2024年日本全国へ笑顔とハッピーを届ける‼︎コメディミュージカル『トッツィー』囲み取材&観劇レビュー

ミュージカル『トッツィー』『トッツィー』写真提供/東宝演劇部日本中を愛と笑いと希望で包みこむミュージカル『トッツィー』‼︎

2024年1月から約3か月にわたり日本公演が行われる
ミュージカル『トッツィー』‼︎東京・日生劇場上演を皮切りに大阪・名古屋・福岡・岡山公演が実施予定です。
初演開幕前日の囲み取材には、山崎育三郎さん、愛希れいかさん、昆夏美さん、金井勇太さん、岡田亮輔さん、おばたのお兄さん、エハラマサヒロさん羽場裕一さん、キムラ緑子さんが出席されました。
笑いに溢れた囲み取材で、その後の公開舞台稽古も素晴らしかったのでレポートさせて頂きます!
ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』写真提供/東宝演劇部

未だかつて、ミュージカルでここまで笑ったことあったかな?こんなに笑ったのは初めて!ってくらいに最っ高に面白くて楽しい作品でした!今作はミュージカルコメディと謳われており、ハードルが高く設定されていますが、ミュージカル好きの方にも、コメディ好きの方にも胸を張っておすすめできます!
テンポ感と生演奏が心地よく、役者さんのエネルギーに満ち溢れたステージで本当に元気になれました。中でも主演の育三郎さん(以下、敬意も込めて育様と呼ばせて頂きます)のパワーが半端ないことになっています!くるくる変わる舞台設定に、合わせるだけでも大変だと思われますが、ほぼ出ずっぱりで衣装替え脅威の30回!裏ではF1のコックピット並みの早着替えで、舞台上でも変身!と華麗な姿を何度も見せて下さいました。囲み取材では、是非裏を見てほしいとご本人も仰っていましだが、衣装チェンジだけの総集編を見たいくらい華やかで素敵でした。
ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』写真提供/東宝演劇部

また、衣装替えだけでなく、女声と男声を使い分け、しっかりと聴かせ演じるシーンはさすがでした。歌声や演技、ダンスなどの技術も確かなので役柄にも説得力があり、物語に自然に引き込まれました。そして、笑いをとる貪欲な姿勢と顔芸のような細かい表現力から、ステージを端から端まで歌って踊って飛んだり跳ねたり全身を使ったダイナミックなお姿は「全力で今を楽しんで生きる」ということを体現されているようで、とても感銘を受けました。育様はもはやリスペクトに値します!
育様演じる女装姿のドロシーも素敵でしたが、ヒロインの愛希さんの透明感と美しさ、小顔と線の細さとスタイルの良さは別格でした。並ぶと育様のドロシーのたくましさが際立ち、熟女版アニーのようにも見えて、その対比も面白かったです。また歌声もパワフルでソウルフルで素晴らしかったです。

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』写真提供/東宝演劇部

そして、育様を凌ぐほどに多分1番笑わせてもらったのはビジュアル系で肉体系俳優マックス役の岡田亮輔さん!外見のイケメン具合とキャラのギャップが強烈過ぎて、全員濃いキャラでしたが一際ハマっていて、めちゃくちゃ癖になるキャラでした。ロミオとジュリエットの稽古シーンからドロシー(女装した育様)への深い愛故のびっくり行動が想像の斜め上をいっていて、面白い展開と振り切りまくった姿が後引く笑いを生み出していました。Wキャストの、おばたのお兄さんもどのように演じられるか気になりました。
ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』写真提供/東宝演劇部

売れない女優で情緒不安定な主人公の元カノサンディ役の昆さんは今までの役柄もあり、ディズニープリンセスのような可憐なイメージが強かったですが、今回のような振り切った役もとても新鮮でコメディセンスもあり、新たな一面を見ることができました。ヒロインの愛希さんが舞台挨拶で「昆ちゃんの役はいつもより弾けててとってもキュート、ぶっ飛んでいる役ですが、その姿にグッとくる瞬間があって泣く場面ではないのに毎回泣きそうになります」と話されていましたが、私も何度かうるっとして、すごく心に残る存在でした。一見ひっちゃかめっちゃかですが、女優として大成するために一生懸命で、でもなかなか報われなくて空回りしている姿、必死に生きている様が人間らしくて愛しくて昆さんが演じるからこそ、どこか可愛気もあり抱きしめたくなりました。

サンディがオーディションに行く時の緊張や恐怖、勇気を持って挑戦したのは良いが、なかなか思うようにいかず結果に繋がらないところなどは面白おかしく描かれていますが、夢を持ち、挑戦しながらも叶わなくて苦しい様子、やさぐれて愚痴を言い、絡んだり弱音を言いたくなった経験は誰しもあるのではないでしょうか?また、育様演じる主人公マイケルは通行人Aであってもバックグランドを考え、実直に熱意を持って挑みますが、演出家からは煙たがられ、ことごとくオーディションに落ち、事務所も解雇される始末…「40歳で達成することリスト」も叶わぬまま時間が過ぎて焦る日々…マイケルやサンディのように、夢や情熱はあっても上手くいかなくてそれでも諦めたくなくて、諦められなくて泥臭く頑張る姿は私も経験があり、胸を締め付けられました。試行錯誤しながらも夢に何度も挑戦する姿、泣いたり、怒ったり、笑ったり、好きな人と本音でぶつかって愛し合う姿に生きるパワーや、勇気をもらえました。
ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』写真提供/東宝演劇部

「若いから」挑戦し、夢を叶えられるのではなく、
「諦めず挑戦し続けるから」夢を叶えられる!という希望をもらえ、若者だけではなく、中堅世代以上や、くすぶっている人、夢を諦めそうになっている人の気持ちを震え立たせるようなメッセージ性の強さを感じました。(ただ「夢を叶える方法」はきちんと考え実行しなければハッピーエンドに繋がらないことも教訓として投げかけられているように感じます。)

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』写真提供/東宝演劇部

周りを固める演者さんやダンサーさんの踊りもコミカルで躍動感があり、ここまで1人1人のキャラが立ち、エネルギーに溢れたカンパニーはないのではないでしょうか!
囲み取材もエハラさんやおばたのお兄さん、育様を中心に笑いが起き、羽場さん、キムラさんベテラン勢や愛希さん、昆さん、金井さん、岡田さん、皆さんの息がぴったりで楽しくて熱気に溢れた様子が伝わってきました。昆さんも「稽古場でこんなにずっと笑ってる作品はなかった」と仰っていて空気感が素敵でした。
ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』写真提供/東宝演劇部

こんなにも観客ウケがよく、面白く感じられたのは
元々の原作や脚本の素晴らしさ、演者さんの演技力もあるかと思いますが、核となる思いや笑いのツボが日本の観客まできちんと「伝わった」からだと考えられます。
囲み取材で、日本の観客に向けて脚本が書き直されたというお話をお聞きしました。何度も演者、演出家、皆んなでテーブルを囲んで話し合い、脚本はどこが変わったかわからない程変わっていったそうです。大変だったことが予想できますがそこが今作の成功の鍵だったように感じます。

特に、ブロードウェイ発の今作のような海外作品は脚本の変更や演出家への意見など言い辛いことが多いかと思われます。しかし、日本のお客さんにはこっちの方が分かりやすいのではないか、ウケるんじゃないかとセリフや細かい部分についても、積極的に意見を出し合い、それを演出家のディヴ・ソロモンさんもどんどん受け入れ日本versionに変えていったそうです。例えば劇中に出てくる俳優さんの名前など、笑いのポイントが観客にドンピシャにハマり大きな笑いになっていました。皆さんの作品への熱意や愛が素晴らしい作品の完成に繋がっていると感じました。

とにかくどのシーンも印象的で一瞬たりとも見逃したくない程ステージから目が離せませんでした!
今年はお正月から何かと暗いニュースが続き、何となく心から笑えてなかったように思えますが、今作を見ている間はなにも考えずに、ただただ純粋に笑顔になって楽しんでいる自分がいました。

育三郎さんも囲み取材時に能登半島地震にも触れられ「当たり前にある日々が当たり前ではなくて、もし明日がなくても、今日の公演でやり切ったと思えるような、そんな公演を目指して一回一回大切に演じていきたいと思っております」と熱く話され、会場に募金箱の設置もされるとのことでした。
私は多くの舞台やミュージカルを観劇しますが正直、心から面白い!と思える作品に出会えることは数本に1本程度です。そんな中、年始からこんなにも楽しめ、皆さまに紹介したくなる作品と出会えてたことはライターとして幸せです!
中盤から最後の展開は良い意味でも悪い意味でもかなり衝撃で、びっくりする内容になっています。そこは是非劇場でお確かめください。どうか、多くの人の元にこのような素晴らしくてハッピーな作品が届きますように!

(文:あかね渉

公演情報

ミュージカル『トッツィー』

【音楽・歌詞】  デヴィッド・ヤズベック
【脚本】     ロバート・ホーン
【演出】     デイヴ・ソロモン
【振付】     デニス・ジョーンズ
【オリジナル演出】スコット・エリス
【翻訳】     徐 賀世子
【訳詞】     高橋亜子
【音楽監督・指揮】塩田明弘

【出演】
山崎育三郎 愛希れいか 昆 夏美 金井勇太
岡田亮輔 おばたのお兄さん(Wキャスト)
エハラマサヒロ 羽場裕一 キムラ緑子

【日程】
2024年1月10日(水)~1月30日(火) 日生劇場
2024年2月5日(月)~2月19日(月) 大阪 梅田芸術劇場メインホール
2024年2月24日(土)~3月3日(日) 名古屋 御園座
2024年3月8日(金)~3月24日(日) 福岡 博多座
2024年3月29日(金)~3月30日(土) 岡山 岡山芸術創造劇場

公式サイト
https://www.tohostage.com/tootsie/

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