
梶井基次郎『檸檬』、芥川龍之介『杜子春』、泉鏡花『三尺角拾遺(木精)』を朗読 長尾奈奈出演「朗読タイムレスストーリー Vol.11」11月14日開催

朗読タイムレスストーリーシリーズ⑪ 梶井基次郎『檸檬』芥川龍之介『杜子春』泉鏡花『三尺角拾遺(木精)』
知っている物語に、まだ聴いていない言葉がある。
小説は、文字で読むものだ。
けれど、ひとたび声になったとき、同じ言葉の中に、それまで気づかなかったものが立ち上がってくることがある。
『檸檬』も『杜子春』も、どこかでその名前を聞いたことがある人は多いだろう。けれど、作品を知っていることと、その言葉にあらためて触れることは、少し違う。
たとえば『檸檬』なら、ただ「檸檬を置く」という一場面の中にも、色や匂い、重さ、街を歩く身体の感覚がある。『杜子春』には、財産や欲望の先で、人が何を選ぶのかという問いがある。そして泉鏡花の『三尺角拾遺(木精)』には、現実と幻想の境目がゆらぐような気配が漂っている。
作品は、あらすじだけでは終わらない。
かつては何気なく通り過ぎた言葉が、時を経て、ふと心に残ることがある。知っているはずの物語にも、まだ知らない時間が流れている――今回の朗読は、そんな文学との再会でもある。
「朗読タイムレスストーリーシリーズ」で朗読を務めるのは、無名塾出身の俳優・長尾奈奈。映画・舞台で活動するほか、オーディオブックなどを通して文学作品の朗読にも携わる。
一人の俳優が声を通して三つの作品を描くことで、文字で読むときには意識していなかった言葉の響きや間、登場人物の息遣いが立ち上がってくる。目で読むときには自分の速度で進んでいく物語が、声になることで、ひとつひとつの言葉に時間が生まれる。
朗読は、作品を別のものに変えるのではない。そこに書かれている言葉を、受け取ること。そのことで、知っていたはずの作品の中に、まだ出会っていなかったものが見えてくる。
会場は日本近代文学館。当日は「宇野千代―100年の旅人―」を開催中のほか、併設の川端康成記念室では「川端康成と『文藝時代』の人びと」も開催されている(受付1階/観覧料 一般500円、中学生・高校生100円)。
文学館で、書かれた言葉が声になる時間を。
STORY
梶井基次郎『檸檬』
えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。美しい音楽や詩の一節すら辛抱がならない。金のなかった私は友達の下宿を出て彷徨い歩き、ある果物屋で珍しい檸檬を買った。冷たい檸檬を握り、街を歩き出して…… 。
芥川龍之介『杜子春』
唐の都洛陽で、元は金持の息子であった杜子春は、今ではすっかり落ちぶれていた。「こんな思ひをしてゐる位なら、死んでしまつた方がましかも知れない」と思ってゐると、突然、片目眇の老人が現れ、「お前の影の頭に当る所を掘れば、黄金が埋まつてゐる筈だ。」と言われて……。
泉鏡花『三尺角拾遺(木精)』
「あなた、冷えやしませんか。」 暗夜の中、お柳は池に臨んでその肩を並べた。男は死なんとするお柳に、「深川の木場の材木に葉が繁ったら、夫婦になって遣る」と手紙を出していたのだ。お柳は「私の念が届いたんですよ」と言い、男の膝に頬をつけた。男がその頸を抱こうとすると……。
本作は11月14日、東京・日本近代文学館で上演される。
詳細は公式サイトで。
https://roudoku.talker.jp/
(文:エントレ編集部)
ROUDOKU.TALKER.JP
朗読タイムレスストーリーシリーズ⑪
梶井基次郎『檸檬』芥川龍之介『杜子春』泉鏡花『三尺角拾遺(木精)』
【作】梶井基次郎、芥川龍之介、泉鏡花
【出演】長尾奈奈
【主催】ROUDOKU.TALKER.JP
【協力】株式会社 仕事
2026年11月14日(土)/東京・日本近代文学館

