天海祐希も出演!期待を超える面白さ!『鎌塚氏 震えあがる』観劇レビュー

撮影:宮川舞子

シリーズ初のホラー・コメディ!『鎌塚氏 震えあがる』が世田谷パブリックシアターで開幕

宅弘城さんが主演を務め、2011年から定期的に上演されている人気シリーズ「鎌塚氏」の第7弾『鎌塚氏 震えあがる』が、2025年3月30日より世田谷パブリックシアターで幕を開けました。

前作『鎌塚氏、羽を伸ばす』から約2年半ぶりの新作となる今回は、シリーズ初の世田谷パブリックシアターでの上演。これまでの本多劇場とは異なる新たな舞台での挑戦ということで、期待が高まります。

出演者には、シリーズを大ファンだと公言する天海祐希さんや池谷のぶえさんも名を連ね、観客をどのように楽しませてくれるのか注目されていました。事前情報がほとんどない中、期待とワクワクを胸に迎えた初日の舞台。その観劇レビューをお届けします!

「鎌塚氏シリーズ」とは?

まずはシリーズの歴史を少し振り返ります。「鎌塚氏シリーズ」は、倉持裕さんによる作・演出で、三宅弘城さん演じる執事・鎌塚アカシを中心に展開されるコメディ作品です。シリーズは2011年に第1弾『鎌塚氏、放り投げる』から始まり、これまで6作品が上演されてきました。

  • 第1弾『鎌塚氏、放り投げる』(2011年)
    三宅弘城、ともさかりえ、片桐仁、広岡由里子、玉置孝匡、佐藤直子、大河内浩
  • 第2弾『鎌塚氏、すくい上げる』(2012年)
    三宅弘城、満島ひかり、田中圭、市川実和子、広岡由里子、玉置孝匡、今野浩喜、六角精児
  • 第3弾『鎌塚氏、振り下ろす』(2014年)
    三宅弘城、ともさかりえ、片桐 仁、広岡由里子、玉置孝匡、ベンガル、北村有起哉
  • 第4弾『鎌塚氏、腹におさめる』(2017年)
    三宅弘城、二階堂ふみ、眞島秀和、谷田部 俊、玉置孝匡、猫背 椿、大堀こういち
  • 第5弾『鎌塚氏、舞い散る』(2019年)
    三宅弘城、ともさかりえ、片桐仁、小柳友、広岡由里子、玉置孝匡、岡本あずさ、大空ゆうひ
  • 第6弾『鎌塚氏、羽を伸ばす』(2022年)
    三宅弘城、二階堂ふみ、櫻井海音、玉置孝匡、マキタスポーツ、西田尚美
    撮影:宮川舞子

開演から引き込まれるテンポ感

長い間コロナの影響を受け、なかなか思いっきり笑う機会が少なかったですが、鎌塚氏は思いっきり笑い、怖がり、そして、何とも言えぬ温かさに包まれる、そんな舞台でした。

冒頭は息のピッタリ合った鎌塚アカシ(三宅弘城)さんと、上見ケシキさ(ともさかりえ)さんのテンポのよい会話から舞台がスタートします。
流石、今回で4回目の鎌塚氏での共演となる、ともさかさんと三宅さん。息がピッタリなのも納得です。

ちなみに、鎌塚氏シリーズを初めて観劇される方への豆知識ですが、「鎌塚氏」の読み方は「かまづか」です。「かまつか」ではありません!
私も初観劇時に読み間違えていた一人なので、ぜひ覚えておいてください(笑)。観劇をして初めの衝撃は読み方が間違えていたことでした。しかも、私だけではなく、仲間が沢山いました・・・(笑)。

冒頭からテンポの良い展開に引き込まれ、この舞台への期待が自然と高まります。
作・演出を手掛けた倉持裕さんのコメントにもあるように、「本気で笑わせに来ています!」という意気込みが舞台全体に伝わってきます。客席には「安心して笑っていいんだ!」という空気感が広がり、温かく心地よい雰囲気の中で物語が進んでいきます。

舞台演出「盆回し」の魅力

今回の舞台では、場面転換に「盆回し」を活用した演出が印象的でした。舞台上で回転する盆が、お屋敷内の移動や場面展開を表現する仕掛けとして使われています。見えているままを活かした使い方で、それがまた楽しく、観客を舞台の世界に引き込む力を持っていました。「あ、これやっちゃうんだ?」と思わず笑ってしまう場面もあり、観客として舞台の世界に引き込まれる感覚が味わえます。まるで1つのアトラクションに参加しているような気分になり、鎌塚氏の独特な世界観にどんどん魅了されていきます。

さらに忘れてはいけないのが、随所に散りばめられたマジックの仕掛けです!どこからどこまでがマジックなのか悩むような場面もありつつ、「えっ!?どうなってるの?」と思わず驚く仕掛けが満載。観るべきポイントが多すぎて、目が足りなくなるほどの楽しさに溢れています。


撮影:宮川舞子

待ちに待ったカグラ様の「降臨」です!

そして、いよいよその時がやってきます。「そろそろ?そろそろ?」と待ち続けた時間はどれほどだったでしょうか。
ついに、大御門カグラを演じる天海祐希さんの登場です!

天海祐希さんの舞台を観劇したことがある方なら、「降臨!」という言葉がぴったりな登場シーンを思い浮かべるのではないでしょうか。今回も例に漏れず、まさに「降臨!」という表現がふさわしい圧巻の登場でした。
ただ、これまでの舞台とは少し違い、天海さん自身が「カグラ降臨です!どーだー!」と満更でもない雰囲気で登場されるのが印象的で、期待感がさらに高まります。

カグラ様のキャラクターについてですが、凛としてカッコいい天海祐希さん……というより、バラエティ番組で楽しんでいる天海祐希さんを彷彿とさせるコミカルなキャラクターといった印象です。それでも、ふとした仕草にはやはり圧倒的なカッコよさが滲み出ていて、観客を魅了します。

途中では、「天海祐希様にこんなことをさせるなんて……!(笑)」と思わず突っ込みたくなるようなシーンも何度かあります。しかし、ご本人のコメントにもあるように、天海さんが明らかに楽しそうに演じているので、観ている側もなんだか嬉しくなってしまいます。天海さんが実はお笑い好きであることを知らない方が観たら、少し驚いてしまうかもしれませんね。

心の声が台詞に・・・

上手いなぁ~と感じたのは、私たちの心の声がそのまま台詞として出て来たりすることです。
突っ込みたくなる時には、ちゃんとキャストの誰かが突っ込んでくれていて、面白いものを面白く見ることが出来ます。今迄に感じたことがないような、お芝居とお笑いが綺麗に共存していて、心地よさを感じます。

役柄に投影された俳優たちの個性と魅力

キャスト陣は個性派揃いで、それぞれが魅力にあふれています。役柄にご本人の持つ魅力が自然に投影されているようで、皆さんが楽しそうに演じている様子が伝わり、とても印象的です。以下にキャストの魅力をご紹介します。


撮影:宮川舞子

アカシ役:三宅弘城さん
三宅さんといえば、いつも面白いキャラクターを演じる印象が強いですが、今回もその期待を裏切らず面白いです!しかし、アカシさんはただ面白いだけではなく、ちょっと頼れる存在であり、少しカッコよさも感じさせます。ただし、「すごくカッコいい!」というわけではなく、その絶妙なバランスがまた魅力的です(笑)。

ケシキ役:ともさかりえさん
ともさかさんを舞台で拝見するのは初めてでしたが、テンポの良いお芝居が非常に心地よく、観ていて楽しい気分になります。さらに、ケシキさんのキャラクターとともさかさん自身に重なる部分もあり、役柄とご本人が自然に行き来しているような感覚がありました。

スミキチ役:玉置孝匡さん
スミキチさんはチャーミングで天然なキャラクターで、勝手にきっちりした役だと思い込んでいたので、そのギャップにほっこりしました。主人であるユラコさん(池谷のぶえさん)との掛け合いも絶妙で、観ているだけで幸せな気持ちになります。

アガサ役:羽瀬川さん
アガサさんは舞台のキーとなる重要な役柄で、途中で複数のキャラクターを演じ分ける場面があります。その演技は全く別のキャラクターとして成立しており、見事です。天海祐希さんとはまた異なる意味でチャレンジの多い役柄で、注目すべきポイントのひとつです。


撮影:宮川舞子

ユラコ役:池谷のぶえさん
池谷さんは演技の幅が広い役者さんですが、今回のユラコさんもとても素敵でした。チャーミングに侯爵夫人を演じており、スミキチさんとのコンビは抜群のバランスで、応援したくなるような魅力を持っています。

ナオツグ役:藤井隆さん
藤井さんは「藤井隆さんらしさ」が全開で、とてもピッタリな役柄でした。コミカルな動きで笑いを誘いつつ、しっかりとしたお芝居のシーンもあり、役者としての魅力を存分に発揮しています。義理の姉であるカグラ様とのシーンでは、お二人の演技の魅力をたっぷりと堪能できます。


撮影:宮川舞子

カグラ役:天海祐希さん
最後にご紹介するのは、再びになりますが、カグラ役の天海祐希さん。今回のカグラは謎めいたキャラクターで、「怖い」「面白い」「優しい」といった要素がすべて詰め込まれています。さらに謎のパワーを持つ存在ですが、カグラ様=天海さんなら納得してしまう不思議な説得力があります。そして、どこか寂しがり屋な一面も感じさせ、人間離れしていながら非常に人間らしいキャラクターに仕上がっています。


撮影:宮川舞子

引き込まれる世界観を作るペアの掛け合い

見逃せないポイントを挙げればきりがありませんが、私がおすすめしたいのは「二人ずつの掛け合いのシーン」です。舞台全体でキャストが揃う場面も多くありますが、二人ずつの掛け合いのシーンは特に印象的で、それぞれのペアが観客をその世界にぐっと引き込んでくれます。以下のペアの掛け合いはぜひ注目していただきたいポイントです。

  • アカシさん × ケシキさん
  • アカシさん × カグラ様
  • カグラ様 × ナオツグさん
  • ユラコさん × スミキチさん

どのペアも、それぞれのキャラクターの個性が際立ち、掛け合いの妙を楽しむことができます。舞台の魅力をさらに深く味わうために、ぜひこれらのシーンにも注目してみてください。


撮影:宮川舞子

観るたびに新たな発見!笑いと深みの絶妙なバランス

初日の観劇は、思いっきり笑って帰ってきましたが、ふと振り返ると、ストーリー自体が意外と深いことに気づきました。この舞台は、1回目は大いに笑い、その後複数回観ることでストーリーの奥深さにも意識を向けて楽しむことができる、そんな魅力を持った作品です。

さらに、これは私の希望的観測ですが、舞台の回数を重ねるごとにキャストの皆様のシナジーが高まり、楽しさがさらに増し増しになっていくのではないかと思います。特に、お笑いが大好きな天海祐希さんが、観客を本気で笑わせに来る「恐怖」も体感してみたいものです。きっと、色んな意味で震えあがる舞台になること間違いありません。

チケットは完売してしまっていますが、当日券もあるようですので、ぜひ、チャレンジしてみてください。

パンフレットもぜひ手に取っていただきたいです。キャスト座談会を通じてカンパニーの仲の良さが伝わり、この舞台が観客を惹きつける理由が感じられる内容になっています。

(文:松坂柚希)

 

公演情報

M&Oplays『鎌塚氏、震えあがる』
作・演出:倉持裕

〈出演〉
鎌塚アカシ:三宅弘城
大御門カグラ:天海祐希
上見ケシキ:ともさかりえ
宇佐スミキチ:玉置孝匡
相良アガサ:羽瀬川なぎ
八鬼ユラコ:池谷のぶえ
相良ナオツグ:藤井隆

主催・製作:株式会社M&Oplays

◻︎公演日程
【東京公演】
公演日程:2025年3月30日(日)~4月20日(日)
会場:世田谷パブリックシアター

【島根公演】
公演日程:2025年4月24日(木)
会場:島根県民会館 大ホール

【大阪公演】
公演日程:2025年4月29日(火・祝)~5月6日(火・休)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

【新潟公演】
公演日程:2025年5月10日(土)~5月11日(日)
会場:りゅーとぴあ新潟芸術文化会館 劇場

【愛知公演】
2025年5月15日(木)~5月18日(日)
会場:東海市芸術劇場 大ホール

公式サイト
https://mo-plays.com/kama2025/

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