野田秀樹作品を一人芝居に再構築! 一人で行う肉体の芸術 役者でない『足跡姫 時代錯誤冬幽霊』3月20日、21日に大阪・阿倍野STAGE+PLUSで上演
役者でない『足跡姫 時代錯誤冬幽霊』公演チラシ役者でないによる舞台『足跡姫 時代錯誤冬幽霊』が3月20日(金)から大阪府・阿倍野STAGE+PLUSで上演される。
児玉泰地は、「役者でない」を運営している舞台人。脚本、演出、出演など、ほとんどの業務を担当している。
大学時代に演劇を始める。芝居で生活していくことを志すなかで、「劇場以外でも芝居を上演し、認知度を広げなければ」と考え、カフェや野外でもできる芝居を考案、上演するなど、劇場以外の場でも活動。また、他の劇団の作品にも積極的に出演している。
180cmの長身を活かした身体表現は各公演で好評を得ており、近年はコンテンポラリーダンス作品への出演や、パフォーマンスの上演も行っている。
児玉泰地が活動する演劇一人ユニット「役者でない」の名称の由来は「インフルエンザで本番に出られない奴は役者でない」から。児玉が実際にインフルエンザで本番を降板を余儀なくされた経験から、降板を通告された夜に考えていた悩み等で構成した作品を上演している。
以来、約3年の間に、児玉自身の思い出や考えを反映した『自分劇』作品や、絵本を題材にしたフィクション、詩の朗読劇、古典文学原作など、約20作品を上演してきた。
写真撮影:松田ミネタカ
そして今回の公演では、劇作家・野田秀樹が執筆した『足跡姫 時代錯誤冬幽霊』を原作とし、一人芝居として上演する。テーマは「良いものにも悪いものにもなり得る根源のエネルギー」。これは演出・出演の児玉が、戯曲を読んだ際にその中から読み取ったことでもある。
世界では多くのエネルギーが負の行為に注がれている。人々皆が持っているエネルギーが良い行為にそそがれるには、まず一人ひとりが自分の中のエネルギーを、自分でコントロールしなくてはならない。そして、誰かがコントロールし、ポジティブに使ったエネルギーが、誰かに作用し、その人もポジティブになっていく。その良い連鎖の最初の一人に、誰もがなれると児玉は考えている。そのことを表現すべく、極力装飾を排し、児玉自身の身体の運動を最大限に活かして上演する。
野田秀樹が「残らない肉体の芸術」をテーマに著した戯曲を一人芝居化。
女カブキ復活を願う看板踊り子「三、四代目出雲阿国」と、その内に潜み将軍の腕を狙う幽霊「足跡姫」との葛藤を描く。
私は戯曲『足跡姫 時代錯誤冬幽霊』を読んで、「はじまり」についてのお話だと感じました。そこで連想した言葉が「初心忘るべからず」です。何かをし初めて、続けていくだけでも大変なのに、そのうえ始めた頃の思いを忘れずにいるというのは並大抵のことではありません。続けていくうちに新しい知識や経験の中にその初心は埋もれていってしまいます。でも何かをやり始めた頃の気持ちを思い出すことができれば、自身の中のエネルギーを良いことに注いでいけるのではないでしょうか。
この戯曲と向き合うなかで「初心を忘れないためには”はじまりを繰り返すこと”が有効なのではないか」と考えるようになりました。何度も、偽のはじまりを始め続けることで、記憶の地層から初心を掘り返す。それをこの作品で表現します。
本作は3月20日(金)、21日(土)に大阪府・阿倍野STAGE+PLUSで上演される。
詳細は公式サイトで。
(文:エントレ編集部)
役者でない 一人芝居興行「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」
【原作】野田秀樹
【構成・脚色・演出・振付・出演】児玉泰地
2020年3月20日(金)~3月21日(土)/大阪府・阿倍野STAGE+PLUS
公式サイト
役者でない 一人芝居興行「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」
チケット
カルテット・オンライン