「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部

いたるところに見どころがいっぱい!ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」観劇レビュー

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

いたるところに見どころがいっぱい!ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」観劇レビュー

1月5日から東京芸術劇場で開幕した「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」の観劇レビューをお届けします、尾身美詞(青年座On7)です。
私の本年最初の観劇になりました、このミュージカル!
2017年にトニー賞最多12部門にノミネートされた革新的ミュージカルの日本初演。
あの名作小説「戦争と平和」(第2巻第5部)を全編に渡り歌で綴るということで、NYタイムズ紙やVOGUE誌などでも大絶賛されブロードウェイからやってきた本作!日本版は一体どんなことになっているのでしょうか??

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

まず、劇場に入ってびっくり!!!本来舞台となっている場所が・・・ポコポコと穴が空いていて、お客さんが座っているではありませんか!!ミュージカルなどの会場で見る、オーケストラピットのような奈落にお客様とテーブルが!!
こちらはコメットシートという舞台エリアに設けられた席で、間近で臨場感が味わえるという特別席!しかも、開演前には舞台上にドリンクコーナーが設けられており、コメットシートの皆さんはワインなどお酒を飲みながらのご鑑賞!!!(ピロシキも食べられるとか)
舞台に上がる際はきちんと荷物チェックなどもあり安全面にも配慮されております。
小劇場ならお酒を飲みながらのお芝居もありますが、まさかプレイハウスでこんな光景が見られるとは!!と衝撃的でした。

勿論、一般の客席でも楽しめるように、と、開演前にもキャストがゾロゾロ客席にやってきて、お客さんとコミュニケーションを取って盛り上げてくれます。和気あいあいとしたこの雰囲気・・・なんだか、テーマパークのレストランのようです。

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

そして、本編スタート!
もう、舞台上と客席の境目がないのか?!というくらい、至る所にキャストがいて歌にダンスに演奏にと盛り上げてくれます。なんと、客席に小道具が置いてあって、それをおもむろに取ってお芝居が展開したり、何が何だか!私の隣にキャストが座ってるわ!!なんて方も大勢いらっしゃったと思います。
勿論、コメットシートの方々はもっとびっくりされたことでしょう!キャストがコメットシートに入る入る!!(笑)
あの、井上芳雄が!あの生田絵梨花が!自分の隣で寝ていたり、真横を通って歌っていたり、乾杯しくれたり…

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
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ちなみに一番面白かった客いじりは、はいだしょうこさん演じるマリアが一人の方に結婚を迫る!というもの!!
迫られたお客様はびっくりされたことでしょう。みんなの注目のまと!ですもの。そんなお客様たちを観ることもまた楽しかったです(笑)
ラッキーな方はキャストからシェイカー(卵型のシャカシャカ音を鳴らすやつ)を貰えたり、お手紙をもらえたり(直筆サインが入っているとか?!)そんなサプライズもいっぱいです。

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
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さて、物語は、19世紀初頭のモスクワ。
伯爵令嬢ナターシャ(生田絵梨花)はピエール(井上芳雄)の親友アンドレイ(武田真治)と婚約するが、彼が旅に出て不在にしている間寂しさを募らせ、ピエールの義兄アナトール(小西遼生)に誘惑され恋に落ちてしまう。
貴族の私生児として生まれたピエールは、虚しさを抱えながら酒と思索に耽る日々を送っている。社交界の華であるピエールの妻エレン(霧矢大夢)は金のためにピエールと結婚し、ドロホフ(水田航生)との不倫を楽しみ、享楽的に生きているのだった。
ナターシャはアンドレイとの婚約を解消しアナトールとの駆け落ちを計画するが、彼には妻がいるということが伝えられ、ピエールはアナトールを追放する。全てを失った少女をピエールは励ましながら、夜空の彗星を見上げ・・・

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
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舞台・客席・いたる所にキャストがいるので見どころもいっぱい! 実はシンプルなストーリーですが、とてもスピーディーにお話が展開されていくので、事前に人物相関図をチェックしておくのがオススメです。

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

「戦争と平和」第2巻第5部の1812年を切り取っているので、前後のお話も気になりました。
タイトルのコメット(彗星)は1811年に実際に地球に近づいた大彗星で、ナポレオンのロシアへの侵略が同じ時期にあったため「ナポレオンの彗星」とも呼ばれていたとか。
舞台上の彗星を思わせる照明が、とても美しく。時に夜空の星のようで、時に賑やかなレストランのようになり、素敵な空間を演出していました。

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

ロック・エレクトロニック・ダンスミュージックなど様々なジャンルのバライティに富んだ音楽で織りなされ、シーンごとに様々な色合いを見せてくれます。井上芳雄さんが生でアコーディオンやピアノの弾き語りをされたり、武田真治さんのサックスの演奏が見られたり。キャストの皆さんの生演奏も必見です!
1幕の終盤でピエールが人生に対する虚無を深め、苦悩を吐露する約6分間のビックナンバー ♪塵と灰 はメロディアスでとても美しかったです。

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

1月27日まで東京芸術劇場プレイハウスで行われています。
劇場と思えない空間を味わいに・・・ぜひ劇場へ!

(文:尾身美詞

公演情報

ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」

【原作】レフ・トルストイ(「戦争と平和」)
【音楽・詞・脚本・オーケストレーション】デイブ・マロイ
【訳詞・演出】小林香

【出演】井上芳雄、生田絵梨花
霧矢大夢、小西遼生、松原凜子、水田航生、はいだしょうこ、メイリー・ムー、原田薫、武田真治
亜久里夏代、会田桃子、アリサ・チェトリック、木暮真一郎、森山大輔、村松ハンナ、大嶺巧、大月さゆ、酒井翔子、菅谷真理恵、武田桃子、塚本直、山田元、山野靖博

2019年1月5日(土)~27日(日)/東京・東京芸術劇場 プレイハウス

公式サイト
ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」

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