ミュージカル『トッツィー』

最後まで笑いが絶えない最高に楽しい作品! ミュージカル『トッツィー』観劇レビュー

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』

最後まで笑いが絶えない最高に楽しい作品! ミュージカル『トッツィー』観劇レビュー

新年を迎えて初めて観る作品は縁起良く“当たり”作品を観たい!そんな観客の気持ちに応えようと製作サイドも力を入れている(と思っている)!そう、このミュージカル『トッツィー』も2024年で1番なんじゃないかと思わせてくれるぐらい最高に楽しい作品だった!!本作に対して予備知識がなかったんですが、チケットはほとんど完売だとか!皆さま面白いものをよくご存知でいらっしゃる(笑)なんだったら自分、今回主演の山崎育三郎さんのこともお名前しか存じ上げずで。しかし、そんな初心者な自分が興奮冷めやらぬ状況も事実、しっかり想いをお伝えしていきます!

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』

STORY

俳優のマイケル‧ドーシー(山崎育三郎)は、演技へのこだわりと熱意は人一倍だが、演出家やスタッフと揉めてしまう、性格に難ありの面倒くさい俳優。エージェントのスタン(羽場裕一)も匙を投げる始末だ。同居している売れない劇作家で親友のジェフ(金井勇太)は何かとアドバイスをしてくれるが好転の兆しはない。俳優として舞台に出るチャンスを探している中、マイケルの元カノで今でも頻繁にマイケルのアパートにやってくるサンディ(昆夏美)がブロードウェイ・ミュージカルの臨時オーディションを受けることを知る。マイケルは仕事が欲しい一心で女性になりきって“ドロシー・マイケルズ”と名乗り、そのオーディションを受けたところ、合格してしまう。個性的なキャラクターが際立つドロシーは、敏腕プロデューサーのリタ(キムラ緑子)の目に留まり、主役に引き上げられ、一躍人気者になってしまう。素の自分=男としては全く売れないのに、女優ドロシーになりきると、共演者やスタッフからの人望まで得てしまったマイケルは、挙句の果てに、マッチョでイケメンだが俳優としては未熟なマックス(岡田亮輔/おばたのお兄さん Wキャスト)に熱烈に惚れられてしまう。そんな中、同じ舞台で共演することになったヒロイン役のジュリー(愛希れいか)は、大御所演出家のロン(エハラマサヒロ)に言い寄られながらも取り合わず、ドロシーとの友情を深めてゆく。が、素のマイケルはジュリーに恋をしてしまい…。

 
知識ゼロの自分も上演前にはストーリーを確認して『ふむふむ、ドタバタコメディか』、なんてわかったような気分でいたものの、蓋を開けてみればストーリーの字面からだけでは読み取れない個性溢れる(溢れまくる)登場人物が出るわ出るわで、面白さに耐えきれずに体をドッタンバッタン!

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』

主人公マイケルはぶっちゃけ面倒臭い人物(笑)相手を重んじることを美徳とする日本では、マイケルのように協調性を無視して我が道をいくタイプの主人公は珍しい。本作ではこの主人公が女装して大逆転劇を起こすのはわかっているものの、だからこそ(?)冒頭から共感できない主人公だと素直に思わせてくれる脚本と山崎育三郎さんの演技に、この先の展開に自然と期待が高まりました。マイケルがドロシーとなってオーディション会場に登場し、邪険に扱われながらも権利を主張し歌うシーンは圧巻!舞台上で審査員を務める人物は歌声に魅了される演技をしていたと思うけど、観客の気持ちも全く同じ!すげーっ、素敵―!!と心の中で叫びまくっていました。

ミュージカル『トッツィー』
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ちなみに初心者の自分はドロシーが登場した時に、マイケルと同一人物だとわからず、その後に舞台上で騙される人物たちと同じような気持ちでいました(笑)このマイケルとドロシーは幾度となく入れ替わります。計30回もあるんだとか!『あれ!?もうチェンジした!』ってぐらい早くて驚かされました。

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』

この作品の魅力はドロシーだけなのかと思っていましたが、むしろドロシーに負けない登場人物がたくさん出てきます。昔からよく言うじゃないですか、脇役が面白い作品ほど面白いって!本作がそれです!情緒不安定なマイケルの元カノのサンディを演じる昆夏美さんは、小柄な印象があるものの振り幅のある感情表現と全身を使った演技に魅了される。マイケルとは対照的な印象の親友ジェフを演じる金井勇太さんは、クールに物事のバランスを取る役回りかと思えばイタズラ心があってクスっとさせられる。

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』

踊るミュージカル界の大御所演出家ロンを演じるエハラマサヒロさんは、『こんな人が演出してたらさすがにダメでしょ!』と思わせてくれる鬱陶しい存在感はさすが!他のキャストとは異なるお笑い芸人のようなお芝居のスタイルも好印象(←誉めてます)。そしてなんといってもマックスを演じた岡田亮輔さん(Wおばたさん)は、一歩間違えると引かれてしまいそうな役柄を、最後までおバカでマッチョな役を突き通していて、自分的には最も期待をしてしまった人物でした(笑)そんな浮きまくる登場人物の中でヒロインのジュリーを演じた愛希れいかさんの芝居が、とてもスマートで好きだった!ジュリー自身が女優として目標のために、挫折を繰り返しつつ今に辿り着いた姿がお芝居を通じてスッと体に入ってきた。

ミュージカル『トッツィー』
ミュージカル『トッツィー』

本作はマイケルが役を得るために女装までした。女性という立場になることで周りから認められたり、主人公自身も女性としての立場で物事を考えるきっかけがあったり、また人との出会いがその人の運命を変えることに繋がったりと、いろいろ考えさせられた。性別を変えるのは大袈裟かもしれないけど…(余談ですが自分は途中からドロシーがマイケルに戻ると『ええ、ドロシーが観たい…』なんて気持ちになっていたことに気付き、マックスと友達になれるような気がしてました。)

ミュージカル『トッツィー』
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振り返ってみたらずーーっと笑っていた!後半はシリアス展開かなと思いつつも、最後まで笑えるネタが尽きずで。是非時間があれば当日券狙ったり、空いてる会場に足を運んでください!

ミュージカル『トッツィー』
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詳細は公式サイトへ。
https://www.tohostage.com/tootsie/

(文:かみざともりひと

公演情報

ブロードウェイ・ミュージカル『トッツィー』

【音楽・歌詞】デヴィッド・ヤズベック
【脚本】ロバート・ホーン
【演出】デイヴ・ソロモン
【振付】デニス・ジョーンズ
【オリジナル演出】スコット・エリス
【出演】山崎育三郎 愛希れいか 昆 夏美 金井勇太 岡田亮輔/おばたのお兄さん エハラマサヒロ 羽場裕一 キムラ緑子

2024年1月10日(水)~1月30日(火)/東京・日生劇場
2024年2月5日(月)~2月19日(月)/大阪・梅田芸術劇場メインホール
2024年2月24日(土)~3月3日(日)/名古屋・御園座
2024年3月8日(金)~3月24日(日)/ 福岡・博多座
2024年3月29日(金)~3月30日(土)/ 岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワ

公式サイト
https://www.tohostage.com/tootsie/

チケット
東宝ナビザーブ
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