2018.7.19  116

迫力の殺陣! 巧妙なストーリー! 気持ちが揺さぶられ続けた80分! 劇団壱劇屋『独鬼~hitorioni~』観劇レビュー


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劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」 撮影:河西沙織
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」撮影:河西沙織
 

迫力の殺陣! 巧妙なストーリー! 気持ちが揺さぶられ続けた80分! 劇団壱劇屋『独鬼~hitorioni~』観劇レビュー

 
関西を中心に活動する、劇団壱劇屋。劇中でセリフを一切使わず、殺陣のみで物語を描き出す「Wordless×殺陣」シリーズのひとつ『独鬼~hitorioni~』。その東京公演を観劇してきました!

途方もなく長い年月を生きてきた死なない鬼が、ある日突然一人の赤ん坊を託され、その赤ん坊と共に過ごす50年間の物語。赤ん坊は少女になり成長し、やがて別れがやってきます。永遠の時間を持つ鬼にとってはわずかな50年間、そして、とてもかけがえのない50年間が大迫力の殺陣を交えて紡がれます。

 
劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」 撮影:河西沙織
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」撮影:河西沙織

「セリフが一切ない」と聞くと、物語が理解出来るのか、退屈になってしまわないか心配になると思います。実際、私がそうでした。ですが、照明の使い方や音の使い方がとても工夫されていて、季節の移り変わりや人の感情がちゃんと目に見えるのです。

それだけではなく、舞台のセットを全く変えなくても、小道具の使い方一つで今何が行われているのかもわかりますし、戦っている相手がいかに強くて厳しい戦いなのかを、釘付けになってしまうようなアクロバティックな動きで魅せてくれました。

劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」 撮影:河西沙織
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」撮影:河西沙織

鬼を演じるのは、「Wordless×殺陣」シリーズの産みの親で、今回、作・演出を手掛けた竹村晋太朗さん。何枚も着込んだ着物を身につけて、ほぼ出ずっぱりで殺陣を披露されるその姿は圧巻です。セリフは一切話さないけれど、成長していく女の子を守ろうとする気持ち、愛情、怒り、様々な心の動きを細かな表情の変化で表現していきます。
孤独だった鬼が少女と過ごしていくうちに多くの感情を知り、今回の主体である殺陣を通して感情を爆発させるその姿が感動を引き起こし、客席の至るところからすすり泣きが聞こえました。

劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」 撮影:河西沙織
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」撮影:河西沙織

「もし、自分に子供が出来たらどう育てたいか、どうやって守ってあげようか、自分のお母さんが歳をとったらどう接しようか。そういう事を想像して創った作品」だと、終演後の挨拶で竹村さんがおっしゃっていました。きっと、少女の成長する過程のどこかに、観客の年齢は違っても、それぞれに感情移入出来るポイントが仕掛けられているのだと思います。

鬼に育てられる少女と、彼女と共に成長していく少年は、年代ごとに四人の役者が入れ代わりで演じます。衣装の雰囲気や動作の癖が成長しても絶妙に細かく再現されて、違う役者が演じて行くことに違和感を覚えるようなことはありませんでした。

劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」 撮影:河西沙織
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」撮影:河西沙織

それぞれの年代にそれぞれのエピソードがあり、50年という幕の終わりにそのエピソードが走馬燈のように流れて行きます。たった何分間か前のシーンのはずなのにどこか懐かしくて、いとおしくて、寂しくなる、不思議な感覚。作品自体は80分ほどととても短いですが、鬼と少女に寄り添って、温かい気持ちになったり、甘酸っぱい恋を見守ったり、一緒に戦ったり、怖がったり、心配したり、非常に密度の濃い時間を過ごしてきたような気持ちになりました。
こういった気持ちは、年齢、性別、国も超えて共通であると思います。

劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」 撮影:河西沙織
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」撮影:河西沙織

「Wordless」、セリフがないという事は、耳の不自由な人や日本語の分からない海外の人にも隔たり無く伝わるということです。特に海外の人達は、日本の歴史や殺陣に非常に興味を持ってくれている方が多いですし、サムライというものに憧れを抱いている方も多くいます。そういう人達にこそ是非見て欲しい作品。日本の伝統である殺陣の迫力を間近で感じる事が出来ると共に、ストーリー展開が巧妙で丁寧なので置いて行かれてしまう可能性も低いと思います。

そして、観客を約80分間全く飽きさせる事無く、常に物語に引き込む。これは、面白い作品、精巧な技術力を持っていないと出来ないことです。

劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」 撮影:河西沙織
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」撮影:河西沙織

もし私の声が地球の裏側まで届くくらい大きくて影響力があり、恥ずかしいという感情も無かったとしたら、「みんなー!劇団壱劇屋の独鬼、本当に素晴らしいから見て-!」と叫びたいくらい、本当に大げさではなく、それくらいたくさんの人に見て欲しいし知ってほしい。そう、思える作品でした。

今回の『独鬼~hitorioni~』、大阪公演・東京公演はすでに終了。名古屋は7月28日(土)、29日(日)の二日間公演があります。近くの方でお時間と興味のある方はこの機会にぜひ新感覚の「Wordless×殺陣」芝居を体感しに行ってみてはいかがでしょうか。

2008年から活動を開始した劇団壱劇屋。今年、2018年は10周年という記念すべき年。
その記念公演も楽しみですが、その他にも様々なイベントを用意されているみたいです!

 
ちなみに「独鬼」DVDは、8月5日まで予約受付中だそうですよー!
予約ページ ⇒ http://ichigekiyashop2.cart.fc2.com/ca0/1/p-r-s/

 

(文:越前葵)

このレビューを書いたのは

越前葵
えちぜん あおい|舞台・演劇は酸素。生きるために必要な要素のひとつ。趣味は、観劇・お城巡り・御朱印集め。劇団☆新感線の「髑髏城の七人」に影響されて、絶賛殺陣を習い中。https://twitter.com/natukig

 

 

 

公演情報

壱劇屋「独鬼~hitorioni~」

【作・演出】竹村晋太朗

【出演】井立天 大熊隆太郎 岡村圭輔 柏木明日香 小林嵩平 高安智美 竹村晋太朗 西分綾香 藤島望 丸山真輝 山本貴大 湯浅春枝(以上、劇団壱劇屋)

川本海紀 清水慎太郎 田邉雄大 長谷川桂太 石原正一(石原正一ショー) 山本一樹(演劇組織KIMYO) 竜崎だいち(羊とドラコ) 村木よし子(劇団☆新感線)

2018年6月15日(金)~17日(日)/大阪・ABCホール
2018年7月12日(木)~17日(火)/東京・シアターグリーンBOX in BOX THEATER
2018年7月28日(土)~29日(日)/愛知・名古屋市東文化小劇場

公式サイト
壱劇屋「独鬼~hitorioni~」

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