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演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀

演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』紀伊國屋ホールで開幕/上演は7月3日(日)まで

演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀

 

演劇集団ワンダーランドの舞台『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』が7月1日(金)に新宿三丁目・紀伊國屋ホールで開幕。上演は7月3日(日)まで。

 
演劇集団ワンダーランドは、『人は見た目が9割』、『戯曲・星に願いを』、『哲也 雀聖と呼ばれた男』などで知られる劇作家・演出家・漫画原作者の竹内一郎(さいふうめい)が主宰する劇団。

「戦果アギヤー」と呼ばれる米軍駐留基地専門の実在の盗賊団を取材し、2005年に舞台『神鷲は死なない』として東京芸術劇場で上演。2009年には『OKINAWA 1947』と改訂、2015年に『沖縄の火種』と解題し上演を繰り返してきた作品を、今回は『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』として紀伊國屋ホールで上演する。

出演は大橋芳枝をはじめ、岡本高英、東大源、茨木学など。
作・演出は竹内一郎が手がける。

 
本作が7月1日(金)に紀伊國屋ホールで開幕する。

演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀

 
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀

 

STORY

1947年沖縄。終戦から2年、沖縄人の心の中には被害者としての感情が蔓延していた。そんな過酷な時代に、希望を失わず、まっすぐに今日を生き抜く人々がいた。「戦果アギヤー」と呼ばれる米軍駐留基地専門の盗賊団である。リーダーはフィリピン帰りの女傑・金城ナツ子である。絶望することなく、生き抜くために、米軍相手に命がけで盗みを働くアギヤーたち。敗戦国の中にあって、彼らの強い意志と生命力は、米軍にとって脅威になりつつあった。アギヤーたちの願いはただ一つ。失われた沖縄人たちの誇りを取り戻す事。エイサー祭を復活することである。コンゲームの末にナツ子達は、自分たちの魂のよりどころであるエイサー祭を復活させる。

第二次世界大戦時は、悲劇で語られることの多い沖縄だが、戦後6年ほど「景気時代」と呼ばれる、米軍から物資を盗み東南アジア各地で売りさばくことを生業とした「戦果アギヤー」と呼ばれる集団に代表される好景気があった。戦争の傷跡を新視点で切り込み、たくましく生きる日本人像を提案したい。
琉球舞踊の名手・関りえ子の振付による本格的な琉球舞踊やエイサー、三線、胡弓、笛が入り、華やかな演出になっている。

(金城ナツ子役=大橋芳枝、タンメ—役=岡本高英)
※この物語はフィクションです。

 
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀

 
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀

 
 

竹内一郎

民草の心意気を

記念すべき「第50回公演」なのかもしれない。紀伊国屋ホールでやるようになって「10回目」である。感無量の思いがないでもないが、私たちの演劇には、節目は似合わない。とはいえ、根を張っている実感もないが、いつしか川面を漂っているだけの集団でもなくなりつつあるようだ。

「戦果アギヤー」は、第二次世界大戦後、米軍基地から盗んだ物資を、アジア中に商う盗賊団である。2003年ごろ、戦果アギヤーの存在に気づき、取材を開始し、2005年に『神鷲は死なない』(東京芸術劇場)として上演した。「焼け跡ギャンブラーシリーズ」の掉尾を飾る作品として。

2009年には『OKINAWA 1947』と改訂し、「日米の狭間にある沖縄」というスケールを与えてみた。演劇に時代を映す鏡の働があるのでは、と思い始めていた。私たちが初めて、紀伊国屋ホールで上演するにふさわしい作品に成長した。

2015年に『沖縄の火種』と解題し、この時は、あえてホールを小さくして(池袋『ボックス・イン・ボックス』)、演劇の密度を高めることに注力した。

ちなみに、2007年に奥野修司『ナツコ』(文芸春秋)という戦果アギヤーの女豪傑を追った、ノンフィクションが出た。丁寧に読んでみたが、遺族や仲間など、本当のことがわかれば、さし触りのある人も多く、踏み込みたくても、踏み込めなかったというのが著者の本音だろう。事実に迫りにくい世界だ。

私は、事実も交えつつ、全体としてはフィクションを貫きたい。フィクションで透かし彫りにした、ウチナーンチュウのダイナミズムに触れて欲しい。人が生きることの喜びと、悲しみがそこにある。私たちが今、生きてあることの奇跡も。

 
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀

 
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀
演劇集団ワンダーランド『沖縄の火種 -1947年のナツ子-』 撮影:田中亜紀
 

なお、下記日程でアフタートークが開催される。
7月2日(土)14:00の回 竹内一郎・松山堅一(新宿エイサーまつり大会委員会 代表)
7月3日(日)14:00の回 竹内一郎・真藤順丈(作家)

 
本作は7月3日(日)まで紀伊國屋ホールで上演されたのち、7月15日(金)から沖縄県 うるま市石川会館で上演される。

 
詳細は公式サイトで。
http://office-wonderland.com/2022/05/10/post-1280/

  
(撮影:田中亜紀、文:エントレ編集部)

 

公演情報

演劇集団ワンダーランド第50回公演「沖縄の火種(ウチナーヌウチケビー)—1947年のナツ子—」

【作・演出】竹内一郎

【出演】
大橋芳枝
岡本高英、東 大源、茨木 学、笠倉祥文、馬場太史、藤井亮輔、佐藤勇輝、森山真衣、尾ノ上彩花、稲葉愛花
宮坂公子、泉 鮎子、大嶋芳宗、川崎拓己、下地きく乃、渋谷結香、上條有紀、丸山彩果、榊原あみ

2022年7月1日(金)〜3日(日)/東京・紀伊國屋ホール
2022年7月15日(金)~18日(月・祝)/沖縄・うるま市石川会館

 
公式サイト
http://office-wonderland.com/2022/05/10/post-1280/

チケットを探す
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=f661e76cbccf5463
https://store.kinokuniya.co.jp/ticket/
https://l-tike.com/

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