2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

人生まるごと青春だ!! 2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕 『SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-』観劇レビュー

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

人生まるごと青春だ!!
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕
『SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-』観劇レビュー

ツキステ。シリーズ第15幕は、“月野学園”を舞台に繰り広げられる新たな青春群像劇。
笑いあり、胸が熱くなる瞬間ありの“アオハル全開”なステージは、長年のファンはもちろん、初めてツキステ。に触れる観客にもまっすぐ届く温かさが印象的でした。

ステージは終始明るく、自然と笑顔になる時間が続きます。
そして新たに加わった工藤大夢さんが、キャラクターを丁寧に掴み取りながら、チームの空気に溶け込んでいたのが印象的でした。
シリーズを重ねてきたからこそ感じる“懐かしさ”と“新しさ”が同居する舞台――それが今回のツキステ。第15幕の魅力です。

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

ツキステ。とは

「ツキステ。」とは、2012年12月に始まったドラマCD『ツキウタ。』シリーズを原作とする、2.5次元舞台作品です。
“月”をモチーフに、12か月を象徴するキャラクターたちが、歌やダンスで季節の移ろいと成長を描く――そんな世界観を、芝居とライブを融合させた舞台として表現しています。

物語の中心となるのは、アイドルグループ「Six Gravity(シックスグラビティ)」と、「Procellarum(プロセラルム)」。
それぞれに個性豊かな6人、計12人のメンバーが所属し、互いに支え合う姿がシリーズを通して描かれてきました。

2016年に第1幕が上演されて以来、シリーズは回を重ね今年10月で第15幕を迎えます。
キャストの卒業や新たな挑戦を経ても、作品は成長を続け今も多くのファンに愛され続ける作品となっています。

学園に響く、青春の“今”

舞台の舞台は、私立月野学園高等部。
学園祭を目前に控えた生徒たちは、部活や受験、進路のことで忙しい日々を送りながらも、どこか名残惜しさを感じています。

部活と勉強の両立に悩む皐月葵、幼馴染の卯月新との放課後の会話。
弓道部を引退した葉月陽が、次期部長に長月夜を指名し、戸惑いながらも新たな一歩を踏み出す姿。
それぞれの“青春のかたち”が軽やかに、そして温かく描かれています。

物語の軸となるのは、卒業を控える者と、見送る者たちの想い。
「ずっとこの日々が続けばいいのに」——そんな願いと、前に進む勇気。
そのどちらも抱えながら、彼らは“今”を全力で生きています。

全体を包むのは、シリーズならではのポップで明るい空気感。
学園祭の準備に追われる騒がしさや、仲間との掛け合いが生き生きと描かれ、観ているこちらまで自然と笑顔になってしまう。
“青春の眩しさと切なさ”を等身大に詰め込んだ、まさにアオハルの王道ステージです。

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

仲間の空気がそのまま舞台に

ステージに立つ彼らの姿からは、チーム全体の仲の良さが自然と伝わってきました。
長く同じ作品を共にしてきたからこその信頼感、息の合った掛け合い、そして“ツキステ。という居場所”を大切にしている空気が、舞台全体を柔らかく包み込んでいます。

今回特に印象的だったのは、新キャストとして加わった工藤大夢さんの存在です。
シリーズに途中から参加するプレッシャーもあったはずなのに、それを感じさせないほど、彼は最初からそこに“いた”ように自然でした。
演じるキャラクターの魅力をしっかりと落とし込みつつ、時に美しく、時に精一杯弾けて霜月隼というキャラクターを演じています。
彼の加入が作品に新しい風を吹き込み、同時にこれまでの空気を損なうことなく調和していたの印象的でした。

また、舞台上の彼らのやり取りには、観客を思わず笑わせるような軽快なアドリブや自然な表情も多く、見ていて「この人たちは本当に一緒に過ごしているんだな」と感じさせる瞬間がいくつもありました。
ひとりひとりが自分の役を深く理解し、互いを信頼して演じている。
それが結果として、観客の心にも届く“リアルな青春”を作り出していたのだと思います。

ツキステ。第15幕は、キャスト同士の絆とチームワークが作品の軸になっていると感じました。
長く続くシリーズだからこそ表現できる、関係性の深さや安心感。
そして、その上に新しい挑戦が重なっている。
その絶妙なバランスが、今作を特別なものにしていました。

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

魅力的な衣装

ツキステ。の魅力のひとつに挙げられるのが、細部までこだわり抜かれた衣装です。
芝居パートでは、原作「ツキウタ。」シリーズのデザインを忠実に再現しながらも、舞台上での質感やシルエットに合わせた調整が施されており、キャラクターの個性や立場をより鮮明に映し出しています。
特に月野学園の制服は同じタイトルの「ツキステ。第3幕 2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージTRI!「SCHOOL REVOLUTION!」の時とは、また異なり学園という舞台設定の中で
現実とフィクションの境界を自然に溶け合わせている印象を受けました。

一方で、ライブパートの衣装は原作のイメージをしっかりと踏襲しながらも、照明やダンス映えを意識した立体的なデザインが際立っています。
動きに合わせてきらめく装飾や、各ユニットのカラーをモチーフにした配色は、キャラクター性とステージ演出をつなぐ重要な役割を果たしています。
照明や映像演出との組み合わせによって、衣装そのものが“演出の一部”として機能していたのも印象的でした。

また、衣装の完成度は、キャスト自身のキャラクター理解や表現力とも相まって、作品全体のリアリティを高めていました。
ただの再現ではなく、「ツキステ。」という世界を現実に存在させるための“鍵”として機能していたと言えます。
観る者の目を楽しませながら、キャラクターへの没入感を自然に引き上げてくれる――そんな衣装の力が、この作品の大きな魅力のひとつになっていました。

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

ダンスと演出 ― 物語とライブが交差する瞬間

ツキステ。のもうひとつの大きな見どころは、ダンスライブパートです。
今回は公演によってメインが「Six Gravity(グラビ)」と「Procellarum(プロセラ)」に分かれる構成でした。
それぞれのユニットを中心にしたステージングは、「Six Gravity(グラビ)」と「Procellarum(プロセラ)」どちらのユニットの魅力も十分に生かされており、どちらの回も作品全体を異なる角度から楽しむことができる素晴らしいステージングでした。

ライブパートでは、最新曲から初期の楽曲までがバランスよく組み込まれており、長くシリーズを追ってきたファンにも、今回初めて触れる観客にも開かれた構成になっていました。
特にユニットごとのパフォーマンスは完成度が高く、舞台上に“本物のアイドル”が存在しているかのような錯覚を覚えるほど。
それぞれのキャラクター性を生かしたダンス、細やかな表情の変化、そして一瞬一瞬を丁寧に積み重ねる姿勢が印象的だった。

物語としての青春のきらめきと、ライブとしての熱狂が一体となり、観客がその世界の中に引き込まれていく――まさに“2.5次元ダンスライブ”ならではの体験がここにありました。

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

キャラクターの芝居・関係性の魅力

本作では、幼馴染同士の2組――皐月葵と卯月新、葉月陽と長月夜――の関係性が特に印象的でした。
葵と新の関係は、感情を言葉で受け止め合う安心感が特徴的で葵の寂しさを新が真っ直ぐに受け止め、「おれも寂しいけど大丈夫」と応える姿は、観客にも二人の信頼関係が伝わる瞬間となっていました。

一方、陽と夜の関係は、より複雑な心理の絡み合いで描かれています。
夜は自分の寂しさを口に出せず距離を取ってしまい、陽も夜の気持ちを理解できずに葛藤する。
しかし舞台の中で、互いにすれ違いながらも徐々に向き合い、ぶつかることで解決へと進む過程が丁寧に描かれていました。
この対比は、観客に「言葉にできない感情」と「受け止め合う安心感」の違いを自然に伝える構造になっており、キャラクターの個性や関係性の深さを際立たせています。

演技のテンポや間合いも見事で、笑いのある軽快なシーンと心の葛藤が交互に織り込まれることで、舞台全体に生き生きとした“人間らしさ”が生まれていました。
幼馴染同士の感情を軸に、キャラクターたちの成長や友情、そして青春の熱量が観客に伝わる、見応えのある芝居パートでした。

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

舞台全体の印象

ツキステ。第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」は、学園祭を控えた高校生たちの青春模様を、ポップかつ丁寧に描かれた舞台でした。
芝居パートでは、キャラクターの葛藤や幼馴染同士の関係性が丁寧に表現され、観客は自然に彼らの心情に引き込まれます。

ライブパートでは、グラビとプロセラのユニットごとのステージングや最新曲から過去の楽曲までバランス良く取り入れられ、
長くシリーズを追ってきたファンも、今回初めて触れる観客もそれぞれ楽しめる構成となっていました。

衣装や演出も、原作の世界観を忠実に再現しつつ、舞台上で映える工夫が随所に施されています。
照明や映像、ダンスとの組み合わせによってキャラクターやシーンの魅力が最大化され、観客はまるでアニメやCDの世界に入り込んだかのような没入感を味わえます。

全体を通して感じられたのは、キャスト同士のチームワークと長年培われたシリーズならではの安心感です。
新キャストの加入や青春の葛藤の描写が加わることで、新鮮さもありつつ過去作からのファンも楽しめるバランスが保たれていました。

この第15幕は、青春のきらめきや友情、仲間との絆をテーマに、観客に笑顔と熱量を届ける完成度の高い舞台でした。
学園祭前のわくわくと切なさが混ざった時間を、ぜひ劇場で体験してほしい一作です。

2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」
2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第15幕「SCHOOL REVOLUTION 月野学園物語 -百年アオハル-」

STORY

「一緒に青春しようぜ!」

―――ここは私立月野学園高等部。

放課後に幼馴染の卯月 新と談笑しながらも、部活と受験勉強の両立に追われる皐月 葵。

引退試合を終えた弓道部部長・葉月 陽から次期部長に指名されて戸惑う長月 夜。

それぞれが悩み、迷いながらも精一杯それぞれの「青春」を謳歌する中、
最大の行事『月野祭』を控えて、学園内には準備期間からお祭りムードが漂っていた。

ずっとこんな毎日が続けばいいのに、卒業の日はだんだん近づいていて……。

こんな if-もしかしたら-のアオハルもいいんじゃない?

 
詳細は公式サイトで。
https://www.tsukista.com/15th/

(文:河内友美)

公演情報

【原作】ムービック
【脚本・演出・振付】錦織伊代(アイデアフラッド)/井川 軋
【キャラクター原案】「ツキウタ。」シリーズ:じく
「infinit0」シリーズ:さいのすけ
【演出】野元準也

【出演】睦月 始 役:縣 豪紀、弥生 春 役:太田裕二、卯月 新 役:中島礼貴
皐月 葵 役:上仁 樹、師走 駆 役:澤邊寧央、如月 恋 役:鈴木遥太
霜月 隼 役:工藤大夢 文月 海 役:平井雄基 葉月 陽 役:鷲尾修斗
長月 夜 役:秋葉友佑 水無月 涙 役:佐藤友咲 神無月 郁 役:佐藤智広

2025年10月14日(火)~2025年10月19(日)/日本青年館ホール

公式サイト
https://www.tsukista.com/15th/

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