2018.5.17  37

人形のように美しい日常と愛が鮮やかに崩壊していく りゅーとぴあプロデュース・イプセンの「人形の家」観劇レビュー


劇団BDPアカデミー公演 ミュージカル「彼女たち」

りゅーとぴあプロデュース「人形の家」北乃きい 撮影:石川 純
りゅーとぴあプロデュース「人形の家」北乃きい 撮影:石川 純
 

人形のように美しい日常と愛が鮮やかに崩壊していく りゅーとぴあプロデュース・イプセンの「人形の家」観劇レビュー

 
りゅーとぴあプロデュース「人形の家」を観劇してきました。

10年以上前の学生の頃に、戯曲を読んだなー。イプセンの代表作で、難しい感じがしたなー。
と、そのくらいの感覚で客席で開演を待っていました。

この戯曲が書かれたのは、130年くらい前。
幕が上がると、確かにそこには19世紀ヨーロッパの中流階級の家庭。
しかし、描かれていたのは現在の世界に、いまの僕らにとってビビッとに突き刺さる、人間の本質と愛の話でした。

 
近代演劇の父と呼ばれたイプセンの代表作で、自立する女性の象徴、新たな時代の女性の姿を世に示し、フェミニズムや女性解放運動の勃興とともに語られ、イプセンの中でも人気の高い「人形の家」。

上演台本を手掛けた、りゅーとぴあ演劇部門芸術監督の笹部博司さんの妙なのか、役者達の濃密かつ軽妙なやりとりが功を奏したのか、とても観やすく、尚且つ、いまの時代に、観客に、人間と愛の形を問いかける作品となっていました。

 
りゅーとぴあプロデュース「人形の家」北乃きい、大空ゆうひ 撮影:石川 純
りゅーとぴあプロデュース「人形の家」北乃きい、大空ゆうひ 撮影:石川 純

 

あらすじ

弁護士ヘルメル(佐藤アツヒロ)の妻ノラ(北乃きい)は、純粋で無垢な女性だった。若くして結婚し三人の子供も授かり、夫に守られ生きている。
ある日、リンデ夫人(大空ゆうひ)が訪れるところから幸せだったはずの生活に歪みが生じ始める。ヘルメルの部下クロクスタ(松田賢二)との秘め事やヘルメルの友人であり医師であるランク(淵上泰史)のノラへの純粋な恋もそれと同時に思わぬ方向へと動き始める…。決断を迫られたノラが最後に選んだものとは。

 
まるで、人形を入れる箱のような舞台美術。その中で、19世紀ヨーロッパの服装の役者達がが華麗に動き、まさに人形のように綺麗な日常を見せながらも物語は鮮やかに崩壊へと向かっていく。

物語を引っ張っていく主演陣の快演もさることながら、脇を固めた個性的なキャラクターの役者陣がより一層この人形の世界を構築してくれていた。さまざまに散りばめられた愛をそれぞれが必死に生きることにより、翻弄されていく愛と、崩壊していく美しい人形の世界。崩壊はするが、しかし、物語の終わりに、もう一つの物語の始まりを感じた。

りゅーとぴあプロデュース「人形の家」北乃きい、大空ゆうひ 撮影:石川 純
りゅーとぴあプロデュース「人形の家」北乃きい、大空ゆうひ 撮影:石川 純

 
女性も、男性も、この作品を見て、今一度、人間について、愛について、改めて考えてみてほしいと思う。

本作は5月20日(日)まで、東京芸術劇場シアターウエストで上演。その後、5月23日・24日に、兵庫県立芸術文化センターで上演されます。

 
(文:橋本昭博)

この記事を書いたのは

橋本昭博
はしもと あきひろ|俳優。演出家。
演劇プロデュースユニットMoratorium Pants(モラパン)主宰。茨城出身の末っ子四男坊。
趣味は観劇、映画、フットサル。英語とサックスを習得中。ロベルト・ベニーニとダリと銭湯が好き。
橋本昭博ブログ

 

 

 

公演情報

りゅーとぴあプロデュース「人形の家」

【作】ヘンリック・イプセン
【訳】楠山正雄 訳『人形の家』より
【上演台本】笹部博司(りゅーとぴあ演劇部門芸術監督)
【演出】一色隆司

【出演】
北乃きい 大空ゆうひ 松田賢二 淵上泰史 大浦千佳 佐藤アツヒロ

2018年5月10日(木)/新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
2018年5月14日(月)~20日(日)/東京・東京芸術劇場 シアターウエスト
2018年5月23日(水)・24日(木)/兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

公式サイト
りゅーとぴあプロデュース「人形の家」

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