2023.5.24 

芝居と迫力のパフォーマンスで劇場を席巻!少年忍者・初単独公演『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』観劇レビュー



『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
 

芝居と迫力のパフォーマンスで劇場を席巻!少年忍者・初単独公演『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』観劇レビュー

 
ジャニーズJr.の注目のユニット「少年忍者」の初単独公演『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』が、東京・新橋演舞場での公演を経て、5月28日より大阪松竹座にて上演される。

少年忍者は、15~21才の21人で構成され、ドラマや舞台で活躍しているメンバーも多く、個人の活動も含めて今勢いを感じさせるグループ。個性豊かなメンバーたちの男子校のようなわちゃわちゃ感と、大所帯でみせる卓越したパフォーマンスが魅力だ。
そんな彼らの初単独公演となる本作は、リアルとフィクションが入り混じった「芝居」を中心に、エンターテインメント性溢れるフレッシュなステージとなった。ここでは、新橋演舞場で行われた公演の模様をお届けする。

 

大人数ならではの迫力とフォーメーションダンスで魅せる

明日のスターを夢見て、さまざまな想いを抱えながらも日々活動に励む少年忍者のメンバー。舞台の見学のため劇場に訪れた彼らだったが、マネージャーの手違いでなんとその日は休演日であることが判明。しかし、劇場支配人の厚意により、舞台のセットを見せてもらえることに。そこへ突然現れた清掃員に、「今日は好きにステージを使っていいよ!」と促され、彼らは照明や音響などの機材を使い、自由にパフォーマンスを繰り広げる。その秀抜なステージングを観た支配人と清掃員の二人は、かつて抱いた熱い想いを喚起され、舞台を通して少年忍者のメンバーと交流を深めていく。

語り部として登場したグループのリーダー・川﨑皇輝がステージの真ん中で開演を告げると、花道からメンバーが勢いよく登場し、劇場は一気に賑やかに。ステージを所狭しと駆け回り、至る所でメンバー同士がさまざまなわちゃわちゃを繰り広げ、この時点でもう「目が足りない」状態に。
市川しんぺー演じる劇場支配人(と客席)に少年忍者の面々が一人ずつ自己紹介するところから、彼らの物語が始まる。それぞれにキャッチフレーズやアクションなどを交えアピールする姿は、短いながらも各々の個性が感じられる。

明星真由美扮する劇場の清掃員の「何でもやっていい」という一言に乗せられ、休演日の舞台を貸し切りオリジナル曲の「Journey Must Go On」を披露すると、ステージは瞬く間に少年忍者の世界一色に。「声をあげろ 狼煙を上げろ 新しい時代を切り拓け」という歌詞のとおり、「これからやったるで!!」という意気込みが伝わる、グループとしての“宣誓”ともいえるナンバーだ。少年忍者ならではの、この大所帯だからこそ出せる迫力、エネルギッシュで見応えのあるフォーメーションダンスは必見だ。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

そんな彼らの熱いパフォーマンスに触れ感動した支配人や掃除員(この二人の“正体”にもぜひご注目を)は、彼らを応援するように。メンバーたちとの距離も一気に縮まり、打ち解けていく。そして、「好きなこと、全部やっちゃえよ!」という支配人の声を受け、メンバーたちは全員で輪になりミーティングを開始。舞台でどんなことがやりたいのか、思い思いに発言し、自分たちで構成を考えてステージを作り上げることに。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

どんなステージが披露されるのか、期待が高まるなか始まったショータイムは、重低音が響くクールなラップのナンバーから幕を開けた。ギラっとしたかっこよさを見せつけたあとは、ポップでテンポのいい曲とともに次々にメンバーが登場し、ローラースケートやジャグリング、タップダンス、アクロバット、ブレイクダンス…と特技を披露していく。息つく暇もなく繰り出されるスゴ技は、まるでサーカスを観ているようで、わくわく感と高揚感でいっぱいに。続くメンバー自身が演奏するバンドのコーナーでは、青春感にあふれた歌声とメロディーで客席を爽やかに包む。まさに“やりたいこと全部盛り”で、そのエンターテインメントの魅力がギュッと詰まったパフォーマンスに、グループの底力を感じさせられた。

 

解散危機をめぐる芝居から見えるリアリティ

ところが事態は一転、暗雲が立ち込める。
マネージャー・杉山(丸山港都)の電話の会話を聞いたメンバーの黒田光輝が、早とちりで「少年忍者が解散する」と思い込み、メンバーたちに誤った情報を伝えてしまう。(ちなみに、この勘違いエピソードは実際にあった話なのだとか)

かくして“解散”という二文字の激震が走り、メンバーたちは動揺する。自分たちはこれからどうするべきなのか、どうしたいのか――。それぞれが思いを巡らせる。
グループをまとめてきた川﨑皇輝が、「解散(の可能性を)否定しきれないのが悔しい」と涙を流す姿は、リーダーとしての責任感やメンバーを想う気持ちがストレートに伝わり胸を打たれる。そんな川﨑と共に、ダンス面などで少年忍者を引っ張ってきた織山尚大が「皇輝くんだけが背負うことじゃない」と心を寄せ支える姿は、ふだんの二人の関係性が垣間見えるようでもあり、印象に残る場面だ。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

また、グループ最年長の元木 湧は、自身の立場を振り返り、自分はグループに貢献できているのだろうかと、檜山光成に想いを打ち明ける。その二人のやり取りにも切実さが滲み、劇中であることを忘れさせるリアリティが胸に迫った。
解散するかもしれない、というシリアスな現状を突きつけられた彼らは互いに気持ちをぶつけ合い、ときに激しく掴み合い衝突する姿も見せる。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

そんな重苦しい空気を一変させるように、マネージャーから初単独公演決定の知らせがメンバーに伝えられると、互いの想いを再確認し合い、自分たちの力を示し認められるような舞台をつくろう、と気合いを入れ直す。
解散危機を乗り越え、希望を取り戻した彼らはさらに結束力が高まり、再び少年忍者らしい魅力に溢れたパフォーマンスを披露する。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

粗削りだが瑞々しさのある少年忍者初の単独公演は、たくさんの可能性と未来を感じさせられた。東京公演から始まり、大阪、愛知と続く本公演。大千穐楽を迎える頃には、またひとつ大きく成長した姿を見せてくれることだろう。
個人でもそれぞれに活躍を見せている彼らだが、グループとしてこれからどんな飛躍を遂げるのか、今後が楽しみだ。

大阪公演の詳細は公式サイトへ。
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/shochikuza202305_02/

 
(撮影・文:古内かほ)

このレビューを書いたのは

古内かほ
ふるうち かほ|ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカル、宝塚歌劇団を中心に観劇していますが、気になる作品はなんでも観ます。最近はバレエへの関心が高まり中。https://auditorium.hatenablog.com

 

古内かほが書いた最近の記事
2021年10月 京本大我がパワフルに舞台を牽引!ミュージ...
2021年04月 朝ドラ効果で衣装も新調!? 3年ぶりに山...
2020年02月 井上芳雄ら豪華ミュージカルスターとレジェ...
2019年11月 東宝版20周年!熱狂的に愛され、進化し続...
2018年11月 “妙ージカル”の世界へようこそ!シェイク...

 

 

公演情報

少年忍者「俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~」

【作・演出】川名幸宏

【出演】
ヴァサイェガ渉・川﨑皇輝・織山尚大・黒田光輝
安嶋秀生・内村颯太・元木湧・檜山光成・豊田陸人
小田将聖・田村海琉・久保廉・山井飛翔・瀧陽次朗・稲葉通陽・鈴木悠仁・川﨑星輝・長瀬結星
丸山港都・明星真由美・市川しんぺー

2023/5/6(土)~5/17(水)/東京・新橋演舞場
2023/5/28(日)~6/1(木)/大阪・大阪松竹座
2023/6/13(火)~6/17(土)/名古屋・御園座

 
公式サイト
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/shochikuza202305_02/

チケットを探す
ぴあicon ローチケicon イープラス

最近の記事

ミュージカル ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド
長谷川寧が演出 ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』2024年2月に帝国劇場で上演
ブロードウェイ・ミュージカル『トッツィー』
山崎育三郎がドロシー・マイケルズ役で出演 ブロードウェイ・ミュージカル『トッツィー』2024年1月から日生劇場ほかで上演
GANMI×宝塚歌劇OG DANCE LIVE『2STEP』
客席も立って騒いで GANMI×宝塚歌劇OG DANCE LIVE『2STEP』に沸き立つ会場/東京公演が開幕
千穐楽 05月26日(金) 〜 06月04日(日)
東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』
人気演目 5年振りの再演 東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』9月1日から東京芸術劇場 シアターイーストほか各地で上演
公演日程 09月01日(金) 〜 11月05日(日)
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
芝居と迫力のパフォーマンスで劇場を席巻!少年忍者・初単独公演『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』観劇レビュー
公演中 05月06日(土) 〜 06月17日(土)
『BACKBEAT』撮影:岡千里
戸塚祥太、加藤和樹らが出演 ビートルズ創成期の青春物語を描いた『BACKBEAT』東京公演が5月24日(水)に東京建物 Brillia HALLで開幕
公演終了 04月23日(日) 〜 05月31日(水)
ゲキ×シネ『薔薇とサムライ2 -海賊女王の帰還-』8月4日(金)から映画館で全国公開
古田新太・天海祐希 ゲキ×シネ『薔薇とサムライ2−海賊女王の帰還−』8月4日(金)から映画館で全国公開/この冬 Blu-rayが発売
演劇グッズ専門店「観劇三昧ラボ」
演劇グッズ専門店『観劇三昧ラボ』が5月13日(土)から下北沢でオープン
骸骨ストリッパー『RAIKA』
【予告動画あり】脚本・NON STYLE 石田明 歌とダンスとアクション満載の超古代マンガ活劇! 骸骨ストリッパー『RAIKA』5月25日(木)から新宿・スペース・ゼロで上演
公演終了 05月25日(木) 〜 05月28日(日)
CCCreation Presents舞台『桜姫東文章』
欲望と裏切り、悪意と偶然が狂い咲く! 三浦涼介、鳥越裕貴、平野良らの出演舞台『桜姫東文章』が5月3日にスペース・ゼロで開幕/上演は5月10日まで
公演終了 05月03日(水) 〜 05月10日(水)
KOKAMI@network vol.19 『ウィングレス(wingless)ー翼を持たぬ天使ー』
翼を捨てた元天使が人間を救う戦いに挑む 福田悠太主演 KOKAMI@network vol.19 『ウィングレス(wingless)ー翼を持たぬ天使ー』がサザンシアターで開幕
公演終了 05月01日(月) 〜 05月28日(日)
パフォーマンスユニットTWT『SANADA XI』
真田十勇士を描いた青春群像時代劇に荒井敦史、黒澤美澪奈、水原ゆき、丸山敦史らが参加 パフォーマンスユニットTWT『SANADA XI』6月9日から吉祥寺シアターで上演
もうすぐ 06月09日(金) 〜 06月18日(日)
劇団チャリT企画「Wの非劇」チラシ画像
スキャンダルに揺れる芸能事務所を舞台に複雑な人間模様を描いた痛快悲喜劇 劇団チャリT企画『Wの非劇』下北沢 駅前劇場にて5月17日から上演
公演終了 05月17日(水) 〜 05月21日(日)
せたがやこどもプロジェクト2023『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』
「子どもたちに劇場空間を存分に感じてほしい」18歳以下の観客を無料招待/せたがやこどもプロジェクト2023『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』8月11日から世田谷パブリックシアターで上演
公演日程 08月11日(金) 〜 08月20日(日)
左から演出・丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)、鳥越裕貴、井坂郁巳
脚本・加納幸和(花組芝居)、演出・丸尾丸一郎(劇団鹿殺し) 原作・鶴屋南北 舞台『桜姫東文章』 丸尾丸一郎・鳥越裕貴・井坂郁巳インタビュー
公演終了 05月03日(水) 〜 05月10日(水)
キノG-7公演no.5『満ちる』
映画監督の父と娘の愛憎を描く 竹内銃一郎の演劇企画 キノG-7公演no.5『満ちる』5月11日からTHEATRE E9 KYOTOにて上演
公演終了 05月11日(木) 〜 05月15日(月)
舞台『GISKE-ギスケ-』
日産コンツェルン総帥・鮎川義介の激動の生涯を描く 舞台『GISKE-ギスケ- アルプス山脈の見果てぬ夢』5月18日から恵比寿・シアター・アルファ東京で上演
公演終了 05月18日(木) 〜 05月22日(月)
『エンジェルス・イン・アメリカ』撮影: 宮川舞子
舞台『エンジェルス・イン・アメリカ』第一部「ミレニアム迫る」が新国立劇場 小劇場で開幕
公演中 04月18日(火) 〜 06月10日(土)
『関西演劇祭2023』
11月に大阪で開催される つながる演劇祭『関西演劇祭2023』 出演団体の二次募集が開始/締め切りは5月8日
帝国劇場『Endless SHOCK Eternal』
世界でも類を見ない2作同時上演に挑む 作・構成・演出・主演 堂本光一『Endless SHOCK』『Endless SHOCK -Eternal-』が帝国劇場で上演中
公演終了 04月09日(日) 〜 05月31日(水)
『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』
18年間の集大成!Snow Man主演・演出の舞台『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』観劇レビュー
公演終了 04月08日(土) 〜 04月30日(日)
リーディング音楽劇『ジャングル大帝』
福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介がレオ役で出演 リーディング音楽劇『ジャングル大帝』6月4日、5日に東京建物 Brillia HALLで上演
本日初日 06月04日(日) 〜 06月05日(月)
『ドクター皆川~手術成功5秒前~』
皆川猿時×荒川良々の最強タッグ! 生と死の重みがまったくない医療コメディ『ドクター皆川~手術成功5秒前~』10月12日(木)から本多劇場で上演
公演日程 10月12日(木) 〜 10月29日(日)
『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』
9人の汗の結晶 ― Snow Man初演出『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』開幕/4月19日からはライブビューイングも
公演終了 04月08日(土) 〜 04月30日(日)
劇団☆新感線『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』ポスタービジュアル
特典映像は三宅健らのキャスト座談会! 劇団☆新感線『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』Blu-rayが11月28日に発売/4月13日から予約受付スタート
公演終了 03月10日(金) 〜 05月01日(月)
俳優に“相手に反応する”ということを一番に求めたい 演出家鈴木裕美による俳優のためのワークショップ
俳優に“相手に反応する”ということを一番に求めたい 演出家・鈴木裕美による俳優のためのワークショップ/エントリーの締切は4月16日(日)
公演終了 05月06日(土) 〜 05月14日(日)
ミュージカル『サンキュー・ベリー・ストロベリー』撮影:SCOPE/齋藤清貴
真弓孟之 舞台初主演ミュージカル『サンキュー・ベリー・ストロベリー』4月5日に東京芸術劇場シアターイーストで開幕
公演終了 04月05日(水) 〜 04月30日(日)
歌舞伎町劇場が2023年10月にオープン
次世代型の大衆演劇場・歌舞伎町劇場が2023年10月にオープン 豪華劇団がそろい踏み公演ラインナップが明らかに
オペラ「アイーダ」(c)田中亜紀
数々の舞台衣裳を目の前で楽しめる 初台アート・ロフト『時空をこえて-Across Time and Space-展』が4月5日から新国立劇場オープンスペースで無料開催
公演中 04月05日(水) 〜 08月31日(木)
舞台『ブレイキング・ザ・コード』
亀田佳明、水田航生、岡本玲らが出演 稲葉賀恵 演出舞台『ブレイキング・ザ・コード』が4月1日(土)にシアタートラムで開幕/上演は23日(日)まで
公演終了 04月01日(土) 〜 04月23日(日)

 ≫もっと見る
 

編集部ピックアップ!

エントレがおすすめする他の舞台



Copyright 2023 Village Inc.