2017.12.6

彼等の“幸せ”を願わずにはいられない ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』観劇レビュー


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ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭 写真提供/東宝演劇部
 

彼等の“幸せ”を願わずにはいられない ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』観劇レビュー

 
『屋根の上のヴァイオリン弾き』は、日本初演50周年を迎えるほど愛された作品。また、それに見合う素晴らしい作品でした!
これほど長く上演されてきたのに、初めて拝見することに少々恥ずかしさを感じながらも、観劇でもらったエネルギーを綴っていきたいと思います。

 
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親 写真提供/東宝演劇部
 
『屋根の上のヴァイオリン弾き』ってどういう意味だろうと、観劇前に意味を調べてみると「アナテフカのユダヤ人はみんな、屋根の上のヴァイオリン弾きみたいなもんだ。落っこちてクビを折らないように気をつけながら、愉快で素朴な調べをかき鳴らそうとしている。」(抜粋)と書いている。
想像力が足らない自分には、なんのことかさっぱりわからず“ただの文字の情報”として処理されました。

ところが!幕が開き、屋根の上のヴァイオリン弾きを見ながらテヴィエ(市村正親)がこの台詞を発した瞬間に、すべてを理解しました。とても苦しい社会の中で生き抜くユダヤ人を描いているんだなと。

テヴィエの嘘のない言葉に、酔いが醒めるように一瞬にして世界に入り込み、民衆たちの合唱によって世界が広がる感覚を覚えました。“ただの文字”が役者の台詞によって、“生きた声”として届けてくれたことに感激しました。

ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭 写真提供/東宝演劇部

この物語は、『屋根の上のヴァイオリン弾き』の意図を観ている人に伝えられたら、作品としては成功したといっても過言じゃない。かくいう私は、冒頭にテヴィエの言葉を背負ったことにより、物語に起こるすべてのことが、いつもどこか哀しげな雰囲気を帯びて感じていたから。

娘の喜ばしい結婚についても、民族間を越えた友情があったとして……まさしくタイトル通り!演出もそれに準じていて、随所にヴァイオリン弾きが現れては、観ている側にユダヤ人の背景を想像させてくる。その度に私は、彼等の“幸せ”を願わずにはいられなくなってました。

ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭 ほか
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭 ほか 写真提供/東宝演劇部

ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親 写真提供/東宝演劇部

作品を思い出しながら書き留めていると涙目になっているんですが、劇場では一度も泣いてません。というのはこの作品、バックボーンを感じなければメチャクチャ笑えるお芝居なんです。劇場では何度も声を出して笑ってたし、お笑いの【てんどん】のような演出もあるんです!意外でしょ?(笑)

面白さを引きだしているのはやはり市村さんの演技でした!真っ直ぐな性格で、身近にいそうなリアリティあるテヴィエという男がかわいい。しきたりを重んじる人間のはずなのに、妻のゴールデに頭は上がらないし、5人の娘にもデレデレだし(笑)。娘の結婚について、何度も決断を迫られるテヴィエの結論は、回りを気にせずいつも相手の幸せを願う。劇中ではみんながテヴィエを好きになるのはわかるし、私も好きになっていました!

ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、鳳蘭 写真提供/東宝演劇部

テヴィエの妻、ゴールデの“かかぁ天下”ぶりも最高でした!個人的に大好きな鳳蘭さん、大胆でオーバーな表現が似合うし、テヴィエとの長年連れ添ったのが見ていて分かる2人の関係は、信頼と愛が見えました。市村さんに「最強の女房」と言わしめただけのことはあります(笑)。この夫婦の存在が大きかったから、娘達の生き方を、(観客は)親の目線で追えてより楽しめました。

ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、今井清隆
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」市村正親、今井清隆 写真提供/東宝演劇部

他にも見どころはたくさんあります。テヴィエと肉屋のラザール(今井清隆)との滑稽なやり取りや、少し世界観が変化する夢(?)のシーンはもう一度観たい!ダンスでユダヤとロシアの関係を表現するシーンは、本当に素晴らしかった!

一度の観劇でいくつも楽しめる作品、やっぱり生で感じてほしいテヴィエとその一家!おすすめです!

 
このレビューを書いたのは

かみざともりひと
演出家。映画監督。エンタメ劇団・骸骨ストリッパー主宰。劇団☆新感線『轟天』シリーズが大好物!
次回、ハイクオリティおぽんち公演『ごきげん!?アキラ2』(仮)4月上旬、武蔵野芸能劇場にて。骸骨ストリッパー 公式サイト

 

 

 

公演情報

ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』

台本:ジョセフ・スタイン
音楽:ジェリー・ボック
作詞:シェルドン・ハーニック
オリジナルプロダクション演出・振付:ジェローム・ロビンス
日本版振付:真島茂樹
日本版演出:寺﨑秀臣

出演:
市村正親、鳳蘭 / 実咲凜音、神田沙也加、唯月ふうか、入野自由、広瀬友祐、神田恭兵、今井清隆 / 石鍋多加史、青山達三、廣田高志、荒井洸子、祖父江進、香取新一、山本真裕、品川政治、日比野啓一、北川理恵、園山晴子 / 板垣展治、大森輝順、小南竜平、柴崎義則、下道純一、白山博基、仙名立宗、樽木和也、畠山翔太、加藤恵利子、倉澤雅美、斉藤綾香、真田慶子、菅原さおり、鈴木結加里、横尾沙季

2017年12月5日(火)~29日(金)/東京・日生劇場
2018年1月3日(水)~8日(月・祝)/大阪・梅田芸術劇場
2018年1月13日(土)・14日(日)/静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)
2018年1月19日(金)~21日(日)/愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2018年1月24日(水)~28日(日)/福岡・博多座
2018年2月10日(土)~12日(月・祝)/埼玉・ウェスタ川越 大ホール

公式サイト
ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』

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