
大橋和也×寺西拓人W主演 有明から始まる新たな伝説『AmberS -アンバース-』囲み取材&観劇レビュー
撮影:田中亜紀
テレビ朝日が有明に開業する複合型エンタテインメント施設「TOKYO DREAM PARK」内に誕生した新劇場「EX THEATER ARIAKE」。そのこけら落とし公演として、完全オリジナル舞台『AmberS -アンバース-』が上演されます。
W主演には、なにわ男子のリーダー・大橋和也さん、timeleszの寺西拓人さんを迎え、クリエイティブプロデューサー・原作・脚本を加藤シゲアキさん、演出を河原雅彦さんが担当。さらに、日本屈指のトップクリエイター陣が集結し、新たな伝説の幕開けを予感させる作品が誕生します。
今記事では、ゼロから生み出された完全オリジナル作品『AmberS -アンバース-』の魅力を、囲み取材で語られたキャスト・スタッフ陣の言葉も交えながらお届けします。
あらすじ
巨大国家パジャーリの地方都市ミトキオシティは過去の戦争により土壌を汚染されていたが、ヴィンガス(市川右團次)率いるロメロタンク社が土地の浄化作業を担い、市民が豊かに暮らす都市に発展していた。町のはずれで暮らすイヴル(大橋和也)と車椅子の弟のルイ(嶋﨑斗亜)は酒場を営み生計を立てていた。ピアノの生演奏が楽しめるこの店は人々の憩いの場所であり、反政府活動グループ「ユラリリス」のリーダー、オルッカ(猪狩蒼弥)やメンバーのエンリケ(川﨑皇輝)も訪れていた。
流しのピアニストのアラン(寺西拓人)が弾き始めると、生演奏を目当てにやってきたヴィンガスの令嬢・ノア(山﨑玲奈)とAI執事のケン(渡部豪太)は酔っぱらい客に絡まれてしまう。アランはそんな彼らをいとも簡単にやっつけ、再び演奏を続けるが、突然ルイが車椅子から崩れ落ちる。「虎が鳴いた。……クラッシュが起こる……」クラッシュと呼ばれる暴風と雷が通り過ぎるとイヴルは「AmberS」を求めて店を出ていく。「AmberS」とは永遠の若さを手に入れられるという伝説の琥珀の秘薬だった。
一方、パジャーリの軍最高司令官・ヒルダ(真風涼帆)は右腕の兵士7ウォルフ(松尾龍)を連れてヴィンガスを訪ねる。彼が「AmberS」を入手したといううわさを突き止めるため、そしてその「AmberS」を奪い取るためであった。
幻の秘薬「AmberS」を巡り、さまざまな野望と思惑が入り混じる。果たして、最後に「AmberS」を手にできるのは誰なのか。そして、「AmberS」に隠された秘密とは?
幕が開くと同時にドラムの音が劇場中に鳴り響き、生演奏の中、大橋和也さんの明るく伸びやかな歌声と寺西拓人さんの低く落ち着いた声が重なります。白いスモークが立ち込め、青やオレンジのライトに照らされた二人の姿が浮かび上がる姿は幻想的で一気に物語へ引き込まれました。中でも寺西さんの立ち姿は圧倒的で、冒頭からただ者ではない空気を纏っています。
撮影:田中亜紀
イヴル(大橋和也)は弟・ルイと共に酒場を営んでおり、そこで演奏するピアニストとしてアラン(寺西拓人)が現れたことから、二人は出会います。活気あふれる店の空気感も魅力的で、「大橋くんが接客してくれて、テラのピアノ演奏が聴けるなんて……そんなお店が本当にあったら通ってしまう」と密かに思ってしまいました(笑)。
寺西さん演じるアランは、白シャツにやや長めの髪をかき上げながらピアノを奏でる姿が実に優雅。気品を漂わせながらも、どこか危うい色香を感じさせ、“謎多き流しのピアニスト”という役柄にぴたりとはまっています。穏やかで包み込むような声には安心感があり、一方で剣を振るう場面では鋭い迫力も見せ、静と動、両極の魅力を堪能することができます。
ピアノも弾けて、お酒に絡まれていた女性を守る男気まで持ち合わせていて、その上このビジュアルと色気ですから、思わず惹かれてしまうのも納得です!(寺西担が大喜びなのはもちろん、他担狩りしてしまう程「寺西拓人」の魅力が溢れております…笑)
撮影:田中亜紀
特にクライマックス、高い場所に現れる寺西さんの姿は思わず息を呑むほど神々しく、孤高の存在として劇場中の視線を一身に集めます。物語の中でアランの謎が紐解かれていくのですが、その全容を知るとアランの静かな佇まいの中に、彼が抱えた孤独や寂しさ、優しさや愛情深さをより感じられます。アランとしての在り方もそうですし、歌、芝居、アクション、どれを取っても抜群の安定感がある寺西さんの存在そのものが、この作品の世界観と完成度を大きく引き上げているように感じました。
囲み取材では、後輩キャストの松尾龍さんが「寺西くんは、すべてにおいて覚えるのが早すぎて。お忙しいはずなのに、台本を完璧に入れてくるんです」と語り、寺西拓人さんの高いプロ意識を明かしていました。主演として自ら作品を引っ張り、カンパニー全体の士気を高める存在であることが、その言葉からも伝わってきました。
撮影:田中亜紀
大橋和也さん演じるイヴルは、明るく弟想いな青年です。真っすぐ過ぎるほど真っすぐな性格で、太陽のようにはつらつとした存在感は、大橋さんの持つ魅力と見事に重なります。大橋さんのふわっとした空気感と、その場を自然と和ませ、和らげる魅力は、「和也」という名前そのものを体現しているようで、まさに“名は体を表す”という言葉がぴったりだと感じました。そして、そっと人の心に寄り添い、温もりを残していくような力もあります。2幕では、イヴルが抱えてきた過去や、弟、父との複雑な関係性など、これまで隠されていた影の部分が少しずつ浮かび上がっていきます。普段の明るさが眩しいからこそ、その奥にある苦しさや痛みがより色濃く映り、胸を締め付けられました。
撮影:田中亜紀
囲み取材では、クリエイティブプロデューサー・原作・脚本を務めた加藤シゲアキさんが、「役柄はあてがきで書いた」と語っていました。だからこそ、各キャストが持つ個性や魅力が役に自然と重なり合い、生き生きとしたキャラクターとして立ち上がっていたように感じます。
そして今作は、主演のお二人はもちろん、脇を固めるキャスト陣も実力派揃い。それぞれが作品の世界を鮮やかに彩っていましたので、ご紹介していきます。
まず注目したいのは、個人的にも大好きな俳優・渡部豪太さん。キャスト一覧でお名前を見つけた瞬間、思わず嬉しくなってしまいました。
長身で柔和な雰囲気を持つ渡部さんが演じるのは、なんとAI執事ケン。作品の近未来感を象徴するような役柄で、その“AIらしさ”にもぜひ注目していただきたいです。そして、渡部さんといえば天然パーマのふんわりとした髪型も印象的ですが、その個性を活かしたユニークな演出も用意されており、思わずクスッとさせられます。
AIでありながら、どこか“人の心”を感じさせる存在でもあり、一人二役を演じ分ける姿からは、改めて高い演技力を感じました。
撮影:田中亜紀
ロメロタンク社の社長・ヴィンガスを演じる市川右團次さんは、徹底的な“悪”として物語に君臨します。ヴィンガスのアジトも邪悪で不穏な空気に包まれており、まさに“悪の巣窟”と呼びたくなるような世界観。どこか懐かしいヒーロー作品を思い出させる雰囲気もあり、勧善懲悪なわかりやすさを際立たせていました。
撮影:田中亜紀
そのヴィンガスの義娘である令嬢ノアを演じるのは、山﨑玲奈さん。どこかお転婆さを感じさせる愛らしい少女像を見せながらも、可憐で澄み渡るような歌声が強く印象に残ります。
アランとの関係性が少しずつ変化していく過程や、歌唱シーンで重なり合う声の美しさも見どころの一つ。また、AI執事・ケンとの軽快な掛け合いはコミカルな魅力もあり、男臭さのある物語の中に華やかさと柔らかな彩りを添えていました。
撮影:田中亜紀
もう一人の女性キャストとして登場するのは、冷酷な軍最高司令官ヒルダを演じる真風涼帆さん。長身に黒髪のロングヘアというビジュアルは妖艶で、強さと美しさを兼ね備えた存在感は圧倒的。ノアとは対照的な魅力を放っています。宝塚出身ならではの気高さも漂っており、“軍の最高司令官”としての風格と迫力を感じさせました。
撮影:田中亜紀
ヒルダの右腕・ウォルフを演じるのは、松尾龍さん。金髪スタイルがよく似合っており、クールな存在感を放っています。特に印象的だったのは、アクロバットを駆使したアクションシーン。しなやかな身体能力を活かした動きには“隠し玉”のようなインパクトがあり、登場するたびに目を惹かれました。
撮影:田中亜紀
反政府活動グループ・ユラリリスのリーダー、オルッカを演じるのは、近年バラエティ番組での活躍も目覚ましい猪狩蒼弥さん。囲み取材では場を和ませながら軽快にトークを盛り上げ、一方で劇中ではコミカルな場面とシリアスな場面の緩急を巧みに使い分け、頼もしさと確かな存在感を発揮していました。
撮影:田中亜紀
同じくユラリリスのメンバー・エンリケを演じるのは、川﨑皇輝さん。シャープな顔立ちが知的な役柄に説得力を与えており、落ち着いた芝居には安心感があります。彼の出生の秘密や背景には心を痛めずにはいられません。(残酷要素あり過ぎて苦しい…感情の浮き沈み凄いです…)個人的には、7月に再演される主演舞台『町田くんの世界』も今から楽しみにしています。
撮影:田中亜紀
イヴルの弟・ルイを演じるのは、嶋﨑斗亜さん。物語後半で見せる彼の変化は、観客へ強烈な印象を残します。
ネタバレになるため詳細は控えますが、大橋和也さん演じるイヴルが、馬鹿正直なほど真っすぐで愛情深い人物として描かれているからこそ、ルイが胸の内に抱えてきた想いや葛藤の深さがより際立ちます。本音を誰にも打ち明けられないまま、彼自身も長い間苦しみ続けてきたのではないか――そう感じさせる人物像で、自然とその心に寄り添いたくなりました。
ルイの持つ特殊な能力は、物語を大きく動かす核でもあり、作品全体の展開に深く関わる重要なキーパーソンです。そんな難しい役どころを、嶋﨑斗亜さんは、車いすでの制約された動きがある中で繊細に演じていました。
撮影:田中亜紀
今作はシリアスなドラマだけに留まらず、音楽、アクション、コメディ、ライブ感も盛り込まれており、一つの舞台で多彩なエンターテインメントを堪能できるショーになっています。随所には、観客を全力で楽しませようとする事務所作品ならではの伝統も息づいているようでした。
冒頭から目まぐるしく展開していく物語に加え、緊迫感あふれる戦闘シーンやアクロバットなど、次々と異なる表情を見せるため最後まで目が離せません。後半には“アラン交響楽団”も登場し、キャストたちがノリノリで踊ったり、ギャルピースを決めたりと、思わず笑みがこぼれる場面も。
EX THEATER ARIAKEは、赤い座席が並ぶ高級感のある空間で、傾斜のついた客席が3階まで広がることで、観やすく劇場全体に包み込まれるような一体感があります。
奥行きのあるステージには数々の仕掛けが用意されており、1列目の客席と舞台の距離も非常に近く、臨場感は抜群。立体的に広がる照明演出の美しさに加え、音響の迫力も素晴らしく、雨風の音はまるで地鳴りのように劇場へ響き渡ります。さらに、火花やスモーク、プロジェクションマッピングによる映像演出、大掛かりなセットが相まって、圧倒的な没入感を生み出していました。
中央に設置された回転装置によって場面転換もスムーズに行われ、作品の世界観へ途切れることなく引き込まれていきます。
囲み取材では、演出の河原雅彦さんが「僕は常々、劇場が喜ぶ舞台を作りたいと思っている」と語っていましたが、まさしく、新劇場の魅力を隅々まで活かした圧巻の演出が広がっています。
撮影:田中亜紀
衣装はキャスト一人ひとりのキャラクター性や体型に合わせて作り込まれており、異世界や近未来要素がありながら、どこか伝統的な民族衣装も思わせるデザインが作品の世界観を引き立てていました。
渡部さんは、長身を活かしたロングコート姿が目を惹き、スタイリッシュな雰囲気を纏っています。大橋さんは、ゆるめのシルエットを自然に着こなし、どこかアンニュイな空気感を漂わせていました。寺西さんは大人の色気や精悍さを際立たせるようなスタイリングとお衣装でした。
撮影:田中亜紀
今作はファンタジー要素が散りばめられており、新劇場のこけら落とし公演にふさわしい壮大なスペクタクル作品となっています。近未来的でSF色のある要素を取り入れながらも、AI、戦争、不老不死といったテーマに触れることで、現代社会にも通じるリアリティを感じさせます。
“AmberS”を巡って争いが巻き起こり、この世界の不平等さや人間の愚かさ、欲深さ、醜さ、残酷さも描かれていきます。永遠の若さや命を手に入れようと人々は争いを繰り広げますが、果たしてそれを手に入れることが“本当の幸せ”なのか――そんな問いも作品の奥に流れているように感じました。単なる“異世界の物語”として消費されるのではなく、「人は何を大切に生きるのか」を観客自身へ問いかけてくるようなメッセージ性があります。
そして、この作品からは“今”を生きることの尊さも強く伝わってきました。“今”を雑に扱う者に、美しい未来は訪れない――そんなメッセージが静かに込められているように感じます。
また、劇中に登場する“虎”の存在も強烈な存在感を残します。その姿には、人が本能的に抱く恐れや畏怖が宿っており、物語にさらなる深みを与えていました。あの存在が何を意味しているのかは、観る人によってさまざまな解釈ができるのかもしれません。
撮影:田中亜紀
今作のプロジェクトが開始したのは今から3年前のことだそうです。囲み取材で、クリエイティブプロデューサー・原作・脚本を務めた加藤シゲアキさんは、次のように語っていました。
「このお話が立ち上がった頃は、まだコロナ禍の名残がかなり強く残っていて。そんな中で、新設の劇場をつくるというお話を聞きまして、こけら落とし公演ということもあり、希望にあふれた時代がやってくると信じて、また、この土地が“有明”という、すごく縁起のいい名前で、本当に夜が明けるようなエンターテインメントを作りたいという思いがありました。特に若い世代の観客の方々にとって、演劇が敷居の高いものではなく、気兼ねなく来て楽しんでいただいて、観る側も演じる側も楽しい舞台を作りたいという思いでした。」
その言葉通り、この作品には“新しい時代の幕開け”を感じさせる熱量が詰まっていました。キャスト、スタッフ、劇場、そのすべての想いが重なり合い、一つの舞台として形になった『AmberS -アンバース-』。
注目度の高い公演のためチケット入手は狭き門かもしれませんが、ぜひ劇場で、この壮大な物語の全貌を観て、体感していただきたいです!
(文:あかね渉)
EX THEATER ARIAKE OPENING LINEUP『AmberS -アンバース-』
クリエイティブプロデューサー・原作・脚本:加藤シゲアキ
演出:河原雅彦
音楽監督:岩崎太整
キャラクタービジュアルディレクター/衣装デザイナー:柘植伊佐夫
出演:
大橋和也、寺西拓人
猪狩蒼弥、嶋﨑斗亜、川﨑皇輝、松尾龍、山﨑玲奈、渡部豪太、真風涼帆、市川右團次
【日程・会場】
2026年4月25日(土)~5月24日(日) EX THEATER ARIAKE(東京ドリームパーク内)

