
「体温」と「風」まで届く、圧倒的な臨場感。舞台『キングダムⅡ-継承-』観劇レビュー

©原泰久/集英社・東宝
舞台『キングダムⅡ-継承-』が、8月9日(日)、東京建物 Brillia HALLで開幕しました。
『キングダム』は、2006年に「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載が始まると次第に人気を集め、大ヒット作品に。2019年4月には実写映画が公開され、今年2026年にも最新作となる映画『キングダム 魂の決戦』が公開されました。
初の舞台化は、2023年2月に帝国劇場で実現。そして今作は、待望の舞台化第2弾です!
映画の上映期間とも重なっていることもあり、『キングダム』ファンにとっては、とても熱い夏となったことでしょう。
私が観劇したのは、三浦宏規さん、東啓介さん、小関裕太さん(声の出演)の回。最新作の映画を鑑賞した後の舞台観劇となったこともあり、ワクワクしながら劇場へ向かいました。

©原泰久/集英社・東宝
幕が上がる前から感じる、舞台のスケール
会場に入って、まず目に飛び込んできたのは、舞台前面から客席間近まで伸びる階段状のステージ!
「こ、これは……大迫力の戦いのシーンが目の前で繰り広げられるに違いない!」
幕が上がる前から、ワクワクが止まりません。
そして今回描かれるのは、漫画『キングダム』でも圧倒的かつ唯一無二のエピソード。秦国の大将軍・王騎が、戦いの中で壮絶な死を遂げる物語です。
映画でも大きな反響を呼んだ場面を、舞台でどのように表現するのか。期待が膨らみます。
いざ幕が上がると(実際には、そもそも幕ではないのですが……)、まず舞台のスケール感に圧倒されます。
そして、静かでありながら力強い冒頭。
一気に『キングダム』の世界へと引き込まれ、目が離せなくなりました。
『キングダム』の世界観を表現しているのは、舞台美術だけではありません。ナレーションや音楽もその世界を伝える大切な役割を担っていて、原作や映画で見てきた世界が、これから目の前で繰り広げられるのだという期待感をさらに高めてくれます。
個人的には、騰役の石川禅さんのナレーションがとても印象的でした。渋く深みのある声で、ずっと聞いていたくなるような魅力がありました。

©原泰久/集英社・東宝
目の前で繰り広げられる、大迫力の戦い
そして、いよいよ目の前で繰り広げられる戦いのシーン。
とにかく、大迫力。圧巻の一言です。
会場に入ってすぐ目に飛び込んできた、舞台から客席方向へ伸びる階段状のステージ。実際に戦いが始まると、その迫力は想像以上でした。
本当に目の前までキャストの皆さんが転がってきます……。
(戦いのシーンなので、ご想像ください)
また、客席の通路も頻繁に使われています。
通路側の席に座っていた私は何度も驚くとともに、「万が一にも足や手が引っかかってはいけない……」と、ちょっとした緊張感を持ちながら観劇しました(笑)。
今まで多くの舞台を観劇してきましたが、あそこまでキャストの方々の熱量と「風」を感じた舞台は初めてでした。

©原泰久/集英社・東宝
原作を知っているからこそ、気になること
先日も原作のある舞台を観てきましたが、原作を知っていると、どうしても自分の中にイメージする映像が生まれます。
それが作品を見るうえでの支えになることもあれば、比較することで邪魔になってしまうこともあります。
今回は、漫画、アニメ、映画……と、さまざまな表現を見てきている『キングダム』。
だからこそ、あのシーンやこのシーンが舞台ではどのように表現されるのか。そして、あのキャラクターはどのように描かれるのか。どうしても気になるところです。
そんな中、今回の舞台で私が特に目を惹かれたのが、羌瘣と龐煖でした。
もちろん、信を演じた三浦宏規さんや、王騎を演じた山口祐一郎さんも素晴らしかったのですが、個人的には羌瘣と龐煖のお二人については特筆したいと感じました。

©原泰久/集英社・東宝
「舞っている」と感じた、山本千尋さんの羌瘣
まず、羌瘣を演じた山本千尋さん。
まさに「羌瘣」という感じがあり、目の前で戦っているというよりは、舞っている!
そんな印象を受けました。
伸びやかで軽やか。そして、力強さがある。
世界ジュニア中国武術選手権大会での優勝経験を持つだけあって、キレのある殺陣は圧巻です。
「トーン、タンタン」も再現できてしまうのではないか……と、観ながら期待してしまうほどでした。

©原泰久/集英社・東宝
異様な存在感を放つ、東啓介さんの龐煖
そして、龐煖です。
漫画でも映画でも、王騎と並ぶほど存在感のあるキャラクター。そして王騎以上に得体の知れない雰囲気があり、人とは思いにくいほどの不気味さがあります。
長身の東啓介さんが、その異様とも感じられる龐煖の空気を纏っていて、舞台上に立ったときの存在感は強烈でした。
こちらも、ぜひ注目してもらいたいところです。

©原泰久/集英社・東宝
三浦宏規さんだからこその「信」
三浦宏規さんが演じる信は、映画で山﨑賢人さんが演じている信とはまた違う。
けれど、確かにそこに「信」がいる!
そんな感覚になる、三浦さんならではの信を感じることができます。
私が以前、三浦さんを拝見した作品が『デスノート』だったこともあり、その演技の幅に驚くとともに、飛んだり跳ねたり……といった身体能力の高さにも驚かされました。
信の持つ真っすぐさと暑苦しさ。
それを感じさせてくれる三浦さんの信も、唯一無二の存在だと感じます。

©原泰久/集英社・東宝
「ミュージカルの帝王」が演じる、天下の大将軍・王騎
王騎を演じた山口祐一郎さんは、「ミュージカルの帝王」として名高いだけあり、一段上に立ち、舞台を見下ろす姿には、まさに帝王の風格を感じました。
王騎の持つ、何とも言えない独特な雰囲気。
ゆっくりとした話し方と、深く響く声。
そこにいたのは、まさに「天下の大将軍・王騎」でした。

©原泰久/集英社・東宝
そして気になる「ファルファル」は……
もう一つ、個人的に気になっていたこと。
「ファルファルをどう表現するのか……?」
騰を演じる石川禅さんです。
原作の中でも独特なキャラクターではありますが(『キングダム』のキャラクターはみんな独特ですが・笑)、三浦さんの信と同じように、原作や映画の騰とはまた違う「石川さんが演じる騰」が、しっかりとそこにいたように感じます。
例の剣さばきがどのように表現されているのかは、ぜひ劇場でお確かめください。

©原泰久/集英社・東宝
もう少し見ていたかった、王騎と龐煖の戦い
一点、個人的に少し残念だったのは、王騎と龐煖の戦いのシーンです。
舞台という制約の中、本物の馬を使うわけにはいかないので難しい表現だとは思いますが、せっかくのシーンなので、「もう少し見ていたかったなぁ」と感じました。
逆に、その後のシーンは舞台を活かした特別な演出になっています。
ここはぜひ、劇場で確認していただきたいと思います。

舞台だからこそ感じられる「体温」と「風」
全体を通して、舞台でここまでの躍動感と疾走感を表現していること、そして舞台としての完成度の高さに本当に驚きました。
映画では、大画面で迫力を感じることはできます。
でも、キャストの皆さんの体温や、動くことで生まれる「風」を実際に感じることはできません。
今回の舞台では、その体温や風を存分に感じることができました。
それは、これまで私が舞台で感じてきたものとはまた少し違う、「舞台だからこその醍醐味の1つ」なのだと思います。
キャストの皆さんのパワーとエネルギーを存分に感じながら、『キングダム』の世界に浸ることができる舞台『キングダムⅡ-継承-』。
必見です。

©原泰久/集英社・東宝
忘れてはいけない、音楽の生演奏
そして最後に、忘れてはいけないのが、音楽が生演奏であるということです。
迫力のある音楽も、この舞台の大きな魅力の一つ。
ただ、客席から観ていると、その存在が完全に隠れていて、演奏している姿が見えず、生演奏かどうかと気になりつつ、カーテンコールで初めて分かる……という状況でした。
ぜひ観劇の際には、舞台上だけでなく、迫力ある音楽の生演奏にも注目していただきたいと思います。

©原泰久/集英社・東宝
Wキャストだからこその楽しみも
私が観劇したのは、三浦宏規さん、東啓介さん、小関裕太さんの回でしたが、Wキャストの3名の組み合わせは固定ではなく、公演によって組み合わせが変わります。
高野洸さんが演じる信と、章平さんが演じる龐煖も気になるところです。
また、組み合わせが変わることで、作品から受ける印象も変わるでしょう。
キャストによる違いを楽しめることも、Wキャストの醍醐味の一つ。
ぜひ、さまざまな組み合わせで観ていただきたいと思います。
(文:松坂柚希)
舞台 KINGDOMⅡ
キングダムⅡ ‐継承‐
原作 原泰久
(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
脚本 笠浦静花 演出 山田和也
音楽 KOHTA YAMAMOTO
脚本監修 藤沢文翁
製作 東宝
□キャスト
信 三浦宏規/高野 洸
羌瘣 山本千尋
龐煖 東 啓介/章平
河了貂 華 優希
尾平 元木聖也
蒙毅 竹内將人
羌象 清水葉月
蒙武 渡辺 大※東京・大阪公演のみ/飯作雄太郎※大阪・福岡公演のみ
摎 大塚千弘
騰 石川 禅
王騎 山口祐一郎
嬴政(声) 小関裕太/牧島 輝
カイネ 森 莉那
尾到 篠崎大悟
趙荘 保土田 充
◻︎公演日程
【東京公演】
公演日程:2026年8月9日(日)~9月13日(日)
会場:東京建物Brillia HALL
【大阪公演】
公演日程:2026年9月21日(月)~9月29日(火)
会場:新歌舞伎座
【福岡公演】
公演日程:2026年10月6日(火)~10月13日(火)
会場:博多座

