ミュージカル『レベッカ』

7年ぶり4度目の上演!新キャストとともに甦るミュージカル『レベッカ』観劇レビュー

ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

本作は、イギリスの作家ダフネ・デュ・モーリアの名作小説を原作としたロマンティックミステリー。ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)のゴールデンコンビが手掛けた傑作ミュージカルです。今回、キャストを一新し、7年ぶり4度目の上演が実現しました。2026年5月~6月の東京・シアタークリエ公演を皮切りに、福岡、大阪、愛知を経て、8月の東京・シアター1010公演まで巡演します。

本作は「わたし」役とダンヴァース夫人役がダブルキャストとなっており、今回は朝月希和さんが「わたし」を、霧矢大夢さんがダンヴァース夫人を演じた回についてレビューします。

ストーリー

広大な屋敷と土地、“マンダレイ”を所有する上流紳士マキシムと、ヴァン・ホッパー夫人の付き人をしている「わたし」は、滞在するモンテカルロのホテルで出会う。マキシムは先妻レベッカの事故死の影を引きずる中、忘れていた心の安らぎを与えてくれた「わたし」を見初め、恋に落ちて結婚する。

ハネムーンも終わり“マンダレイ”で二人は一緒に暮らし始める。義理の姉夫婦は「わたし」を温かく迎えてくれるものの、使用人たちは新しい奥様に距離感を持ち、家政婦頭であるダンヴァース夫人は「わたし」に強く当たる。美しく、賢く、完璧であったレベッカに幼少時から仕え、レベッカ亡き今も家政婦頭として屋敷を取り仕切るダンヴァース夫人は、いまだレベッカに対して想いを持ち続けているため、「わたし」をマンダレイの女主人として認めようとはしなかった。

“マンダレイ”は美しい屋敷だが、その中にはまるで亡きレベッカが生きているかのような面影がいたるところに色濃く残っている。マキシムまでも亡きレベッカの影に苦しみ続け、次第に「わたし」との関係も悪化していく…。

そんなある日、思わぬ事故からレベッカの死体が発見され…。レベッカの死の真相とは、それを知ったダンヴァース夫人は…。

ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

真ん中にいる海宝マキシムの魅力

これまでの海宝さんは、役柄の印象もあって“青年”のイメージが強くありました。しかし今回演じるマキシムは、爽やかな青年というよりも、気品とスマートさを兼ね備えた“大人の男”。色気や貫禄を漂わせながら、「誰もが憧れるマキシム」という理想的な男性像を見事に体現していました。
気高さを纏いながら歌う姿は一際目を引き、圧倒的な存在感と劇場に響きわたる歌声で空間を掌握します。その姿は思わず見惚れてしまうほど魅力的で、舞台上にいるだけで華があります。
ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

第一幕では紳士的で大人の余裕を感じさせるマキシムですが、第二幕では「レベッカの真実」が徐々に明かされていきます。そこで見せる海宝さんの変化には目が離せません。表面的な姿からはうかがえなかった葛藤や孤独が浮かび上がり、思わず守りたくなるような危うさや脆さを感じさせます。マキシムの抱える苦悩や心の揺らぎを細やかに表現する芝居と歌には、自然と感情移入させられました。華やかさの裏に隠された心情も描き出した海宝さんのマキシムは、観る者の心に深く残るはずです。
ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

「わたし」の成長物語

21歳の「わたし」を演じる朝月希和さんは、可憐な姿が印象的です。孤児という生い立ちに加え、身分違いの恋に戸惑う彼女は、当初こそおどおどとした様子で自信のなさをのぞかせます。しかし、その一方で謙虚さや素直さが感じられ、思わず手を差し伸べたくなるような魅力があります。マキシムに見初められ結婚しますが「わたし」は絶世の美女で社交界の花形だった前妻レベッカの影に苦しみ、自分の居場所を見つけられずにいました。物語後半、マキシムの告白を聞いたことをきっかけに、「わたし」は大きな変化を遂げます。それまでの頼りなさが影を潜め、愛する人を守ろうとする芯の強さが現れます。その変化に「わたし」の成長や変化を感じられました。
ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

ダンヴァース夫人の説得力ある存在感

 
そんな「わたし」を追い詰めるダンヴァース夫人役の霧矢大夢さん。長年屋敷を取り仕切る家政婦頭としての貫禄に加え、静かな佇まいの奥からは消えることのない情念がにじみ出ています。レベッカへの想いがあまりにも強いがゆえに、まるで彼女にレベッカが憑依しているかのような狂気を感じさせます。舞台に現れるだけで空気が張り詰めるほどの威圧感を放ち、その存在は観客にも強烈なインパクトを残します。鳴り響く歌声には恐怖と迫力を感じさせます。
観劇したファンの間では、Wキャストを務める明日海りおさん版との違いも話題になっているようです。それぞれ異なる魅力を持つダンヴァース夫人を見比べてみるのも、本作ならではの楽しみ方かもしれません。
ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

ミュージカル『レベッカ』 写真提供:東宝演劇部

楽しみ方の幅広さ

今回観劇したシアタークリエは、生の歌声や息遣いがダイレクトに伝わる、作品世界への没入感を味わえる劇場です。

今作はWキャストの組み合わせはもちろん、福岡・大阪・愛知へと続く全国ツアーも楽しみなポイント。劇場が変われば空間の広さや音の響き方も変わり、同じ作品でもまた違った景色がみえるはずです。
愛と執着、嫉妬と秘密が渦巻く『レベッカ』の世界。ぜひ劇場で、その美しくも危うい物語に身を委ねてみてください。

(文:あかね渉

公演情報

ミュージカル『レベッカ』
原作:ダフネ・デュ・モーリア
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
翻訳・訳詞:竜真知子
演出:山田和也

キャスト
マキシム・ド・ウィンター:海宝直人
「わたし」:豊原江理佳 / 朝月希和
ジャック・ファヴェル:石井一彰
フランク・クロウリー:俵和也
ベン:吉田広大
ベアトリス:彩乃かなみ
ヴァン・ホッパー夫⼈:生田智子
ダンヴァース夫人:明日海りお / 霧矢大夢
ジュリアン⼤佐:中山昇
ジャイルズ:港幸樹
天野朋⼦ / 彩花まり / 植⽊達也 / 岡崎⼤樹 / 奥⼭寛 / ⾦⼦桃⼦ / 神⼭彬⼦ / 吉良茉由⼦ / 後藤晋彦 / ⼩林⾵花 / ⽥中秀哉 / ⽶澤賢⼈
Swing:中嶋尚哉 / 渡辺七海

◻︎開催日程・会場
東京​シアタークリエ​
2026/5/6(水祝)~6/30(火)

福岡​博多座​
7/10(金)~7/12(日)

大阪​梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
7/17(金)~7/19(日)

愛知​御園座​
7/24(金)~7/26(日)

東京​シアター1010​
8/1(土)~8/2(日)

公式サイト
https://www.tohostage.com/rebecca/

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