ヴェデキントの傑作舞台に大浦千佳、市川蒼らが挑む 『ルル‐地霊・パンドラの箱‐』シアター・アルファ東京で2024年12月上演
舞台『ルル‐地霊・パンドラの箱‐』
深作組『ルル‐地霊・パンドラの箱‐』が2024年12月18日よりシアター・アルファ東京で上演される。
2021年よりドイツ戯曲を立て続けに7作品上演した深作組が、〈ドイツ・ヒロイン三部作〉第二弾として、この冬フランク・ヴェデキントの野心作『ルル-地霊・パンドラの箱-』を上演する。
本作は、『地霊』と『パンドラの箱』の二篇から成る時代に翻弄されながら男たちを破滅させてゆく娼婦〈ルル〉の愛と堕落を描く物語。
第一次世界大戦末期、ベルリン。
新聞社役員シェーンは、浮浪児ルルを自宅に連れ帰り、美しい女性に教育した。
謎の男シゴルヒ、老医師ゴル、画家シュヴァルツ、曲芸師ロドリーゴ、熱心な少年フーゲンブルクら、次々とルルに魅かれては、破滅してゆく男達。
やがて嫉妬に狂ったシェーンは、ルルに銃を向けるが、返り討ちとなる。
投獄されたルルは、レズビアンの伯爵令嬢ゲシュヴィッツ、幼馴染のアルヴァらに救出され、パリへと逃げのびる。
そこへ襲いかかる、1929年の〈世界恐慌〉。娼婦として路上に立つようになったルルに、切り裂きジャックのナイフが容赦なく迫る。
世界を覆う次の戦争の影と、〈崩壊〉の予兆……。
男たちを次々と虜にしていく主役ルルには、過去に深作組への出演経験もある大浦千佳、ルルと兄妹のように育つアルヴァ役には、今作が初舞台となる人気声優の市川蒼が顔を揃えた。
大浦千佳
「深作さんに「わたしが、ルル役ですか?!」と何度も伺いました。それくらいに主人公ルルの人間性の掴めなさや、想像を絶するような環境を生きていくハイパーガールを、わたしが?!?!と何度も。有難いことではあるのですが、緊張と不安と少しの楽しみが交錯しています。
日本では、オペラや名女優の方々で上演されている『ルル』。深作さんをはじめ、信頼できる共演者やスタッフさんに支えてもらいながら、全力で取り組みたいと思っております。
深作版『ルル』きっと観たことのない演劇体験になると思います。」
市川蒼
「アルヴァ役を演じさせていただきます、市川蒼です。
声優という職に就いてから初めての舞台ということで、台本に書かれているセリフひとつひとつが今までにない新鮮さを感じさせてくれています。
魅了、翻弄、狂気、破滅。その中に光る純粋さ。ルルという女性と、その生涯に巻き込まれていく男たちをどうぞ劇場でお楽しみいただければと思います。」
深作健太(演出)
「あまり上演機会の少ないドイツ演劇を、大好きな仲間たちと一緖に。
そんな想いでスタートした深作組も、あっという間に8作品目。
ヴェデキント作『ルル ー地霊・パンドラの箱ー』をお送りします。
この作品は19世紀末の発表当時、何度も上演禁止となった〈問題作〉です。
のちに魔性の女、ファム・ファタールの代表として語られるようになるルル。
しかし現代の視点を持ち込むなら、裏町に立つ彼女は決して悪ではありません。
まるで鏡に映る虚像のように、刻々と姿を変えてゆく大役に、大好きな千佳ちゃんが挑みます。そして最も信頼する声優、蒼くんの初舞台。ようやく御一緒できる萩野さんや、宮地さんをはじめとする深作組レギュラー陣がガッチリ脇を固めます。
今回は物語の背景を、1917年から1933年にナチスが台頭するまでの、二つの世界大戦の時代に読み替えて上演します。
〈新たなる戦前〉といわれる現代。
平和へのささやかな祈りが、少しでもこの残酷な世界に届きますよう。
クリスマス前の、忘年会公演。ぜひ劇場へお出かけください。」
本作は2024年12月18日(水)~12月22日(日)までシアター・アルファ東京で上演される。
19日(木)18:30回および20日(金)14:00回の公演終了後にはトークセッションの開催も決定。詳細は公式サイトで。
https://fukasakugumi.com/lulu
(文:エントレ編集部)
舞台『ルル-地霊・パンドラの箱-』
【翻訳・ドラマトゥルク】大川珠季
【音楽・演奏】西川裕一
【演出】深作健太
【出演】
ルル役: 大浦千佳
アルヴァ役: 市川蒼
ゲシュヴィッツ役: 七味まゆ味
シュヴァルツ役: 葉山昴
ロドリーゴ役: 小田龍哉
フーゲンベルグ役: 小林風花
シェーン役: 宮地大介
シゴルヒ役: 萩野崇