
12年の時を経て待望の再演! ミュージカル『二都物語』囲み取材レポート
5月7日(水)、東京・明治座にてミュージカル『二都物語』が開幕。
前日となる6日(火・祝)、井上芳雄(シドニー・カートン役)、浦井健治(チャールズ・ダーニー役)、潤花(ルーシー役)が登壇して初日前会見が行われた。
原作となるのは、文豪チャールズ・ディケンズ不朽の名作『二都物語』。
イギリスとフランスの二国を舞台として、弁護士シドニーと亡命貴族ダーニー、そして美しく心優しい女性ルーシーとの関係を軸に、フランス革命期の激動を描き出します。
アメリカでミュージカル化されたのは2007年。翌年にはブロードウェイに進出し、2012年には韓国でも上演され、賞賛を浴びた本作。
日本初演は2013年に帝国劇場にて。そして今回、12年の時を経て待望の再演となります!
以下、初日前会見の様子をお届け。
井上芳雄さん、浦井健治さん、潤花さんの関係性の楽しさをなるべくリアルな空気感でお届けしたい!ということで、トーク形式でお送りします。
左から、潤花、井上芳雄、浦井健治(敬称略)
12年ぶりに再演すると聞いて
井上 まさか再演できると思っていなかったので、びっくりしました。『二都物語』はとても良い作品ですし、僕はもちろん、ファンの皆様からも「またやってほしい」というお声がありました。とはいえ10年以上あいて再演されることは相当な力を使わないとできないことだと思うので、帝国劇場が建て替えになるタイミングで、今度は明治座さんで上演させていただけると聞いて嬉しいなと思いました。
浦井 『二都物語』は、鵜山(仁)さんの演出のもとでストレートプレイのような濃縮なお芝居が繰り広げられているなぁと思います。今回から初参加の方もいらっしゃいますが、諸先輩方の中には12年の時を経て同じ役で参加されている方もいて、12年ぶんのお芝居の“あか”といいますか…。
井上 “あか”…?
浦井 (笑)。
井上 悪口ですか?
浦井 いやいやいや!
井上 濃い芝居をね。
浦井 そう。濃い芝居をされていまして、それが『二都物語』の世界に深みを加えているんだろうなと思いますし、自分達も追いつけ追い越せの精神でやっていけたらいいなと思います。あと、個人的には今回ソロ曲が新曲で増えているので、それも頑張りたいと思います。
潤 初演のときに出演していらっしゃった方がたくさんいる中、私は初めてこの『二都物語』でルーシーとして生きるんですけれども、お稽古の段階からすごく濃い時間でしたし、そしてこの劇場に来て、私の出ていない場面を客席から観させていただいて、客席との距離の近さに驚きました。お稽古場でお芝居をしていたときよりも、お客様との一体感がより深くなるだろうなと思ったので、これからこの劇場でお芝居できることが楽しみな気持ちでいっぱいです。
再びカートンとダーニーとして共演することについて
浦井 ものすごく光栄です。プロデューサーさんからお伺いしましたところ、どうやら芳雄さんがですね、「自分がカートンを演じるなら、ダーニーは浦井健治ではないか」とオファーをくださったそうで。相思相愛だなって(ニコニコ)。
井上 浦井くんは話を大きくする癖があるんですけど。
※浦井さんが井上さんに見せる、無邪気な子供のまま、のようなビッグスマイルの栄養価があまりにも高い!
潤 あはははは!(笑)
井上 近いようなことは言いましたけどね。でもそれだとなんか、僕が全部の権力を握っていて、「まぁ、浦井かな(キラッ)」みたいに言ったような(笑)。確かに浦井くんはもちろんですけど、他のキャストも含めて12年前とできる限り一緒にできたらいいなとは言ったんですけど、別に、「浦井じゃないとやらない!」とかそんなことは…でも、「浦井くんだと嬉しいな」みたいなことは…いっ…た。
浦井 しどろもどろ!(笑)
※井上さんの浦井さんへの“ツンデレ”具合最高だなといつも思うのですが、近年、浦井さんの前で見せる“デレ”が増えて来た気がしてキュン。もっとお願いします。
井上 浦井くんとは帝劇の最後のコンサートから一緒ですし、今回も次の帝劇につなぐ大事な公演なので、浦井くんと一緒にできるのは心強いなと思います。
お互いに変わったと思うところ
浦井 お芝居含め進化をずっと続けていらっしゃるので、第一線で先輩が走り続けてくださっている背中の大きさみたいなものがカートンとリンクしていて、追っていて楽しいし、みんながついて行きたいと思うような存在だなと思います。
井上 浦井くんは、やっぱり年々落ち着いて来ましたよね。
浦井 おっ!
井上 12年前だったらね、例えばオケピ(※オーケストラピット)に飛び込むとかやってたと思うんですよ。
※ピュアな潤花さんの驚いた顔が可愛い(笑)。
潤 !?
浦井 無理だなぁ、それは!(笑)
井上 そういう若さが以前はあったけれども、今は浦井くんも大人になって頼もしい俳優さんになりましたし、僕達は付き合いも長いので、そんなに話さなくても心では繋がっているみたいな…(浦井の顔を見て)…と思ったら伝わってなかったりするんですけど(笑)、わかったようでわからないところが浦井くんの尽きない魅力だなと思います。(潤に)どうですか、初共演ですけど。
潤 私、似てるって言われるんですけど(笑)。
井上 浦井くんと潤花ちゃんが?
浦井 そうなんです。「怪獣」だって。キャラクター的に。
※潤花さんが怪獣と言われる理由を知りたい方は、「潤花 モンスター」「潤花 マカゼイズム」あたりで検索していただけると良いかなと思います。すごいですよ(何がとは言わない)。
井上 みんなから愛されていじられる感じは似てるかもしれないですけど。
浦井 潤花ちゃんが居てくれることでみんなが明るい気持ちになるというのは、間違いない。
井上 大人キャストの中で最年少ですし、一輪の花のように愛されて、みんな潤花ちゃんに甘いんです(笑)。
潤 お菓子とかたくさんくださって。今回私は宝塚歌劇団を退団して初めてのミュージカルで、こんなにも素敵なみなさまとこの作品に出演させていただけることは本当に幸せなことだなと噛みしめていますし、お稽古場の時点で既に「終わってほしくない」とずっと思っていました。
潤花さんから見た、井上さんと浦井さんの印象
潤 まずはやっぱりお人柄が本当に素晴らしいなと思います。ひとつの作品をつくる上でコミュニケーションってすごく大事じゃないですか。おふたりとも目と耳とセンサーがいくつあるんだろうと思うくらい、いろんなことに目と耳を向けられて、だからこそすごくあたたかい空間で今日を迎えられているなと思っております。
井上 …うん。ちょっと何言ってるかわからなかったけど。目と耳が…?
潤 あはははは!(笑) すみません!(笑)
浦井 あはははは!(笑) いや、わかるよ、わかる。
潤 いろいろなところに気を配れるというのは素敵だなと! 思いました!
井上 ありがとうございます。
役作りについて
潤 台本を読んで客観的に受け取らせていただいてはいたんですけど、お稽古場でみなさんのお芝居を見たり、鵜山さんのご要望をたくさん聞いてから柔軟に変えられるようにと思っていました。お稽古場からみなさんにたくさん助けを求めに行って、道しるべをいただいてきたので、これからも柔軟につかんでいきたいと思います。
井上 ぴったりですよね。僕達の役からもそうだし、みんなからものすごく愛されて、下手するとなかなか共感を得にくいと思うんですけど、すごく説得力をもって演じてくれているのではないかなと思います。
潤 ありがとうございます(照)。
井上 僕としては、やっぱり12年前は若かったなと思いますね。シドニー・カートンってある種聖人のような選択を最後にはする人なんですけど、でもずっと聖人だったわけではなくて、投げやりになったり恋をしたりしながら、愛する人のためにどうしたら良いかを考えた結果、最後すごいことを成し遂げた人なのだなと、12年前に演じていた時とはまた違う物語の受け取り方ができているような気がします。
浦井 自分も同じことを思っていました。
井上 じゃあ、終わりでいいですか?
潤 あはははは!(笑)
浦井 言わせてください(笑)。カートンとダーニーは【瓜二つ】という設定があるのですが、生まれ育った環境は違うけれども、同じ志を持っていた。見た目どうこうではなく、考え方が瓜二つだったんだ、そういうふうに今回は印象づけれたらなと思います。
あとは家族の物語なのだと改めて感じました。家族とは、切っても切れない関係でもあるし、実の親子ではなくても一緒に過ごした時間の中で家族になることも可能なのではないか、という願いを込めたメッセージがあるのではと思いながら、ダーニーをつくっていけたらなと思っていました。
実際に【瓜二つ】なところは?
浦井 ないです!
井上 ないのかよ!
潤 あはははは!(笑)
井上 (潤に)似てない?
潤 はぁい。全然似てないです(笑)。
井上 似てないのかよ!
浦井 あははは(笑)。近づこうと努力してます。
井上 今のところ、あるとしたら体型くらいですかね。
※衣装でわかってしまうとは思いますが、この角度、結構似てませんか…? 個人的には観劇しながら一瞬ドキッとしました。そう見えてるの私だけだったら恥ずかしいけど(苦笑)。
お客様へのメッセージ
潤 明日(5/7)からこの劇場でお会いできるのを心から楽しみにしています。大千秋楽までみなさんと心を込めて駆け抜けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
浦井 今の僕たちにできる最善の表現方法で、鵜山さんがまとめてくださいました『二都物語』をみなさんと共有できることを楽しみに、また新たな気持ちで頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
井上 12年ぶりにやらせてもらえるのは本当に嬉しいですし、東宝のミュージカルは、帝国劇場が一度クローズして再開するまでの5年間、明治座さんをはじめとしていろんな劇場で上演させてもらいます。そのスタートの作品ということで、しっかりとやりたいです。
あとは日本のミュージカルは何かと革命を扱う作品が多いなと感じていて、それは何故なのか考えたことがあるんですけど、やっぱり、「自分達は世の中を変えられるんだ」という思いを思い出すことができるからなのかなと。毎日を生きるだけで大変だと思うんですけど、自分達で変えられるかもしれないし、過去に変えてきた人達を見て、劇場に来る時よりも出る時のほうがエネルギーがみなぎっているのではないか。『二都物語』もそういう力のある作品ですし、僕達も一生懸命エネルギー溢れるお芝居をお届けしたいと思っているので、ぜひ観に来てください。よろしくお願いします。
カートンとダーニー、そしてルーシー達がたどる運命とは。
※本編の観劇レビューも後日アップ予定です。
本作は、東京・明治座で上演されたのち、大阪、愛知、福岡でも上演されます。
詳細は公式サイトで!
https://www.tohostage.com/ataleoftwocities/
(撮影・文:越前葵)
ミュージカル『二都物語』
【脚本・作詞・作曲】ジル・サントリエロ
【追加音楽】フランク・ワイルドホーン
【原作】チャールズ・ディケンズ(「オリバー・ツイスト」「クリスマス・キャロル」)
【翻訳・演出】鵜山仁
【出演】
シドニー・カートン:井上芳雄
チャールズ・ダーニー:浦井健治
ルーシー・マネット:潤花
マダム・ドファルジュ:未来優希
エヴレモンド侯爵:岡幸二郎
バーサッド:福井貴一
ジェリー・クランチャー:宮川浩
ドファルジュ:橋本さとし
ドクター・マネット:福井晶一
ジャービス・ロリー:原康義
ミス・プロス:塩田朋子
弁護士ストライバー:原慎一郎
荒田至法 榎本成志 奥山寛 河野顕斗 後藤晋彦 砂塚健斗 田中秀哉 常住富大 福永悠二 丸山泰右 山名孝幸 横沢健司 彩花まり 石原絵理 岩﨑亜希子 音道あいり 樺島麻美 北川理恵 島田彩 原広実 玲実くれあ
大村つばき 齋藤菜夏 高木郁 若杉葉奈
張浩一 松坂岳樹
(五十音順)
【東京公演】2025年5月7日(水)~31日(木)/明治座
【大阪公演】2025年6月7日(土)~12日(木)/梅田芸術劇場メインホール
【愛知公演】2025年6月21日(土)~29日(日)/御園座
【福岡公演】2025年7月5日(土)~13日(日)/博多座