
現代日本に巣食う病に迫る。劇団UZ 第七回公演『あの鳥は鴎とも』が開幕/上演は12月7日まで

劇団UZ第七回公演『あの鳥は鴎とも』が愛媛 松山市・アトリエhacoで11月29日(土)に開幕した。
劇団UZは、2020年7月に愛媛県松山市にて設立された劇団。設立時より愛媛県内唯一の民間小劇場「シアターねこ」をホームとして、主に座付き作家の伊豆野眸のオリジナル作品を発表。時代や社会の狭間で生きる人々や、その風景を写真のように舞台上に映し出すことを特徴とし、社会や時代への視点を提示することでコミュニケーションを起点とする他者理解、世界の再認識を図る。
本作『あの鳥は鴎とも』は、能の名作「隅田川」から着想を得て創作された、座付き作家の伊豆野 眸によるオリジナル作品。「隅田川」で描かれた子どもと離別した母親の姿を現代日本社会の文脈上に立ち上げ、「取り返しのつかない人間関係」を描いている。外国人技能実習生問題や外国人排斥思想といった社会問題を射程に含め、いまを生きる人たちや将来への切実な願いを込める。

STORY
不倫相手との子どもを身籠った幸子は「元々は海だったかもしれない」繁華街のコンビニ前で、ベトナム人のハンと出会う。彼女は行方不明になった自らの子どもを追い、いつしか見えない存在から追われるようになっていた。おなじころ、外国人労働者問題が専門のフリーライター四ノ宮は現代社会に巣食う巨大な闇に辿り着こうとしていた…。能楽の名作「隅田川」に着想を得て現代日本に巣食う病に迫る。

本公演では日替わりで飲食などの出店、感想交流会の企画が開催される。
劇団UZによると「上演と合わせて、新しい場での観劇の機会を楽しんでほしい」とのこと。出店は開演の1時間前から行われる。

【出店】
11/29(土) あくびカレー
めぐりてシアターカフェ(昼のみ)
11/30(日) Bar & Cafe as-B
12/6(土) スパイス武田
めぐりてシアターカフェ(昼のみ)
12/7(日) Bar & Cafe as-B
各出店の詳細は下記のInstagram投稿から。
劇団UZ Instagram 出店情報

また、会場では「アトリエhacoの社会科見学」と称し、関係者向けの事前リハーサルの公開が行われた。
松山市近隣の3組の舞台及び文化関係者から、リハーサルや劇団、会場の様子が伝えられた。
劇団UZさんが拠点としている松山市畑寺にある山の中の稽古場兼劇場は田舎ではよく見る倉庫で、こんな所に劇場があるとは到底思えない場所にひっそりと、しかし不思議な温かみのあるオーラを纏って佇んでいる。
劇団UZさんがこの場所を開拓している最中からちょくちょくお邪魔させて頂いているのだが、15年位前に僕がまだ静岡と東京を行ったり来たりしていた頃に所属していた劇団の稽古場兼舞台を思い出させる居心地の良い場所だ。
この場所を選び舞台芸術を続けていく様は、地域に根差した舞台芸術を届けようとする坊っちゃん劇場のそれとはまた違って、もっと泥臭くてもっと生々しい。だがそれが良い。だから良いとも言えるのかも知れない。何回か観てきた劇団UZさんの作品はどれも僕に強烈なボディを叩き込み腹を抉ってきた。「上手い芝居」というよりは「美味い作品」を届けてくれている。
さて、今回の作品「あの鳥は鴎とも」であるが、今回も「美味い作品」だ。まだ照明も入っていない通し稽古だった事もあり、まだまだ課題は多そうだったが、ここから10日間位の本番までの仕上げは役者目線で見ると楽しみでしかない。内容は現代という括りでは物足りなくて、現在と言った方がしっくりくる位に今の社会の問題を取り上げている。ひょっとしたら自分の身近な所にもあるかも知れないし、近くに感じていなくとも今食べているそれも、現在の日本の闇からの恩恵を受けているかも知れない・・・。
ネタバレはまずいので、この先は是非ご観劇下さい。おすすめです♪
坊っちゃん劇場「新 鶴姫伝説 ~鎧に白い花を~」出演中
俳優 渡辺輝世美

松山を拠点に活動する、劇団UZの最新作「あの鳥は鴎とも」
PUBはま店頭にてチケットのご予約を承っています。
四国中心にあらゆるアートイベントの広報宣伝活動「めぐりて」を運営する
「歩くフライヤー」どころかもはや「ワープする文化情報網」秦さんきってのイチオシ舞台ということで
通し稽古を見に、新しくできたUZの舞台小屋「アトリエhaco」へお邪魔しました。
能楽「隅田川」で描かれる悲哀の女に着想をえて
生き別れた我が子を探しながら日本で暮らす、とあるベトナム人女性とその周囲から浮かび上がってくるのは
現代日本の抱える外国人労働者の問題と、
世代も国籍も時代も越えて、人間誰しもが抱える孤独。
ニュースや噂話といった風貌で「自分の対岸」だと思っていたものが
身近に押し寄せてきて、ふっと問いを落として去っていく…。
稽古を見させてもらったあと、帰りの車中では言葉にならない唸り声を合唱しながら帰路につき、今もこうして答えなく考えさせられているあたり
文字通り「問題作」と呼ぶのにふさわしいのではないでしょうか。
幾層にも絡まる展開に、あっちこっちと錯誤させられながら
登場人物それぞれの影が濃く描かれていて、
その分滲み出る個性が互いを引き立てながら完成に向かっていくのが
他ではなくUZが作るお芝居の魅力だと思います。
そして舞台の枠をはみ出して、作家として、写真家として、
一人の人間として真実を求め続ける演出家、伊豆野さんの想いが
「そこはまだ、世界の果てじゃない」
チラシの一文に込められていると感じました。
当日会場では飲食の出店やシアターカフェも用意されています。
はまレーベルのまかない担当としてもお馴染みのあくびカレーやスパイス武田のフード提供もあるようです。
多くの皆さんに、実際に観て考えて、対話していただきたいし
はまでも皆さんの感想をお聞きしたいです。店頭にてお席のご予約も承ります!
ゲストハウス「PUBLIC HOUSE はま」
店主 長野さくら

11/29から始まる劇団UZ 第七回公演「あの鳥は鴎とも」−能『隅田川』より−
先日お声がけいただき、リハーサル(通し稽古)を見学させていただきました。
UZの公演はこれまでにもいくつか観させていただいていますが、今回も圧倒されました…
社会の闇とは何なのか
それは複雑に絡み合っていて
誰か一人が動けば解決することではないかもしれない
皆それぞれに
そこに至った過去があり理由があり
それぞれにとっての
今の正義がある
それでも
それでも
ぜひ多くの方に観て
直面していただきたい作品です。
また今回のお話は、能楽の名作「隅田川」に着想を得て作られていて、古典芸能と現代劇がどのように合わさり表現されているのか、そこにも注目です。
.
リハ後、会場のアトリエhacoの楽屋や舞台裏も少し覗かせていただきました。
山の中にあんな秘密基地?忍者屋敷?を自分たちで作ってしまう、その情熱も本当にすごいです…🔥
まちなかから少し離れた場所ではありますが、少しの距離があることで、非日常感のある、舞台に没頭できる空間にもなっていると思います。
ただ、舞台上で起きていることは現実のすぐ隣りでも起きていることかもしれない、そのようにも感じられました。
そして、音響や照明、舞台芸術含め楽しめるのが、生の舞台の面白さ!
建物やロケーションも合わせて、ぜひUZの舞台を体感してください!
﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍
忘れたいこと
忘れたくないこと
知りたいこと
知りたくなかったこと
たくさんある
それでも
触れてしまったからには
分かりたい
想像するしかできなくても
少しでも分かりたいと思う
関心を持ち続けたいと思う
だから私は
舞台を観る
本を読む
他者のことを
あなたのことを
分かりたいから
ずっとは覚えていられなくても
いつかは忘れてしまっても
今は信じていたいから
「そこはまだ、世界の果てじゃない」
本屋「koyori」
店主 竹内仁美

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本作は11月29日より愛媛県松山市・アトリエhacoで開幕。
詳細は公式サイトで。
https://gekidanuz.wixsite.com/home/kamome
(文:秦 元樹)
劇団UZ 第七回公演
『あの鳥は鴎とも ―能『隅田川』より―』
伊豆野 眸
【楽曲制作】
西村 大
【出演】
上松知史 上原蘭夢 林幸恵 羽藤由佳 汐見玲香 岩市莉歩(劇団P.Sみそ汁定食)
愛媛 松山市・アトリエhaco

