ミュージカル『ジャージーボーイズ』

名曲の誕生と栄光の裏側を描く――ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』観劇レビュー

トニー賞最優秀ミュージカル賞やグラミー賞を受賞し、2014年には名匠クリント・イーストウッド監督による映画化も好評を博したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』。日本でも2016年と2018年に上演され、多くの観客を魅了しました。2020年には満を持して帝劇での公演が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全公演が中止に。しかし、7月の帝劇再開のトップバッターとして、コンサート版で奇跡の復活を遂げました。その後、2022年の日生劇場公演を経て、2025年8月9月には新キャストも加わり東京・日比谷シアタークリエにて、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が上演されました。

ミュージカル『ジャージーボーイズ』オフィシャル写真

あらすじ
はじまりはニュージャージー州の貧しい片田舎。”天使の歌声”を持つフランキーは、成功を夢見る兄貴分のトミーとニックのバンドグループに迎え入れられる。早速3人での音楽活動が開始されたが、何かが欠けていた。鳴かず飛ばずの日々が続く中、作曲の才能溢れるボブが加入する。しかし金もコネもない彼らを待っていたのは過酷な下積み生活。その中でも音楽性を着実に磨き、才能を開花させていく。そしてついにボブの楽曲と4人のハーモニーが大物プロデューサーの目に留まった。彼らは《Sherry》をはじめとする全米ナンバー1の楽曲を次々に生み出していく。しかし輝かしい活躍の裏では、莫大な借金やグループ内での確執、家族の不仲など、さまざまな問題が勃発し、グループを引き裂いていく。成功の光と挫折の闇。あまりに劇的な春夏秋冬を駆け抜けていく4人が、その先で見たものとは―。

今回は【Team BLACK】【Team YELLOW】【New Generation Team】、3つのチームをキャスト違いで観劇しました。同じ作品でも全く違った表情を見せるのが舞台の醍醐味!それぞれの個性や魅力をお伝えしていきます。

とにかく、ずっと耳が心地よいミュージカルでした。生バンドの演奏に加え、アンサンブルを含む全てのキャストは歌声が素晴らしく、音楽を主軸に描いているため、歌の入りも自然で、耳障りな部分や引っかかるところは一切なく、音楽に没入できます。一度は耳にしたことのある名曲ぞろいで、自然に音楽に体が乗りますし、物語の構成もわかりやすく、まさに『THE ミュージカル!』と感じ、ミュージカル初心者からミュージカル好きの方まで楽しめる作品です。

本作は春・夏・秋・冬という四季の構成で展開され、それぞれの季節ごとに「ザ・フォー・シーズンズ」の4人のメンバーが代わる代わるメインナレーションを務めます。名を表し、一つのバンドの成功から終焉までの物語が四季に重ねられることで、観客は時の流れや彼らの成長、喜びや葛藤を自然に体感できます。季節の移ろいとともに出会いや別れなど浮き沈みを繰り返すバンドの軌跡が、舞台全体の演出と相まってより印象的に映りました。

ミュージカル『ジャージーボーイズ』オフィシャル写真

物語はグループの生みの親トミーの語りから始まります。
トミーを演じるのは藤岡正明さんとspiさんです。二人共に眼力があり、やんちゃな兄貴感満載で、舞台上に立った瞬間からその存在感に引き込まれました。藤岡さんはぶれない歌声で、確かな実力を示していました。
シュレック俳優としても知られるspiさんは、その体格と迫力で場を圧倒し、まさにジャイアンそのもの(笑)。軽薄で強引、しかしダイナミックで躍動感ある立ち姿、語りかけるような台詞回し、自信に満ちた表情、演技中とはまったく異なる歌声――そのすべてが観る者を惹きつけました。
ミュージカル『ジャージーボーイズ』オフィシャル写真

以前はニック役も演じられていたそうですが、個人的には兄貴肌で喧嘩早くガサツなトミー役がぴったりに感じました。(悪い意味ではく役柄として)トミーはジャイアンを凶悪にしたようなキャラクターで、宝石泥棒など犯罪で何度も塀の中に入ったことがある前科者でありながら、スターに上り詰めた人生は衝撃的でした。

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ぐいぐいと周囲を引っ張る行動力と豊富な人脈、上下関係をわきまえた立ち回りで、グループ運営から雑用まで何でもこなすトミー。まさに「なくてはならない存在」としての頼もしさを放っています。
一方で、「俺が、俺が、俺が」と自尊心をむき出しにし、自分を前面に押し出すキャラクターでもありました。グループを立ち上げ、メンバーを見出し、スターへと成り上がる原動力になったのも彼ですが、後に大きな問題も引き起こしていきます。
【Team BLACK】では東さんがずば抜けて背が高く、ひときわ目立つ存在でしたが、【Team YELLOW】では有澤さんとspiさんが高身長で全体のシルエットを美しく整え、舞台のバランスを支えていました。

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二人目の語り手は、若き天才ボブ・ゴーディオ。彼を演じるのは ミュージカル『キンキーブーツ』でもWキャストを演じた東啓介さんと有澤樟太郎さん。共通点がありながらもそれぞれの個性が際立ち、どちらも本当に素敵でした!
まずは【teamBLACK】東啓介さん。私は、直前に『キンキーブーツ』で拝見していたこともあり、東さんの登場を今か今かと待ちわびていました。やはり190cmの高身長、すらりとした脚、はっきりとした顔立ちに加え、存在そのものが華やかで、登場した瞬間に目を奪われます。キリッとしたシャツやスーツ、ジャケットやベストなどトラッドな装いがとてもよく似合い、サングラス姿もバッチリ決まっていました。後ろ姿もがっちりとして男らしく、大きな背中がかっこ良くて惚れ惚れしました。えくぼやキラキラした瞳、大げさ過ぎない演技と爽やかさ、容姿に加え、深みのある魅惑的な声…とにもかくにも東さんの魅力が際立ち、目が離せませんでした!
私が今作で最も好きなシーンは、4人目のメンバー候補ボブが初めて登場し、その場で≪Cry For Me≫を披露する場面です。東さんの厚みと深みのある男らしい歌声に誘われるように、フランキーの高音が重なり、さらにベースやギターが入り、トミー、ニックと4人の声が響き合った瞬間、一気に至高のハーモニーが完成します。互いを見つめ合いながら幸せそうに歌う姿が本当に大好きでした。

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この時、トミーはボブの加入を渋りますが、フランキーが「それなら別を探すんだな」と言うセリフがありました。その一言に、フランキーがボブに心底惚れ込んでいるのが伝わります。その後、フランキーとボブは互いをリスペクトし合い、共にグループを支えていきます。

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劇中、東さんが階段を駆け上がり、スポットライトを一身に浴びる姿を斜め下から見ていましたが、まさに絵になりすぎていて、私も含めて観客の目がハートになっていたと思います(笑)。
幕間のトイレ休憩で後ろのマダム達が「東さん本当に凄かった!私が知らなかっただけで、きっと色々出てると思うけれど、歌が上手い人って沢山いるのね!びっくりしたわ。それも顔も綺麗で」とキャッキャ話しているのが聞こえ、私も思わず話に混ざりたいくらいでした。年代問わず魅了してしまう東啓介さん…まさにミュージカル俳優として逸材です!  

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【teamYELLOW】の有澤さんも爽やかで高身長で足が長くてスタイル抜群!東さんが「男前」だとしたら、有澤さんは「ハンサム」(絶妙な違いがあります!笑)。東さんに色気や男らしさを感じる一方で、有澤さんは、はつらつとした明るさと元気さが溢れていました。スリムな体型にスッと背筋の伸びた美しいお辞儀も印象的でした。有澤ボブはお坊ちゃんのような育ちの良さと、王子的な品、お茶目な可愛らしさが魅力的でした。表情がくるくる変わって目が輝き、ちょっとした所作にも誠実さが感じられます。聞き取りやすい台詞回しで、同じ場面でも表現が変わることを実感し、キャスト違いで観る楽しさや贅沢さを堪能できました。
ボブ・ゴーディオは、歌えて楽器も弾けて、作曲もできる才能あふれる役です。賢さと上昇志向、人をやる気にさせる魅力、そして品格を持ち合わせています。以前、海宝直人さんも演じていたこともあり、私はどうやら「ボブ・ゴーディオ系俳優」が好きらしいと確信しました(笑)。

今回、売れっ子俳優のすごさも改めて感じました。東さんも有澤さんも『キンキーブーツ』からほとんど間を置かず、次々と話題作に出演しています。(大山さんも)再演や既演の役だからといって簡単に務まるものではなく、演出や解釈も変わる中で、改めてメインキャストに選ばれ演じ切ること自体が当たり前ではありません。実力と共に、何より生の舞台に立ち続けるには並外れた気力と体力が必要で、そのプロ意識に脱帽しました。

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3人目の語り手は行動的なトミーと対照的に描かれているニックです。寡黙ながら、節目で「俺も新しいグループでも作ろうかな」とふと漏らす場面があります。しかし実際に彼が新しいグループを立ち上げることはありませんでした。フォーシーズンズへの愛着ゆえでもあり、同時に彼の性格もあったのかもしれない、と感じさせられました。
ニックは前半こそほとんど言葉を発することもなく目立たない存在でしたが、自分のターンが訪れると、10年もの間押し込めてきた辛い思いを堰を切ったように語り出しました。その姿に、彼が抱えてきた鬱屈とした感情が痛いほど伝わり、グループの絶頂期に脱退した理由も腑に落ちる気がしました。

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人気バンドやグループの脱退・解散について「価値観や方向性の違い」とだけ語られることがあります。傍から見れば「なぜ今?」「もったいない」と映ることも少なくありません。しかし実際には、そこに至るまでに積み重なった長い葛藤や複雑な事情があり、続けられないほどの苦しみがあるのだと、この場面や、成功の裏側で徐々に歯車が狂い始める様子を通して強く感じました。
ニック役の大山真志さん、飯田洋輔さんは、決して主張しすぎることなく、静かに、けれど揺るぎない力で作品を支えていました。

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4人目の語り手フランキーはジャージーボーイズの歌声の核となる人物です。
【teamBLACK】中川晃教さんは、まさに「当たり役」と言われるだけの貫禄と澄み切った歌声を持っていました。フレッシュさよりも熟練感があり、中年〜壮年期の深みを増した芝居や歌声が自然に作品に溶け込み、安心感と説得力を与えていました。大切な娘を失い、悲しみに打ちひしがれ、怒りに震える姿はあまりにも切なく、思わず涙がこぼれてしまいました。

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【teamYELLOW】小林唯さんの歌声は、突き抜ける力強さと甘さを兼ね備えており、特に≪Sherry≫で披露された甘い歌声は心に残りました。女性の声と重なることでさらに深みが増し、「一体何種類の声色を持っているのだろう」と感嘆せずにはいられません。壮年期にかけては、経験や歳を重ねて声に温かみや深みが出てくる印象を受けました。
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「どうか愛を、最後の愛を~」と歌う場面では、フランキーを挟む形で右に妻、左に彼女が立つ演出が施されており、思わずくすっと笑ってしまう一方で、フランキーと妻の出会いやなれそめを思い出すと胸が締め付けられる切なさも感じられました。

後半、トミーが膨大な借金を抱え、さらにグループの税金未払いまで発覚し、仲間たちに大きな迷惑をかけてしまいます。前科者から一躍スターへとのし上がったものの、最終的には借金取りに命を狙われる存在へと転落していく――。その波乱万丈ぶりは、まさにジェットコースターのような人生で、観客も息を呑む展開に圧倒されました。

しかし、そんなトミーの借金や悪態に振り回されながらも、フランキーは彼が作った借金や未払いの税金をグループ全体で肩代わりする決断をします。自分を見出し、スターへと育ててくれた恩、そしてグループを始めてくれた感謝を忘れずに抱き続けるフランキーの姿勢には胸を打たれました。腐れ縁とも言えますし、お人よしのようにも映りますが、そこには“ジャージー魂”とも呼べる男気を感じます。実際にその後、彼はボヴと共に大ヒットを飛ばし、最終的には16万5千ドルにまで膨れ上がった借金を見事に完済するのです。

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≪Can’t Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)≫は、誰もが馴染のある曲です。物語の盛り上がるタイミングでこの曲が披露されると、胸にグッと迫る感動がありました。生バンドの演奏とキャストの息の合った歌声が一体となり、舞台上の熱気と歓喜が観客席までストレートに伝わってきました。
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今回、3チームを観劇したこともあり、花村さんがフランキー役を務める残りの【Team GREEN】もぜひ観てみたくなりました。前回の公演ではWキャストの一人でしたが、この数年で所属するグループとしても大ブレークされたため、長期公演のスケジュール確保は難しかったのかもしれません。フランキーの歌声は、高音の鋭さと心に響く魅力が不可欠です。今回、花村さんの歌声を聴けなかったのは残念ですが、アーティストとして成長し波に乗っている今の彼の声でフランキーを観られたら、どれほど魅力的だっただろうと想像が膨らみます。また、可愛らしい容姿も相まって、16歳のフランキー役も違和感なく演じられそうです。その若々しさと純粋さが作品に新鮮な魅力を添えるのではないでしょうか。是非、次回の出演も期待したいと思います!

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今作は、メインの4人を支える周囲のキャストもまた個性豊かで、作品の魅力を一層引き立てていました。

プロデューサーのボブ・クルー役のお二人は、胡散臭さ漂う曲者プロデューサー役にぴったりでした。
【teamBLACK】加藤潤一さんは、濃いお顔立ちと同じく濃厚な芝居が印象的で、舞台上に出るだけで存在感が際立ちます。さらに【New Generation Team】ではトミー役も演じられており、その振れ幅に驚かされました。
【teamYELLOW】原田優一さんは、ミュージカル『アメリカンサイコ』でもユーモアたっぷりの演技で強く印象に残っていました。今作でも期待どおりのセンスを発揮し、絶妙な台詞回しや動きに会場からは笑いがこぼれていました。キリっとしたお顔立ちからは想像できないギャップも面白く、さらに歌声も安定感抜群で、魅力あふれる役者さんだと改めて感じました。

畠中洋さん演じる田舎のおまわりさんは、方言混じりのユーモアで独特の味を添え、場面を和ませてくれます。

フランキーの恋人ロレインを演じた原田真絢さんは、ミュージカル『SIX』で印象に残っていた方。登場した瞬間にすぐわかりました(しかも目の前でウインクをいただけたので特に!)。ダンサー、シスター、ウエイター、歌手、スタイリスト、ライターと何役も自在に演じ分け、その表現力の幅広さに魅了されました。
さらに、3人組の新人女性グループのパワフルな歌とダンスは、男性グループが主軸となる劇中で鮮やかな対比を生み、演出としてもとても効果的に光っていました。

最後に【New Generation Team】はまた別のエネルギーが爆発していました!
正直、キャストのインパクトは最初やや控えめに感じたのですが、普段はアンサンブルとして主演を支える方たちだからこそ、「自分たちがメインで立つのだ!」という気合いが全身から伝わってきました。限られた2回という公演数だからこそ、一瞬一瞬に「魅せてやる!」という並々ならぬ思いが漲っていました。

特にフランキー役の大音智海さん。中川さんや小林さんのように突き抜ける衝撃の歌声ではなかったものの、全体を通して安定感ある素晴らしい歌声で、“見た目が若く背の低い坊や”という設定の10代~20代フランキー像に最も自然に溶け込んでいたように思います。(今回観られなかった花村さんもきっとそうでしょう。)
これほど歌える方が普段はアンサンブルを務めているとは――この作品の層の厚さとレベルの高さに改めて驚かされました。

後半、壮年期を迎えれば本来なら体力も落ちていくはずですが、大音さんは歌いながらのダンスにも一切手を抜かず、キレのあるパフォーマンスを貫いていました。その姿は、再起を果たし奮闘するフランキーの気迫と重なり、強く胸に響きました。
また、妻メアリー役のダンドイ舞莉花さんが最後に涙ぐんでいた姿も心に残りました。
きっと共演する仲間にもその熱い気持ちが伝わっていたのだと思います。実力のある方々にこうして光が当たる機会があるのは、本当に素敵なことだと感じました。

今回3チームの公演を観て、キャストが変わることで同じ作品でも新しい魅力に出会える面白さを、改めて感じました。

そして、キャストはもちろんですが、ステージ構成や衣装にも注目でした。
ステージには彩り豊かな華やかなドレスや、シンプルな真っ白のスーツなど、多彩な衣装が並び、幕が上がる前からワクワク感が高まりました。
ショーは、音楽とともに歌い踊る撮影風景からお洒落に軽やかにスタートし、役者の演技に自然と引き込まれていきました。
ミュージカル『ジャージーボーイズ』オフィシャル写真

1階から3階まである雛段状の可動式ステージは、スターダムに駆け上がる様子や、浮き沈みのある物語の展開を効果的に演出していました。観客は役者たちの位置や動きの変化を通して、物語の盛り上がりや人物の成長を視覚的に体感できます。舞台全体を立体的に使うことで、歌やダンスだけでなく、ストーリーの起伏までがより鮮明に伝わる仕組みになっていました。
一番下のステージは回転することで、観客目線になったりステージ上の演者目線になったりと、舞台ならではの魅力的な演出でした。さらに左右に設置されたモニターには、当時の雰囲気を出す白黒映像が映し出され、視覚的にも楽しませてくれました。客入り時には客席が映る仕組みで、始まる前から楽しかったです。

衣装はビシッと決まったスーツ姿が特に4人を印象付けています。赤のスーツやブラックにゴールドの蝶ネクタイのスーツで歌う姿はスターの風格を醸し出していました。4人で合わせた衣装は基本的に同じですが、同じ役でもキャストそれぞれの顔立ちや体型にぴったりとフィットする衣装が用意されていました。こうした細やかな工夫に気づくと、役者一人ひとりの個性が際立つと同時に、舞台全体の統一感も保たれていることに感心させられます。観客としては、細かい違いを見つける楽しみもあり、衣装が演出の一部として作品の世界観をより豊かにしていることを実感しました。メアリーの真っ赤なドレスとロレインの青のワンピースは対照的な二人を表しているようでもありました。
ミュージカル『ジャージーボーイズ』オフィシャル写真

劇中、4人で一つのマイクで歌うシーンがありますが、お互い目を合わせながら、音を重ねハーモニーを奏でる姿は一体感があり素敵でした。特にクライマックスに街灯の下で歌うシーンを織り交ぜ、4人がスタートした瞬間を回顧するシーンは人生の栄枯盛衰を観ているからこそノスタルジックで心震えました。
最後は、自分も思わずステージのコーラスに加わりたいくらい、キャストの皆さんが本当に楽しそうに歌っていて、ただただ“音楽を楽しむ”空間に幸せを感じる素晴らしいミュージカルでした。
(文:あかね渉

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公演情報

ミュージカル『ジャージーボーイズ』
脚本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
音楽:ボブ・ゴーディオ
詞:ボブ・クルー
演出:藤田俊太郎

出演:
【Team BLACK】
中川晃教 藤岡正明 東啓介 大山真志
加藤潤一 阿部裕 戸井勝海 ダンドイ舞莉花 原田真絢 町屋美咲 柴田実奈 LEI’OH 山野靖博 杉浦奎介 石川新太

【Team YELLOW】
小林唯 spi 有澤樟太郎 飯田洋輔
原田優一 川口竜也 畠中洋 ダンドイ舞莉花 原田真絢 町屋美咲 柴田実奈 大音智海 山田元 伊藤広祥 若松渓太

【Team GREEN】
花村想太 spi 有澤樟太郎 飯田洋輔
原田優一 川口竜也 畠中洋 ダンドイ舞莉花 原田真絢 町屋美咲 柴田実奈 大音智海 山田元 伊藤広祥 若松渓太

【New Generation Team】
大音智海 加藤潤一 石川新太 山野靖博
原田優一 川口竜也 畠中洋 ダンドイ舞莉花 原田真絢 町屋美咲 柴田実奈 LEI’OH 山田元 伊藤広祥 若松渓太

【公演】
公演日程 2025年8月10日(日)~9月30日(火) 
会場   東京 日比谷シアタークリエ

公式サイト
https://www.tohostage.com/jersey/

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