
望海風斗、坂本昌行が夫婦役に! ブロードウェイミュージカル『ファニー・ガール』製作発表記者会見レポート

ブロードウェイで活躍した女優、ファニー・ブライスの半生を題材に、波乱万丈な人生と愛を描くミュージカル『ファニー・ガール』。1964年にブロードウェイで初演され、人々の心を震わせる物語と音楽で人気を博しました。
2022年にはハーヴェイ・ファイアスタインの改訂台本、マイケル・メイヤーの演出により、リバイバル版として上演。今回の日本公演では、マイケル・メイヤーのほか、振付のエレノア・スコット、タップ振付のアヨデル・カセルが続投し、現代にふさわしく生まれ変わった新たな『ファニー・ガール』が誕生します!
以下、製作発表記者会見の様子をお届け。
登壇者は、望海風斗さん、坂本昌行さん、水田航生さん、高泉淳子さん、益岡徹さん、中尾ミエさん。(※以下、敬称略)
ーー本日初めて舞台衣裳を着用されたと伺いました。ご自身の衣裳のポイントと感想をお願いいたします。
望海 この衣裳はファニーが一大決心をしたときに着用するものですので、そういう意味での“情熱的な赤”というのがポイントかなと思います。あとはブロードウェイ版とほぼ一緒なんですけど、日本版の衣裳としてのこだわりが現れている部分としては、中のベストの上にレースが1枚かけられているところだと伺ったので、ぜひ細かいところまで見ていただけたらと思います。


坂本 ポイントは、このフリル付きのシャツですね。燕尾にフリルというのは珍しいと思うんですけど、なぜこれを着ているのかというのは劇中のセリフで出てきますので、お楽しみに。

水田 僕の衣裳のポイントとしては、「ここまで柄を使うか!」というくらい柄柄なことですね。この華やかな衣裳にエディの性格も反映されているんじゃないかと思うので、着るとハッピーな気持ちになれる気がします。普段の僕は結構黒とかを着がちなんですけど、「これを機にオレンジの服も買ってみようかな」なんて思ったりしています。


高泉 今年のお正月にくじを引いた時にグリーンがラッキーカラーだと書いてあったんですね。なのでこの衣裳を見た時に「わっ!グリーンだ!」と思って嬉しくなりました。何か良いことがあるのかもしれないなと思っています。

益岡 馬子にも衣裳みたいな恰好をさせていただいていますけれど、それよりも特に女性達の衣裳がとても豪華で、時代感が現れているなと思います。当時、戦争から立ち上がろうとしている段階の日本から見たアメリカ文化というのは非常に憧れの対象だったと思います。そういう部分を衣裳からも再び振り返られるのではないかなと思っています。

中尾 私の衣裳、最初から最後までこの1枚だけらしいんです。「いろんなシーンがあるのに1枚だけ…?」なんて思ってちょっと寂しいんですが、それはまぁ別にいいとして(笑)。今回はあまりいろんなことは考えずにやらせていただこうと思っているんです。なにしろこの間80歳になったばかりなものですからね。いつもは白髪頭なんですけど、今回は白髪の役ではないので、ちょっと若返ってるかもなんて思いながら、私としては明るく楽しいミュージカルになればいいなと思っております。

ーー望海風斗さんにご質問です。『ファニー・ガール』への出演はご自身のキャリアの中でどのような挑戦になりそうでしょうか。また、ファニー・ブライスさんは「人とは違うこと」を武器に大スターに昇りつめた方ですが、その情熱と共鳴する部分はありますでしょうか。
望海 どの作品のどんな役でもそうですけど、公演が終わったあとに気づけることっていうのはとても多いので、きっとこの作品とも必死に向き合い続けた後に得るものはたくさんあるんだろうなと思っています。私はどちらかというと「強そう」とか「堅そう」というイメージを持たれがちで、自分自身でもそういう役のほうが得意だったりするのかなと思っているので、今回演じさせていただくファニーのユーモラスなところだったりとか、しなやかさの中にある情熱という部分は、非常に学びになるのかなと思っております。
そして…あの…もうひとつの質問が、なんでしたっけ…(困)。

※まん丸な瞳で一生懸命質問を聞き、笑顔で答え始める望海さんを見ながら、「もうひとつの質問、覚えてるかな」と思っていたら、困り眉になりだして笑いました。かわいいですね。
望海 人と違うこと!そうでした。今がどうかはわからないんですけど、宝塚時代は特に、「たくさん人がいる中でどうやって自分の個性を出していこうか」「トップになるためにどうやってその隙間に入っていくか」を考えた時に、人と違うところをすごく探そうとしていたなと思います。それで見つけた個性が、【影】とか【狂気】。決して明るいものではないんですけど、当時はあまりいなかった部分に上手くハマれた感覚があったので、自分にとっての武器であり、共に戦ってきたパーツのひとつかなと思っています。今回はそれよりもうちょっと陽の要素も多い役なので、今まであまり出してこなかった部分が出せたらいいなと思ってます。
ーー望海さんと坂本さんは初共演だと思いますが、現段階での印象を教えてください。
望海 ポスター撮影の時に初めてお会いして、今日が2回目?3回目?…2.5回目みたいな感じなんですけど。
坂本 そうですね。何の0.5かはわからないんですけど。
望海 (笑)。初めてお会いした時は、「ちゃんと役として撮れるかな」という不安はあったんですけど、坂本さんがいらっしゃった瞬間に空気があたたかくなるといいますか。大丈夫だなと思わせてくださる紳士な空気をまとって登場されたので、身を委ねるだけで良いなと思いました。

坂本 僕は先日、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』を観させていただいたんですけれども、最後のカーテンコールではける時に、望海さんがお客様に対して「おやすみなさい!」って言ったんですよね。初めて聞いたので驚いて、明るくて元気でユーモアのある方なんだなっていうのをそこで一気に感じて、その瞬間に「ファニーだな」って思ったんです。「僕はこれからこの女性を愛するんだ」と感じました。
望海 嬉しい。ありがとうございます。
ーー望海さんと中尾さんは今回「親子」という間柄で、そして、事務所の先輩と後輩でもありますが、それぞれどのような印象をお持ちですか。
望海 去年事務所の25周年コンサートで初めてご一緒させていただいて、その時にミエさんの歌声に圧倒されました。舞台稽古中は客席で見ることも出来たんですけれども、みんなミエさんの歌を聞いた後に涙して帰ってくるみたいな。歌声で包んでくださるというんですかね。音楽の素晴らしさを歌で教えていただくという良い経験をさせていただいたので、今回ミエさんがお母さんというのは本当に嬉しくて、楽しみにしています。
中尾 同じ事務所でね。バーターで出させていただきます(笑)。私はこの歳になってやっと楽しみながら仕事を出来るようになったけれど、今さら緊張とかはしないんですよね。別にメインじゃないんだからと思って。でもやっぱり舞台というのは舞台上だけじゃなくて、毎日私達がどう関わっているかが現れる場だと思うんですよね。だから本当にみんなで楽しく過ごせればと思っていますし、(望海に)いろんなところに遊びに行きましょうね。
望海 ぜひお願いします!
中尾 割り勘よ♡(一同笑い)
ーーみなさんの周りで最近起こった「ファニーな出来事」を教えてください。
中尾 だいたい同じ歳くらいのおばあちゃん達と、最近毎朝公園に集まっているんですけど、実は私、来年自分で舞台をプロデュースしようと思っていまして。そこに、日頃何もやることがなくて暇そうにしているおばあちゃん達を呼んで、コーラスをつくろうと思っているんです。自分でプロデュースする作品も最後になるだろうし、皆に出てもらたいと思ってね。それでつい2~3日前からレッスンを始めてもらったんですけど、人生で初めてステージに出るってことで皆もうたいへん興奮しちゃって(笑)。練習を見ていて、「これがデイサービスなのかな」なんて思ったりして。自分の人生の先が見えてきたので、今できることは何でもいいからやってみようと思ってやっています。たぶんこれからもファニーな出来事に遭遇するんだろうなと思う、そんな毎日でございます。
益岡 今出演している舞台で、本番が開いてからも演出の方が客席で観ていて、翌日に感想のノートをくださるんですけど、何日か前に「今日は演出の方は所用で観られません」という日があったんですね。その時に、どなたとは言いませんが、「自由だー!」っていう声が聞こえたんです。それが可愛くて、面白かったです(笑)。
高泉 3年前から健康のために水泳を始めたんですけど、久しぶりすぎてなかなか上手く泳げなくて調べたら、今って速く泳げるようになる水着とかあるのよね。もものところに浮きがついていて泳ぎやすいの。それで今度はキャップも普通のものだと塩素で髪が痛むんじゃないかと思いはじめて、それも調べたら、シリコンがいいみたいで。その中で100分の1秒速くなるっていうシリコンキャップを見つけて買ってみたんですよ。でも被るのが難しくて、ぴったりフィットするから、すぐにスポンッ!って抜けちゃうのね。この間あと30分でプールが終わるっていう時に急いでキャップを被ろうとしたら全然被れなくて、思い切ってグッと押し込んだら、スポンッ!ってすごいところまで飛んで。誰もいなきゃいいなと思って取りにいったら、益岡さんにそっくりな方が「どうぞ」と渡してくれて、ものすごく恥ずかしかったです(苦笑)。
水田 先月ニューヨークでアヨデレ・カセルさんのタップレッスンを受けさせていただいたんですけど、終わったあとにブロードウェイのミュージカルを観に行きまして。劇場の前に金属探知機があったんですね。大荷物でそこを通ったらピーピー鳴ってしまって、ガタイのいいセキュリティの方に呼び出され…。英語が全然わからないので、必死に「タップシューズ イン マイ バッグ!」と言ったら、すごくにこやかな顔になって「頑張れよ」みたいな感じで入れてくれたんです。それが若者を応援する街・ブロードウェイという感じがして、ほっこりしました。
坂本 以前出演していた舞台の公演中に、前歯が飛んだことがありまして。(一同驚愕) …当時もこんな感じでざわついたんですね。その後歯がない状態で1曲歌わないといけないっていうのが共演者全員ファニーでした。幕が閉まった後にコンタクトみたいに皆で歯を探すっていう(苦笑)。アンサンブルの方が見つけてくれて、「どこあったの?」って聞いたら「センターにありました!」って言われました。(一同笑い)
望海 今まで何度か海外のスタッフさんが来てくださる舞台に出演したことがあって、そのたびに「英語が出来たらな」と思って頑張るんですけど、挫折を繰り返して。今回も何度目かの正直で英会話スクールに入会して頑張っているのですが、レッスンが毎回ファニーです。本当に喋れないので、質問をされても単語で頑張るしかないみたいな状態なんですけど、先生たちが優しくてすごく一生懸命聞いてくれるんですよね。「今日はどんな仕事をして来たの?」とか聞いてくれて、「舞台やってきた」みたいに答えるんですけど、だいたい通じないっていう…(苦笑)。知ってる作品も少ないから、全然会話が通じない英会話を今頑張っています。もうちょっと話せるようになったところでお稽古が始まったらいいなと思っています。
ーー長きにわたり愛され続ける『ファニー・ガール』の作品としての魅力は、どのようなところに感じていらっしゃいますか。
益岡 1968年に制作された映画版を拝見して、その映画はブロードウェイ版でもファニー・ブライスを演じたバーブラ・ストライサンドさんが主演をおやりになっているんですけど、自分が見る前に勝手に抱いていた想像とは芝居が違って、「これが天性の才能なんだな」と思いました。「私は今何かを表現しているんだよ!」と大げさに訴えるのではなく、自然のままそこにいる彼女の姿にものすごく感銘を受けました。それがこの舞台での肝になっていくんじゃないかなと楽しみにしています。

※最初がご自分の番だと思わずびっくりされたのか、そのままお話を始めた益岡さんと、「マイク!マイク!」とツッコむ水田さんのやりとりが微笑ましかったです。

水田 正直な話をすると、僕はオーデションのお話をいただくまで『ファニー・ガール』という作品を知りませんでした。ですが作品を拝見して感じたのは、1960年代に描かれたはずなのに、とても現代的な話だなということです。それはなぜかというと、当時は女性が自立しているというのは「変わっている」と言われることだったのかもしれないですけど、現代ではおかしいことではないじゃないですか。「自立しているって素敵なことだよね」ということをあの時代から訴えかけてくれていたのではないかと思うと、今のお客さんの心にも響く物語だなと思います。
リバイバル版に初めて触れた時に、タップダンスをはじめとするショー的な要素が上手く融合されて、エンターテインメントの力がとても強い作品になっているなと思いました。温故知新がしっかりと組み込まれて魅力が増していると思うので、お客様にも染み渡っていくのではないかと思っています。

望海 夢を持つこと、そしてその夢を叶えるために自分を信じること、周りにどんなことを言われても自分で自分の可能性を諦めない情熱を思い出させてくれる作品だと思います。大人から子供まで楽しんでいただける作品でもありますし、長く愛され続けている楽曲がたくさんある、ミュージカルならではの魅力がたくさん詰まった作品だと思います。

坂本 ファニーの前向きな生き方と明るさというのはお客様に大きなメッセージとして伝わるのではないかと思っています。予習なども特に大丈夫ですので、とにかく観に来ていただいて、ステージ上で行われているものを十分に楽しんでもらえたら嬉しいなと思っております。
高泉 1960年代の作品が、なぜ今リニューアルされて再びヒットしたのかを考えた時に、きっと普遍的なテーマだからだと思ったんですね。どんなに時代が進んでも、ハッキリ言って世間はまだまだ男社会だし、なかなかワガママを言えずに突っ走っていくしかない女性達がたくさんいるんだと思うんです。そんな中でこの作品では、ファニーが歌う「♪パレードに雨を降らせないで」という歌が勇気を与えてくれるんですよね。だからいろんな人に観てほしい。「生きていくのが嫌だ」とか「仕事やめたい」とか思っている人達には特に。もちろん女性だけではなく男性もね。とにかく音楽が良いし、心が跳ねるような物語なので、ぜひ観に来ていただきたいです。

中尾 私は1960年代にリアルタイムで仕事をしていた人間ですから、たぶん一番抵抗なく浸れると思うんですけど、でもやっぱりエンターテインメントっていうのは非現実的な気持ちになって観ていただきたいと思うんですよね。あの当時を味わっていただくにはこういう作品を観ていただくしかないと思うし、その時代にしか生まれない音楽ってあるじゃないですか。今の時代には生まれないであろうロマンティックな音楽がいっぱいあるので、ぜひ懐かしんでいただきたいです。あの時代を知らない方がほとんどだとは思いますが、良い時代だったんですよ。それを体感していただきたいと思います。

中尾さんが「みんなでバカやろうよ」と声をかけてユーモアたっぷりなポーズをたくさん提供してくださった登壇者の皆様。
ひとポーズ決まるごとに楽しそうな笑いが起こる、終始明るい雰囲気の会見でした。
本作は、東京・日生劇場で9月8日に開幕。その後、大阪、福岡、愛知でも上演されます。
詳細は公式サイトで!
https://www.tohostage.com/funny_girl/
(写真撮影・文:越前葵)
ブロードウェイミュージカル『ファニー・ガール』
【音楽】 ジュール・スタイン
【歌詞】ボブ・メリル
【脚本】イソベル・レナート
【改訂台本】ハーヴェイ・ファイアスタイン
【演出】マイケル・メイヤー
【振付】エレノア・スコット
【タップ振付】アヨデル・カセル
【演出補】ジョハンナ・マッケオン
【出演】
ファニー・ブライス:望海風斗
ニック・アーンスティン:坂本昌行
エディ・ライアン:水田航生
ストラコシュ夫人:高泉淳子
フローレンツ・ジーグフェルド:益岡徹
ブライス夫人:中尾ミエ
【東京公演】2026年9月8日(火)~29日(火)/日生劇場
【大阪公演】2026年10月9日(金)~18日(日)/梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】2026年10月24日(土)~11月1日(日)/博多座
【福岡公演】2026年11月10日(火)~15日(日)/御園座

