歌舞伎×刀剣乱舞　融合性の高さは随一！ 「絵になる」とはこういうことかと息をのむ作品！　新作歌舞伎『刀剣乱舞　月刀剣縁桐』観劇レビュー

新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』歌舞伎×刀剣乱舞　融合性の高さは随一！ 「絵になる」とはこういうことかと息をのむ作品！　新作歌舞伎『刀剣乱舞　月刀剣縁桐』観劇レビュー

　花吹雪に笛の音、華やかな舞いに激しい刀さばき…美しさと勇ましさが交互に押し寄せ「刀剣乱舞」の名にふさわしく、刀剣男士たちが咲き乱れるように戦っていた。
　光と影のコントラスト、役者の立ち振る舞い、舞台装置の華やかさ、宙乗り…どこをとっても絵になり、見る者を魅了する。特に、おどろおどろしいシーンから一気に華やぐシーンへの変換はその落差から一層美しさが際立ち、息をのむ瞬間が幾度となくあった。

新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』

　ここ数年の歌舞伎は、ワンピースやナウシカをはじめ「あっ」と驚く意外性の高い作品とのコラボレーションを多く発表してきました。そしてそれらは「どう歌舞伎で表現するのか？」という興味にも繋がり、若者が歌舞伎に触れるきっかけを作りだしてきました。

　今回の「刀剣乱舞」は刀剣に宿る付喪神が戦士の姿となった刀剣男士を率い、時間遡行軍による改変から歴史を守る人気ゲームを原作としています。「刀剣」は江戸時代から歌舞伎と縁が深く、度々歌舞伎の題材として取り上げられてきたものです。そのため意外性は他のコラボ作品に比べると高くはありませんが、相性の良さはお墨付きで、素直に「観たい！」と思えるコラボレーションでした。それも、今やゲーム、アニメ、2.5次元舞台などを経て日本を代表する一大コンテンツとなった刀剣乱舞。世界中に多くのファンを持つこの作品が歌舞伎と交わることでどんな世界観が広がるのかと期待に胸を膨らませて、劇場に向かいました。そして、その期待値を越え、和の世界をこれでもかと堪能できるエンターテインメント作品がここに誕生していました！

新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』

　主演は尾上松也さん。歌舞伎だけでなく、舞台やドラマ、バラエティでも活躍する彼が今回は演出も担当しています。彼ならではの感性が光る演出やアドリブには驚かされました。また、尾上右近さん、中村鷹之資さん、中村莟玉さんも一人二役と大変さは想像を絶しますが、早替りや配役の演じ分けは見事なものであり、役者の熱量をこれでもかと感じました。

新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』

日本が誇るべきエンターテインメント歌舞伎を是非生で！

　日本の伝統芸能歌舞伎…まだ未体験の日本人、そして是非外国の方々にも味わっていただきたい日本が誇るべきエンターテインメントの一つであると感じました。
かくゆう私も実は歌舞伎初体験…正直、現代舞台やミュージカルに比べ敷居が高いイメージがありました。しかしながら、始めに歌舞伎用語や刀剣乱舞についてのあらすじの説明もあり、構えずとも優しくその世界へ誘われました。そして、花道や回転舞台、長唄や鳴物…歌舞伎ならではの舞台を存分に堪能することができました。古典歌舞伎の魅力がふんだんに盛り込まれた話題作！ぜひ生の舞台でお楽しみください！
　より詳しく理解したい方はイヤホンガイドの貸し出しを利用するのもおすすめです。

公演の詳細は公式サイトで。
https://kabuki-toukenranbu.jp/

（撮影：真来こはる、文：あかね渉）