エントレ読者の皆様、こんにちは!
楽劇座の五條なつきです。
前回に引き続き、三善メークアップ研究所さんでの舞台メイクレッスンを受けながら、舞台メイクの具体的なやり方をお伝えしていきたいと思います。
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その1《舞台メイクの基本編》
その2《ベースメイク編》
その3《ポイントメイク編》
その4《普段メイクにも使えるメイクアイテム編&まとめ》
その5《ドーラン編》
その6《ハイライト&ローライト編》
今回は「チーク」と「ベースメイクの仕上げ」について。頬に入れる「チーク」は役の年齢やキャラクターを表すために重要な部分。そして「ベースメイクの仕上げ」は、汗をかいても崩れない舞台メイクにするためにとっても大切な過程です。
今回もどうぞお付き合い下さい!
チーク
チークには、ピンクや赤のドーラン(グリースペイント)を使います。
この時、何色を使うか?によって、役の立場やキャラクターを表す事ができます。古典的な演劇では以下のイメージで色を選ぶ事が多いです。
・青みのピンク → 姫、ヒロイン
・オレンジ系 → 労働階級、年上の役
役柄や自分に似合う色に応じて色を選んでみましょう!
↑他のドーランと同じく、手の甲で練る。
ベースやハイライト、ローライト等と同じ様に、1度手の甲で練ってツヤを出し、柔らかくしてから使います。
↑スポンジの新しい面を使って
チークはこれまでドーランを塗るのに使っていたスポンジの、まだ使っていない新しい面で塗っていきます。笑った時に1番高くなる部分に塗るのが基本です。(よく頬骨にチークを塗ってしまう方がいらっしゃいますが、笑ったときに高くなる部分と頬骨の位置は違うのでご注意下さいね。)
・ずっと正面を向いている訳ではないので、横から見た時にも奇麗に見えるかチェックしましょう。
・子供っぽい役、間抜けな役 → 丸く、大きい形で
・きつい役、年上の役 → シュッとしたシャープな形で
最後に、スポンジに残ったチークを髪の生え際にも塗ると奥行きが出ます。これでチークは完成です!
白粉(おしろい)
それではいよいよ、ベースメイクの仕上げに入りたいと思います。まずは粉白粉をティースプーン1杯分ぐらい、大きめのパフに含ませてよく揉み込みます。
この白粉を顔にはたくのですが、その前に必ず、これまでに塗ったドーランやチークにヨレやムラがないか確認して整えましょう!!特に瞼は二重のくぼみ等がヨレやすいので要チェックです!
この白粉をはたくと、そのままの形でドーランが固定されてしまうので、ドーランのヨレ等を整えたらすぐに白粉をはたいていきます。
↑顔全体がサラサラになるまではたきましょう。
この時「顔が白くなる」ぐらいの勢いで、しっかり隅々まではたくのがポイントです!
ドーランの油分を白粉で覆って、お肌の表面をサラサラにして下さいね。
↑大きめのブラシだと余分な粉を落としやすいです。
最後に余分な白粉をブラシで落とします。
フェースケーキ
白粉をはたいた後は「フェースケーキ」でベースメイクを仕上げます。普段のメイクではあまり使わないので、初めて名前を聞く、という方もいらっしゃるかもしれません。このフェースケーキを使うと、汗や光に強い肌に仕上がるので、舞台役者さんはぜひ使ってみてくださいね!
↑フェースケーキを使う時はお水を用意しましょう。
まず、スポンジパフに水を含ませます。
↑1回に塗る量はこのぐらいです!
水を含ませたスポンジパフでフェースケーキをとって、肌の上を滑らせるようにして塗っていきましょう。
こんな塗り方をしたら、これまでのお化粧が崩れてしまうのでは?と思いますが、不思議な事に、逆にお化粧が肌にピタっと密着してくれるような感覚なんです。お肌の表面もツルっと整って、一気に照明映えするお肌になります。(三善さんではこれを「お肌の面が整う」と言っているそうですが、確かにその通り!)
ちなみにこのフェースケーキをのせると、上からカバーされるのでこれまでのメイクが薄く見えます。ですので、これまでの過程であるハイライト、ローライト、チークはしっかり濃いめに入れておいて下さいね。
↑ベースメイク完了!かなり舞台メイクらしくなってきました。
以上でベースメイクは完了です!
普段のメイクとは違い、汗に強く、照明映えするベースメイクになりました。
汗で舞台メイクが崩れてしまう…という役者さんは、ぜひこのベースメイクの過程を見直してみて下さい。
次回はアイメイクのポイントをお伝えしていきます!
舞台映えする、崩れにくいアイメイクテクニックは普段メイクにも応用できますので、どうぞお楽しみに!
協力:三善(http://www.mitsuyoshi-make.com/)
その14 》舞台俳優・必読! 三善さんに教えてもらった舞台メイクの方法《アイメイク編》
(文:五條なつき ※文章・写真の無断転載を禁じます)