
中山優馬が人気ホストから農家へ転身⁈汗と涙の農業系ロックミュージカル!!『いただきます!』囲み取材&観劇レビュー
オフィシャル写真
新宿歌舞伎町のホストクラブ『ムーンサルト』の人気ホスト・ジュンこと手島広夢は、ホスト生活の 不摂生がたたって倒れ、店長に勧められて“伝説の歌舞伎町キング”を訪ねるために宮崎に赴きます。 しかし、伝説のホスト日下部文男は、今は見る影もなく農家として働く姿に失望します。反発しつつも、文男の家に置いてもらう代わりに農業の手伝いをすることになった広夢。
ひとりの青年が農業を通して人の温かさや食のありがたみに触れ、新しい価値観を身に付け成長していく姿を描きます。
原作は『塚田農場』など飲食店を運営する株式会社エー・ピーホールディングスの代表取締役会長兼 社長の米山 久の著書『ありきたりじゃない新・外食』を基にしたミュージカル。素材の価値を消費者に伝えるべきとの考えから、一次産業へ飛び込み、自社養鶏場や漁船を所有し、生産者と直接消費者を結ぶ「食の第6次産業モデル」を実践。そこで感じた生産者の苦悩や厳しい現実、経験した人間ドラマを描きながら、食のあるべき姿を追求します。2014 年の初演から11年…生バンド演奏で更にパワーアップし、コロナ禍を経て“食育”から“食農育”へ発展させたテーマをROCKに乗せて、コメディミュージカルとしてお届けします。
以前行かせていただいた公開稽古では3曲のみの披露でしたが、それだけでも今作の斬新さやエンターテイメント性、メッセージ性、キャスト陣やスタッフの皆さんの熱気やチームワークの良さを感じていました!そのため、早く全容を観たい!『いただきます!』というタイトルに込められた想いを知りたい!と公開を楽しみにしていました。
こちらでは、生の観劇レビューと囲み取材の様子をお伝えしますね!
囲み取材では、皆さんキャラクターにあったカラフルでPOPな衣装で登場されました。
主演の中山優馬さんは新宿歌舞伎町の人気ホストジュンこと広夢を演じます。ピンクパープルのスーツを着こなし、派手な衣装に負けない端正なお顔立ちと存在感で華がありました。
オフィシャル写真
小出恵介さんは初めてのミュージカル出演。元伝説のホストでありながら熱意と情熱で農家の皆さんの支持を集める人望ある役柄でニッカポッカに長靴姿が似合っていました。
オフィシャル写真
古謝那伊留さんは広夢に憧れる後輩ホスト瑛太を演じます。なんと古謝さんは中山さんと生年月日が同じで元関西Jr.の同期とのことで、お二人の共演も見ものです!
オフィシャル写真
シルビア・グラブさんは宮崎の養鶏場のおばちゃん役。いつものシュッとしたシルビアさんとはかけ離れた役に見えますが、夜は地域の皆が集うスナックのママという役に妙に納得しました。(ただのおばちゃんで終わらない感じ…笑)徹子さんのようなサザエさんのような髪形は劇中でのお楽しみがありました。
オフィシャル写真
Dream Amiさんは元ヤンのシングルマザーということで、金髪を活かしたスタイリングで登場されました。
オフィシャル写真
キャストの方々は役作りのため実際にホストクラブへ体験入店したり、農場で屠殺現場に立ち合ったり準備をされたとのことで作品に対する熱い思いを感じました。
オープニングは歌舞伎町の人気ホストならではの、やや刺激的なシーンから始まります。ぎょっと驚きましたが(中山さんのファンの方なら尚更)夜の世界の生々しさや悲壮感などはなく、コミカルに描かれています。
なにより照明に輝く中山優馬の顔面力が強い!色気がありキザな台詞さえ似合っていてカッコ良く、No1ホストの説得力がありました。
オフィシャル写真
農場のシーンではTOKIO兄さん張りに頭にタオルを巻き、作業着さえも着こなしてしまうスタイルとイケメンさで田舎にいってもおばちゃんたちをときめかせ、可愛がられます。彼の自然で気取らない等身大の人柄と、どこにいても愛されてしまう姿は天性のアイドルだなぁと感じました。
オフィシャル写真
最初は農家の仕事や働く人達を馬鹿にしたり、戸惑っていた広夢ですが、人や動物と触れ合い、農業の奥深さを知っていくことで、どんどん考えや価値観が変わっていきます。その過程が丁寧に描かれていたので、物語に自然に入りこむことができました。
今作は自然や命を扱う農家の苦労や経営問題、感染症、人手不足なども描きつつ、「食育」「食農育」をテーマに観客にメッセージを伝えます。下手すると説教臭く感じてしまう恐れもありますが「命とか綺麗なこと言ってるけど、結局食ってくための金づるじゃん!」というような本音に迫る部分があったり、「食べる時にいちいち(農家や動物の命について)考えて欲しいとは思わない。でも、温い(ぬくい)体温があることは知って欲しい」というような押し付けがましくない台詞が胸に響いてきました。
食事は人が生きる上で最も大切な行為の一つです。命を維持するために命をいただいています。その当たり前に行っている毎日の食について、食のありがたみについて改めて深く考える機会になりました。
広夢自身もホストという仕事にプライドを持ち“本気”で取り組み生きていたからこそ、農業に全てを掛け情熱や愛情を注ぐ文男や農場の人々に感銘を受けたのだとも感じました。
オフィシャル写真
やや暑くるしさは感じながらも本音でぶつかり泥臭く生きる姿は素敵でした。また、生バンドの方々が養鶏場の鶏やひよことして舞台に存在していたり、ふふっと笑える遊び心のある設定や演出で圧迫感や違和感なく自然に溶け込んでいました。
私が特に好きだったのは「鶏の出荷前のブルース」で、鶏目線で描かれており、コミカルな中に切なさを感じました。
終わりには、キャストの皆さんのダンスシーンがあります。皆さん劇中とはガラリと雰囲気を変えカッコいいパフォーマンスを見せて下さいます。古謝さんのバク転が見られたり、シルビアさんのクールで美しい姿や歌声を堪能できます。Dream Amiさんは本編では母としての強い部分や温かみのある歌声を聞かせて下さいましたが、最後は透明感溢れるドレス姿で愛らしく綺麗な歌声を響かせステージで輝いていました。
オフィシャル写真
本編とコントラストがある様子は新宿歌舞伎町と宮崎、ホストと農家という対局の舞台設定や役柄にも通ずる部分がありました。
大きな舞台セットがある豪華なミュージカルも素敵ですが、手作り感があるセットは今作のアットホームな内容ともマッチしていました。キャストの皆さんお一人お一人の表情や演技がよく見え、会場全体を使った演出で一体感を味わえました。また、この距離感で中山優馬さんの演技が見られることは貴重な機会ではないでしょうか⁈前の事務所を退所し不安などもあったとは思いますが、一発目の記念すべき今作に彼の覚悟を感じました。そして、小さな舞台から再出発し、一歩踏み出した中山優馬という存在はどこにいても常にスポットライトが似合い、浴び続ける存在なのだと確信しました。
汗と涙と笑いに溢れた農業系ロックミュージカル!
ぜひお楽しみ下さい!
(文:あかね渉)
ミュージカル『いただきます!』
【スタッフ】
原案: 米山久 脚本:金房実加 演出: 林希
音楽: 高木茂治 振付: 塩野拓矢(梅棒)
題字:小松利昌 音響: 潮麻由子 (エディスグローブ)
照明: 関口裕二 (balance,inc.)
美術: 片平圭衣子 衣装: 堀口健一(フロムアップ)
ヘアメイク: 中原雅子 (My Miracle)
映像 : 手代木梓 (トーキョースタイル) 吉田敏
舞台監督: 阿部健 演出助手:藤田瀬奈
制作:佐藤恵美 制作協力: クリエイティブワンズ
アシスタントプロデューサー:下中英毅 柳橋さやか
エグゼクティブ・プロデューサー: j takashi
企画制作プロデュース: jtakashi HaloHalo Company
主催: HaloHalo Company 株式会社
【キャスト】
中山優馬 小出恵介 Dream Ami
古謝那伊留 シルビア・グラブ
林 希 西海健二郎
坂元宏旬 HEO HEON
ATSUSHI 石井智也 他
【バンド】
髙木茂治 原田達也 会田敏樹 曽根未宇司 他
【日程】
東京公演:2025年2月20日ー3月2日
新宿FACE
大阪公演:2025年3月15、16日
大阪国際交流センター大ホール