
ピアノ演奏と歌声、お芝居で心動かす!音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」観劇レビュー

赤坂の街をもっと好きになる、音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」ついに開幕!
東京・赤坂を舞台に、1台のピアノ・4人の俳優で展開する音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」が、2026年3月16日に開幕しました。

4役すべてがWキャストとなっており、組み合わせも様々なので、何通りもの楽しみ方ができます。
本レビューでは、初日マチネ(キャスト:水田航生さん・陣内将さん・瀧澤翼さん・珠城りょうさん)の様子をお伝えしていきます!
赤坂で生まれ育った鮎川浩太は、父との確執から家を飛び出し、映像ディレクターの夢を追って生きてきた。
そんな彼のもとに突然、父の失踪という報せが届く。残されたのは巨額の借金と、自身の名義に変えられていた老舗音楽バー「アカネ」であった。
困惑する浩太の前に、給料を要求する無愛想な店員・須藤淳一、再建を豪語する謎の男・新垣渉、そして再起を図る元歌手・美咲亜紀が現れる。
4人は衝突を繰り返しながらも、店を立て直すため本物のショー作りに挑戦していく。
やがて店は活気を取り戻すが、その裏には父が仕掛けたある真意が隠されていた…。夢と現実が交錯する、「赤坂」を舞台にした再生の物語。
キャストについて
ここでは、今回観劇したキャストについての感想をお伝えします!
鮎川 浩太:水田 航生さん
出てきた瞬間から、スターオーラを宿した水田さん演じる浩太。
大嫌いな赤坂の地で、父親の残した借金のためにバーで働くことへの苛つきが態度に滲んでいて、最初は「顔はいいけど、人として嫌だな」という印象でした。
しかし、舞台上で独白するシーンなどを通して、熱い魂を持った男性であることが見えてくると、ちょっと短気なところさえも愛おしく感じるように。

応援したくなる役作りが見事で、まさに主人公という印象でした。
さらに、ユーモアのセンスも輝る水田さん。絶妙な間合いでツッコミを入れたり、全力で顔芸をしたり…客席に何度も笑いを起こしていました。
須藤 淳一:陳内 将さん
落ち着きのあるバーテンダーという印象でしたが、話し始めると「落ち着いているのにちょっと変」という絶妙なキャラクターが面白い!
バーテンダーなのに人見知りで、新規の客と上手にコミュニケーションが取れず、すぐに退散してしまう姿などをコミカルに演じていました。

陳内さんも間の取り方が素晴らしく、小芝居もたくさん交えてくれるので、スポットが当たっていないときにもぜひ注目していただきたいです。
新垣 渉:瀧澤 翼さん
音楽バーを立て直す「再建の神」として突然登場した渉。登場した瞬間から場の空気を握り、浩太と淳一を巻き込んで、再建依頼の契約を取り付ける流れは見事!

そのうえ、時折見せる陰のある表情に想像力を掻き立てられ、人間の多面性を見せるお芝居が上手な役者さんだなと。
また、ダンスパフォーマンスも格好良く、音楽劇のスパイスとして存在感を放っていました。
美咲 亜紀:珠城 りょうさん
上演開始とともにピアノに合わせて、美しい歌声を披露した珠城さん。「赤坂」の歴史を歌で紡いでいましたが、言葉が明瞭なので、スッと歌詞が入ってくる感覚がありました。

芝居では、頼れる大人な女性らしい仕草が様になっていて、元男役トップスターの矜持を感じました。
さらに、衣装の着こなしも見事。「歌姫」という肩書きにぴったりな存在感でした。
キャストの友情が感じられるラストシーン&カーテンコール
浩太を筆頭に歌い始め、全員で歌唱するシーンがありますが、そこでの涙とアイコンタクトが印象的です。
この場面は、全員、役としてなのか本人の感情なのか分からないほど、リアルに熱いお芝居を繰り広げていました。
※というわけで、あえて、ここはキャストの名前で書かせていただきます。
水田さんは、浩太なのか水田さんなのか分からなくなるほど、目に宿る想いが強くて、歌の熱量も高くて…。
その姿を見て、小さく頷いて後ろから肩をそっと叩く瀧澤さん。肩を叩いたのは、アドリブかもしれません。それくらい温かい表情で瀧澤さんが、水田さんを見つめていました。
さらに、水田さんと力強く目を合わせたり、肩を組んだりして歌っていた陳内さん。その姿を見て、両手で何度も涙を拭っていた珠城さん。

全員が全員の表情に感化され、4人の歌声がより熱いものになっていくのを感じたラスト。ミュージカルで使う劇場ほど大きくない草月ホールだからこそ、歌のエネルギーや役者の熱量もより近く感じられ、ほっこりとした温かさが心に宿る感覚がありました。
作品の魅力
本作品は、「赤坂の街のお高く留まった雰囲気が嫌い」という主人公・浩太が、父の失踪をきっかけに赤坂のバーを立て直すところから始まります。
そのため、赤坂に対する偏見に満ちたセリフもたくさん登場しますが、終盤にかけて浩太の感情が変化していく様がみどころ。

居酒屋での接客しか経験のないオーナー、接客が苦手なバーテンダーなど、バーを立て直すには不向きな人材ばかりですが、それぞれが自分のできることを見つけて、一生懸命前を向こうとする姿には心温まるものがありました。
4人それぞれに独白シーンが用意されていて、一人ひとりに感情移入できる構成になっていたので、より4人の姿を応援したくなる自分がいました。

客席降りの頻度も高く、キャストを近くに感じられるところもポイントです。
また、舞台上には常にピアノが置かれていて、生演奏が繰り広げられるところも音楽劇ならでは。

ピアノの伴奏にも感情が宿っていて、役者のセリフとピアノの演奏が調和したとき、こちらの涙腺も緩む感覚がありました。
まるで自分もバーに来たような感覚を覚えながら、舞台を楽しめる本作。新しい1歩を踏み出したい方なら、浩太と仲間の挑戦を見届けることが、明日への活力になると思います。
ぜひ劇場でご覧ください。

本作は2026年3月16日から東京・草月ホールで上演されています。
詳細は公式サイトで。
https://www.akaneiro-stage.com/
(文:山本萌絵 監修:エントレ編集部)
音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」
【脚本】粟島瑞丸
【音楽】桑原まこ
【出演】水田航生、小野塚勇人(Wキャスト)
陳内将、鈴木康介(Wキャスト)
瀧澤翼、鈴木曉(Wキャスト)
珠城りょう、久城あす(Wキャスト)

