
これは舞台か、アトラクションか。カロリーで進む物語の新体験「エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)『汗が目に入っただけ』」観劇レビュー

撮影:岩﨑幸哉
2026年4月3日(金)東京・IMM THEATERにて、舞台「エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)『汗が目に入っただけ』」が開幕しました。主演は鈴木保奈美さん、脚本・演出は、喜劇やシチュエーションコメディを得意とするアガリスクエンターテイメントの主宰・冨坂 友さん。鈴木さんと冨坂さんは、ワンカットの生放送ドラマ『生ドラ!東京は24時 -シンガロング!-』、ドラマ『人事の人見』、2024年の舞台『逃奔政走(とうほんせいそう)-嘘つきは政治家のはじまり?-にてタッグを組んでいる。
初日に先駆けて開催されたゲネプロと取材会に参加してきましたので、レビューと取材会の様子を温度感そのままにお届けします。まずは、取材会のレポートから。
いよいよゲネプロが終わり初日を迎えますか心境はいかがですか?
鈴木さん:
稽古期間は怒涛のような4週間だったんですが、おかげさまでチームワークは素晴らしい結束ができ、何が起こっても誰かが助けてくれる、大丈夫という感じです。
足立さん:
この劇場に入ってから一本通したのが今日が初めてだったので、初めて一本通してみて、稽古場じゃないお客様の反応を見て「ここで笑うんだ」という色んなものがちょっとだけ分かった気がしたので、明日からの初日もフルパワーで私たちできるんじゃないかな?と思っています。
小越さん:
やっと実感が少しわいたと言いますか・・
でも、稽古がずっとみんなで探りながら色んな挑戦をして”あーだ、こうだ!”ってやってきたので、まだ稽古の延長にいるような感覚もあったりもして、明日がすごく楽しみです。
西野さん:
1ヶ月間本当にずーっと劇場でネタとかもセーブして初めての舞台に全力を注いできました。いざ今日、初めての冒頭のシーンの幕が上がる1分前くらいに自分が小道具の携帯を持っていないと気づいて「ヤバイ」ってなって、みんな静観している中後ろで携帯を探し、ギリギリ「あった!」と、ポケットに入れた瞬間「アーメ~♪」と幕が上がるという、ほんまにギリギリで・・・。
でも、この1カ月死ぬほど練習してきたので、「こっから立て直すぞ!大丈夫だ!」って思って、大事な冒頭で大カミするという、、、(笑)。精神がもうグチャグチャになりましたね。ただ、やっていくうちにやっぱり楽しくて、明日は最初から楽しい気持ちで頑張っていきたいな!って思います。
司会:「怖いものない!」って感じですね。
西野さん:もう最初にがっつり噛んでおいたので、先に噛んでおいたので(笑)
蘭寿さん:
カロリーの部分がどう皆様に刺さるのかと感じていましたが、今日、笑ってくださったのがすごく嬉しくて、私もすごく乗っていけました。 出演者のテンションも「ガッ!!」って上がったって感じがあります。
田中さん:はい(深い)。明日・・ね・・・◎△$♪×¥○&%#?
(一同笑)
本当にここに入って初めて通したので、本当にもう吐きそうなぐらい緊張していて今日は噛まずにやれているかな?と思ったら、ギターもボロボロで「今どこやってるんだろう」状態になって、明日が心配。
(一同笑)
足立さん:楽しみじゃないんだ・・(笑)
田中さん:ある意味油断テストをしたような・・
西野さん:あぁ~。あれやっといてよかったですね。
田中さん:本当に、ねぇ。本番前に失敗しないと引き締まらないから。
西野さん:大丈夫かな?端二人失敗組みたいな・・(笑)
(一同大笑い)
田中さん・西野さん:すみません・・・。
司会:これを受けて、いよいよ明日から初日が開くわけですけど、心境はいかがですか?
冨坂(作・演出)さん:
この作品は他のお芝居に比べて、お客さんの反応が2回気になるので、前半のコメディでどうなるかな?ってヒヤヒヤし、後半ついてきてくれるかでヒヤヒヤする。2倍ヒヤヒヤするんですけれど、ありがたいことに明日の夜が本番なので、明日の昼に返し稽古が出来るじゃないか!と思って、色々メモっているので、後で皆さんにお伝えして修正してもらいたいなぁ~と思っております。
司会:保奈美さん、以前からよく聞いているんですけれども、冨坂さんすごい直しが入るってことで、今のあの発言はいかがでしたか?
鈴木さん:もちろん!(力強く)わかってました!
司会:受けて立つ!と。
鈴木さん:明日夜だけ来ればよいとは思っておりません(笑)

撮影:岩﨑幸哉
シチュエーションコメディを演じながら、いかにカロリーを消費できるかどうかを競うという斬新なアイデアは、いつどのように浮かんだのでしょうか?
冨坂さん:
僕はもともと、ワンシチュエーションのコメディの作品ばっかりを作っている人なんですけど。やっている中で段々、昔からある形式をただやるだけでいいのかなぁ~と常々思っていて、割と色んな実験をちょこちょこしています。上演形態の方から考えるみたいなことをちょこちょこ考える癖があって、カロリーは、友達とご飯を食べている時に盛り上がったんで「やっちゃった」という感じです。
この舞台を演じてみて実際にどう感じたか?
またここ本当に頑張っているのよ!ということはありますか?
鈴木さん:本当に全部!全部。本当に体力勝負ですね。
司会:保奈美さんは本当に出ずっぱりで。
足立さん:私たちは出入りがあるんですけど、一回も捌けないんですよ。
鈴木さん:でも、カロリーが始まると、私はベンチお水が飲めるので(理由は舞台でお確かめください)
司会:でも、あそこぐらいですよね。すごい体力と精神力。
鈴木さん:
カロリーに関しては、普段のお芝居でやってはいけない「そんなぁ~!!(手振りあり)」とか、良くない言い方ですけど、わざとらしい大きな動きだとか、実況解説のセリフの間を”ちょっと待つ”など、真逆のことをしなくてはいけなくて、「そんなことはしてはいけない!」って育ってきて、「あえてしろ!」って言われている。真逆のことをしなきゃいけないというのは、稽古始まった当時はものすごい葛藤がありました。 心と体がバラバラみたいな。
司会:足立さんもカロリーがよくわからないって最初仰っていたような・・
足立さん:
はい、未だにわかっていないかもしれないんですけど。でも、誰もわかることがないのかなぁ~って、一生分からないかなぁ~って思っています。
でも、ちょっとずつ稽古してみて、台本貰って演ってみて、「あ、こういうことなのかな?」って少しずつ掴みかけて、明日初日なのに・・ごめんなさい。「まだつかめてないんかい!!」って、感じなんですけど。
前半戦と全然違うお芝居をするので、どこまで前半戦と違和感なく、でもカロリーを分かりやすくするか、というところは、常に考えています。

撮影:岩﨑幸哉
小越さん:全然分かってないです(笑)。
(一同笑)
小越さん:1ヶ月ずっと稽古をしていますけど、ずっと探っています。「何をやったらいいんだろう~」とか、「どういうことをしたら面白いんだろう~」とか、「どうしたら普通のお芝居の中でおっきくできるだろう~」とか、色んなことを探りながらやっているんですけど、探ることができる毎日というのが、面白いです。今日ゲネプロをして、関係者の方々が観に来てくださって、一つ片鱗というか「こういうものなんだ」というのが見えた感じがして、明日からお客さんが入って、一緒に作り上げていくんだろうなぁ~って今すごく感じていますし、 楽しみだなぁ~って思っています。
西野さん:
最初この話をいただいた時に、カロリーが関係するということで、最近めちゃくちゃ筋トレをしていて「消費カロリーを稼ぐなら持ってこい!」というのを最初思ったんです。で、ガンガンこれに合わせてジム行って、いつでも消費カロリー消費しますよ!って感じでいたら、まさかの僕の役は、「真面目にお芝居しましょうよ」そっち側やったというのを台本を見て驚愕しました。
「消費カロリーじゃなくてそっち行くんだー」というところから始まったんですけど、徐々に徐々に翔との掛け合いとかもあって感情が変わってきて「グワー」っと。皆さんは涙くるところじゃないと思うんですけど、翔とスポ根漫画のようなシーンがあるんですけど、そこで僕ちょっと泣きそうになって、やっぱり野球部出身というのもあって、熱くなりますね。
司会:小越さんと西野さん本当に仲良くなっていますよね。
西野さん:歳も近くて、創兄~って。顔合わせから1週間後くらいでみんなで飲み会があったんですけど、「2軒目も行きましょう~創兄」みたいな感じでカラオケとか行って。慕ってくれる、ほんまの兄弟みたい。
足立梨花ちゃんともずっと稽古場でも席が隣だったんです。ちょっと気が強い部分があると思ってたんですよ。
足立さん:誰のこと?(食い気味に・・)
(一同笑)
西野さん:だから、兄妹喧嘩って時に「足立梨花ちゃん口喧嘩強そうやな・・怖いなぁ~」
(一同笑)
と思ったんですけど、僕も「ガッ!」と行く役割だったんで、ガーッと行ったんですけど、普段のトークとかは全然朗らかな感じで、時にはボケもありますけど。
足立さん:ないですよ~
西野さん:いいバランスでやれてます。3兄弟がほんまにいい感じに関係性が出来ています。
司会:蘭寿さん、すごくカロリーを使ってらっしゃると思うんですけど・・
蘭寿さん:
そうなんですよね。翔の言う「芝居ってカロリーですよね!」というあのセリフを聞いた時に、前半からわりとカロリー使って、カロリー芝居かのごとく振り回されているので、あのセリフがすごい沁みるんです。
(一同笑)
その通りだと思って。
足立さん:本当?芝居ってカロリーなんだ・・(笑)
小越さん:本当にそうだなぁ~ってすごい納得しちゃってる(笑)
司会:宝塚時代から含めてちょっとまた蘭寿さんの違った魅力が今回引き出されている、なんて声が上がっているんですけど・・
蘭寿さん:ここまでのコメディ初めてなんですけど、脚本があまりに面白いので、やってて楽しくてしょうがないです。
司会:これは・・冨坂さん、これは嬉しい声が・・
冨坂さん:嬉しいですし、蘭寿さんは僕は喜劇俳優だと思ってますから。
(一同大笑い)

撮影:岩﨑幸哉
司会:田中さん、出てきた時からフルにカロリーを使ってらっしゃいますよね。
田中さん:僕は、泣くことと怒るだけでカロリー使っていますけど・・・
司会:歌うこともあります。
田中さん:歌うこともありますね。
司会:もともとギターはお弾きになるんですか?
田中さん:ギターは、小学校6年の時に秋の音楽会でたぶん2つか3つのコードで演奏した以来ですから、50年ぶりにギター触りますね。99%素人、初心者です。
司会:このために練習を?
田中さん:2ヶ月くらい。ただ、ボブディランが言っていた少年は5年間練習していたみたいですけど、僕は2カ月で仕上げました。
西野さん:なんのマウントですか?誰に対しての??
(一同大笑い)
田中さん:最近の映画見て、彼こんなに役作りに時間使ってたんだ・・って思って、間に合わないわ・・
(一同大笑い)

撮影:岩﨑幸哉
カロリーのシーンは、稽古場ではどのような雰囲気で進められたのでしょうか?
鈴木さん:最後までカロリー抜きで真面目にやってみて・・
足立さん:しっかりとみっちりと。
鈴木さん:20日間くらいやってみて「結構いけるかも、できるかも」と思ったら、「こっから後半はカロリーになります」って言われて、全然違う細かい台本が「ダーー!」ってきて
冨坂さん:結局色々繋がったものに実況だとか解説とか色んなものが差し込まれて、みんなが組み立てたものが一旦バラバラになるという・・
(一同大笑い)
足立さん:「ハーフタイムで!」って言われたとき、いったい何だろう?って、正直・・・
司会:皆さん、知らなかったんですね。
足立さん:最初知らなかったです。
冨坂さん:最初は中身だけ「汗が目に入っただけ」という台本で稽古してて・・
鈴木さん:
知らなくはないんですが、やっぱり実際やってみないとそれがどういう形になるのかわからないので、解説と実況のお二人が来て、あと審判の鹿島さんがいらして、私たちがやろうとしている時に全部ストップをかけられていくので「うっ」ていう。でも、連携して私たちも実況を聞きながら、聞いて次のセリフを言う、いつもの芝居以上に、3倍くらい複雑なことをしている。
足立さん:
初日の本読みが終わった後に「ここからこういう風になって・・」という説明は受けているんですけど、言葉で説明を受けても理解が追い付かない。やらないとやっぱりわからなかったので、20日間くらい稽古して、そこからやって、「こういうことなのかぁ~」って、身に沁みるみたいな感じです。
司会:鈴木さんずっと出ずっぱりってことですが、この2時間の中で一番大変なのはどのシーンですか?
鈴木さん:最初ですね!自分のオープニングと3人のテンポ、これさえ決まれば、あとはどんどん誰かが来て、回してくれるのでそこに私は乗っかっていこうと思っています。
司会:家族の絆が出来たってことですかね?
鈴木さん:本当にこれはチームワークですね。
司会:そこに入ってくる蘭寿さんも相当ですね。
鈴木さん:私、幽霊なので、今回初めて誰も目を合わせてくれないし、誰にも触れない。触っても触れてない・・誰にもアプローチできないのがつらいし、ものすごく寂しいんです。本当に寂しくて、蘭寿さんがいらした時に本当に嬉しくて・・
(一同笑)
鈴木さん:「この人についていこう」と思いました。
最後にメッセージを!
冨坂さん:
なかなか見たことのないコメディになっているかと思いますけれども、まずは、あんまり構えずに鈴木保奈美さんが主演のお葬式のコメディを楽しみに劇場にいらしていただければ、色んなことが起こると思いますので。劇場でお待ちしています。
鈴木さん:ここにいる私たち全員が一番観たいと思っています。客席でこれを観られないのが本当に残念です。そのくらい面白いと思いますので、ぜひ皆様、劇場に目撃しに来てください。お待ちしております。

撮影:岩﨑幸哉
まさかの“タッグ作品コンプリート”だった!
今回の舞台の案内を見ていて気づいたのですが……なんと、鈴木保奈美さんと冨坂友さんのタッグ作品、コンプリートしておりました!
ということで、これはやはり観ておかねば、と思い拝見してきました。
保奈美さんの舞台としては『レイディマクベス』が最初になりますが、そこから気になる存在となり、『生ドラ!東京は24時 -シンガロング!-』、舞台『逃奔政走(とうほんせいそう)-嘘つきは政治家のはじまり?-』、『人事の人見』と追いかけてきました。まさか、そのすべてが冨坂さんとのタッグだったとは……少し驚いてしまいました。ここからは、そんな縁のある作品のレビューをお届けします。
「エクストリーム(kcal)」の意味を知らないまま・・・
さて、今回の舞台「エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)『汗が目に入っただけ』」ですが、前半戦は“少し変わったコメディ作品”と思って観ていました(笑)。
タイトル前半の「エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)」の意味をまったく理解しておらず、というか、正直あまり気にも留めていなかったのです。
そのため、後半戦の最初は何が始まったのかよく分からず……。
舞台上で“カロリーを競う”というジャンルの舞台が実在するのか!?と真剣に考えたり、この動きはアドリブなのか、それとも脚本通りなのかと混乱したり。
しかし、しばらくするとその独特の世界観にも慣れ、次第に作品を楽しめるようになりました。これまでの舞台とは全く異なる、新しい感覚の舞台との出会いになりました。

撮影:岩﨑幸哉
家族のリアルが詰まった“お葬式コメディ”という土台
物語は、共同で喪主を務める子どもたちが、保奈美さん演じる母親の葬儀のやり方を巡って揉めるところから始まります。兄妹がいれば、どの家庭でも起こり得るようなリアルな問題です。
それを当の母親が“霊魂となって見ている”という設定も興味深く、本人の意見をこうして聞けたらいいのに、「本当はどうしてほしかったのだろう・・・」そんなことを、舞台上のやり取りを眺めながらふと考えてしまう、そんな前半戦の始まりでした。

撮影:岩﨑幸哉
笑いが加速する前半戦、そして油断していたその先へ
そこに、騒動に巻き込まれる葬儀社の担当らしき女性(蘭寿とむ)や、さらに事態をややこしくする別れた夫(田中要次)が登場し、コメディ色は一気に加速します。葬儀というテーマが持つ現実的な重みと行き来していた意識が、「お葬式コメディとして笑って楽しめばいいんだ!」と、振り切ることでコメディとして笑っている間に物語が進んでいきました。
「half time」で世界が一変!!カロリーとの戦いが始まる
そして問題(?)は後半です。
そもそも“half time”とは一体何なのか?と戸惑う間もなく、舞台の様子が一変します。
ステージ上にはモニターや解説席が現れ、審判まで登場し、舞台は謎の空気感に包まれます。
何が起きているのか理解するまで少し時間がかかりましたが、カロリーの増減と物語の進行、その両方が気になり始めてなかなか忙しい観劇体験となります(笑)。
ストーリー自体は前半同様、お葬式コメディとして進んでいくのですが、キャストの動きがどうにもおかしく、ストーリに集中するのもなかなか困難な状況になっていきます(笑)。

撮影:岩﨑幸哉
役者なのか選手なのか?観客も巻き込まれる異次元体験
特に印象的だったのは蘭寿とむさんの動き。「そこでそれをやる!?」という場面もあり、見逃せないポイントのひとつでした。もちろん蘭寿さんに限らず、皆さんがさまざまな場所で“目立たないように目立ちながら”奮闘しているので、メインで進行している役者以外にもぜひ注目していただきたいところです。
観ているこちらも、いつの間にか応援する側になったり、審判のような気持ちで「今のはアウトでは?」と思ったり、逆に審判にツッコミを入れたくなったり(笑)。
舞台はどの作品も“その一回限りの生もの”ですが、本作はその中でもさらに一段階上の“生”を感じさせる作品でした。ふと思い出したのは『生ドラ!東京は24時 -シンガロング!-』です。意外性もなく、そりゃそーだよね・・ではありますが(苦笑)。
“生”を超えた舞台―毎回変わる可能性という魅力
カロリーの数値はリアルに反応して変化していきます。回を重ねていくと、思うようにカロリーが消費されない回や、その逆の展開もきっと生まれるような気がします。その時キャストはどう対応し、どのようなチームワークを見せてくれるのか?
そこも見どころのひとつになってくるのではないかと感じました。
そもそも、この日観た舞台がどこまで想定内で、どこからが想定外だったのかも正直分からない。その“分からなさ”を含めて想像を巡らせる時間もまた、この作品の楽しさの一部だと思います。

撮影:岩﨑幸哉
笑いの奥にある、家族の想いとすれ違い
劇中では、お葬式コメディとしての役柄だけでなく、“カロリーに翻弄される役者としての姿”、さらに出番のない時間にベンチで見守るカンパニーの一員としての表情など、ひとつの舞台で多面的な顔を見ることができます。
これはもはや舞台というより、客席も巻き込む“体験型アトラクション”と言ってもいいかもしれません。
一方、もちろん物語は笑いだけでは終わりません。
お互いを思いやる気持ち、家族の絆、想いの強さ、そしてそれを伝えることの大切さ。強い想いがあるからこそ、すれ違ってしまう現実。そんな日常にも通じるメッセージが丁寧に織り込まれています。
大笑いしたかと思えば、ほっこりしたり、ふと涙がこぼれたり・・・。
本当に大切なものは何かを考えさせてくれる作品でもありました。
もし願いが叶うなら・・・。
葬儀の場で、あの人は何を思っているのか・・。そっと聞いてみたい、そんな気持ちにもなります。

撮影:岩﨑幸哉
カロリー=熱量が生む、不思議な感動
さらに、“熱量(カロリー)”というテーマから受け取るエネルギーも印象的です。
一見ハチャメチャに見える構成を、キャストの力と脚本の強度、そしてある種の“力業”で成立させてしまう。
実際、後半になるとキャストの皆さんの演じるエネルギーもかなり高くなってきます。
一見ハチャメチャだし、大げさだけど、そのこと自体にも不思議な感動を覚える魅力がありました。
チームワークが生み出す舞台の完成度と今後への期待
鈴木保奈美さんが取材会で強調されていた「チームワーク」という言葉にも深く納得しました。取材時にも感じられたカンパニーの仲の良さが、そのまま舞台上の“家族の絆”や“結束”として伝わってきます。
冨坂さんが「さらに修正を加える」と語っていたこともあり、初日以降どのように進化していくのかも非常に気になるところです。
情報量が多く、一度で消化するのはなかなか難しい作品だと思います。だからこそ、ぜひ複数回観劇して、このアガリスクエンターテイメントとキャストの皆さんが創る世界観をじっくり味わってみてほしいと思います。
(文:松坂柚希)
エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)『汗が目に入っただけ』
◻︎脚本・演出
冨坂友
◻︎出演
鈴木保奈美 足立梨花 小越勇輝
前田友里子 斉藤コータ 榎並夕起 津和野諒 中田顕史郎 古谷蓮
伊藤圭太 淺越岳人 鹿島ゆきこ
西野創人(コロコロチキチキペッパーズ) 蘭寿とむ 田中要次
◻︎制作
アガリクスエンターテイメント
◻︎公演日程
【東京公演】
公演日程:2026年4月3日(金)~19日(日)
会場:IMM THEATER
【広島公演】
公演日程:2026年4月22日(水)~23日(木)
会場:上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)
【大阪公演】
公演日程:2026年5月2日(土)〜3日(日)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【富山公演】
公演日程:2026年5月16日(土)〜17日(日)
会場:砺波市文化会館 大ホール
【山形公演】
公演日程:2026年5月23日(土)〜24日(日)
会場:やまぎん県民ホール
□公式サイト
汗が目に入っただけ公式サイト

