『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

芝居と迫力のパフォーマンスで劇場を席巻!少年忍者・初単独公演『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』観劇レビュー

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

芝居と迫力のパフォーマンスで劇場を席巻!少年忍者・初単独公演『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』観劇レビュー

ジャニーズJr.の注目のユニット「少年忍者」の初単独公演『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』が、東京・新橋演舞場での公演を経て、5月28日より大阪松竹座にて上演される。

少年忍者は、15~21才の21人で構成され、ドラマや舞台で活躍しているメンバーも多く、個人の活動も含めて今勢いを感じさせるグループ。個性豊かなメンバーたちの男子校のようなわちゃわちゃ感と、大所帯でみせる卓越したパフォーマンスが魅力だ。
そんな彼らの初単独公演となる本作は、リアルとフィクションが入り混じった「芝居」を中心に、エンターテインメント性溢れるフレッシュなステージとなった。ここでは、新橋演舞場で行われた公演の模様をお届けする。

大人数ならではの迫力とフォーメーションダンスで魅せる

明日のスターを夢見て、さまざまな想いを抱えながらも日々活動に励む少年忍者のメンバー。舞台の見学のため劇場に訪れた彼らだったが、マネージャーの手違いでなんとその日は休演日であることが判明。しかし、劇場支配人の厚意により、舞台のセットを見せてもらえることに。そこへ突然現れた清掃員に、「今日は好きにステージを使っていいよ!」と促され、彼らは照明や音響などの機材を使い、自由にパフォーマンスを繰り広げる。その秀抜なステージングを観た支配人と清掃員の二人は、かつて抱いた熱い想いを喚起され、舞台を通して少年忍者のメンバーと交流を深めていく。

語り部として登場したグループのリーダー・川﨑皇輝がステージの真ん中で開演を告げると、花道からメンバーが勢いよく登場し、劇場は一気に賑やかに。ステージを所狭しと駆け回り、至る所でメンバー同士がさまざまなわちゃわちゃを繰り広げ、この時点でもう「目が足りない」状態に。
市川しんぺー演じる劇場支配人(と客席)に少年忍者の面々が一人ずつ自己紹介するところから、彼らの物語が始まる。それぞれにキャッチフレーズやアクションなどを交えアピールする姿は、短いながらも各々の個性が感じられる。

明星真由美扮する劇場の清掃員の「何でもやっていい」という一言に乗せられ、休演日の舞台を貸し切りオリジナル曲の「Journey Must Go On」を披露すると、ステージは瞬く間に少年忍者の世界一色に。「声をあげろ 狼煙を上げろ 新しい時代を切り拓け」という歌詞のとおり、「これからやったるで!!」という意気込みが伝わる、グループとしての“宣誓”ともいえるナンバーだ。少年忍者ならではの、この大所帯だからこそ出せる迫力、エネルギッシュで見応えのあるフォーメーションダンスは必見だ。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

そんな彼らの熱いパフォーマンスに触れ感動した支配人や掃除員(この二人の“正体”にもぜひご注目を)は、彼らを応援するように。メンバーたちとの距離も一気に縮まり、打ち解けていく。そして、「好きなこと、全部やっちゃえよ!」という支配人の声を受け、メンバーたちは全員で輪になりミーティングを開始。舞台でどんなことがやりたいのか、思い思いに発言し、自分たちで構成を考えてステージを作り上げることに。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

どんなステージが披露されるのか、期待が高まるなか始まったショータイムは、重低音が響くクールなラップのナンバーから幕を開けた。ギラっとしたかっこよさを見せつけたあとは、ポップでテンポのいい曲とともに次々にメンバーが登場し、ローラースケートやジャグリング、タップダンス、アクロバット、ブレイクダンス…と特技を披露していく。息つく暇もなく繰り出されるスゴ技は、まるでサーカスを観ているようで、わくわく感と高揚感でいっぱいに。続くメンバー自身が演奏するバンドのコーナーでは、青春感にあふれた歌声とメロディーで客席を爽やかに包む。まさに“やりたいこと全部盛り”で、そのエンターテインメントの魅力がギュッと詰まったパフォーマンスに、グループの底力を感じさせられた。

解散危機をめぐる芝居から見えるリアリティ

ところが事態は一転、暗雲が立ち込める。
マネージャー・杉山(丸山港都)の電話の会話を聞いたメンバーの黒田光輝が、早とちりで「少年忍者が解散する」と思い込み、メンバーたちに誤った情報を伝えてしまう。(ちなみに、この勘違いエピソードは実際にあった話なのだとか)

かくして“解散”という二文字の激震が走り、メンバーたちは動揺する。自分たちはこれからどうするべきなのか、どうしたいのか――。それぞれが思いを巡らせる。
グループをまとめてきた川﨑皇輝が、「解散(の可能性を)否定しきれないのが悔しい」と涙を流す姿は、リーダーとしての責任感やメンバーを想う気持ちがストレートに伝わり胸を打たれる。そんな川﨑と共に、ダンス面などで少年忍者を引っ張ってきた織山尚大が「皇輝くんだけが背負うことじゃない」と心を寄せ支える姿は、ふだんの二人の関係性が垣間見えるようでもあり、印象に残る場面だ。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

また、グループ最年長の元木 湧は、自身の立場を振り返り、自分はグループに貢献できているのだろうかと、檜山光成に想いを打ち明ける。その二人のやり取りにも切実さが滲み、劇中であることを忘れさせるリアリティが胸に迫った。
解散するかもしれない、というシリアスな現状を突きつけられた彼らは互いに気持ちをぶつけ合い、ときに激しく掴み合い衝突する姿も見せる。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

そんな重苦しい空気を一変させるように、マネージャーから初単独公演決定の知らせがメンバーに伝えられると、互いの想いを再確認し合い、自分たちの力を示し認められるような舞台をつくろう、と気合いを入れ直す。
解散危機を乗り越え、希望を取り戻した彼らはさらに結束力が高まり、再び少年忍者らしい魅力に溢れたパフォーマンスを披露する。

『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』
『俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~』

粗削りだが瑞々しさのある少年忍者初の単独公演は、たくさんの可能性と未来を感じさせられた。東京公演から始まり、大阪、愛知と続く本公演。大千穐楽を迎える頃には、またひとつ大きく成長した姿を見せてくれることだろう。
個人でもそれぞれに活躍を見せている彼らだが、グループとしてこれからどんな飛躍を遂げるのか、今後が楽しみだ。

大阪公演の詳細は公式サイトへ。
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/shochikuza202305_02/

(撮影・文:古内かほ

公演情報

少年忍者「俺たちのBANG!!! ~大劇場を占拠せよ~」

【作・演出】川名幸宏

【出演】
ヴァサイェガ渉・川﨑皇輝・織山尚大・黒田光輝
安嶋秀生・内村颯太・元木湧・檜山光成・豊田陸人
小田将聖・田村海琉・久保廉・山井飛翔・瀧陽次朗・稲葉通陽・鈴木悠仁・川﨑星輝・長瀬結星
丸山港都・明星真由美・市川しんぺー

2023/5/6(土)~5/17(水)/東京・新橋演舞場
2023/5/28(日)~6/1(木)/大阪・大阪松竹座
2023/6/13(火)~6/17(土)/名古屋・御園座

公式サイト
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/shochikuza202305_02/

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