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チェーホフの短篇集をニール・サイモンが戯曲化 9つの話をオムニバス形式で上演『チェーホフの奏でる物語』2026年1月から東京・大阪で上演

『チェーホフの奏でる物語』出演者

『チェーホフの奏でる物語』が2026年1月に東京、2月に大阪で上演される。

 
本作は代表作『おかしな二人』『サンシャイン・ボーイズ』など数々の名作を手掛けたアメリカの劇作家ニール・サイモンが1973年に発表した作品。
チェーホフに触発されたニール・サイモンがチェーホフの短篇集をモチーフに9つの話で構成したものだ。

一人の作家が進行役として登場し、作家が創り上げた短い作品に出てくる登場人物24役を、作家役を含めたキャスト5名によって次々に演じ分ける。
日常に起こる笑いの中にある人間のもどかしさやおかしみを描いたチェーホフ作品の魅力が存分に描かれたニール・サイモンの珠玉の名作だ。

翻訳は小田島創志。演出は演劇集団円の内藤裕子が手掛ける。
出演は、「一人芝居」の第一人者としてその比類なき演技力が国内のみならず、海外からも高い評価を得ているイッセー尾形。秀逸な表現力と存在感で数多くのドラマ、映画、舞台において充実の活躍をみせる安藤玉恵。ふぉ~ゆ~のメンバーとして精力的に活動する一方、まっすぐな役作りとユーモア溢れるセンスで多彩な活躍をみせる福田悠太。舞台をはじめ、映画、ドラマにおいて瑞々しい演技で高い注目を浴びている小向なる。そして舞台、映画、ドラマなど、幅広いフィールドで、多彩な演技力と飄逸な味わいで作品を豊かにする松尾貴史が出演する。

 

【第一幕】

第一話「くしゃみ」
芝居好きの国家公務員、国立公園省事務官チェルジャーコフが妻とともに芝居見物にでかけたところ、直属の上司である国立公園大臣ブラシルホフ将軍と出くわす。絶好のチャンスとばかりに、チェルジャーコフは観劇の最中、将軍閣下に話かけるのだが、うっかりくしゃみをして、それが将軍の後頭部に命中。必死で言い訳するのだが、、、

第二話「家庭教師」
住みこみの家庭教師をしている若いユリヤ。女主人は、ユリヤが大人しくて従順なのをいいことに、難癖をつけ、どんどん給料を値切っていく。80ルーブル払うべきところをとうとう10ルーブルにまでしてしまう。そこには女主人のある意図が、、、

第三話「手術」
歯痛に苦しむ教会の小間使いフォンミグラーソフが医者に駆けこんで来る。しかし先生はいない。居たのは留守番をしている新米助手のクリャーチン。大騒動のあげく、クリャーチンはフォンミグラーソフの歯を抜くが、失敗。最後は奇跡を願い、神に祈るのだが、、、

第四話「誘惑」
人妻を誘惑する名人ピョートルが、得々とその手管をひけらかしながら、誘惑を実践してみせる。人妻を誘惑しようと思ったら、絶対にその夫を通じて近づくこと。ピョートルは偶然を装い、夫に近づき、奥さんをほめあげる。夫は家で妻にそれを話す。妻のほうはまんざらでもない。
やがて妻がピョートルのもとにやってくるのだが、最後はピョートルが思ってもみなかった意外な展開に、、、

 
【第二幕】

第一話「溺れた人」
桟橋を歩く作家のもとに、男が近づいてきていう。
ちょっとした見世物をみたくはないですか。
たった3ルーブルでこれから溺れる芝居をあなたに見せますと。
そして海に飛びこみ、段取り通りに進む予定が、、、

第二話「オーディション」
オーディションにきた若い女。受けこたえがちぐはぐで、なんともしまらない。
でも、なんとか演技をみせるまでこぎつけて、「三人姉妹」ラストを見事に演じてみせる。

第三話「弱くて無力な生き物」
舞台は銀行の役員室。
事務のキストゥノフは痛風に悩まされ、痛みが増すことを恐れている。
そこに女性が面会にやってくる。女性の夫は団体査定係であったが、5か月前に病気になり、勤めをクビになってしまった。そこで給料をもらいにいってみたら、夫が前借りをしていたからと減らされている。
夫が私の知らないところで前借りするはずがない。不当な扱いをされたとキストゥノフに訴え、さらに女性は騒ぎ立て、キストゥノフは気も狂わんばかりとなる。

第四話「幸せには遅すぎる」
公園のベンチで60代はじめの女性が本を読んでいる。そこを70代はじめの男性が通りかかる。おたがいに魅かれあっていることが歌によって示されるのだが、2人の距離は今日のところは縮まらない。

第五話「大人の階段」
19歳の誕生日のお祝いに、父親が息子のアントーシャのために女性をあてがおうとする。しかしアントーシャは奥手で頼りない。父親はそんなアントーシャを励まし、いかがわしい界隈へ。出会った若い女は30ルーブルというが、19のせがれ相手にはちょっと高い。理由を話し、15ルーブルではどうかと父親は値切る。そして20ルーブルで交渉は成立するのだが――。

 

《イッセー尾形》
多分誰も知らないチェーホフをお届けします。
ですから原チェーホフとでも申しましょうか。短編の連なりでありますが、これが繋がって「桜の園」とか「三人姉妹」とかが生まれたのかと思うと、皆さん納得すると思います。キラ星のごとくある小品の中から選びました。
ぜひ人間悲喜劇をお楽しみ下さい。

《安藤玉恵》
小田島創志さんの新翻訳の初稿を読み、何度も吹き出してしまいました。そして自分の意地の悪さに気がついて、笑っている自分にゾッとしたりも。作家が書く世界が目の前で繰り広げられるオムニバス、コントみたいだなと思ったり、オチを探してさまよったり。深い、そして可笑しい、そんな印象です。
 イッセーさんと10年越しの夢の舞台。松尾さんとは「桜の園」以来の2度目の共演。初共演の福田悠太さんと小向なるさん。そして演出は内藤裕子さん。どんなことになっちゃうんだろう。みんなそれぞれ何役もやります。年明け、どうぞご期待ください。

《福田悠太》
アメリカの喜劇作家ニール・サイモン作のオムニバス作品。台本を読んだ印象は、「なんて面白いんだろう。こんなにワクワクさせてくれて、笑わせてくれて、かつ人間の弱さや、社会のちょっとした不条理、悲しみと笑いが同居する瞬間があって、言葉のやり取りのスピード感、予想外の展開、、、、、」つまりは、出たいと思ったという事です。
そして、錚々たる役者の皆様との共演。身が引き締まる思いです。役者として、満足する事なく、この作品の中で得られる事を大事に、楽しみながら、しっかりと役を全うしたいと思います。よろしくお願いします!

《小向なる》
この作品は、人の弱さや可笑しさを温かく描き出していて、読んでいて心が動かされました。場面ごとに全く違う色を持ち、演じ方次第で大きく変わる戯曲だからこそ、挑戦のしがいがあると感じました。一人ひとりの人物を丁寧に受け止め、舞台上で息づかせたいです。観てくださる方が「人間って面白いな」と感じられる時間をお届けできるよう、全力で取り組みたいと思います。

《松尾貴史》
ニール・サイモンの真骨頂、軽快で機知に富んだ会話が魅力的です。登場人物たちの掛け合いもテンポがよく、笑いと共感を生みやすいのではないでしょうか。コメディながら、登場人物の内面的な葛藤や成長が緻密で、組み立てたりほぐしたりという作業がすこぶる楽しそうです。職業を通じて、責任、倫理、プライベートのバランスなどのテーマを掘り下げたり、笑ったりという印象の行ったり来たりも。変テコな患者や医者、その周辺人物たちのユニークな性格がまた楽しい。医療現場の日常的な問題が誇張された喜劇として展開するのも興味深いです。現実とユーモアの絶妙なバランスが新鮮に喜んでもらえると思います。 シンプルな設定で展開する会話劇が、役者としてすこぶるやりがいがあると感じます。

 

公演の詳細は公式サイトで。

(文:エントレ編集部)

公演情報

『チェーホフの奏でる物語』

【作】ニール・サイモン(原題:The Good Doctor)
【翻訳】小田島創志
【演出】内藤裕子

【キャスト】
イッセー尾形
安藤玉恵
福田悠太
小向なる
松尾貴史

【上演概要】
東京公演:1月上演
大阪公演:2月上演

 
公式サイト
https://chekhov2026.jp/

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