【インタビュー】Office8次元プロデュース 鳴らして楽しむミュージカル『セロ弾きのゴーシュ』竹内黎(ゴーシュ役)

竹内黎

Office8次元がプロデュースする、鳴らして楽しむミュージカル『セロ弾きのゴーシュ』が4月2日、3日に東京・三鷹市公会堂 光のホールで上演される。

子供たちは無邪気に、大人たちは童心に返って物語に没入できる“参加型ミュージカル”公演。
上演に先駆け、主人公のゴーシュを演じる竹内黎にインタビュー。幼い頃からの憧れだったというミュージカル出演への思い、所属する音楽グループ「龍宮城」の“Ray”から飛び出して初めてソロで仕事をすることへの意気込みなどを語ってもらった。(敬称略)

夢だった、ミュージカルへの出演

――2024年の鳴らして楽しむミュージカル『セロ弾きのゴーシュ』のオファーを受けたさい、どのような感想を持たれましたか。

びっくりしました。以前から、「どんな仕事がしたい?」と聞かれたら、「舞台がやりたいです」と答えていたのですが、どうしても「学業との両立が難しい」という結果になってしまっていて…。「もう少し我慢しなきゃ」と思っていたので、出演のお話をいだけてすごく嬉しかったです。
僕は小学生の頃、海外の学校に通っていたんですけど、3年生の時に初めてミュージカルを観て衝撃を覚えました。それからずっとミュージカルを観ることが好きで、芸能界でお仕事をさせてもらうことになってからは、「いつか絶対にミュージカルに出たい」という夢を持っていたので、叶えていただけてすごくありがたいです。


竹内黎

――題材となっている『セロ弾きのゴーシュ』という作品の魅力は、どのようなところに感じていますか。

ファンタジーなのにすごくリアルといいますか、動物達が来て楽器を教えてくれるなんてことは実際にはありえないことだけど、ただの夢だとは全然思えないところが魅力だと思います。「こういう感情の時ってあるよね」と、不思議と共感出来てしまうというか。あとはやっぱり、ゴーシュという人物そのものが魅力的ですよね。彼、人として素直なんですよ。楽団に練習に行ったら自分だけ出来なくてバカにされて、普通なら辞めたくなってしまうところを、「いや、俺はこれを出来るようになるんだ」と強い意思を決め、アドバイスをくれる動物達に怒りをぶつけてしまうこともあるけれども、冷静になって「これがダメだったな」と自分の状態を受け入れることが出来るというのは、素敵だなと思います。しっかりと受け止めて、諦めずに、素直に突き進んでいくゴーシュは、魅力的な人だと感じますね。

――ご自身とゴーシュで、似ているなと思うところはありますか。

どうだろう(笑)。自分ではわからないけど、龍宮城のメンバーには、ボディランゲージが多いというか、「行動も声もうるさい」と言われるので、感情を出しやすいという意味では似ているのかもしれません(笑)。でもやっぱり、ゴーシュほど素直になれていない時のほうが多いかなと思います。

――龍宮城のメンバーとして活動する時と、俳優として舞台に立つ時で、意識の違いのようなものはありますか。

龍宮城の“Ray”として活動させていただいている時は、グループへの責任感みたいなものがありつつも、頼れる仲間がいるというか、自分にとって安心出来る場所だなと、今回ソロでお仕事をしてみて改めて感じています。龍宮城はまだ、誰しもひとりで仕事をすることに慣れているグループではないので、「頑張って来るね!」という思いではありますし、ひとりの俳優として軸を持ってやるということを意識しています。

ひたすら練習を重ねた、チェロのソロ曲

――初めてお稽古場に足を踏み入れた時は、何を感じましたか。

心臓が痛いくらい緊張しました(苦笑)。「今回は主役として出演させていただくから…」と思って、みんなで顔を合わせて自己紹介などが始まる前に自らひとりひとりにご挨拶をさせていただいたんですけど、まずそれでいいのかもわからず(苦笑)。「こんなに挨拶する人いるのかな…」とか思いながら自己紹介して、喉がカピカピの状態で本読みをした記憶があります。緊張度合いで言うと、自分が出演していたオーディション番組の「0年0組」くらい、顔合わせの日は緊張していましたね。


竹内黎

――カンパニーの雰囲気は、いかがですか。

すごく良いカンパニーだなと思いますし、楽しいです。先ほど顔合わせの日に緊張したと話したんですけど、その時に脚本の葛木(英)さんが、「本人(竹内)が主演をやるのが初めてなので、稽古場に来てくれるだけでいいよ、という状況にしていきましょう」と言ってくださったんです。その言葉が僕としてはすごくありがたかったというか、ホッとしたところがありました。というのも、やっぱり初めてのソロのお仕事で、しかも憧れだった舞台、そして主役ということで、「背負わなきゃ!」と思っていたところがあったんですよね。だけど、葛木さんや演出の淺場(万矢)さんが、「みんなで協力しよう」「落ち着いてゆっくりやろう」と言ってくださって、背負いすぎず、ちゃんと呼吸が出来る場所になった感じがします。

――ゴーシュといえば演奏する楽器は「チェロ」、そしてソロ曲『印度の虎狩(いんどのとらがり)』が印象的ですが、練習するにあたって苦労した点などはありますか。

これまでギターはやったことがあるんですけど、チェロのことは何もかもわからないところから始まったので、とにかく演奏動画をたくさん見ました。それでなんとなく感覚をつかみつつ、実際に演奏してくださるヌビアさんにたくさんサポートしていただきました。送ってくださる『印度の虎狩』の動画を、ライブツアーの移動中にひたすら見て学んで、チェロを演奏する方が観に来てもガッカリされないように、できる限りのことをやろうと思って頑張りました。

――舞台上で『印度の虎狩』を演じるさい、演奏するヌビアさんと息を合わせるなど、意識していたことはありますか。

本来は考えなければいけないことがたくさんあるところなんですけど、でも、それをしているとあの曲に気持ちが入りきらないなと思って、結局やめました。『印度の虎狩』はゴーシュのすべてが爆発した曲なので、彼の強さを表現するには僕も強く存在していないといけないので、本当は考えるべきものを全部なしにしようと。全力で弾いてくださるヌビアさんを感じながら、ゴーシュとして「こっち観ろよ!」とお客さんに言えるくらいに、自分の気持ちをすべて投げ出して演じることを意識しました。


竹内黎

――ヌビアさんは、「あれは黎くんとのケンカだ」と言っていましたよ(笑)。

あはは(笑)。本当にそうです(笑)。ヌビアさんの演奏って、かなり気迫があるじゃないですか。だからお客さんもヌビアさんのほうを観たくなると思うんですよ。なので、どうしたら僕を観てもらえるのかといううのをめちゃくちゃ考えましたね。「僕も髪を赤に染めようかな」とか本気で思ったりしつつ(笑)、負けないように頑張りました。

この作品が、誰かの“心躍る経験”になれたら

――お客さんの中には子供達も多いと思いますが、どのようなものを受け取ってほしいなと思いますか。

何か確実なメッセージを受け取ってほしいというよりは、目の前ですごいことが起っているということをわかってもらえるだけでも、その子の人生を変える体験にできると思っています。それは、僕自身がそうだから。最初にも話したように、小学校3年生で初めてミュージカルを観て、心躍る経験をしたことが今に繋がっているので、この作品も観に来た子供達にとって「すごい!」と思える経験になれていたらうれしいなと思います。そしていつか、「あの時、『セロ弾きのゴーシュ』を観たんです!」と言ってくれる子に出会えたら、それはまたすごいことだなと思います。

――もしかしたら、公演を観て竹内さんの姿に憧れる子もいるかもしれません。ぜひ、先輩としてメッセージをお願いします。

そんな、メッセージを言わせていただける立場ではないかもしれないんですけど…。だけどやっぱり、やりたいことを我慢して生きるのってすごく大変なことだと思うんですよね。「スポットライトを浴びる人間になりたい」「なれる」と思えば思うほど手放しづらいものだと思います。芸能界はすごく厳しいところのように感じるかもしれないけれど、「やりたい」と思ったのであれば、挑戦したほうが後悔しないと僕は思っています。まずは自分のやりたいことに逆らわず一歩を踏み出してほしいです。


竹内黎

――最後にぜひ、鳴らして楽しむミュージカル『セロ弾きのゴーシュ』を気になっている、または観にいらっしゃるお客様にPRをお願いします!

子供達はもちろん、大人の方が観ても絶対に面白いというか、大人の方が観るからこそ得られるものが確実にあるミュージカルだと思います。観る人によっても、その時の状況によっても得られるものが変わって来る作品だと思うので、「お子様向けだし」とか「ミュージカルはちょっと」など思っている方がいたら、「いや、これはヤバいよ!」と自信を持って言えるので、ぜひ観に来ていただきたいなと思います!

公演の詳細は公式サイトで!
https://www.8jigen.com/goshe2025/

文:越前葵

公演情報

Office8次元プロデュース
鳴らして楽しむミュージカル『セロ弾きのゴーシュ』

【原作】宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』
【作詞・脚本】葛木英
【演出】淺場万矢
【作曲】吉田 能(あやめ十八番)/ヌビア

【出演】
竹内黎(龍宮城)、関根翔太(演劇集団キャラメルボックス)、安川摩吏紗、吉井翔子(Office8次元)、桃菜、廣川三憲(ナイロン100°C)
露詰茉悠、本村ゆうか

楽団員(50音順)
淺場万矢 尾﨑愛 大日方絢子 千布幸奈 露詰茉悠 利根川凜 楡井華津稀 橋本薫子 丸山穂葉 溝部梨花 本村ゆうか 山本耀

【日程】
2025年
4月2日(水) 19:00
4月3日(木) 13:00 /17:00
三鷹市公会堂 光のホール

公式サイト
https://www.8jigen.com/goshe2025/
チケットお申し込みはこちら!
https://t.livepocket.jp/t/goshe2025/

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