みんなが「待っているもの」は何か? 舞台「キダリダ→」観劇レビュー
舞台「キダリダ→」舞台写真 左から松井宗但、保倉大朔、白国秀樹舞台「キダリダ→」観劇レビュー
昨日、6月2日(木)から六本木・俳優座劇場で上演が始まった「キダリダ→」という舞台を観てきました。俳優の白国秀樹さんの幼少期の体験を原案に、2005年、2011年と再演を繰り返してきた作品だそうです。
大阪、下町の一角に佇む安居酒屋。幼い頃に店の二階で暮らした経験を持つ公太にとっては今も尚、特別な思いのある場所である。そこは父と過ごし、母を憎み、愛し、愛された場所――。
鉄錆びた階段で13歳の自分と対峙した時、国と情とに挟まれた親子の真実が明かされていく……。
※キダリダとは朝鮮半島の言葉で「待つ」という意味。
待っているのは誰だろう・・・次世代へ紡ぐ物語、全編改稿で待望の再々演!
時代はきっと今よりも少しだけ以前、だけどきっとそんなに遠い昔ではないような気がしました。大阪が舞台ということで、ほとんどの人は関西弁で話しています。
在日韓国人の息子、13歳の公太は周りの日本人と折り合いが悪く、喧嘩をして学校に通えていない。公太自身のこと、そして父のヤンマのこと、ヤンマの友人のパクと新井のこと。生きているとそれぞれの人にそれぞれの事情があるわけですが、少しずつ事情が絡み合ってストーリーが進んでいきます。
上記のストーリー部分にもある通り「待つ」というのがテーマになっているわけですが、物語のところどころに待つという要素を感じました。「待っていて解決する問題じゃない」ということも多々あるわけです。「待ってくれない」という現実もありました。でも、幸せな結末、今よりも少しハッピーな世の中になることを信じて みんなが「待ち続けている」ということなのかなと、感じました。
舞台「キダリダ→」舞台写真 左から松井宗但、保倉大朔、白国秀樹
きっと今でもこういう問題は残っているんだと思います。今後もこういう問題は新しく出てくるんだと思います。お芝居を観て、こういう問題を再認識して、いろんなことを感じて、また普段の日常を生きていくんだろうなとしみじみと思った六本木でした。
本作は6月5日(日)まで六本木の俳優座劇場で上演中。
少しあいて6月24日(金)からは大阪のABCホールで上演されます。
詳細は公式サイトで。
舞台「キダリダ→」公式サイト
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(文:森脇孝/エントレ)
公演情報
舞台「キダリダ→」
【出演】
白国秀樹、松井宗但、保倉大朔、三野友華子、高橋花衣、阿部周平、小笠原大史、堤隆博、炭谷征之、横堀秀樹、井並テン、川本裕之、平岡基、座間富士夫、宮脇健、阿久津秀寿、松下修、工藤俊作
【脚本・演出】
八鍬健之介
東京公演@六本木俳優座劇場
日時指定全席指定 前売り5,000円 ・当日 5,500円
チケットサイト
https://www.quartet-online.net/ticket/kidarida2016
東京公演公演日
6月2日(木)19:00
6月3日(金)14:00/19:00
6月4日(土)14:00/19:00
6月5日(日)13:00
大阪公演 @大阪ABCホール
チケット
日時指定全席自由 前売り4500円・当日5000円
6月24日(金)19:00
6月25日(土)14:00/19:00
6月26日(日)13:00
詳細は公式サイトで。
舞台「キダリダ→」公式サイト