
演劇という《想像の遊び場》を改めて味わえる 文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』観劇レビュー

文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』観劇レビュー
文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』観劇レビュー
「劇場がなくても、美術や照明がなくても、どこでも成立する芝居を」というコンセプトを掲げた本作は、【文学座】と【演劇集団キャラメルボックス】による異色のコラボレーション!文学座の“ことばの重み”とキャラメルボックスの“物語を転がす力”がどう混ざり合うのか――興味津々でゲネプロ公演を観劇してきました。
舞台に広がるのは、空き地や公園を思わせる最小限のセット。コンセプトに添った潔い姿勢。俳優陣も、誰かが前に出すぎることなく、それぞれの役割を丁寧に積み重ねていく印象。誰か一人が突出するというより、全体が安定した群像劇として進んでいく安心感があった!

文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』観劇レビュー
物語は、教授とゼミ生たちが“その場にあるもの”を手がかりに、宮沢賢治の世界を立ち上げていく構成。どんぐりを拾えば、それはもう賢治の物語の一部になる。ここで求められるのはリアルな再現ではなく「信じる力」。まさに“演劇は大人のごっこ遊び”だと実感させられる瞬間が続く。

文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』観劇レビュー
そんな中で、あえて一歩引いた立場にいるのが多田君(劇中劇以外では役者本人の名前で呼ばれます)。みんながどんぐりやリンゴを”宮沢賢治”と受け入れていくなかで、彼だけは納得しきれない。その視点が、この作品にほどよい引っかかりを与えてくれる。賢治をそのまま受け取らず、立ち止まって考える目線があるからこそ、 観客も自分の距離感で物語と向き合える!

文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』観劇レビュー
『どんぐりと山猫』『注文の多い料理店』といったおなじみの題材は、過剰な演出に頼らず、あくまで“今ここで生まれる遊び”として展開される。草木を揺らす仕草だけで世界が立ち上がり、どんぐりたちのやり取りに思わず頬が緩む。さらに、身の回りの物を叩いて音を出し、やがて音楽になっていく場面も楽しくて最高!感覚までほぐされる!
後半には音楽性の強いエピソードや、ファンタジー色の濃い物語も登場し、舞台上の想像力はどんどん広がっていく。その流れの中で、多田君がどんな答えにたどり着くのか…ここはぜひ劇場で確かめてほしい!

文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』観劇レビュー
観終わったあとに「自分は何を信じていたんだろう?」と考えたくなる、不思議な余韻が残る作品。宮沢賢治が好きな人も、そうでない人も、演劇という“想像の遊び場”を改めて味わえる本作でした。
(文:かみざともりひと)
文学座×キャラメルボックス『賢治島探検記 2026』
【原作】宮沢賢治(「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」「どんぐりと山猫」「セロ弾きのゴーシュ」)
【構成】成井豊(演劇集団キャラメルボックス)
【演出】西本由香(文学座)
【出演】
栗田桃子 石橋徹郎 萩原亮介 宝意紗友莉 渡邊真砂珠 山下瑛司(以上 文学座)
畑中智行 筒井俊作 多田直人 原田樹里 木村玲衣 石森美咲
(以上 演劇集団キャラメルボックス)
2026年1月7日(水)~18日(日) /東京・新国立劇場 小劇場

