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華麗なる異世界へ誘う極上のエンターテインメント 〜黒蜥蜴 Burlesque KUROTOKAGE〜 観劇レビュー
提供:CCCreation 合同会社
まさにエンタメ!黒蜥蜴×バーレスクの世界
江戸川乱歩の名作「黒蜥蜴」。
探偵・明智小五郎と妖艶な女賊・黒蜥蜴が織りなすミステリアスな物語は、これまで幾度となく舞台化・映像化されてきましたが、今回の「黒蜥蜴〜Burlesque KUROTOKAGE〜」は、まったく異なるアプローチで新たな魅力を生み出していました。
ちなみに、昨年は船越英一郎さん&黒木瞳さんの主演でドラマ化もされました。昔から明智小五郎が好きな私は、もちろんドラマも見ています^^
ちょっと特別な劇場体験
会場はこくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ。会場に足を踏み入れると、非日常の空気が広がり、ステージ横にはキャストとの距離が極めて近い「バーレスク席」が配置されています。この特別席では仮面が配布され、観客自身も物語の一部となる仕掛けが施されていました。まさに、Burlesque(バーレスク)の名にふさわしい演出です。
正直に言うと観劇前、「Burlesque(バーレスク)」の意味を深く考えていませんでした。
しかし、会場に足を踏み入れた瞬間、その独特な空気に圧倒されました。
さらに驚いたのは、開演前からキャストが観客に話しかけ、隣に座ってきたりします。舞台との境界線が曖昧になり、「観客」という立場に甘んじることを許されない雰囲気さえ感じました。
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いざ、Burlesqueの世界へ!
幕が上がると、そこには想像を超えた光景が広がりました。男性キャストのみで繰り広げられる華麗なダンス、力強くも艶やかな歌声、筋肉美が際立つキャストたちの妖しい魅力……。
もはや「舞台」を観に来たというより、「ショー」に参加しているような感覚で、一気にBurlesqueの世界に引き込まれました。中には「これは衣装??」と目を疑う場面もあり、視覚的にも情報量が多く、ちょっと忙しかったです(笑)
明智小五郎の世界へ!乱歩の美学が息づく仕掛けの数々
そんな華やかな雰囲気の中、登場した明智小五郎。そこから一気に江戸川乱歩の『黒蜥蜴』の世界へ引き込まれていきます。私は、昨年のドラマを思い出しつつ、脳内で行ったり来たりしながら観劇していました。
そして物語が進むにつれ、乱歩作品ならではのトリックとサスペンスが顔を出します。
全キャストが男性とは思えないほどの色気と艶やかさ。特に黒蜥蜴役の島田惇平さんは、堂々たる女王として舞台を支配し、その存在感は圧倒的でした。また、明智小五郎役の雷太さんは、知的で鋭い雰囲気をまといながらも、どこか人間味のある明智を体現していました。
ただし、油断してはいけません!
ストーリーには「えっ!? 今のどうなったの!?」と目が離せない仕掛けが散りばめられており、瞬き厳禁です。私はうっかり瞬きをして「あれ?」となる場面もありました……(笑)。
黒蜥蜴の世界にどっぷり浸るためにも、集中力を研ぎ澄ませて臨むことをおすすめします。
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右近健一さんの圧巻の歌声
主演キャスト陣の歌も素晴らしかったのですが、特に心を掴まれたのが岩瀬役・右近健一さんの伸びやかな歌声です。私としては、劇団☆新感線でお馴染みの右近さんですが、ソロで歌をじっくり聴く機会はあまりなかったので、その美声に改めてうっとりしてしまいました。
さらに、右近さんと言えば、コミカルな動きも見逃せません。ちょっとしたポイントが随所に挟み込まれ、シリアスとユーモアの絶妙なバランスを作り出していました。
カーテンコールでは、ノリノリな姿を見せてくれ、最後まで観客を楽しませるサービス精神が光っていました。さすが、右近さんです!
キャストの組み合わせで異なる世界が生まれる
今回の『黒蜥蜴』のもうひとつの大きな特徴がキャストの組み合わせにより、舞台の雰囲気が大きく異なることです。
驚くことに、全部で4パターンもあります。
・明智小五郎:雷太さん / 平野良さん / 神尾晋一郎さん(トリプルキャスト)
・黒蜥蜴:島田惇平さん / 雷太さん(ダブルキャスト)
・早苗:大崎捺希さん / 前嶋曜さん(ダブルキャスト)
私は 雷太さん × 島田惇平さん × 前嶋曜さん の組み合わせを観劇し、知的な明智、ワイルドな黒蜥蜴、妖艶な早苗……といった印象でした。
公演によってキャストが変わるため、組み合わせ次第で全く違う『黒蜥蜴』が楽しめるのも魅力の1つです。他の組み合わせでの公演の写真を拝見すると、衣装が違っていたので、驚いてしまいました。組み合わせによって、キャストの個性による様々な化学変化が生れることは間違いないですね!
こうなると 最低でも4回は観なければ! と思わされました。
席によって異なる楽しみ方!バーレスク席の魅力
さらに特筆すべきは 「バーレスク席」 の存在です。
ここでは観客が仮面をつけて観劇する仕掛けがあり、より物語の世界へ没入できます。距離の近さも相まって、通常の席とはまた違う視点で楽しめるため、両方の席を体験する価値は十分にあると思います。
最後に、一度と言わず何度でも体験すべき『黒蜥蜴』
単なる「舞台」ではなく、五感で味わう「ショー」として作り込まれた『黒蜥蜴〜Burlesque KUROTOKAGE〜』。ミステリー、バーレスク、歌、ダンス……様々な要素が混ざり合い、唯一無二の世界を創り出しています。
キャストの組み合わせによって違う世界が生まれ、席の選び方でも体験が変わる。つまり 「一度観れば十分」ではなく、「何度も観たくなる」作品だと言えます。
どこを切り取っても見どころ満載の舞台。この新しい「黒蜥蜴」は、一度観ると癖になりそうです。
また、LIVE配信チケット(7日間アーカイブ付き)もあるようですので、会場に行きたいけど、行けない・・(涙)。
そんな方は、LIVE配信でも、ぜひ、体験してみてください!
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(文:松坂柚希)
黒蜥蜴〜Burlesque KUROTOKAGE〜
原作:江戸川乱歩
脚本:エスムラルダ
演出:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
〈出演〉
明智小五郎:雷太/ 平野良 / 神尾晋一郎(トリプルキャスト)
黒蜥蜴:島田惇平 / 雷太(ダブルキャスト)
早苗:大崎捺希 / 前嶋曜(ダブルキャスト)
岩瀬庄兵衛:右近健一
鮫島拓馬 / 笹川幹太 / 伊藤奨 / 大城麗生 / 橘愛斗 / 内田祐真
◻︎東京公演
公演日程:2025年2月8日(土)〜16日(日)
会場:こくみん共済 coop ホール / スペース・ゼロ
公式サイト
https://www.cccreation.co.jp/stage/kurotokage/https://oboro-no-mori24-25.com/