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CEDAR「わが友ヒットラー」

三島由紀夫没後50年。闘争で揺れた1968年、日本の右左両翼の魂を激突させ時代を正面から突いた三島由紀夫。 CEDARが挑む『わが友ヒットラー』のPR動画が公開。

CEDAR「わが友ヒットラー」
宣伝デザイン:飛田庸徳

CEDARによる舞台『わが友ヒットラー』が1月16日(土)から東京・シアター風姿花伝で上演される。出演は谷佳樹、栗山航、桧山征翔、大久保祥太郎。

「CEDAR」は演出家・松森望宏、俳優・桧山征翔と演出助手・石川大輔の演劇ユニット。
世界中に数多くありなかなか上演されない優れた名戯曲にスポットをあて、常に話題作を送り出している。

CEDAR Produce vol.5「悪霊」より 三津谷亮・伊藤寧々 撮影:阿部章仁
CEDAR Produce vol.5「悪霊」より 三津谷亮・伊藤寧々 撮影:阿部章仁

約1年ぶりの本公演となる今回は、三島由紀夫晩年の傑作戯曲『わが友ヒットラー』のPR動画が公開された。

披露された動画は、出演者より谷佳樹、栗山航、桧山征翔、大久保祥太郎の扮装姿が収められ、人類の負の歴史の一端をみるような豪華絢爛な室内で撮影されている。本年は三島没後50年となる節目の年。『わが友ヒットラー』は学生闘争で揺れる1968年に書かれ、日本の政治と民衆の思想が激動していた正にその時、三島由紀夫がヒットラーに自身を託した晩年の傑作だ。タイトルロールであるナチス・ドイツの首相アドルフ・ヒットラーを演じるのは「文豪とアルケミスト」主演など2.5次元演劇を牽引する谷佳樹。アドルフ・ヒットラーの盟友にしてナチス党創設、さらには党軍隊【突撃隊】の幕僚長エルンスト・レームに、「牙狼~闇を照らす者~」や「男劇団 表参道X」の団長を務める栗山航。ナチス党のヒットラーに異を唱えヒットラーを壊滅に追い込む野望をもつグレゴール・シュトラッサーにCEDAR創立メンバーの桧山征翔。そしてヒットラーと深い親交があり武器を提供し続けた武器商人グスタフ・クルップは劇団阿佐ヶ谷スパイダースの劇団員・大久保祥太郎が演じる。

STORY

アドルフ・ヒットラーが政権を獲得した翌年におこした突撃隊粛清(レーム事件)を基にした作品。三島由紀夫の代表作『サド侯爵夫人』を書いた時から、これと対をなす作品を書きたいという芽生えから18世紀の怪物マルキ・ド・サドに対して、20世紀の怪物ヒットラーを中心に描く。
ヒットラーに厚い友情を抱いているナチスの私兵・突撃隊幕僚長のエルンスト・レームと全体主義の移行のために「中道」姿勢を国民に見せておく必要から極右のレーム処分を考えるヒトラーを中心に描いている。血で血を洗う政治劇を優雅なアレクサンドランにのせて書き、「究極の美意識」で悪を正当化しようとした、背徳と狂気に満ちた圧巻の舞台。

松森望宏(演出)

 CEDARではこの度、三島由紀夫の傑作戯曲『わが友ヒットラー』を企画させて頂きました。 この『わが友ヒットラー』は、アドルフ・ヒットラーが首相と大統領を兼任する「総統」という旗の下に独裁政治を完成させ台頭していく前夜を描いた血で血を洗う政治劇です。三島文学の中でも特に私小説ならぬ「私戯曲」的内容で、国民に対する欺瞞のため「政治的中道」という仮面を成し遂げるため、友人をも粛清していくヒットラーの内面の狂気性の萌芽に、芸術家である三島の内面とヒットラーの内面を見事に重ね、おぞましく現れる精神的倒錯をいかんなく発揮した氏の代表作です。三島由紀夫後期の傑作であり、私設自衛隊「楯の会」の結成後発表されました。
 我が国でも長期政権が終焉を迎えました。米国では新大統領が選出されました。今後振り返って政治の総決算が議論されるべきでしょうが、政治の表舞台の裏にはどれほどの影や闇が潜んでいたのか。猛烈な光を浴びれば、その影はより漆黒に、そしてクリアに姿を現します。第一次世界大戦ドイツ敗戦の民衆の不満を一気に引き受けたヒットラーの天才的な演説の影にあった、第二次世界大戦敗戦へと続くきっかけとなった「レーム事件」の闇を、三島のレトリックに乗せ鮮やかに蘇らせたいと思っています。三島の美意識により「悪を美によって正当化する」というこの戯曲が持つ猛烈な暗部をしっかりと見つめ検証することで、次世代への教訓としてこの戯曲が息づいていく必要があると考えました。
 演劇の価値は「空間の共有」に尽きると考えています。コロナ禍により奪われた劇場というモニュメントを、劇場に携わる者たちが正しく考え、より善い日常生活を取り戻すためにも、演劇という媒体を通し「善く生きる」ということをテーマに演劇活動を取り戻していきたいと思っています。

本作は1月16日(土)から東京・シアター風姿花伝で上演される。
詳細は公式サイトで。

(文:エントレ編集部)

公演情報

CEDAR「わが友ヒットラー」

【作】三島由紀夫
【演出】松森望宏

【出演】谷佳樹、栗山航、桧山征翔、大久保祥太郎

2021年1月16日(土)~1月24日(日)/東京・シアター風姿花伝

公式サイト
CEDAR

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