圧巻すぎて目が足りない！ 10人ぐらい自分が欲しい！『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』観劇レビュー

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』

圧巻すぎて目が足りない！ 10人ぐらい自分が欲しい！『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』観劇レビュー

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』のポスターが目に飛び込んできたのが、2022年の夏頃で、出演者なども書かれていないそのポスターからは作品に対する自信の現れにも見えたし、演劇“通”には「わかりますよね？世界中で高い評価を得ているあの作品ですよ」と言われているような気さえして、その場でずいぶん先の予定を手帳に記した。

そして訪れた本日、通い慣れた劇場のはずなのに入る前からすでにいつもと違う帝国劇場があった（ような気がした）。劇場に足を踏み入れた瞬間に広がる鮮やかな舞台セットに思わず漏れた感嘆の声。『ここが帝国劇場？』なんて思いながら、開場中に“なにかが始まる”わけではないけど観ていられるその空間に、夢見る少女のように『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』の世界観に没入していた。思い返せばこの時間が一番ゆっくり浸れた時間だったかもしれない…

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』

開幕してからも信じられないことの連続だった！
舞台美術はパリの活気ある雰囲気を美しく再現し、彩り豊かな衣裳は豪華で細部までこだわりが見え、照明や電飾は音楽に合わせて細かく変化を繰り返すかと思えば赤い景色を青一色に大胆に変化させ、ダンサーたちのエネルギッシュなムーブメントに自然と声援と手拍子が起こる！これぞ総合芸術、空間全体のパワーが凄い！！冒頭から20分はただただ圧巻で、『目が足りない！10人ぐらい自分が欲しい！』と嘆いていました(笑)

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』

この日のキャストは望海風斗、井上芳雄、橋本さとし、上川一哉、伊礼彼方、中井智彦、藤森蓮華 他。

クリスチャンは芸術と夢を追いかけながらパリにやってきた青年で、サティーンと出逢い真の愛を探求する。ふたりが恋に落ちるきっかけがクリスチャンの“歌”なんだけど、井上芳雄さんの美しい歌声に説得力があることは言わずもがな、今回はそれ以上に恋に落ちる初々しい青年の姿が、気持ちいいほど真っすぐで共感することが多かった！ムーラン・ルージュの花形スター、サティーンは、前半のコメディ要素が後々切なくなるぐらい、過酷な状況に押しやられていく。演じる望海風斗さんのその姿に観ていて終始苦しくなり、結末を知っていても幸せを望まずにはいられなくなった。

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』

本作は1970～90年代に大ヒットした既存の洋楽を物語に組み込んでいるのが特徴で、それゆえにミュージカルが苦手な自分もすんなり受け入れられた作品なんだけど、この名曲の数々をミュージカル界を引率するキャストが歌い上げるだけでシビれる！それだけでなく今回は世界初の試みとして、松任谷由実さんを筆頭に錚々たるアーティストたちが訳詞提供を行っています、超シビれる！

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』

ムーラン・ルージュの支配人ジドラーを演じる橋本さとしさん、デュークを演じる伊礼彼方さんは自分の中でイメージがピッタリ！Wキャストなので松村雄基さんやKさんのチームがめちゃくちゃ気になります！みんなジドラーと一緒に舞台を盛り上げて楽しんでほしいし、映画よりも悪者が少ない本作ではデュークだけを目の敵にして分かりやすく観劇すればいいと思ってます(笑)ダンサーチームも第一線で活躍している方々が集結していてとても贅沢だった！

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』

近年、帝国劇場の企画は多種多様で楽しみなものが多いけど、『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』はキャストやスタッフ、そして観客も一丸となって楽しもうとする姿勢が、この3年近く暗かった演劇界に光を灯し先導する作品となったような気がした！

公式サイトはこちら。
https://www.tohostage.com/moulinmusical_japan/index.html

（文：かみざともりひと）