
B&ZAIが魅せるTHE エンターテイメント!舞台『ANDO』取材会&観劇レビュー
B&ZAIが主演を務める舞台、松竹創業130周年 新橋演舞場100周年「ANDO」が9月、10月に3都市で上演されます。
あらすじ
物語は、大学1年のときにアンドウ(川﨑)、モッチー(矢花)、サトウ(菅田)、ヨネモト(本髙)、シオン(橋本)がバンドを結成するところから始まる。
のちにナグモ(稲葉)、スカル(今野)、ツキト(鈴木)も加わり、8人で音楽活動に励む日々。青春を共に過ごし、固い友情で結ばれた彼らだったが、大学卒業を機に就職や進学など、それぞれの道を歩み始め、バンドは自然と休止状態となる。
それから数年後――。久しぶりに8人が再集結し、ライブを開催することが決定。
懐かしいスタジオで練習を重ねる中、それぞれが抱えてきた過去や未来への葛藤が浮かび上がっていく。
再び音楽でつながる彼らが最後に見つけた“答え”とは――。
今作は、物語がわかりやすく、バンド設定なこともあり、無理なく歌唱や音楽シーンが組み込まれており、自然とストーリーに引き込まれ歌詞が胸に響いてくるような内容でした。
芝居に加え、B&ZAIの最大の魅力でもあるバンド演奏やダンスパフォーマンスもふんだんに盛り込まれており、「これぞエンターテインメント!」と感じるステージでした。
さらに囲み取材では、稲葉通陽さんが20歳の誕生日を迎えるという記念すべき日であり、舞台初日は鈴木悠仁さんの誕生日でもあったそうで、会場全体が祝福ムードに包まれていました。
オープニングでは、“ANDO”の大きなロゴが煌めくステージに、純白の衣装を纏ったB&ZAIのメンバーが登場!
1曲目からバク転やアクロバットを交えたエネルギッシュなパフォーマンスを披露し、まさに「待ってました!」という歓声が聞こえてきそうなほど、会場のボルテージが一気に高まります。
しかし、LIVEのような熱狂も束の間——。
“まっさら”なステージに切り替わり、そこから“これから何かが始まる”という予感が静かに観客へと伝わっていきます。
その瞬間、まるでライブ会場にいるかのようだった意識が、ふっと“舞台”へとシフトしていく感覚に包まれました。
しなやかなコンテンポラリーダンスから始まり、ドラム、ヴァイオリン、キーボードと次々に音が重なっていく。
その中央に、華やかな存在感と色気を纏った橋本涼さんが登場し、ソロダンスで観客を一気に惹きつけます。
やがて2人、5人とメンバーが増え、そこにギターやベース、トランペット、サックスも加わり、まさに目も耳も休む暇のない贅沢な演出。
魂のこもったラップからは熱いパッションが伝わり、これから始まる物語への期待が一層高まりました。
今作は、一人ひとりのキャラクターがしっかりと立っており、それぞれの背景まで描かれているため、自然と感情移入しやすい構成になっていました。
菅田琳寧さん演じるサトウはサックス担当。明るく筋肉自慢のムードメーカーでありながら、音楽を諦めようと迷う一面もあります。ギャップがあり、菅田さんの明るさや誠実さ、身体的な存在感が生きる役どころでした。
橋本涼さん演じるシオンはボーカル担当で、現在はサラリーマンとして働いています。かつての少しチャラい雰囲気を残しつつ、スーツ姿はすっかり板につき、抜群のスタイルも際立っており、若々しい軽やかさや遊び心を感じさせました。
本髙克樹さん演じるキーボード担当のヨネモトは親の期待を一身に受け育った大学院生。苦悩する演技が繊細で、インテリキャラがぴったりなのと、正確なステップやダンスが本髙さんぽいなと感じました。
鈴木悠仁さん演じるツキトはギター担当。ヨネモトの弟で、出来の良い兄と比べられながら苦しむ役どころです。
伸びやかで力強い歌声は非常に聴きごたえがあり、キャラクターの葛藤や想いをより深く伝えていました。
劇中、要所要所で事務所の先輩たちの名曲をカバーして歌う場面があります。メジャー曲からソロ曲まで盛りだくさんに披露され、後輩たちが先輩の歌を大切に歌い継いでいる姿に、この事務所ならではの温かさと素晴らしさを改めて感じました。
特に私はキンキ世代(現DOMOTO)なので、「夏の王様」が懐かしく、歌詞の「空振りばっか昨日の君も」などが心に染みる素敵なアレンジで、元々大好きな曲ですが、改めて聴くと本当に素晴らしい曲だなと感じました。
また、セットは自分たちで動かす構成になっており、バックではジュニアたちも大活躍!舞台全体がチームで作られている一体感も印象的でした。
稲葉通陽さん演じるナグモは、幼少期からヴァイオリンで数々の賞を獲得してきた輝かしい経歴の持ち主。役柄としては影が薄く、いじられキャラですが、歌い踊りヴァイオリンまで演奏できるマルチな才能を持ち、シュッとした顔立ちは松村北斗さんを彷彿とさせるミステリアスな雰囲気で、強い存在感を放っていました。
矢花黎さん演じるモッチーはアンドウの同級生でベース担当。とにかくさりげなく良い奴で、チームを優しく包み込むような、矢花さんの人柄の良さが存分に表れていました。
今野大輝さん演じるオバタ(通称スカル)は、“さすらいのロックミュージシャン”という目を引く役柄。ぼそっとした一言の面白さに加え、社会人生活で個性を押し殺す日々に嫌気がさした過去を抱えており、キャラクターの奥行きを感じさせました。
物語の主人公はタイトル通りアンドウで、川﨑星輝さんが演じます。派手さはないものの、シンプルで美しい“何もない舞台”に、“まっさらな僕とあなたの物語”が紡がれていきます。一人では夢や人生を語れなかった青年が、仲間と出会い、バンドを組むことで希望を見つけていく過程が丁寧に描かれていました。
特に新橋演舞場の回転舞台を活用したバンドシーンの演出や、その後の展開は見応え抜群で、舞台全体の魅力を大いに引き立てていました。
本当に自分がやりたいことを見つけ、自分の色を発見したり、環境や人との交わりでそれぞれの特別な色に変わったり、カラフルに混ざり合ったりする――そんな成長や変化が描かれていました。
『まっさら』は、「まだ何者でもない、そして何者にもなれる」可能性を象徴しているように感じられます。
真っ白でシンプルな舞台から始まったからこそ、最後にカラフルに彩られた衣装やステージの美しさが際立つ素敵な演出でした。
特に、衣装はその日の本人たちの遊び方や状況次第で変化するそうで、「ぜひ注目してほしい!」と、一番派手に動き楽しんでいた菅田さんも囲み取材で語っていました。
真っ白な衣装がそれぞれの個性の色で重なり合い、唯一無二の美しいステージが生まれる演出は圧巻です。
脚本は福田響志さん、構成・演出・振付はSota(GANMI)さんが担当しています。昨年の7MEN侍の舞台『MASSARA』も手掛けたお二人で、普段のメンバーの様子や関係性を踏まえて脚本が書かれており、キャラクターの魅力が自然に引き出されていました。
タイトル『ANDO』には様々な意味が込められています。「あなたと(&)」舞台を観て「安堵してほしい」、そして登場人物の「アンドウ」。いくつ気づけたか考えながら観るのも、また面白い体験かもしれません。
川﨑星輝さんは今作で電子ドラムに挑戦したり、機材打ち合わせから参加したメンバーもおり、スタッフと共に「どのように音が響き合うか」を考え、積極的に舞台づくりに加わったそうで、こだわりを強く感じました。
歌・ダンス・芝居・衣装・メッセージ性、そして受け継がれる伝統――私の大好きな、この事務所ならではの“THEエンターテイメント”な舞台の全てが詰まっており、胸が熱くなりました。原点であり代名詞のような“新橋演舞場”だからこそ、より一層その魅力を感じたのかもしれません。
松竹創業130周年・新橋演舞場100周年という記念作品『ANDO』の主演に、多彩な魅力を持つB&ZAIが抜擢されたのも納得です。グループ再編に伴い、本人たちもファンも不安や葛藤の時期を歩んできたと思われますが、本作ではそうした試練を真正面から乗り越え、この舞台で新たな絆を力強く刻み込み、未来へ突き進もうとする熱い気迫があふれていました。
全50公演という長期スパンですが、最後まで無事に完走できることを願っています。
ぜひ、B&ZAIが未来へ踏み出す瞬間を、新橋演舞場、そして広島・大阪松竹座の生の舞台で目撃してください!
(文:あかね渉)
舞台『ANDO』
構成・演出・振付:Sota(GANMI)
脚本:福田響志
キャスト
B&ZAI:橋本涼、矢花黎、今野大輝、菅田琳寧、本髙克樹、鈴木悠仁、川﨑星輝、稲葉通陽
千井野空翔、竹村実悟、田仲陽成、松浦銀志、羽村仁成、末永光、鍋田大成、関翔馬
宮岡大愛、山岸想、善如寺來、平田光寛、馬場律樹、岩崎楓士、染谷樹、横田大都
2025年9月5日(金)〜28日(日)
東京都 新橋演舞場
2025年10月9日(木)・10日(金)
広島県 広島文化学園HBGホール
2025年10月17日(金)〜25日(土)
大阪府 大阪松竹座
公式サイト
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202510_shochikuza_ando/