【インタビュー】Office8次元プロデュース 鳴らして楽しむミュージカル『セロ弾きのゴーシュ』葛木英(作詞・脚本)×淺場万矢(演出) 対談

淺場万矢、葛木英

Office8次元がプロデュースする、鳴らして楽しむ『セロ弾きのゴーシュ』が4月2日に東京・三鷹市公会堂 光のホールで開幕。

子供たちは無邪気に、大人たちは童心に返って物語に没入できる“参加型ミュージカル”公演。
作詞・脚本の葛木英、Office8次元主催で演出も手掛ける淺場万矢にインタビューし、作品を通して伝えたい思いや、演劇界の未来を担う役者たちへの溢れる愛情を語ってもらった。(敬称略)

演劇をやる楽しみを感じてほしい!

――まず初めに、“鳴らして楽しむ”シリーズが生まれたきっかけを教えてください。

淺場 完結に言うと、公演を「見るだけではなく、やってみる楽しさを感じてほしい!」と思ったからです。今は、スマホを見ている時間も多いので、生で行われている演劇を芸術鑑賞会などで観ても、どこか他人事というか、モニターを見ているような感覚になってしまうことがあるようで。でもそれだと生でやっている意味が伝わらないなと思い、当事者としてその場にいるという感覚を得てもらうには“参加型”がいいのではないかと思いました。最初は、2021年に朗読劇のスタイルで、コロナ禍でお客様が声を出せない中、楽器を鳴らすことで一緒に楽しんでもらえればという想いがありました。コロナ禍があけて、より一層「一緒に楽しもうよ!」という気持ちも高まって、音楽劇、ミュージカルと年々進化して今の形が出来上がったという感じですね。

――葛木さんはこの企画を聞いて、どのように思われましたか。

葛木 これまであまり子供向けのお芝居に携わったことがなかったのですが、興味はありましたし、「自分の作品を子供に見せたい」という気持ちも芽生えているタイミングでお声がけいただけて、ありがたかったです。やっぱり“参加型”って楽しいよなぁと思うんですよ。今は推し活も盛り上がっていますし、ライブとかアニメの応援上映とか、推しの色でペンライトを振ったりして、身体を動かしながら見られる空間が私はすごく好きなので、“参加型”というのはとても素敵な取り組みだなと思っています。「そんなに敷居は高くないよ」と伝えたいですね。


淺場万矢、葛木英

淺場 『セロ弾きのゴーシュ』の構成も、ゴーシュくんが演奏を出来るようになる過程を応援したり、動物たちの行動を楽しめるようになっているので、「応援してあげる」という感覚は確かにある気がしますね。自分がアプローチすることによって何かが変わる経験って、すごく大事だと思うんですよ。今、刑務所や少年院でも、「演劇的ワークショップで更生をはかる」という取り組みをしているんですけれど、その中でも、自分の行動で周りが変化していくとか、認められることはすごく重要だと言われています。自分の存在意義を考えた先に、希望的なものがあるのだろうなと思いますね。

葛木 アニメの応援上映で言うと、子供たちはもちろん、それを見ている大人たちの存在もすごく尊く感じるんですよね。自分の根本にある純粋さみたいなものを大人が思い出すきっかけにもなっていて、何重にも尊い! 表現のピュアな部分に関われている感じがして、嬉しい気持ちになります。

個々の力を肯定する大切さ

――カンパニーの空気感は、いかがですか。

葛木 とにかく万矢さんが愛情深い人なんですよ。舞台に対して、そして役者に対しての愛情深さ、真摯さみたいなものがとても伝わってきて、素敵だなと思います。現場での立ち振る舞い方が太陽みたいなんですよね。リーダーとはこうあるべきだと、見ていて感じます。やっぱり陽の者が引っ張っていると、ついていくみんなもその太陽に照らされてキラキラ輝き出せるのだろうなと思って、結構感動しています。

淺場 私自身、結構厳しい演出家のもとにいた経験があって、理不尽に怒られたりとかしてきたんです。でもそれは、演出家と俳優のコミュニケーションがうまくいっていないということもあるし、私は不器用な俳優だったので、「リクエストに答えたい」と思ってもその解決方法が見つかるまでに何重にも遠回りをしてしまっていたからで…。俳優たちの思いがわかるからこそ、演出をするときはなるべく寄り添いたいと思うし、暗い雰囲気にもしたくない。基本的に、「あなたなら出来る」と思ったことしかリクエストしないですし、「絶対に出来るだろう」と思うものを見つけるのが演出家の仕事だと私は思っているので、乗り越えられないハードルは与えないように心がけていますね。

葛木 笑顔で結構高めのハードルを課したりもしてますけどね(笑)。

淺場 そうですかね(笑)。


淺場万矢、葛木英

葛木 「ニコニコと結構すごいこと言うなぁ」と思うことはあるけど、でも悪い空気になるわけではなくてね。素晴らしい作品をつくるための向上心だから、良いなと思います。

淺場 「お前には出来ない」って言われたらショックじゃないですか。私は自分の母が結構応援してくれるタイプの人で、「すごいわ」とか「出来るよ」という言葉に助けられて乗り越えられたハードルがいくつもあるので、みんなにもそうであってほしいなという気持ちです。

葛木 肯定していきたいよね。

淺場 肯定していきたいです!

子供たちの観劇デビューにぴったりの作品

――この記事を見て、鳴らして楽しむ『セロ弾きのゴーシュ』を気になっているお客様に、ぜひPRをお願いします!

葛木 この公演には、0歳児から入ることができます。お母さんって、結構孤独なんですよね。出産したばかりの方は特にそう。産後1年までの間の女性の自殺率はとても高いと言われていますけれど、それはやっぱり寝不足になったりとか、子供の声がうるさいと思われるんじゃないかと思ったりして、街中どこへ行っても気が抜けないという状況が続くからだと思うんです。だけどこの公演では、「いつ泣いてもいいですよ」と言ってくれる。「未就学児以下は入場できません」と言われてしまうことが多い世の中で、お母さんも子供も一緒に楽しめる場所は本当に貴重ですし、私としては“産後のお母さんの居場所になりたい”なと密かに思ったりしています。精神的に追い詰められているお母さんたちに、「ここには来ていいんだな」「また観たいな」と思ってもらえたら嬉しいです。

淺場 今回、「おもいやりシート」という、通路側だったり、扉に近かったり、外に出やすい席を用意しています。私自身、息子が小さい頃の演劇体験として、「泣いちゃったらどうしよう」という気持ちがすごく強かったので、そういう思いを抱えている方に寄り添うような取り組みをしたいなと。あらゆる人に、あまりストレスを感じずに公演の時間を楽しんでほしいと思っています。「大丈夫だよ」と、運営が言うことは大切だと思うんです。前提条件をちゃんと伝えた上で、途中退出してもいいし、誰でも自由に楽しんでもらえる環境を私たちはつくりたいと思っているので、もし何か引っかかることがあれば問い合わせいただきたいなと思います。
自分で言うのもなんですけれど、観劇デビューにぴったりの作品だと思います。最高のキャスト、音楽、脚本、演出でお待ちしておりますので、安心して来てください!

葛木 「観劇デビューでこれ以上のものはないですよ!」くらい強めに言っておきたいですよね!

淺場 はい! あとは、開演前に手作り楽器のワークショップを開催します。紙コップや紙皿とかで楽器をつくって、上演中に演奏一緒に演奏出来ますし、思い出とともにお家に持って帰っていただけることもあって、最高の演劇体験になると思うので、よろしければお越しください♪

葛木 大人も楽しいですよね。昨年の公演のとき、可愛くデコった写真をSNSでいくつか見て、「オシャレだなぁ。いいなぁ」と思いました。

淺場 お家からシール持ってきてくれた子とかもいて。

葛木 自分のテンションがあがるものをね。

淺場 ぜひ好きなものを持って来ていただいて、手作り楽器で一緒に楽しめたらいいなと思います。


淺場万矢、葛木英

公演の詳細は公式サイトで!
https://www.8jigen.com/goshe2025/

文:越前葵

公演情報

Office8次元プロデュース
鳴らして楽しむミュージカル『セロ弾きのゴーシュ』

【原作】宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』
【作詞・脚本】葛木英
【演出】淺場万矢
【作曲】吉田 能(あやめ十八番)/ヌビア

【出演】
竹内黎(龍宮城)、関根翔太(演劇集団キャラメルボックス)、安川摩吏紗、吉井翔子(Office8次元)、桃菜、廣川三憲(ナイロン100°C)
露詰茉悠、本村ゆうか

楽団員(50音順)
淺場万矢 尾﨑愛 大日方絢子 千布幸奈 露詰茉悠 利根川凜 楡井華津稀 橋本薫子 丸山穂葉 溝部梨花 本村ゆうか 山本耀

【日程】
2025年
4月2日(水) 19:00
4月3日(木) 13:00 /17:00
三鷹市公会堂 光のホール

公式サイト
https://www.8jigen.com/goshe2025/
チケットお申し込みはこちら!
https://t.livepocket.jp/t/goshe2025/

関連記事一覧