エントレ読者の皆様、こんにちは!
楽劇座の五條なつきです。
前回までの『舞台メイクの老舗・三善さんに学ぶ!<舞台メイク基本編>』の記事、嬉しい事にご好評を頂いております。
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その1《舞台メイクの基本編》
その2《ベースメイク編》
その3《ポイントメイク編》
その4《普段メイクにも使えるメイクアイテム編&まとめ》
その5《ドーラン編》
前回に引き続き、三善メークアップ研究所さんでの舞台メイクレッスンを受けながら、舞台メイクの具体的なやり方をお伝えしていきたいと思います。
今回は「ハイライト」と「ローライト」の入れ方!
●「ハイライト」=顔の高く見せたい位置に明るい色を入れる事。
●「ローライト」=顔の低く見せたい位置に暗い色を入れる事。
舞台では強い照明が当たるため、メイクで顔に陰影を付ける事がとても大切。(日本人は凹凸が少ない骨格なので、正面から強い光が当たるとのっぺりした顔に見えてしまうんです。)
舞台映えする陰影を付けるため、正しいハイライト&ローライトの入れ方を一緒に確認していきましょう。
普段メイクにも応用できるテクニックなので、女性は必読ですよ!
今回もどうぞお付き合い下さい。
ハイライト
ハイライトには白いドーラン(グリースペイント)を使います。
↑手の甲で練る事!
前回のベースメイクの時と同じく、1度手の甲の上に乗せて練りましょう。ツヤが出て、伸びが良くなります。
↑ハイライトはここからスタート!
目と目の間にちょんとハイライトを乗せてスタート地点にします。
↑正しいハイライトの位置(女性)
目と目の間から鼻筋、額(Tまたは扇型)に伸ばしていきます。また、目の下の▽ゾーン、眉と目の間、顎先にも入れていきます。
ちなみに額~鼻筋はTゾーンに入れると男性らしく、扇形に入れると女性らしくなりますので、役によって入れ方を変えて下さいね。これまで無意識にTゾーンにハイライトを入れていた方も多いのではないでしょうか?
また、目の下の▽を横長にすると「丸顔、子供っぽい、可愛い」印象に。縦長にすると「面長、大人っぽい、キツい」印象になります。こちらも自分の顔型や役柄によって調整してみて下さい。
ちなみに私は丸顔なので、今回は自分の顔に合わせて少し横長の形に入れてみました。
このハイライトゾーンは普段メイクでも使えるテクニックですので、女性の皆様は覚えておいて損はないですよ!
↑ぼかしたところ
ベースのドーランを伸ばしたスポンジを使って、境目をたたいてぼかします。この時、外に広げるように伸ばすとハイライトの面積が広くなりすぎてしまうので、上からたたくようにしてぼかして下さい!
まだハイライトを入れただけですが、これだけでも顔に立体感が出てきましたね。
ローライト
ハイライトだけでもかなり陰影が出てきましたが、ローライトを入れて更に陰影を強くしていきます。濃いめの茶色のドーランを使っていきましょう。こちらもやはり手の甲で練ってから使って下さいね。
かなり濃い色なのでビックリしますが、この後フェイスケーキをのせる行程で色が薄くなってしまうので心配せずに進めましょう!
↑ローライトを入れる位置
眉頭の下からスタートして、そのまま鼻筋、小鼻に伸ばします。
↑ぼかしたところ(瞼の上、アイホールのところにダブルラインも入れました)
眉頭はメイクブラシのお尻で、小鼻はドーランを伸ばしたスポンジでぼかします。
目をぱっちり見せるためのダブルラインを入れる場合は、このローライトを仕込む過程で一緒に描きましょう。眼球と骨の境目に細~く入れます。
…でも、これがなかなか難しいんです!入れるとかなり目元に濃さが出て舞台メイク感が強くなりますので、小劇場の場合は入れなくても十分です。こちらも劇場や自分の顔、役柄に合わせて加減して下さいね。
↑ハイライト&ローライト、完成!
そしてこちらがハイライト・ローライトを入れ終わった状態です。
陰影が付いて、顔が立体的になりました。舞台メイクらしくなってきましたね!
↑比べてみると・・・
ドーランを塗り終わった状態と比べてみても、ずいぶん印象が変わりました。
次回はチーク&ベースメイクの仕上げの過程をご紹介していきます。
ベースメイクの仕上げ方を知っておくと、かなり崩れにくい舞台メイクになりますよ。
「舞台で崩れないメイクにするにはどうすればいいの?」という疑問がある役者さんは必見です。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
次回もどうぞお楽しみに!
協力:三善(http://www.mitsuyoshi-make.com/)
その12 》舞台俳優・必読! 三善さんに教えてもらった舞台メイクの方法《チーク&ベースメイクの仕上げ編》
(文:五條なつき ※文章・写真の無断転載を禁じます)