舞台「oasis」

韓国で話題となった傑作映画、丸山隆平主演で舞台化!舞台『oasis』観劇レビュー

韓国で話題となった傑作映画『oasis』、ついに舞台化!

本作は、2002年公開の名作映画『oasis』を原作とする舞台化作品です。純粋な愛でありながらも、世間の理解を得ることができない二人の恋の行方を描いた物語。

原作映画は、韓国MBC映画賞で最優秀作品賞、監督賞、脚本・脚色賞、主演男優賞、主演女優賞、新人女優賞を受賞したほか、同年開催の第59回ヴェネツィア国際映画祭において、監督賞、新人演技賞、国際批評家協会賞など数々の栄誉に輝き、国内外で高く評価された話題作。

映画公開から20年以上経った2026年。この物語が、世界初の舞台化作品として新たに蘇ります。

ここでは、そんな注目の舞台『oasis』の公開ゲネプロの様子をお届けします!

STORY

ひき逃げ事故を起こした兄の身代わりで服役していた青年ジョンドゥ(丸山隆平さん)。彼は過去にも刑務所に入っていて、出所後も反省の色が見られないため、家族のもとへ戻るものの、皆からけむたがられていた。
ある日、事故の被害者家族のアパートを訪れた彼は、被害者家族の部屋に一人取り残された女性コンジュ(菅原小春さん)と出会う。
彼女は脳性麻痺を持っており、ラジオを聴きながら孤独な日々を送っていた。
二人は互いに心惹かれ合い、純粋な愛を育んでいくが、家族や周囲の人間は誰も彼らを理解しようとはしなかった…

見どころポイント

本作の見どころを下記4つに分けてご紹介します!

・丸山隆平さんのお芝居
・演出&舞台セットの面白さ
・菅原小春さんのダンサー力
・物語の展開

丸山隆平さんのお芝居

丸山隆平さん演じる主人公のジョンドゥは、登場した瞬間から怪しい空気感を放っています。夏の格好をしたまま冬に出所したせいで寒いのか?それとも単純に落ち着きがないのか?

足を常に揺らしながら、あたりをきょろきょろ見渡す姿は、まさに「変な人」。家族にどんなに注意をされても、ひとまず笑顔で謝り、次の瞬間にはまた新たな悪行を始めるジョンドゥ。

舞台「oasis」

丸山さんの人懐っこい笑顔が、ジョンドゥの調子のよい笑顔とマッチして、それが苛立ちに変わる感覚さえありました。苛立つ家族の姿を見ながら、「わかるよ…」と言いたくなるほどの破天荒ぶりです。

…それだけ、丸山さんのお芝居がジョンドゥそのものということですよね。

しかし、コンジュに向ける想いは本物。家族に彼女のことを話すときの照れた表情や動きには、初めて恋をした男性の純粋さが滲んでいます。

様々な側面を1人の人物として違和感なく演じきる、丸山さんのお芝居心に心を打たれました。

演出&舞台セットの面白さ

大道具や小道具にリアリティがある舞台は、自分もその世界に迷い込んだような没入感がありますが、本作はまさに没入感満載の舞台セット。舞台が始まる前から、町の一角のようなセットが組まれていたので、客席に着いた瞬間から「始まるぞ…」という高揚感がありました。

また、ヒロインであるコンジュのアパートのセットは高い位置に組まれており、紗幕がかかっているので、場面によって部屋の中が見えたり隠されたりします。

たとえば、ジョンドゥが外から部屋の様子を覗いているときは紗幕で中が見えず、彼が部屋の中に入るとセットが見えるようになる場面など。ジョンドゥの心情を、一緒に体感できる臨場感がありました。

また、脳性麻痺のコンジュが、妄想の中で健康体になってジョンドゥと触れ合う場面も印象的です。大勢の人が行き交うなかで二人の姿が見えなくなり、そのまま妄想へ繋がるなど、導入が自然なので、コンジュが立ち上がり軽やかに動き始めても違和感がありません。むしろ、妄想の場面があることで、コンジュの本心が見える演出になっているように感じました。

菅原小春さんのダンサー力

脳性麻痺の方々を研究して辿り着いたお芝居・身体表現なのだろうと感じた2時間でした。私自身、脳性麻痺に対する知識がないので、ここで感想を述べていいのだろうか…と思う部分ではありますが、個人的にはリアルだと感じました。

表情の作り方、手足の動かし方、すべてが研究されているように感じ、だからこそ物語に没入できた感覚があったのです。前述したように、妄想の場面で踊るシーンがありますが、そこでの軽やかさが、体が不自由なコンジュならではの“求め続けた自由さ”だと思うと、胸が締め付けられます。

舞台「oasis」

また、言葉が伝わらない場面で、体を激しく動かして感情を表現する姿には、言葉以上に胸に迫るものがありました。ダンサーとしての菅原さんの力量が存分に発揮された本作。

カーテンコールで何度か肩を回す姿を拝見し、相当な精神力と体力が求められる役なのだろうと再認識。心からの拍手を送らせていただきました。

物語の展開

物語の展開の面白さは大きく分けて2つあります。

1つ目は、シリアスな展開が続かないところです。

ジョンドゥは前科持ちゆえに、純粋な心さえも疑われてしまう切なさがありますが、切なく感じているのはこちらだけで、本人はいたって楽しく恋に突き進んでいるのです。切なく重たいストーリー展開になりそうな設定ですが、あくまでも純粋な恋物語がメインとなっているところが、ある意味リアルで面白いと感じました。

2つ目は、マイノリティに焦点を当てた社会的メッセージの強さです。

健常者社会の欺瞞や冷酷さがシビアに描かれ、しかし健常者を「絶対的な悪」としては描かない。たとえば、コンジュが警察署で事情聴取を受ける場面では、詳しい事情を知らないはずの家族が「気が動転して話せないから」とコンジュの代わりに回答してしまいます。

悪意はないのでしょうが、その回答はコンジュの本心ではない。ジョンドゥの幼稚さや愚かさばかりがピックアップされるのではなく、健常者の傲慢さも静かに匂わせる。この塩梅が面白く、「正しさの定義」を考えさせられる部分が多々ありました。

個人的な感想

ジョンドゥは前科を持っているということで、本物の愛さえも疑われ、嫌悪感を抱かれてしまいます。これは仕方のないことだと思います。なぜなら、実際に彼の行動はあまりにも無責任で、周りに迷惑をかけすぎているから。

しかし、前科三犯の彼が最後に刑務所に入ったのは、彼の兄の罪の身代わりになるためでした。あまりに破天荒ゆえ、兄をかばった彼の優しさは掻き消されていますが、彼の純真さがこの物語の核。そして、人を愛した時に生まれる「相手を幸せにしたい・喜ばせたい」という想いは彼にも宿っていて、その想いの強さが眩しく劇場を包み込んでいました。

人には人の数だけ物語がある。客観的に見えるデータや事実だけで物事を判断するのではなく、その奥にある部分を見つめられる人間でありたいと思うような物語でした。

舞台「oasis」

周りから理解されずとも懸命に愛を育む二人を、純真な心でぜひご覧ください!

本作は2026年3月14日から東京・サンシャイン劇場で上演されています。
詳細は公式サイトで。
https://napposunited.com/oasis/

(文:山本萌絵 監修:エントレ編集部)

公演情報

舞台『oasis』

【原作】イ・チャンドン
【翻訳】みょんふぁ
【脚本・演出】山田佳奈

【出演】丸山隆平、菅原小春
田中俊介、岩本えり、富山えり子
中原三千代、武藤晃子、久保貫太郎
池田遼、石森美咲、上ノ町優仁
深水元基、水橋研二

2026年3月14日(土)~3月30日(月)/東京・サンシャイン劇場
2026年4月4日(土)~4月12日(日)/大阪・森ノ宮ピロティホール
2026年4月17日(金)~4月19日(日)/愛知・東海市芸術劇場大ホール

 
公式サイト
https://napposunited.com/oasis/

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