
【絶賛、稽古中!】演劇への愛や熱量と人間の葛藤が交差する! 舞台『シオヒガリ』平野良・鳥越裕貴・野田裕貴インタビュー

CCCreation舞台『シオヒガリ』稽古場より 撮影:中村彰・田口真佐美
【絶賛、稽古中!】演劇への愛や熱量と人間の葛藤が交差する! 舞台『シオヒガリ』平野良・鳥越裕貴・野田裕貴インタビュー
「あやめ十八番」の堀越涼が脚本と演出を手がける新作舞台『シオヒガリ』の初日が迫ってきた。CCCreationと堀越涼がタッグを組んだオリジナル作品は『沈丁花』、『白蟻』、そしてこの『シオヒガリ』が第3弾となるが、いずれも印象的なタイトルで、演劇好きの関心を惹きつけてきた。
今回の『シオヒガリ』は、温暖化により国土の一部が水没した近未来の日本で、新作公演の創作に追い込まれる劇作家が、苦悩しながら新たな表現に立ち向かう物語だが、演劇ファンの大好物である“演劇の現場”がふんだんに盛り込まれていて、創作の裏側のリアルな葛藤や業界あるあるもストーリーを沸かせてくれる。
エントレでは、劇作家を演じる多和田任益とともに劇団「トコシエ」を主宰する演出家役の平野良、劇団の構成員役の野田裕貴、地球温暖化を肌で感じる船頭役の鳥越裕貴に、稽古中に話を伺った。(以下、3名とも名字で表記、敬称略)
舞台『シオヒガリ』は、9月17日(木)から27日(日)まで、KAAT 神奈川芸術劇場大スタジオで上演される。
シーンがレイヤードしていって、たどり着いたところにゾクッとする
――稽古の進捗はいかがですか。
平野 ミザンス(立ち稽古)を終えて、一通り最後まで行った感じですね。
鳥越 わりとペース早めに進んでますね。
野田 なかなかすごいペースで進んでいます。
平野 多和田君のセリフの量がすごいよね。
鳥越 多和田さんだけ稽古中もずっと立ってます(笑)。
――平野さんは、堀越さん作の『白蟻』でも多和田さんと共に主演されましたが、今回の新作『シオヒガリ』はどんな話だと捉えていますか。
平野 堀越さんが書かれる脚本には小説的なものを感じていて、今回もまさに小説ぐらい描写が細かくて、文字からいろんな情景や景色がありありと見えるようです。今回は、堀越さんの出身地である千葉県の香取神宮などをイメージして書かれているので、一つひとつの描写が生々しく、リアリティがあって、「創作だけど、創作なのか?」と思えるぐらい強い話ですね。
鳥越 『シオヒガリ』というタイトルですが、脚本をいただいて最初に読んだとき、最後に、「これはシオヒガリだ」と思いました。今回は、観光地の船頭という面白いポジションの役で、地球温暖化で変わりゆく環境や、インバウンドなどの観光客が増え続ける中で、代々家業としている船頭をさらに次の世代に受け渡していくという、いろんな狭間でずっと戦っている役を演じます。
野田 『シオヒガリ』はとても緻密な脚本だと思いました。すごくキレイなところや人間の濃い部分などを堀越さんのこれまでの作品から感じていたので、この『シオヒガリ』を読んだときに、いろんなシーンがレイヤードされて絡み合って、違うシーンにたどり着いたときに「こういう風に映るんだ」「こんな気持になるんだ」と、ゾクッとする瞬間が稽古からたくさんあります。もっと稽古を重ねてより濃いものにできるのが楽しみです。
多和田脚本家を支える平野演出家、その演出家と戦う野田構成員
――堀越さんはインタビューで、多和田さん演じる脚本家を「自分の役」と答えていますが、平野さんはその脚本家を支える演出家役です。
平野 自分は堀越さんと同じ歳なんですが、演出方法は全く真逆です。僕が演出するときは基本的に他力本願で、“周りがどうにかしてくれる”と楽観的に思っていますが、堀越さんは緻密に計算される方だからこそ、演出家役にも苦悩があるんだろうなと。僕の演出だったらこんなに悩まないでしょう(笑)。
鳥越 舞台の一つとなる香取神宮に行って現場に立つと、人生のまた違う段階に入った感じがあって、この船頭役は素敵だなと感じました。芝居の中では、平野さんや野田さんの劇団とは接点がありませんが、すごく追い込まれている人と追い詰める人の対比が面白かったり、地球温暖化ともリンクしていて面白い脚本だなと思います。
野田 自分は劇団のメンバーで、劇団の中でそれぞれの役割がある中で、あまり空気が読めない役どころなので、そういう人物ならではの苦悩だったり、葛藤だったりを演じられるよう模索中です。自分も演劇団体に所属している身として、劇団やそのメンバーのリアルなあるあるに、堀越さんの脚本の凄さと面白さを感じていますが、これをお客様が観たときに、どう受け止められるんだろうというのも今からドキドキしています。反応が本当に楽しみです。
平野 お客様からしたら、「稽古場見学」しているみたいなね。
野田 劇団が話し合いをしていくところは自分にも重なります。実際に深夜に会議したり、公演が近くなってくるとみんなが集まったり。
平野 本当に会議をするんだ。
野田 なので、この『シオヒガリ』は本当に新鮮で、劇中で自分が劇団の会議に参加しているのが不思議だなと思って稽古しています。
――平野さんは劇中で演出家役をするのはどんな感じですか。
平野 この『シオヒガリ』を観たあとに、「平野さんは裏では本当にこういう感じなんだろうな」とお客様に思われる可能性の高い芝居なので怖いです(笑)。鳥越くんたち後輩が「平野が怖い、平野にしばかれる」というウワサを流しているので(笑)。それは冗談としても、自分が演出をするときは、“関わっているメンバー全員の人生を背負っている”感覚がありますね。演出だけでもそういう感じなので、脚本も書くとなると、その心の負担たるや想像しがたい。だから堀越さんにしか書けない脚本なんだなと思います。
演者たちはSNSをどう思い、どう使っているのか

CCCreation舞台『シオヒガリ』稽古場より 撮影:中村彰・田口真佐美
――野田さんが、「これをお客様が観たときに、どう受け止められるんだろう」と言われましたが、皆さんSNSはどう使っていますか?
平野 演劇に限らず、エンタメはSNSで賛否があった方が実は面白いというはありますね。ただ、あまり過激な言葉はね、エゴサすると、うわっと食らう役者もいますから、やっぱり気にしちゃいますよね。
鳥越 自分はハッシュタグを付けた自分のイベントなどだけ見るようにしています。
野田 作品に関してたまに調べることはありますね。自分が振付やスタッフとして関わっている作品がどう受け止められているかは気になりますが、「なるほど」と思うことも多いです。
平野 昔、アルバイトをしていた居酒屋の親会社は、クレームを何よりも大切にする会社として有名でしたが、自分が演出をしている作品のときはSNSは気になりますね。役者として出ているときは、プロデューサーがいて、演出家がいて、それを具現化しているのであまり気にしませんが、自分が作り手のときは上演中も良くしていく権利があると思っているので、劇場アンケートは必ず全部見ますし、SNSも拾って、プロデューサーと話もします。ただ、過敏になりすぎて一歩も進めなくなることもあります。
――そういうお話を聞くと、表現者は今の時代、大変ですね。
平野 でも、エンタメに限らず、接客業だったり、飲食店だったり、スポーツ選手だって、監視の目があるというか、ジョージ・オーウェルの小説『1984』の世界ですよね。みんながいつも監視していて、40数年前の空想が今現実になっているのは怖いことだなと思います。
――そういう時代にあっても、役者としての表現を追求している。
野田 それは良い意味で、みなさんからの意見や感想は、「次にどう繋げていくか」というインスピレーションにもなります。自分はポジティブな面での頑張りに取り入れながら、表現やクリエイトに向き合っていきたいですね。
“振付2バージョン” 振付は平原慎太郎さんと中川絢音さんが担当

CCCreation舞台『シオヒガリ』稽古場より 撮影:中村彰・田口真佐美
――野田さんは振付で多くの作品に関わっていますが、今回は振付を受ける方です。
野田 外部の作品で振付師さんから振り付けをいただくのは意外と少なくて、さらに今回は、平原さんと中川さんのお二人がいて、作品の捉え方や表現の違いがとてもいい勉強になっています。吸収できることもたくさんありますね。
平野 振付というとダンス的なイメージがあるけど、今回のは身体表現ですね。まだ稽古中で、俯瞰して見れていませんが、お客様から観たらぜんぜん違う印象なんだろうなと思います。
野田 ジャンルとしてはコンテンポラリーになりますが、自分には普段ない思考回路で出てくるお二人の振付がとても演劇的で、違いが面白く、刺激的です。
平野 いわゆるアクションはある程度の定型はありますが、ダンスは人によってまったく違うので、きっと2パターンを観て違う楽しみ方ができると思います。
野田 振付のバージョン違いは今作の一つの目玉でもあると思うので、ぜひ見比べていただきたいですね。
近未来の話だが、今に通じる群像劇『シオヒガリ』
――では、平野さんから『シオヒガリ』の見どころを
平野 多和田君演じる劇作家を軸にして、アンサンブルもいろんな役を演じていて、誰もが自分の演るべきことにしっかり向き合っている、一人ひとりが主役になり得る群像劇だと思います。この物語には、自分の居場所探しのような感じがあって、お客様が舞台上の誰にフォーカスするかによって、「そこが自分の居場所」だと楽しめるでしょうし、2バージョンの振付は演劇脳を刺激するはずです。ぜひ横浜まで足を運んでいただき、何かを得て欲しいと思います。
鳥越 自分が演じる船頭は、「守りたいものは、ずっとちゃんと守る」という素晴らしい役です。今の時代の環境問題や大人のメンタルケアなどタイムリーな内容もありますが、劇中での劇作家の悩みは、誰もがふとした瞬間に落ちた隙間に入ってくるようなものでもあります。視点を変えれば、共感する部分もたくさんある作品だと思うので、ぜひKAATでご覧ください。自分も劇場に入ってみて新たに体感できることもすごくあると思うので、今から本番が楽しみです。
野田 堀越さんの演出を受けるのは今回初めてですが、実はハタチ前ぐらいに、堀越さんが主演の舞台で、自分が演出助手を務めたことがあります。今はまたこうしてご一緒しているのがとても不思議で、すごくうれしいです。平野さん、鳥越さん、多和田さん、アンサンブルのみなさんと素敵な座組なので、ぜひご覧ください。
公式サイトはこちら。
https://www.cccreation.co.jp/stage/shiohigari/
(文:梶井誠)
CCCreation Presents
舞台「シオヒガリ」
【脚本・演出】堀越涼(あやめ十八番)
【音楽監督】吉田能(あやめ十八番)
【振付】平原慎太郎・中川絢音
【出演】多和田任益・平野良・鳥越裕貴・野田裕貴・谷戸亮太・彩乃かなみ・小口ふみか・武市佳久・中島多羅・牧田優希・笹川幹太・河村アズリ・並木柊人・長田健生・白井もえ
【主催・企画・製作】CCCreation
【提携】神奈川芸術劇場
2026年9月17日(木)~27日(日)/KAAT 神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉
料金:マチネ S席10,000円 ソワレ S席8,500円 ※他、各席種あり。詳細は下記HPにて(全席指定・税込)
2026年9月17日(木)〜27日(日)
9月17日(木)19:00★
9月18日(金)19:00☆
9月19日(土)13:00☆/18:00★
9月20日(日)13:00★/18:00☆
9月21日(月祝)休演日
9月22日(火祝)13:00★/18:00☆
9月23日(水祝)13:00☆
9月24日(木)13:00★
9月25日(金)休演日
9月26日(土)13:00☆/18:00★
9月27日(日)12:00★/16:00☆

