
歌とダンスだけじゃない キャストの個性が炸裂するステージ「ALTAR BOYZ」Team GOLD観劇レビュー

「ALTAR BOYZ」は、2004年にニューヨークの47丁目劇場(Puerto Rican Traveling Theater)にて初演され、2008年からDodger Stagesにて通算2000回以上の上演記録を誇る、オフ・ブロードウェイ・ミュージカルの決定打。その後、全米ツアー、韓国、ハンガリー、フィンランド、オーストラリア、カナダ、フィリピンなど、世界各地で人々を熱狂の渦に巻き込んできました。2009年以来、日本でもキャストと組み合わせを変えながら再演を重ね、ライブ感満載の内容で、大勢の熱いファンを生んできました。
そしてこの冬、9回目となる「ALTAR BOYZ」は、
【Team GOLD】(大山真志、松浦司、石川新太、常川藍里、大音智海)、
【Team SPARK】(鍵本 輝、米原幸佑、和田泰右、川原一馬、若松渓太)、
【Team SAPPHIRE】(當間ローズ、東山光明、百名ヒロキ、横山賀三、有馬爽人)
の3チームで上演されます。
今回は、【Team GOLD】のゲネプロを観劇してきたレビューをお届けします。
コンサートさながらの開幕と、観客を巻き込む一体感

舞台は、テンションの高いナレーションによる「1分前コール」からスタートする。
「さあ、いよいよ幕が上がるぞ。一緒に盛り上がっていこう!」と観客の気持ちを一気に高ぶらせるオープニングで、ワクワク感が一瞬で会場に広がります。
物語の設定は、アルターボーイズによる「2025年世界ツアーの日本ファイナル公演」。
実際のコンサートさながらの進行で、歌とダンスが途切れなく繰り広げられ、本当にLIVE会場に来ているかのような感覚になります。
ゲネプロという性質上、この日の客席は本公演よりもやや抑えめの反応ではあったが、その代わりにアルターボーイズはアドリブを織り交ぜ、客席をいじりながら場を温めていく。
本番では、客席がファンで埋まり、ステージと観客が完全に一体となって“本物のライブ”と見まがうような熱気に包まれるはずです。その高揚を、ぜひ劇場で体験してくださいね。
歌とダンスだけじゃない、キャストの個性が炸裂するステージ

この作品の魅力は、迫力ある歌とダンスだけにとどまらない。
キャスト一人ひとりの個性が存分に生きるよう演出されている点も、大きな見どころです。
特にソロパートでは、その“個性”が鮮やかに浮き彫りになります。
お目当てのキャストがいる方はもちろん、まだ特定の推しがいない方にとっても、「この人いいな」と思える“お気に入り”がきっと見つかると思います。
ちなみに、筆者のお気に入りはLUKEです。
笑いのセンスの良さと、キレのあるダンスが印象的で、目で追わずにはいられない存在感です。
JUANはというと、ふとした表情や雰囲気が小池徹平さんに似ているように感じられ、気づけばずっと目で追ってしまっていました(個人的にはそこも見どころのひとつ)。
「迷える魂」をめぐる物語──笑っているうちに、ふと自分ごとになる

忘れてはならないのが、この作品を支えるストーリーの軸です。
アルターボーイズは、「観客の魂を浄化する」という使命を帯びてステージに立っています。
彼らのミッションは、コンサート終了までに会場にいる観客たちの〈迷える魂〉の数を、自らの歌と踊り、そしておしゃべりの力で〈ゼロ〉にすること。
序盤は順調に〈迷える魂〉の数が減っていくが、途中からなかなか減らなくなってしまいます。
その理由を探っていく過程で、メンバーたちが抱える孤独や葛藤、アイデンティティの揺らぎが、少しずつ浮かび上がってきます。
ダンスと歌でひたすら盛り上がっているはずなのに、ふとした瞬間に「これは自分のことかもしれない」と胸に迫ってくるメッセージが多い作品です。ぜひ、セリフだけでなく、歌詞に込められた言葉にもぜひ耳を傾けてみてください。
大いに笑い、声を出して盛り上がり、それでいて最後には心に温かい余韻が残る。
そんな「笑い」と「共感」と「癒やし」が同時に押し寄せてくる舞台になっています。
Team制ならではの面白さ──同じ作品で“全く違う体験”を

今回の公演で、もう一つ注目すべきなのが“Team制”です。
Teamによって振り付けが異なるため、同じ「ALTAR BOYZ」でありながら、まるで別作品のような印象を受ける可能性もあります。
演じるキャストのキャラクターやテンションの違いも加わり、その日の空気感までを含めて“唯一無二のステージ”が立ち上がります。
さらにこの作品は、「客席と一緒に作り上げる」要素が非常に強いと感じられます。
観客のノリや反応に合わせて空気が変わり、ステージ上のアドリブも変化していく。
つまり、客席のメンバーが変われば、同じTeamであっても舞台の表情や印象は大きく変わってくるはずです。
だからこそ、「1度観たからOK」ではもったいない。
ぜひ複数回劇場に足を運び、その日、その回、その客席にしか生まれない“ライブな舞台”を体験してほしいと思います。
3チーム集結の合同スペシャル公演にも期待大

「ALTAR BOYZ」は、有楽町I’M A SHOWでの公演に加え、12月27日(土)~28日(日)には、有楽町よみうりホールにて【Team GOLD】【Team SPARK】【Team SAPPHIRE】の3チーム全員が勢ぞろいする合同スペシャル公演も開催されます。
3チーム全員が同じステージに立ったとき、この作品はどんな表情を見せるのか。
どれほどの熱量と多幸感に包まれる公演になるのか。想像しただけで胸が高鳴ります。
9回目の日本公演を締めくくるにふさわしい、“集大成”とも言える2日間。
個性豊かなアルターボーイズたちが、どのような化学反応を見せてくれるのか。ぜひその目で確かめてほしいと思います。
(文:松坂柚希)
『ALTAR BOYS』
作 ケビン・デル・アギラ
作詞・作曲 ゲイリー・アドラー&マイケル・パトリック・ウォーカー
演出 玉野和紀
翻訳台本・訳詞 北本雄二
音楽監督 蛇石 徹
振付 TETSUHARU/植木 豪/森 新吾/中塚皓平/木野村温子
主催 M・G・H/サンライズプロモーション
出演
【Team GOLD】(大山真志、松浦司、石川新太、常川藍里、大音智海)、
【Team SPARK】(鍵本 輝、米原幸佑、和田泰右、川原一馬、若松渓太)、
【Team SAPPHIRE】(當間ローズ、東山光明、百名ヒロキ、横山賀三、有馬爽人)
◻︎公演日程
【東京公演】
公演日程:2025年12月5日(金)~12月18日(木)
会場:I’M A SHOW (アイマショウ)
※15日~17日の14:00の回では、それぞれのTeamsのアフタートークが予定されている
【SPECIAL公演】
公演日程:2025年12月27日(土)~12月28日(日)
会場:有楽町よみうりホール
※28日の11:00の回の後、大山真志、鍵本 輝、當間ローズ/玉野和紀(演出)/東山義久(特別ゲスト)による、アフタートークが予定されている
□公式サイト
『ALTAR BOYZ』公式サイト

