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笑いに包まれた妙なリアリティが持ち味の「待ち続ける二人」を描くポップな不条理劇 カワマツの劇#1『今は昔、栄養映画館』8月23日から大阪・インディペンデントシアター2ndで上演
カワマツの劇#1 『今は昔、栄養映画館』デザイン:増田悠理
カワマツの劇#1『今は昔、栄養映画館』が8月23日(土)から大阪・インディペンデントシアター2ndで上演される。作は竹内銃一郎、演出は川下大洋。
「カワマツの劇」は、川下大洋と松井康人[カワマツペア]による演劇企画。
川下大洋と松井康人は共に劇団そとばこまちの出身者で、芸名は「はりけーんばんび」と「松矢一平」。共に役者として劇団を関西のビッグネームに押し上げることに貢献した。
またスタッフとしても川下は宣伝美術を担い、劇団の対外イメージのポップ化に尽力、松井は制作・舞台監督として大きな公演を次々に実現させた。
私生活でもルームシェアをするほどの無二の友人である二人の演劇プロデュースユニットが[カワマツペア]だ。
この[カワマツペア]の演劇公演「カワマツの劇」の第一回公演として、竹内銃一郎の代表作のひとつである「今は昔、栄養映画館」が8月23日から大阪・インディペンデントシアター2ndで上演される。
本作は「待ち続ける二人」を描く、笑いに包まれた妙なリアリティが持ち味の戯曲。
劇団そとばこまちでは80年代に本作を上演。さらに数々の名優たちにより上演されてきた作品だ。
出演はWチーム制で、Aチームは ボブ・マーサム(THE ROB CARLTON)と満腹満。
Bチームは[カワマツペア]の川下大洋、松矢一平が出演する。
演出を手がけるのは川下大洋。せりふをすべて関西弁にすることで作品が本来持つ爆発的な面白さの表出を目指す。
左からボブ・マーサム(THE ROB CARLTON)、満腹満、川下大洋、松矢一平
演出・出演 川下大洋
1980 年代。
日本が小劇場ブームに沸いていた。
つかこうへいをはじめ、竹内銃一郎、野田秀樹、北村想たちが現れた。
彼らは私たちの憧れで、皆こぞって彼らの作品を上演した。
当時私と松井がいた劇団そとばこまちはオリジナル作品を年に一回ほど、あとは
つかこうへい、シェイクスピア、ニールサイモン、何でもやる「ポップな」劇団だった。
そんな中に竹内銃一郎の「今は昔、栄養映画館」があった。
「不条理劇」なのに、ずっと笑って観ていられるポップな芝居。
映画の完成試写会場。
招待客を大勢呼んだ監督と助監督の二人。(※)
正装で客の来るのを待っている。
が、いくら待っても誰も来ない。
そのうち電話が鳴る。
招待した大物が、席を確保して欲しいという。
助監督に脱がせた服を置いて席を取る監督。
あと5分で始まるというのに誰も来ない。
だが電話は鳴り続け、監督は席を確約し続け、助監督は服を脱がされ続ける。
そしてとうとう……
そとばこまちの公演では私が監督、希代の名優ブロッコリ哲が助監督だった。
「あと5分」なのだが、プレッシャーと焦りでアドレナリンが
大量に出ている当人達にしてみれば1時間にも感じるのか。
追い詰められた二人の馬鹿げたリアリティ。
その1時間を、観客にも体験してほしくて
今回は関西を代表する二人の俳優に出演してもらう。
2013 年に THE ROB CARLTON「スカイ・エグゼクティヴ」
で衝撃を受けて以来、彼らを激推しして来た私だが、
二人なら、あの時の私たちを遙かに超えるドライブ感と
リアリティに裏打ちされた必笑の不条理を見せてくれるだろう。
彼らの底力と新しい魅力を充分に味わっていただきたい。
いやそれより私自身が、彼らの演じる監督と助監督を見たくてしょうがないのだ。
※(正確には「監督と自称する男1」と「助監督と呼ばれる男2」)
カワマツの劇#1 『今は昔、栄養映画館』デザイン:増田悠理
公演詳細は公式サイトで。
https://rivpin.jp/
(文:エントレ編集部)
カワマツの劇#1『今は昔、栄養映画館』
【作】竹内銃一郎
【演出】川下大洋
【出演】
A:ボブ・マーサム(THE ROB CARLTON)、満腹満
B:川下大洋、松矢一平
2025年8月23日(土)〜8月25日(月)/大阪・インディペンデントシアター2nd
公式サイト
https://rivpin.jp/