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【インタビュー】ミュージカル『9 to 5』にて宝塚退団後初舞台 和希そらの飛躍はまだまだ止まらない!

和希そら

涼やかなビジュアル、軽やかでメリハリのあるダンス、自然体で巧みな演技力、安定感抜群の歌声を併せ持ち、“一度気になってしまったらもう逃がしてはもらえないスター”、和希そらさん。
2024年2月11日に惜しまれながら宝塚歌劇団を退団。そしてこのたび、ミュージカル『9 to 5』にて女優として新たなステージへと羽ばたく和希さんに、今、そして未来への思いをお聞きしました。
(※こちらのインタビューは2024年7月9日に取材したものです。)

新たなステージでも、自分らしくフラットに

――約15年間を過ごした宝塚歌劇団は、振り返ってどのような場所だったと感じますか。

「すべて」だったなと感じます。常に舞台の本番かお稽古があって、日々レッスンをしたり。舞台が大好きな私にとって、本当に幸せな環境でした。私は宙組から雪組への組替えを経験したんですけれど、刺激がたくさんあって、本当に経験できてよかったなと心から思います。ずっと舞台と向き合って生活していました。

――お休みの日も公演に向けたメンテナンスを行っていらっしゃるイメージなのですが、退団された今、生活のリズムは結構変わりましたか。

生活リズムは在団中とはかなり違いますね。とはいえ私、ルーティンをつくるのが嫌いなので、テンション的にもモチベーション的にも何をするにも結構フラットなんですよ。だから、「一生懸命奮い立たせて、心機一転!」みたいな感じではないですね。ベースは一緒のような気がします。あとは例えば、美容院に行くとか、ショッピングに行くとか、観劇に行くとかも、元々全部好きなので、退団したから特別何かを減らしたわけでもプラスしたわけでもなく、あまり変わってないかもしれないです。

――私服には何か変化はありますか。

男役の時にはプライベートでも、どうにもこうにも踏み込まないファッションの領域があるのでもちろん変わりましたが、ただ、男役のときからユニセックスなファッションも多かったので。幅が広がったなという感覚です。

――以前雑誌のインタビューで、「何かにハマっていると話しても、次に聞かれたときにはもうハマっていない」とおっしゃっているのを拝見したことがあり、野暮な質問になってしまうのですが、ちなみに今ハマっていることとかって…。

それでもお聞きになると(笑)。ないですね。本当におっしゃる通りで、たとえインタビューで何かにハマっていると言っても、みなさんがその記事をご覧になるころには飽きてハマっていないという人間だったんですが…今はそもそも言えるものがないです(笑)。ファンの方がせっかくプレゼントしてくださろうとしてもそのころには飽きている可能性が高いので、ファンのみなさんには、「私の中の流行などは気にせず、自由に生きてください」と、この場をお借りしてお伝えしておきます(笑)。

――最近観劇された舞台で、感銘を受けた作品はありますか。

いろいろな舞台を観に行っていて、その都度本当に沢山の刺激を受けているのですが…柿澤勇人さん主演の『ハムレット』(彩の国シェイクスピア・シリーズ)は、演者の方々の集中力と共に観客のみなさんも物音ひとつ立てられないような集中力の中で観たのがとても印象的でした。集中しすぎて瞬きをしていなかったみたいで、久しぶりに瞬きをしたことに気づいた時に、「人間これだけ集中すると本当に瞬き忘れるんだ」と思いました(笑)。ここだけ切り取ると集中していない人みたいに聞こえますが、これも含め本当に勉強になることばかりでした。いつかストレートプレイにも挑戦してみたいですね。

私、人間観察が好きなんです。

――今回、ミュージカル『9 to 5』で退団後初舞台となりますが、外部作品に出演する楽しみはどのようなところに感じていますか。

出演者の方もスタッフの方もほとんど皆さん、初めてお会いする方々なので、どういうふうにお稽古が進んで、作品がつくりあげられていくのかすごく楽しみです。あとはお客様も、普段からいろいろな作品の舞台を観ている方、和希そらを初めてご覧いただく方と、さまざまな方がいらっしゃると思うので、また新しい出会いの場になることもとても楽しみです。


ミュージカル『9 to 5』ポスター

――和希さんは人見知りなイメージなんですけれども、知らない人が多い中に入ることについてはどう感じていますか。

宝塚で組替えを経験した時に、「自分が自分でいれば大丈夫だろう」と思って飛び込んだんです。周りの方々のお優しいお心もあって、全くふわふわした心の状態にはならずに日々を過ごしていました。人見知りではあるのですが、新しい環境と出会ったときに、何かがすごくストレスになったり、怖いなと思うことはあまりないですね。ただ自分でも、自分の人見知りのポテンシャルを把握しきれていないのでここから先は未知です(笑)。いろいろな方とお会いして、接して、それによって自分がどんな影響を受けて、どう変化していくのか、ただただ楽しみにしています。

――コメディ作品はお得意ですか。

今までコメディ作品に出演する機会はあまり多くはなかったのですが、私、お笑いとか、おもしろい人とかが大好きなので、すごく楽しみですね。

――今回は舞台となるのが大企業のオフィスということで和希さんの役柄はOLですけれども、街中にいるOLさんを見て役作りに活かそうと思ったりはしますか。

この役だからすごくOLさんを見ているとかではなく、私、基本的に人間観察が好きなんです。例えば宝塚時代は東京と関西を行き来することが多かったんですけど、気付いたら、空港とかで搭乗を待っている人を観察していたりして。
以前、カップルがひとつのスマホを2人で覗いているのを見たんですけど、その見方とか興味深くて。どちらがスマホを持ってどういう姿勢で見ているのかとか、お互いをすごく意識しているわけではない自然な感じとか。それだけでも大体の交際期間とか、パワーバランスとか想像できますよね。そういう“日常”の観察の癖がいつかの役作りに活きていることはあるかもしれないですね。

――思わぬことが役づくりに活かされることが結構あるのですね。

そうですね。宙組時代に『アナスタシア』という作品で女役(リリー)をさせていただきまして、そのときに「紙を拾う」というちょっとした所作があったんですけど、お衣装も結構タイトで皇太后の侍女という立ち位置でもあったのでどのように動くのがいいだろうと思った時に、以前何気なく見ていたバラエティー番組で【いい女の、物の拾い方】みたいなのを見た記憶があったんです(笑)。勉強としてではなく、たまたま見ていたものが活きてきたりするのもおもしろいなと思います。

――今後、「これがいい女の所作か」と思いながら『アナスタシア』見させていただきます(笑)。

あはは(笑)。ぜひ。

――人間観察は小さいころからお好きだったのですか。それともお仕事を始めてからですか。

職業柄なのかどうかはちょっとわかりませんけれど、でも普段生きていて、わりと周りを客観視しているタイプだと思います。自分が率先して話をしたいというよりは、誰かが話しているのを聞く方が好きですし、落ち着きますね。

――東京公演が行われる日本青年館ホールには、どのような思い出がありますか。

2022年に『心中・恋の大和路』(※東上初主演)、2023年に『双曲線上のカルテ』(東上主演)、と気がつけばここ最近は、年1のペースで日本青年館ホールに立たせていただいているのですが、思い起こせばいろいろなことがありました。2020年に緊急事態宣言で全ての公演が止まってしまったときも、日本青年館ホールで舞台稽古をしたあとに「明日からの公演はなくなります」と言われてしまって悔しかったのを覚えていますし、最後に主演をさせていただいたのも、また再スタートをする場所も日本青年館ホールなので、とても縁を感じます。

※東上主演…本拠地宝塚ではなく、関東圏の劇場で行われる公演で主演をすること。路線(番手付き)スターの登竜門。

――東京での公演ののちは、大阪、福岡、静岡でも公演が行われますが、地方での生活は楽しまれるタイプですか。

多分、本当に楽しまれる方ほどのアクティブさはないんですが、美味しいものを食べられたらいいなぁと。宝塚の下級生だったときは全国ツアーの時、移動中に次に行く地の温泉を調べて、全温泉をコンプリートしようとしたりしていました。元気があり余っていたなぁと思います(笑)。あとは地方ごとにお客様の反応とかも違ったりするので、楽しみですね。

幅広いジャンルへの挑戦を楽しみたい

――今後、どのような女優になりたいと思っていますか。

ありがたいことに今いただいているお話だけを見ても本当にいろいろな役柄があって、幅広いジャンルに挑戦させていただけそうなんです。「これを演じたあとにどういう未来が待っているんだろう」とか「自分がそのあとにどういう選択をするんだろう」というワクワクが、いただいている役すべてにあるので、今はいろいろなものに挑戦して、その先に何が見えるのかを楽しみたいと思っています。

――未知の世界に飛び込むのがお好きなんですね。

自分の得意分野とか、世間で持たれているイメージとかを自分の中で「こうなんだ」と決めてしまうと、そうでしかなくなってしまうじゃないですか。そういう固定観念で選択肢を狭めてしまうのはもったいないと思うので、そこはフリーに生きたいです。

――和希そらさんにとって、ファンのみなさまはどのような存在ですか。

自分が何かに挑戦したり頑張るときの活力になってくださる心強い存在です。全国に応援してくださる方がいて、中には日本在住ではない方もいらっしゃったりするので、さまざまなところから思いを寄せてくださる方がいるというのは本当にありがたいことですし、いつも頑張る活力をいただいています。

――最後に、ミュージカル『9 to 5』を楽しみにしているお客様にメッセージをお願いします!

作品自体はすごくポップで、笑いながら楽しく観られる舞台だと思うので、ぜひハッピーな気持ちを求めて劇場に来ていただきたいですし、何度でも楽しんでいただける舞台だと思うので、楽しみにしていただきたいなと思います!

元気ハツラツでやんちゃな印象が強かった下級生時代から、学年が上がり、組替えを経て、後輩たちからも愛されるみんなのお兄さんへと成長し、宝塚歌劇団を退団したのちはスタイリッシュなお姉さんへと変貌を遂げた和希さん。これから先は、どのように変化していく姿を拝見できるのか、とても楽しみです。
2024年11月には「Billboard Live」、2025年にはミュージカル「SIX」の出演を控え、飛躍はまだまだ止まりません!
「人生は、楽しまなくちゃ♪」(by. ミュージカル『アナスタシア』リリー)

ミュージカル『9 to 5』の詳細は公式サイトで。
https://9to5.jp/

撮影・文:越前葵

公演情報

ミュージカル『9 to 5』

【音楽・歌詞】ドリー・パートン
【脚本】パトリシア・レズニック
【原作】20世紀FOX同名映画

【翻訳・訳詞・演出】上田一豪

【出演】
明日海りお 平野綾 和希そら 内海啓貴 飯野めぐみ 別所哲也 

ひのあらた 俵和也 高橋里央 高瀬雄史 小原悠輝 古田伊吹 望月凜 小林諒音 舩山智香子 コイタ奈央美 友部柚里 堤梨菜 杉山真梨佳 吉田彩美 柴田実奈 石井千賀 ルイス魅麗セーラ 飯沼帆乃佳

【東京公演】 2024年10月6日(日)~21日(月)/日本青年館ホール
【大阪公演】2024年10月25日(金)~28日(月)/オリックス劇場
【福岡公演】2024年11月1日(金)~3日(日)/キャナルシティ劇場
【静岡公演】2024年11月7日(木)~8日(金)/静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール

公式サイト
https://9to5.jp/

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