シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16―演劇―
くによし組『ケレン・ヘラー』
中井千聖 名村辰 大場みなみ ほか超個性派俳優の出演が決定!
世田谷パブリックシアターが、次代を担うアーティストの発掘と育成を目的として、2008年より実施している「シアタートラム・ネクストジェネレーション」。白井晃芸術監督が就任した2022年以降、節目となるvol.15 でリニューアルし、リニューアル後初の演劇部門のアーティストとして「くによし組」が選出された。2024年12月、シアタートラムにて、くによし組主宰の國吉咲貴作・演出作『ケレン・ヘラー』(2008年初演)を改訂上演する。
SNSが浸透し、刺激的なコンテンツが増えた社会で、面白いと不謹慎の境目は一体どこなのか、面白さを追求するあまり、禁断の領域に踏み込み、転がり落ちていく様を描く本作。解散の危機に陥ったお笑い芸人がお喋りロボットを相方に起死回生を図るという奇想天外な設定ながら、巧みなストーリー展開と俳優陣の演技が評価され、初演時には佐藤佐吉賞最優秀作品賞に輝いた。
この度、本作の出演者が発表された。
主人公でお笑いコンビのネタ担当・アフロ子を演じるのは中井千聖。宮藤官九郎作・演出舞台『もうがまんできない』の出演者オーディションで多数の応募の中から選出されて2020年に俳優デビューし、近年では大人計画の作品をはじめ、数々の舞台や映像作品でめざましい活躍を続けている。
アフロ子が過激化した姿の悪アフロ子を演じるのは、モダンスイマーズやタカハ劇団などでの好演が記憶に新しい名村辰、アフロ子の相方・ケイト役には、ロロや贅沢貧乏をはじめとする気鋭の劇団や演出家からの信頼が厚い大場みなみが決定。
くによし組の立ち上げメンバーの一人である永井一信を筆頭に、これまでにもくによし組の作品に出演し、國吉の演出意図をくみ上げ表現してきた花戸祐介、佐藤有里子、てっぺい右利き、柿原寛子のほか、初参加となる谷川清夏も加わり、新しい『ケレン・ヘラー』の世界を立ち上げる。
女性お笑いコンビ、“ポジティboo”のアフロ子とケイトは、ヘレン・ケラーを題材にした不謹慎なコントが原因で活動休止に追い込まれ、価値観の違いから解散に!ひとりぼっちになったアフロ子の前に、突如、神様さんという謎の人物が現れる。
神様さんの助言により、アフロ子はお喋りロボットのサリバンちゃんを購入して相方にすると、新生“ポジティboo”として一発逆転を試みる!
神様さんの助言に従うほど注目されていくアフロ子だったが、あるとき、自分の目と耳に不調が起きていることに気づき……
世田谷パブリックシアター芸術監督・白井晃 選出コメント
國吉さんの作品は、いつも虚実が隣り合わせにある。隣り合わせと言っても、普通の距離感の隣り合わせではなく、本当に隣接していてくっつくように存在している。むしろ虚実がめり込んで存在していると言っても良い。だから一見不条理劇のようにも見えるが、不条理劇ではない。むしろ、國吉さんの世界の登場人物はとても条理にかなっているものだから、これが今の私たちの現実だと思い知らされる。そして、彼らの会話を通して、私たちを取り囲む不条理な世界が浮き上がって見えてくるのだ。
上演予定の、コロナ禍の前に書かれた作品が、改めてシアタートラムの空間の中でどのように現出されるのかとても楽しみだ。もしかしたら、私たちはもっともっと不条理になった世界の中で、國吉さんの世界の清々しさを感じることなるかもしれない。
本作は12月、東京・シアタートラムで上演される。
詳細は公式サイトで。
https://setagaya-pt.jp/stage/16032/
(文:世田谷パブリックシアター 監修:エントレ編集部)
シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16―演劇―
くによし組『ケレン・ヘラー』
【出演】
中井千聖 名村辰 大場みなみ
花戸祐介 佐藤有里子 てっぺい右利き 柿原寛子 谷川清夏 永井一信