
ジャンルや表現が心地よく溶け合う“コラボレーションの楽しさ”を存分に体感 『混頓vol.8』観劇レビュー

『混頓vol.8』©AOI Pro.
「わかるわかる」と何度も共感 「これぞコント!」という安心感 『混頓vol.8』観劇レビュー
すでにvol.8を迎えた人気シリーズ『混頓』。開場中に映し出される映像も可愛らしくポップで、自然とワクワク感が高まります。さらに群青団地さんによる、ゲネプロならでは(?)の自虐ネタも交えた前説がとても軽快で、観客の緊張をふっとほどき、作品への入口を心地よく作ってくれていました。

『混頓vol.8』©AOI Pro.
一本目の『応援変換』は、開始早々「え、何が起きているの?」と軽く混乱する展開からスタート。その戸惑いすら作品のスパイスになっている構造がとても印象的です。小森隼さんは意外性のある芝居に加え、想像以上に迫力のある声量で一気に空気を掴みます。牧島輝さんもまた意外な役柄で、振り切った役作りが強烈。細部まで作り込まれたキャラクターは思わず目を奪われる完成度で、渡邉美穂さんとの会話も絶妙なテンポを生み出していました。笑いの場面でありながら、役者同士の呼吸がしっかり伝わってくる芝居としても見応え十分。イワクラさんも、登場するだけで場の空気を軽やかに変える独特の存在感が光っていました。

『混頓vol.8』©AOI Pro.
個人的にかなり心を掴まれたのは、幕間映像コントドラマ『声を録れ!~隠れアフレコ作戦~』。短編ながら展開がコンパクトで理解しやすく、映像のテンポも軽快で気持ちがいい。丹生明里さんの無邪気さとしたたかさが同居する表情はとても魅力的で、思わず引き込まれてしまいます。ココリコ田中直樹さんの落ち着いた芝居、ゆうきさんの頼りなさを感じさせる空気感も絶妙に混ざり合い、短編ながら満足度の高い仕上がりでした。
その流れで続く幕間コントはプレッシャーも大きかったはずですが、群青団地さんがしっかりと笑わせてくれます。シンプルな設定と分かりやすさが「わかるわかる」と何度も共感を呼び、「これぞコント!」という安心感がありつつ、本編とのコントラストも楽しめる贅沢な構成でした。

『混頓vol.8』©AOI Pro.
『セパレートな妻たち』では一転して演劇的な密度が高まり、役者同士の力量が試される展開に。アドリブのように感じられる瞬間や、ゲネプロならではのハプニングすら舞台の熱量へと変えてしまう柔軟さも印象的で、ライブ感の面白さを存分に味わえます。
ジャンルや表現が心地よく溶け合う“コラボレーションの楽しさ”を存分に体感できる本作。笑いもあり芝居もあり、気づけばくすりと笑ってしまう余韻型の面白さがじわじわと積み重なり、観終わったあとにしっかりと満足感が広がる公演でした!
(文:かみざともりひと)
AOI Pro.コント公演『混頓vol.8』
【脚本・演出】
灯敦生/マンボウやしろ
『セパレートな妻たち』 作: 灯敦生
『応援返還』 作: マンボウやしろ
【出演】
小森隼(GENERATIONS)、渡邉美穂、牧島輝、イワクラ(蛙亭)
コントドラマ「声を盗れ!〜隠しアフレコ作戦〜」
【脚本】深見シンジ
【監督】井上博貴
【出演】
丹生明里/ゆうき(土佐兄弟) /高橋健介(声の出演)/
野口かおる/田中直樹(ココリコ)
2026年2月12日(木)〜2月15日(日) 草月ホール
2月12日(木) 15:00 / 19:00
2月13日(金) 15:00 / 19:00
2月14日(土) 14:00 / 18:00
2月15日(日) 12:30 / 16:30

