2018.7.23  64

たった二人で20役以上を演じる!役者の卓越した技術とコメディセンスが光る『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』観劇レビュー



『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)
 

たった二人で20役以上を演じる!役者の卓越した技術とコメディセンスが光る『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』観劇レビュー

 
昨年3月にミュージカル界の実力派俳優・福井晶一さんと原田優一さんが出演し、好評を博した『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』が今年、新たなキャストを迎え、『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』として帰ってきました!

世界6カ国で上演された本作は、観客を「プロデューサー」や「スポンサー」に見立てた【バッカーズ・オーディション(舞台作品のプレゼン)】というスタイルを取り、作家のダグ・サイモンと作曲家のバド・ダベンポートがブロードウェイ進出を夢みて作ったミュージカル作品『グーテンバーグ』を、ダグとサイモンを演じる二人の役者が20以上の役を劇中劇で演じるのが見どころのコメディ作品です。

今回のレビューでは、新たに抜擢された、鯨井康介さん(ダグ)、上口耕平さん(バド)ペアの初日公演の模様をお届けしたいと思います。

 

役者本人の魅力が最大限に活かされた演出に注目!

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)

たった二人で20役。どうやって演じるの?と感じていた疑問は、ステージ上のテーブルにズラッと並べられた“役名”の書かれた帽子(キャップ)を観て、納得。
主演の二人が帽子をとっかえひっかえし、役を演じ分けていくのです。

その帽子の使い方がまた非常にユニーク!最初は一枚ずつ被っていたかと思いきや、途中から幾重にも重ねて被り、上からどんどん脱ぎ捨てていくことで瞬時に役を変えていく。そのスピーディーな展開はまるでお芝居のジェットコースター!

歌唱シーンでは両手で帽子を持ち、歌声も変えて“コーラス隊”まで登場させてしまうところに、表現の無限の可能性を感じずにはいられませんでした。

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)

劇中劇で演じられるのは、活版印刷技術の発明者といわれているドイツ人のヨハネス・グーテンベルクをモデルとした“グーテンバーグ”、その恋人“ヘルベチカ”、そしてグーテンバーグの活動の邪魔をしようとする“修道士”を軸に、グーテンベルグが「村人たちが文字を読めるように」と印刷機の発明に奮闘する物語。

文字を読めるという特権を持つことで自身の権力を保ってきた修道士(ほんとうに悪い男!)を上口さんがニヒルに、社会全体を幸せにしたいという希望を持ったひたむきなグーテンバーグを鯨井さんが熱く演じます。

もちろんメインキャラクター以外にもたくさんの役を演じられるお二人。靴磨きの青年や花売り娘、見習い修道士、ネズミ、肉屋、酔っ払い…などなどなど、村人たちを巧みに演じ分け、二人芝居とは感じられないほど多層的な世界を魅せてくれます。個性の強いキャラクターが多いので、お気に入りの役が出てくるとちょっとうれしい気持ちになったり。

上口さんの軽やかでキレッキレのダンスや、鯨井さんの真っすぐに観客にメッセージを届けられる力、それぞれの魅力が最大限に引き出された役作りや演出が印象的でした。

 

若手芸人か!?と見紛うほどのコンビネーションを見せるダグ&バド

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』福井晶一(ダグ)、原田優一(バド)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』福井晶一(ダグ)、原田優一(バド)

物語の一場が終わるごとにダグとバドの解説が挟み込まれる構造になっている本作。劇中劇の状況の振り返りや、普段なかなか知ることのないミュージカルの専門的な技巧の説明などもあり、「そうなんだ!」と勉強になるお話がたくさん出てきます。

かと思いきや、物語とは関係ない“素”のお二人のエピソードも織り込まれ、その軽妙なやり取りはまるでコントを観ているかのよう。これはどこからが台詞でどこまでがアドリブなのか……。

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)

鯨井ダグが「勝手に話さないで!」「そういうのやめてくれる?(笑)」と抗議するも、どこ吹く風で無茶ぶりをぶっ込んでくる上口バド、という二人のコンビネーションがとにかく絶妙!戸惑いながらも全力で受けきって投げ返す鯨井ダグの姿に、きっと観客も応援したくなるはず(笑)。

ワールドカップの話や、急に語尾に「だお」を付けてくるなど、わかる人にはくすぐられる時事ネタや小ネタが満載で、二人の掛け合いの場面は終始笑い声が絶えませんでした。(個人的にとてもツボだったのは、鯨井さんのバブリーなダンスの時のキレキレ具合と表情!)

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』福井晶一(ダグ)、原田優一(バド)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』福井晶一(ダグ)、原田優一(バド)

舞台の後半では、“客席参加型”の場面やサプライズ的な仕掛けが出てくるなど、より役者と観客の間が密になり、「舞台はこの空間にいるみんなで一緒に作っているものなんだ」と感じられること請け合い。

“役”を脱ぎ捨て、まるで演者がそのままの姿で観客に語りかけているかのような終盤のとあるシーンでは、劇場全体で「希望を持つこと」「夢を持つこと」を取り戻していくかのように見え、「言葉を声に出すこと」、その“効力”を改めて実感させられたひとときでした。
夢や希望を持ちにくい時代だからこそ、「何度でも夢をみようよ!」と言ってくれる人がいることの、心強さ。「わたしも、これからだって短い夢を何度もみるぞ!」と小さく決意した瞬間でもありました。

ダグとバドの二人の作品、そして熱意溢れるプレゼンは果たしてプロデューサーたちの心を動かすことができたのか……。その結末は、ぜひ劇場で目撃していただきたいと思います!

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』鯨井康介(ダグ)、上口耕平(バド)

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』福井晶一(ダグ)、原田優一(バド)
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』福井晶一(ダグ)、原田優一(バド)

キャストは初演から続投の福井・原口ペア、再演から参加となる鯨井・上口ペア2チーム制となっており、片方のペアを観たら、もう一方のペアも観たくなること必至!!

本作は7月29日(日)まで、新宿村ライブで上演。
暑い夏だからこそ涼しい劇場で(でも心は熱く!)過ごしてみてはいかがでしょうか。

当日券の情報はこちら!

(文:古内かほ)

 
このレビューを書いたのは

古内かほ
ふるうち かほ|ライター。小劇場からミュージカルまで、幅広く舞台鑑賞をしています。自分なりに舞台芸術の魅力を伝えていけたらと思っています。

 

 

 

公演情報

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』

原作:アンソニー・キング(Anthony King)&スコット・ブラウン(Scott Brown)
日本語上演台本・訳詞・演出:板垣恭一

出演:
福井晶一(ダグ) 原田優一(バド)
鯨井康介(ダグ) 上口耕平(バド)

2018年7月18日(水)~7月29日(日)/東京・新宿村LIVE

公式サイト
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』

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