KAATで『外地の三人姉妹』3年ぶりの再演決定 11月29日から チェーホフ『三人姉妹』の翻案を通し、日韓の歴史を見つめる
KAAT×東京デスロック『外地の三人姉妹』(2020) 撮影:宮川舞子KAAT神奈川芸術劇場にて、舞台『外地の三人姉妹』の再演が3年振りに決定した
『外地の三人姉妹』は、KAAT神奈川芸術劇場と、演出家・多田淳之介が主宰するとの共同製作により、2020年12月に初演し好評を博した舞台だ。
今回、3年振りの再演が決定した。
多田淳之介プロフィール写真(©平岩享)
演出の多田淳之介と、翻案・脚本のソン・ギウンは、これまでも数々の作品で日韓共同制作を重ねてきた。
2020年の初演『外地の三人姉妹』では、チェーホフの三大戯曲として有名な『三人姉妹』を、日本統治下の朝鮮半島を舞台に翻案上演。
舞台をロシア帝政末期の田舎町から1930年代の朝鮮北部に置き換え、日本軍の亡くなった将校の娘たち三姉妹は「モスクワへ」ではなく、生まれ育った「東京へ」望郷の想いを募らせた。
ソン・ギウン プロフィール写真(©Heeseung Chung)
再演にあたり、ソン・ギウンは戯曲を改訂。「『外地の三人姉妹』は、支配/被支配の関係に反省的に向き合うような作品ですので、気持ちの良い、甘い話では当然ありませんが、再演に向けて若干台本を改定し、より慎重で、興味深い作品にしたいと思っています」とコメントを寄せた。
3年ぶりとなる再演では、小劇場を中心に活躍し多田淳之介からの信頼も厚い日本側キャストに加え、舞台・映像と幅広く活躍し、日韓共同作品にも出演経験のある佐藤誓が新たに参加。
韓国側キャストには、ミュージカル・演劇・映画・ドラマと多彩な経験を持つイ・ソンウォン、舞台を中心に活躍しながらも近年、映像作品にも進出しているアン・タジョンの二人を再び迎える。
あらすじ
1930 年代、朝鮮半島の北部にある日本軍が駐屯している都市、亡くなった将校の息子と三人姉妹が住んでいる屋敷。
息子は朝鮮の女性と結婚し、姉妹はいつか故郷である東京に戻ることを夢見ている。
戦争へ向かう帝国軍人達の描く未来像、交差する朝鮮人の想い、姉妹達の日本への望郷の想いとは……。
コメント【KAAT 神奈川芸術劇場 2023 年度ラインアップ発表より】
翻案・脚本:ソン・ギウン(성기웅/ Sung Kiwoong)
3 年ぶりの再演を、とてもありがたく感じています。
私はこれまで 1930 年代、いわゆる「日帝時代」の朝鮮半島を背景とする、日本と朝鮮、あるいは日本人と韓国人の関係を描くような演劇を創ってきました。『外地の三人姉妹』は、支配/被支配の関係に反省的に向き合うような作品ですので、気持ちの良い、甘い話では当然ありませんが、再演に向けて若干台本を改定し、より慎重で、興味深い作品にしたいと思っています。コロナ禍の影響で初演時は渡日が叶わず、私はリモートで稽古と本番を覗いていました。国際間の合作は、いつも奇跡的に行われますね。様々な理由で停滞している日韓の演劇コラボレーションが、今回の再演をきっかけにまた活発になることを願っております。
皆様と KAAT でお会いできる日を楽しみにしています。
演出:多田淳之介(ただ・じゅんのすけ)
初演の 2020 年は、韓国の俳優が来日できるかもわからず、そもそも国際交流作品をやるべきなのか、いろいろな葛藤がありました。ただ世界中で劇場が閉まり公演が中止になる中で、劇場の灯を消すまいと KAATの皆さんはじめいろんな方の尽力で実現できた公演でした。この 3 年は直接人と人が伝え合うことの大切さを改めて考えた日々でした。今回の再演では 3 年前に叶わなかったソン・ギウンさんの来日も実現したいと思っています。また色々な視点を持った人たちで一つの作品を作るのが楽しみですし、これからの時代を色々な人達で共に歩んでいく力になるような上演を目指します。
どうぞよろしくお願いします。
上演は2023年11月29日(水)から12月10日(日)、KAAT神奈川芸術劇場にて。
公演の詳細は公式サイトで。
https://www.kaat.jp/d/ThreeSisters2023
(文:エントレ編集部)
KAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオ『外地の三人姉妹』 외지의 세 자매
【原作】アントン・チェーホフ『三人姉妹』
【翻案・脚本】ソン・ギウン 【演出】多田淳之介 【翻訳】石川樹里
【出演】伊東沙保 李そじん 亀島一徳 原田つむぎ アン・タジョン 夏目慎也
佐藤誓 大竹直 田中佑弥 波佐谷聡 松﨑義邦
イ・ソンウォン 佐山和泉 鄭亜美
2023年11月29日(水)〜12月10日(日)/神奈川・KAAT神奈川芸術劇場
公式サイト
https://www.kaat.jp/d/ThreeSisters2023
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