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劇団☆新感線、幻の人情時代劇が甦る! ゲキ×シネ『吉原御免状』鑑賞レビュー

©ヴィレッヂ・劇団☆新感線 撮影:田中亜紀祝! ゲキ×シネ20周年!!※ゲキ×シネの詳細はこちらhttp://www.geki-cine.jp/about/

映画館ならではの大スクリーンで、演劇ならではの圧倒的ライブ感に包まれる。
鳥肌モノの没入感。すべての座席が特等席。そう、それがゲキ×シネ!!(大声)

現在、ゲキ×シネ20th記念プロジェクトが展開中!
そして、ついに、満を持して!
劇団☆新感線が隆慶一郎の同名小説を原作として2005年に上演した『吉原御免状』が新編集でスクリーンに甦ります!

私は、11月22日(金)から上映されるDolby Cinema版を一足お先に試写で拝見。
したたる汗までありがたく堪能できてしまうほど、なんといっても映像の繊細さと鮮やかさが異次元。そこにゾクゾクするレベルでクリアな音の迫力も加わって、自分もただの観客(目撃者)ではなく、吉原の街に迷い込んでしまった当事者のような感覚に。


©ヴィレッヂ・劇団☆新感線 撮影:田中亜紀

本当にありがたい…(泣)。
私は2005年当時まだ劇団☆新感線に出会えておらず、『吉原御免状』に間に合えなかった人間なのですが、そんな人にも「おいでよ!」と力強く手を差し伸べてくれるのがゲキ×シネであり、当時の瑞々しさを色褪せることなくお届けしてくださるのがゲキ×シネであり、「いつ劇団☆新感線に出会ったとしても遅くないよ!いらっしゃい!」と歓迎してくれるのがゲキ×シネであると再確認して、心が震えまくりました。

前置きが長くなりました。『吉原御免状』の魅力、ご紹介いたします!!

原作、脚本の魅力

©ヴィレッヂ・劇団☆新感線 撮影:田中亜紀

物語の舞台となるのは、色街・吉原。
表面上の眩しいほどの華やかさと、その裏に隠されたダークな部分が徐々に暴かれ、“美”というメッキが剥がされていく工程がヒリヒリする。ミステリーのようであり、そこで息づく人々の生き様には骨太なラブロマンス要素もある。このバランスが恐ろしいほどに巧み。
「隆慶一郎氏の作品は、いのうえ歌舞伎の源流の一つ」だと劇団☆新感線の座付き作家である中島かずきさんがコメントされていますが、鑑賞してとても腑に落ちました。人間の荒々しさ、愚かさ、純粋さ、それらすべてが何周も回って愛おしく思える。いのうえ歌舞伎に流れる血の源流はここにあったのかと、感激しました。
原作小説を今、とてつもなく読みたい。

俳優陣の魅力

©ヴィレッヂ・劇団☆新感線 撮影:田中亜紀

松永誠一郎を演じる堤真一さんの色気がハンパない! 特別着飾ってはいないし、なんなら誰よりも素朴なのに、完全に色気の塊が動いている。なにごと(半泣き)。軽やかさの中に鋭い殺気も感じる殺陣の芸術性もとても高く(しかも二刀流!)、惚れ惚れしました。

勝山太夫を演じる松雪泰子さんが放つ色香も非常にデンジャラス。2017年に上演された『髑髏城の七人 Season鳥』で拝見したときも「美しすぎてクラクラするぜ!」と思ったのですが、2005年の時点で発光していらっしゃいました。あの柔らかな雰囲気のビジュアルとドスの利いたお声のギャップ、女としての覚悟と強さ、かっこいい。痺れる。


©ヴィレッヂ・劇団☆新感線 撮影:田中亜紀

古田新太さんが悪役を演じられるさいの魅力は、「ギラついた目」と「いやらしさ」だと個人的には思っているのですが、炸裂しまくりで大興奮でした。あの執拗さ、最高。柳生義仙側から見ればまた違うドラマがあるのであろうとは思いつつ、そんな同情をさせる隙をあたえないほどの徹底した敵役ムーブで、良い味がします。


©ヴィレッヂ・劇団☆新感線 撮影:田中亜紀

そのほかの皆さまも全員語りつくしたいくらい魅力的。京野ことみさん(高尾太夫)のお人形のような可憐さと一途さ、梶原善さん(水野十郎左衛門)の自由気ままな存在感、藤村俊二さん(幻斎)のヒーリング力の高いお声と神秘性、そして個人的には、田畑亜弥さん(おしゃぶ)の穢れなき瞳が忘れられません。
劇団員も集結! これがファンとしてはとにかくうれしい。元気な個性が大渋滞で、映
画館を出た数秒後にはもう会いたくなる。素敵な劇団員さんたち、アンサンブルの方々まで大活躍の作品です。


©ヴィレッヂ・劇団☆新感線 撮影:田中亜紀

演劇はもちろんライブ感あってこそのエンタメだとは思いますが、ゲキ×シネはその名の通り、演劇<ゲキ>の迫力を映画館<シネマ>でお届けするコンテンツ。
劇場でライブで収録したからこその生々しさと、映画館で見るからこそのスケール感を同時に体験することができる、非常に贅沢な作品だと思います。計算され尽くしたカメラワークと音のハマりの快感を、ぜひ映画館で。

詳細は公式HPにて
http://www.geki-cine.jp/sp/yoshiwara/

(文:越前葵

上映概要

ゲキ×シネ20th記念プロジェクト第6弾
ゲキ×シネ『吉原御免状』

【原作】隆 慶一郎『吉原御免状』(新潮文庫刊)
【脚色】中島かずき 【演出】いのうえひでのり
【出演】堤 真一 / 松雪泰子 / 古田新太 / 京野ことみ 梶原 善 / 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと / 藤村俊二 他

【通常版】
2024年10月25日(金)〜11月8日(金)
新宿バルト9、T・ジョイ梅田他、全国25の映画館にて上映!
※一部映画館は上映スケジュールが異なります。

【Dolby Cinema版】
2024年11月22日(金)〜12月5日(金)
新宿バルト9、T・ジョイ梅田他、日本国内におけるドルビーシネマスクリーンの内8箇所にて上映!
※詳細は各映画館の公式サイトをご確認ください。

【上映時間】
157分 ※別途幕間休憩あり PG-12

公式サイト
http://www.geki-cine.jp/sp/yoshiwara/

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