いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』製作発表

鬼を演じる柚香光「この紅に、血潮が燃えるという意味を込めて」新感線流お伽噺 舞台『紅鬼物語』製作発表レポート

いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』製作発表いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』製作発表 撮影:田中亜紀

劇団☆新感線『紅鬼物語』の製作発表が行われ、作の青木豪、演出のいのうえひでのり、出演の柚香光、鈴木拡樹などが登壇した。

 
本作は2025年で45周年を迎える劇団☆新感線の記念イヤーを飾る第1弾公演。演出の いのうえひでのりの「昔々あるところに・・から始まるような、伝承で語られるような物語をやりたい」という発案から始まり、青木豪が脚本を手がけ、これまでにない新感線流お伽噺を上演する。
モチーフとなるのは、古来より多くの村や町で伝承が残る“鬼”。人と人ならざる者が生きる世界で繰り出される重厚なストーリーでありながら、新感線らしく歌って、踊って、存分にショーアップされたエンターテインメントになるという。

主演は2024年5月に宝塚歌劇団を退団し、演劇としては今作が退団後初の舞台となる元花組トップスター柚香光。そして、喜矢武豊、一ノ瀬颯、樋口日奈を加えた4名のキャストが新感線に初参加する。
さらに、早乙女友貴、千葉哲也、鈴木拡樹ら豪華俳優陣も集結し、粟根まことをはじめとする平均年齢50代の劇団員が出演する。

本作の製作発表が行われ、報道陣の前で本作への意気込みを語った。
 

作:青木 豪
僕はいのうえさんから『今回は昔話みたいな話を、いつもとちょっと毛色の違う感じでやりたい』というご提案をいただきました。ちょうど5、6年前ぐらいに僕が鬼退治の話を書いてみたいなと思ったことがありまして、その頃ちょうど『鬼滅の刃』という作品が流行り始めていた頃だったので、当時それを書くと、まるで乗っかったみたいに思われるのは、良くないなと思いまして・・・。今はもうぼちぼち鬼退治は書いてもいいだろうなと思ったので、温めていたものや、いろいろと昔話を調べ直したもので、今回鬼の物語を書こうというような感じになりました。

演出:いのうえひでのり
鬼をモチーフにした話は、劇団☆新感線では『阿修羅城の瞳』や『朧の森に棲む鬼』などがあるんですけど、鬼を扱っている作品って、征服者や敵国のメタファーだったりすることが多かったんです。鬼そのものの存在を怪物として扱っている昔話みたいなものは実はあまりやっていなくて、今回は民話・伝承を由来にするようなファンタジーをやってみたいなと思っていたんです。今回は柚香さんが来てくださるということになったんで、これはいい機会だから、新しいことに挑戦しようと思って、この作品の方向性になりました。
だから民話とか昔話などの独特の生々しさとか怖さとか、そういうニュアンスとかも出たらいいなと。あと、ちょっとエロチックだったり、生々しい感じがあったりするのが、民話だと思うので、いつもの新感線がやっているものよりはちょっとトーンが違うものになると思います。
あと今回は、若手俳優さんたちがずらりとメインになるので、そういう意味ではイケメン祭りというかね、お客さんも大喜びみたいな感じのところは俄然盛り上げたいなと思っております!

柚香 光
私は出演が決まった時にはもう本当にドキドキバクバクといたしました。本当に嬉しくて、こんな光栄なことがあるのかと嬉しく思いました。私、宝塚歌劇団を卒業してから9ヶ月になるんですけれども、初めての顔合わせの後の、全く初対面の皆様との台本の読み合わせをしました。私は初めて男性の方と本読みをさせていただきましたので、何もかもが新鮮で刺激的でした。本当に初めての本読みですか?というような軽快なやり取りでした。
劇団☆新感線といえば、華やか、迫力、そして立ち回りの数々。一度見たら心がグッとつかまれるような、そんなエネルギーのあふれた舞台だと思っています。
皆様と一緒にこれから作品作りをさせていただけますことをすごくワクワク、そして気合が入っております。

早乙女友貴
今回は人ではなく鬼になります。4年前に僕は『狐晴明九尾狩』という作品で狐の霊の役をやらせていただいて、その時には耳だったり尻尾だったりがあり、あと手動で耳を動かすという小ネタなどがいっぱいありました。今回は一体どういったビジュアルになって、どういった小ネタが増えるのか、楽しみにしていただけたらなと思います。

喜矢武 豊
大好きな憧れの劇団☆新感線に出演できるということですが、正直、何で僕が呼んでもらえたのかなっていう部分が結構ありまして・・・。普通ね、変なエアバンドのエアギタリストを呼ばないでしょうと思って。せっかく出させていただけるので、120%の力で頑張りたいと思いますし、もし足を引っ張ったらギャラは返金したいなって思います。それぐらい頑張ります!

一ノ瀬 颯
僕にとってはこれが初舞台となります。自分にとっての大事な初舞台を、この伝統があって、皆さんに愛される劇団☆新感線に参加して迎えられるということをすごく嬉しく思います。
それと同時に、これだけ活躍されている方々と一緒にやらせていただくということにすごく不安もありますので、とにかく必死に食らいついて行きたいと思います。皆さんにいろいろなことを教わりながら、足を引っ張らないように、とにかく必死で乗り切りたいと思っております。

樋口日奈
私は以前から劇団☆新感線さんの舞台を拝見させていただいていて、もう本当に圧巻と言いますか、終演後に陶酔してしまうような魅力に圧倒されていました。
今回45周年という記念イヤーの舞台に立たせてもらえるということを聞いた時は、もう嬉しさと高揚感から本当に夢が叶ったような心地でした。
本読みを先日終えて、これからお稽古が本格的になっていくと思うんですけれども、この幸せを噛み締めつつ、気を引き締めて最後まで頑張っていきたいなと思います。

粟根まこと
今回、鬼とか 武士とか 偉い方とかがたくさん出る舞台の中で、ある村の村長として、庶民代表として頑張りたいと思います。そしてイケメン祭りの一角をきちんと担いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

千葉哲也
イケメン祭りでも若者チームでもないので・・・。多分このカンパニーのキャストの中では一番年上になると思うので、皆さんの足を引っ張らないように頑張ります。

鈴木拡樹
自身としては7年ぶりの出演となりまして、非常に楽しみにしております。また、45周年という素晴らしいイヤーに呼んでいただいて本当に嬉しく思います。劇団員の皆様、そして劇団ファンの皆様、本当に45周年おめでとうございます。その気持ちをちゃんと背負って舞台に立ちたいと思いますので、次の50周年に向かってもらうために、いいスタートにしたいと思います。

夫婦役を演じることについて聞かれた二人は、

柚香 妻になります。よろしくお願いします。

鈴木 夫になります。よろしくお願いします。まだ本読みだけなのでこの距離感なんですけれども・・・。

柚香 まだちょっとギクシャクしてますね・・・。

鈴木 でも、本読みの時も、ちゃんと相手を見て本読みしてくださっていて。僕、もっとちゃんとせりふを入れてくれば良かった!って後悔しました。

柚香 ちょうど真正面で本読みをさせていただいたんですが、一緒にお芝居させていただけるのが楽しくて。これからよろしくお願いします。

『髑髏城の七人〜Season月・下弦の月』以来、7年ぶりの出演となる鈴木は、

鈴木 あの時はダブルチームだったので、稽古時間も半分だったんです。今回はフルに使えるので、前回を踏まえてさらに成長できるように頑張りたいと思います。ただ、千本ノックだけは勘弁していただきたいんですが・・・。

いのうえ そうですね。あるかもしれませんね、千本ノック。

と、ニヤリ。

いのうえ 柚香さんには今までやられたことのない役、母性とか包み込むような感じとかね。鬼なんだけど、鬼を押さえ込んで生きているゆえに儚いとか弱いとかいうところもある。今まではかっこいい男性の役をやってこられたと思うので、きっと真逆のものを要求されることになると思います。
また、拡樹はより大きな愛を持って受け止めるみたいなことがあると思うので、髑髏城の頃よりも全然違うものを求められると思います。

と語った。

また、早乙女友貴はプライベートでも仲がいいという喜矢武豊が新感線に出演することについて

早乙女 僕もびっくりしました。その緊張感が先日の本読みの時にも出ていて、第一声で声が震えまくっていて・・・。

喜矢武 言うなよ!

早乙女 僕は、声が出て笑いそうになるのを必死でこらえていました。

喜矢武 そんなことはない!

早乙女 その前から僕に「ちょっと稽古場がデカくない?」って言ってきて。

喜矢武 デカいんですよ、稽古場が! あと弁当が豪華。すごいですよ。

また、立ち回りについて聞かれ、

喜矢武 年末くらいに友貴に稽古してもらったんですよ。なんでしょうね。思ったより次元が違ってて。たぶんコテンパンにされます。

早乙女 コテンパンにしたいなと思います。

喜矢武 僕がコテンパンにしなきゃいけないんですけどね。

と、和やかに語っていた。

製作発表の最後の挨拶では、

柚香 今回「鬼」という役をさせていただくことが本当に嬉しくて、今からやるぞ!という気合に満ちております。紅子は本当に素敵な鬼で、鬼という存在でありながら、人間にこういう思いを抱くというのはすごい方だなと思いながら本読みをしておりました。妻であり母であるという役も初めてのことなので新しい挑戦だなと思っております。キャスト、スタッフの皆様、お客様の期待にお応えできるような役作りができればと思っております。
紅子の「紅(あか)」のお衣裳なんですが、紅には魔除け、情熱、生命力といった意味が込められておりますが、私はこの紅に、血潮が燃えるという意味を込めて、自分にしかできない役作りをしていきたいなと思っております。この作品に皆様と一丸となって努めていきたいと思います。

と、熱く締めくくった。

 
いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』製作発表
いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』製作発表 撮影:田中亜紀

【大阪】追加公演決定/公式サイト特別先行(抽選)が開始

本作の大阪公演において、以下の2ステージが追加されると発表された。

【追加公演】2ステージ
2025年5月21日(水)18:00
2025年5月28日(水)18:00

また、公式サイト特別先行(抽選)が3月13日(木)から開始された。

詳細は以下のページで。
http://blog.vi-shinkansen.co.jp/?p=10572

 
公演詳細は公式サイトで。
http://www.vi-shinkansen.co.jp/akaoni/

(撮影:田中亜紀 文:エントレ編集部)

2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 
いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』

【作】青木 豪
【演出】いのうえひでのり

【出演】
柚香 光/早乙女友貴 喜矢武 豊 一ノ瀬 颯 樋口日奈/粟根まこと 千葉哲也/鈴木拡樹

右近健一 河野まさと 村木よし子 インディ高橋
山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 
村木 仁 川原正嗣 武田浩二

川島弘之 あきつ来野良 藤田修平 北川裕貴
米花剛史 武市悠資 本田桜子 藤 晃菜

2025年5月13日(火)~6月1日(日)/大阪・SkyシアターMBS
2025年6月24日(火)~7月17日(木)/東京・シアターH

公式サイト
http://www.vi-shinkansen.co.jp/akaoni/

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