩って、それに反応するフィリップがいて。お互いに家族を持って生きて、いろんな葛藤がある男二人が出会い、人生を学び、絆、友情を芽生えさせてリスタートする。“人生いつだって新しく始められるんだよ”って、この作品のテーマが浮き上がってくるんです。
―なるほど!―
浦井:本当に演出の妙だなって思いながら、稽古させていただいています。すごくスピーディーで観やすいんですよ。
「パワースポットに来た!」みたいな感覚で観て頂けたらと思っています。川平慈英さん=パワースポットじゃないですけど、スキルもあって、エンターテイナーで。『雨に唄えば』のコズモという役は、多分日本では川平慈英さんが一番上手くできるんじゃないですか。何でもできる人で、あのキャラクターですから(笑)それをふんだんにドリスに活かしてる。
―ユーモアあふれるお人柄ですね―
浦井:はい。今回(演出の)板垣さんに「家族の問題などを深くしてください。」と仰っていたんですね。原作を愛しているからこそだと思うんですよね。
“お互いに家族の問題を抱えて、それでも前に進んでいくんだ!痛みがあってもケセラセラ”って。老若男女、様々なお客様が見て共感しやすく、桑原あいさんの楽曲がダイレクトに心に飛び込んでくるから、ミュージカルの凄みと面白さというものを味わっていただける、2度おいしい作品になっている気がします。
あかね渉
―原作ではクラシックとラップなど音楽の対比も印象的でしたが、そういった面白さもミュージカルではありますか?―
浦井:桑原さんが作って壊してを繰り返して試行錯誤した結果、いろんなカラーの楽曲を作られています。作品のストーリーを咀嚼しているからこその色鮮やかさがあるんです。
演出の板垣さんも仰っていたんですが、対相手とのお芝居の中での歌というのはもちろんありながら、お客様に向かって届ける作品のメッセージを大切にしながら、男二人というのが成立していて、それが“対立ではなくて、共感”という形になっている、なかなか見かけない曲になっていて、そういう面白さもあります。
“人間関係と絆”“リスタート”というテーマがよりお客様に伝わるように、バリエーション豊かに桑原さんが作ってくださいました。
―楽しみです。そこもオリジナルならではの魅力ですよね―
浦井:初めて聴いた時に、本当に考えられていて素敵な曲が多いなと思いました。
―先ほどおっしゃっていた、ケセラセラの音楽もありましたね―
浦井:それもそうですし、『風になろう』という曲があって、板垣さんが今回お客様に伝えたい、一緒に共感したいシーンだと思います。演出プランの一つとして、お客様との共有、時代との共有、というのがあるんだと思うんですね。それが楽曲(『風になろう』)に込められています。
撮影:あかね渉
―フィリップという人物を演じてみて、いかがですか?―
フィリップという役は、舞台上で車椅子に乗っていますが、ミュージカルで始終車椅子でのパフォーマンスをしている作品はなかなかないと思うんです。けれども、乗っていて実はバリアフリーの大切さや、ここまで最先端になった技術の進歩も感じています。また、介護問題は、今も取り組んでいる方はもちろん、将来何かしらで誰もが直面することだと思うんですが、それらを支えることにどれだけの人が力と愛情を込めて、この車椅子ひとつをとっても、舞台を観ていただけると感じていただけるかと思います。
お客様それぞれ背負っているものや、年齢、もしくは環境、ご家族構成なども含めて皆さんそれぞれ感じることが違えども、この作品のメッセージを、パワースポットを楽しんで欲しいですね。
撮影:あかね渉
―楽しみです!では、今稽古に入られて印象はいかがですか?―
浦井:今回出演者は10人しかいません。一人が何役も演じるという状況を逆に利用して、そこで生まれるエネルギーを楽しみつつ、みんなで作っています。
以前慈英さんと父と子として『ビッグ・フィッシュ』っていう作品をやったのですが、ラストシーンが今回の「最強のふたり」のラストシーンに繋がったんです。これはもう本当に演劇の妙ではないですが、エンターテイナーとして陽気で素晴らしく、信頼する川平慈英さんとだからこそ生まれたものでもあるかなと。
お客様には二人の絆やカンパニーの絆、エネルギー等感じていただけるものがあると思っていますし、稽古場では板垣さんから何でもいいからみんなどんどん出してっ!て言われて、果敢にトライして、そしてゲラゲラ笑ってます。
川平慈英さんが来ると、稽古場の温度が上がるってくらい熱いけど、風通しがいいです(笑)
―稽古場のパワースポットですね―
浦井:大好きなサウナに行ってから稽古場にくるのでそのせいかもですが(笑)、でも何かそういう小さな幸せというか、日々の幸せに満ちていて、そこに幸せを見いだせる、人生ってそういうものでしょうという。
慈英さんが休憩中、携帯を一生懸命見てるから何か調べものか?もしくは急ぎの用件かなと思ったら、手品の動画を見てたんですよ。突然「問題です。じゃあ健ちゃん見てください。」って言いながら輪ゴムの手品をし始めて「むむむ」と(笑)
―(その様子が)浮かびますね―
浦井:「まだできない!くぅー」って。何してんだって⁉(笑)
でも、いざ稽古が始まれば誰よりも感情の爆発をさせながら、ドリスの家族の問題にも涙ながらに、生身のダイレクトなお芝居で表現されていて。みんなに影響を及ぼしている。役を演じない、フラットになるって実は大切で、それが成立できるってすごいことなんですよね。
川平慈英という絶対的な知名度を持つ方なので、説得力として入ってくるところもあると思うんですよね。それって武器だなって思うし、ドリスと(川平慈英さんが)何かリンクしてるのは、配役を決めた演出の板垣さんの勝ちだと思っています。色々な相乗効果が生まれている稽古場はすごく面白いです。
―色々なお話を聞かせていただきありがとうございました。(本番を)楽しみにしていますね!―
撮影:あかね渉
浦井さんはインタビュー中、終始穏やかな語り口で応じてくださり、作品に向き合う真っ直ぐな姿勢と、思慮深さの中に共演者への敬意がにじむ方だと感じました。
川平慈英さんのお話になると、あの“むむむ”を浦井健治バージョンで披露してくださる場面もあり、思わず頬がゆるむひとときに。
クールな表情から、ふとこぼれるやわらかな笑顔まで――。
現場に流れる空気の心地よさとともに、浦井健治さんのお人柄がそっと伝わってくるインタビューでした。
浦井健治さんと川平慈英さん、二人だからこそ生まれるフィリップとドリス。
その関係性と信頼が織りなす「最強のふたり」の物語を、ぜひ劇場でご覧ください。
(文:あかね渉)
【ヘアメイク】荒井秀美
ミュージカル『最強のふたり』
■脚本・作詞・演出:板垣恭一
■作曲・編曲・音楽監督:桑原あい
■キャスト
川平慈英 / 浦井健治 / 紅ゆずる / 宮原浩暢 / 小野塚勇人
福田えり / 加賀谷真聡 / 宮野怜雄奈 / 元榮菜摘 / 菊池愛
■開催日程・会場
2026年5月1日(金)〜10日(日)
東京都 ヒューリックホール東京
2026年5月14日(木)〜17日(日)
大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
2026年5月21日(木)
愛知県 御園座

