8人の真実が生む一つの結末とは『8人の女たち』観劇レビュー
『8人の女たち』8人の真実が生む一つの結末とは『8人の女たち』観劇レビュー
フランソワ・オゾン監督によるミュージカル映画化も話題になった傑作戯曲を、今回ストレートプレイ版として上演。
キャストには元宝塚歌劇団トップスターたちの豪華出演者。宝塚歌劇団在団中では所属組や時期も異なる8人が集まり、各々の個性を見せる中にも一体感を感じさせます。
『8人の女たち』
物語はクリスマスイヴの朝、雪に閉ざされた邸宅の一室で、一家の主マルセルが刺殺されるところから始まる。外部から何者かが侵入した形跡はなく、容疑者となったのは、彼の妻ギャビーや二人の娘ら、8人の女性たち。誰が犯人か互いに詮索するうち、それぞれの嘘や秘密が次々に暴かれていくー
絵画のような美しく毒々しい世界観
『8人の女たち』
重厚感のあるセットに華麗なる女性8人。深紅色を基調とした衣装をまとった姿はまるで8つのバラ。不自由ないと思われる一家の普段の暮らし。しかし自分を偽り互いに横目に見て探り合うような関係。確かにそこに人が生きているのに、絵画のように時が止まってしまったような重々しいミステリー。アコーディオンの音色が印象的に脳裏に焼き付いて、冒頭から怪しげな空気を作り出しています。
8人の女たち
今回はストレートプレイ且つミステリーで華麗なる女性が8人も登場。開演前は人物と設定を覚えなければ…と焦りましたがそんな心配はいらず。それぞれが個性爆発で女と女のぶつかり合い、醜くも笑えるコメディータッチな部分もあり。時にヒヤッとし、少しも躓くことなくミステリーに引き込まれ、一緒に真実を追うことになります。
タイトルが8人の女性が出てくるという事実をただ述べているのではなく、最後に改めて「8人の女たち」というタイトルが浮き彫りになるような演出。その言葉の前にも後ろにも余韻を感じるようなラストに注目です。
『8人の女たち』
観劇後、小説を読み終えたような読後感を味わうこと間違いなし。
大阪公演の千秋楽はライブ配信も行われます。
是非、8人のいる一室を目撃しに行ってみてください。
ライブ配信の詳細はこちら。
https://www.umegei.com/8femmes/special.html#live
公演の詳細はこちら。
https://www.umegei.com/8femmes/
(文:真来こはる)
『8人の女たち』
原作:「HUIT FEMMES」by Robert Thomas
上演台本・演出:板垣恭一
出演:湖月わたる、水夏希、珠城りょう、夢咲ねね、蘭乃はな、花乃まりあ / 真琴つばさ、久世星佳
2022年8月27日(土)~9月4日(日)/東京・サンシャイン劇場
2022年9月9日(金)~12日(月)/大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
公式サイト
https://www.umegei.com/8femmes/
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